▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『 神器の行方 』
杏子aa4344)&カナメaa4344hero002)&世良 杏奈aa3447


プロローグ
『落紙 氷柱(おちがみ つらら)(NPC)』は薄暗い世界でそれを弄んでいた。 
 柄には幾人もの血と汗がこびりついているのだろうが、丁寧に磨かれたそれは奇妙なほどに手になじむ。
 その切っ先は鏡のように磨かれており腹を向けると氷柱の歪んだ表情を映し出す。
 氷柱は笑っていた。
 それはこの薙刀を奪い、そして自分の色に落とし、染めて見せた。
 そのことに関して氷柱はこみ上げるような満足感を持っていた。
「おい、お前ら……」
 氷柱は周囲に声を向ける。
 そこはやや広めのキャバクラだった。店には大量の客。
 しかし店員やそこで薬を吸って転がっている少年ですら氷柱の支配下。
 この薄暗く、ひび割れたハウスミュージックのかかったこの場所は、氷柱にとっての根城。居城。
 ここで氷柱は彼女の訪れを待っている。
「こい、こいよ、おれはここにいる」
 そんな挑発に乗るように、乗らされるように。
 H.O.P.E.は氷柱の情報を入手した。
 キャバクラで騒いでいる男がいる……その男は薙刀を振り回していると。
 その報告を受けた『杏子(4344@WTZERO)』 は『カナメ(aa4344hero002@WTZEROHERO)』と頷きあうと、護送車に乗りこんだ。
「まって、お母さん」
 その扉が閉まろうとしたとき、体を滑り込ませてきたのは『世良 杏奈(3447@WTZERO)』
 杏奈は車に一緒に乗り込むと杏子に告げる。
「一人じゃ、辛いでしょ?」
「これは私の因縁なんだけどね」
 その二人のやり取りにカナメが拳を振り上げて抗議する。
「どちらでもよい! 今は薙刀を取り戻すことが先決だろ!」
 その言葉に頷いて杏子は車を出してもらった。
 装備の確認は車内で行う。

本編 

「おい! 見ろよ! お前等! くそだせぇ棒っきれをよ、かっこよく改造してやったぜ」
 その光景を見て、杏子と杏奈は脱力していた。
「振り回すだけの棒っきれだったからよ、レーザー出るようにしてやったぜ」
 告げるといろいろなボタンが取り付けられて歪になった柄の、側面に手を回すと、薙刀の切っ先からカラフルな光が周囲に放たれる。
「まぁ、ライトつけただけなんだけどよ。ほーれ」
 そして薙刀を振り回すとその槍に取り付けられたファーや尻尾の様な装飾がゆらりゆらりと揺れた。
 その光景に店内のまだ正常な人間は危ないと言って逃げ回り。
 酔いつぶれた人間はげらげらと笑っている。
「あれ……が家宝?」
 杏奈が首をひねると、杏子は頷く。
「そう……みたいだね」
 対して怒りが有頂天なのはカナメだ。
「大事な家宝を穢された!!」
 そう叫ぶと半分涙目でカナメは杏子の袖を引く。
「ああやっぱりあれが……」
 杏奈は苦笑いを浮かべながら元家宝を眺める。
「すごい悪趣味に改造されてるけど、よくわかったわね、カナメちゃん」
 その言葉が、妙に室内に響いた、お祭り騒ぎを続けていた氷柱がぴたりと動きを止めて杏奈を振り返る。
「てめぇ、俺の『悪即斬』になんてケチつけやがった?」
 氷柱が額をひきつらせながらテーブルの上から降りると、三人に歩み寄る。
「名前もすごください……」
「てめぇ! 二度までも俺の『悪即斬』を」
「流石にそれは無いわー」
 杏奈は小さく笑いながらそう言った。
「精確にはあんたのセンスを疑ってるんだよ! このコソ泥」
 告げると杏子はカナメの手を取る。
「コソ泥だぁ? ってことはお前が、伏見家の」
「今の私は伏見家に何ら関係ないけどね」
 告げるとカナメの体が光と舞う。それは杏子を追おうとその容貌を変化させていった。
「杏子! 我はこいつが許せん! その体貸してもらうぞ」
「ああ、満足いくまで戦いな!」
 その髪が白く長く流れていく。
 そして風圧と共にふるったのが『墨刀「風信帖」』
「容赦はしない」
 ニッタリと氷柱が笑った直後、戦いは始まった。
 狂乱と共に走る氷柱の配下達、それを杏子は足を蹴飛ばし転ばせて、かたで当ててはじいて、まるでかき分けるように氷柱へと進んでいく。
 その氷柱は無造作に杏子へと刃を振り下ろす。
 その刃を杏子は刀を横にして受けると、その重さに足が軋む。
「やっぱりお前……リンカー!」
 カナメが叫ぶと杏子が否定する。
――いやあれは、そんな生易しいものじゃないよ。私にははっきりわかる。
 杏子の直観が告げていた。
――あんた、愚神と契約してるね? 
 告げると氷柱は刃を引いて、側面から薙ぐように叩きつけた。
「く……槍を傷つけたくはないのだが」
 そんなカナメにじりじりと接近すると、氷柱は目を見開いて、舌を出しながら熱い吐息で語りかける。
「菊男から受けた屈辱を100倍にして返してやる!」
――ああ、あんた弟の……。
 納得したようにつぶやく杏子。
 そんな動きを止められたカナメに氷柱の配下達が襲いかかった。
「やっちまえや! お前等!」
 その爪や拳はなぜか霊力の加護を受けており、カナメの衣服を切り裂いていく。
「く! リンカーだったのか、邪魔だ!」
 だが次の瞬間、地獄の窯を開いたように地面が黒く染まった。
 そして生み出されたのは図太く、禍々しい触手。
「なんだよ! これ!」
 氷柱の手下たちはそれにからめ捕られ宙に釣り上げられていく。
 その地獄絵図を描いているのはもちろん、杏奈だった。
「ふふふ、どの本を使おうか迷っちゃった」
 そう微笑む杏奈の顔は邪悪に染まり、その手の本から放たれる濃い瘴気がなおさら彼女を悪役に仕立てていた。
――どっちが悪もんだかわからないね。
「これはチャンスだ! お前の味方はもういないぞ!」
 カナメは薙刀を弾くと一足飛びに距離を詰める、振りかぶるように刃を振るうと氷柱の体が紙屑のように飛んだ。
 壁にあたり、跳ね返る氷柱。
 しかし氷柱は意識を取り戻し、とっさにカナメと刃を交差させる。
 リーチは氷柱の方が上である。であれば回避できない今のタイミングで刃を打ち出してやれば捕えられる。
 殺せる。
 そうほくそ笑んだときだ。カナメは体を横に回転、眼球に触れそうなまでに近づいた切っ先を回避し、そのまま刀を氷柱の肩に投げた。
「いでえええええええええ!」
 肩から出血する氷柱。
 薙刀を取り落とし、痛みに呻く。
「これは返してもらう」
 だがその手は薙刀に届くことなくカナメの体が上に吹き飛ばされた。
 カナメの体は天上に当ると強く跳ね返り。テーブルやいすを破壊しながら地面に叩きつけられた。
「なにが……」
――カナメ。あいつから目をそらすんじゃないよ。何かおかしい。
 杏子が告げると確かに、氷柱は様子がおかしかった。
 薙刀を拾い上げる氷柱。その腕が液体のように脈打つと、服の袖をズタズタに破いて、触手の様な物が顔を出す。
「ふがいない、これだから人間は」
 氷柱の口から氷柱ではない声が響く。
「お前が今回の首謀者だな」
 カナメが静かにつげる。
 愚神だ。奴は愚神に取りつかれていたのだ。
「何をやっている子分たち。命を賭してでも我を守れ」
 そのカナメの言葉を無視してそう告げると、杏奈に拘束されているリンカーたちの体もはじけた。
 首筋、足、腕などから触手を生やしてその手には無数のAGWを握っている。
 そのおぞましい光景に眉をひそめる杏子であったが。逆に楽しそうな笑みを浮かべたのが杏奈だった。
「ふふふ、どちらがクトュルフの申し子にふさわしいか勝負ってことね」
――ん? 杏奈、大丈夫かい?
 杏子の心配の声も無視して杏奈はゆうゆうと前に出る。
「さぁ、おいで」
 告げると杏奈が握る魔本から形容することもおぞましい、ありとあらゆるものが流れていった。
 それはリンカーたちへと津波のように襲い掛かり。
 イアイアという掛け声と共にしゃぶりつくしていく。
――あんた、いったい何を装備してるんだい。
 その言葉に杏奈は妖艶な笑顔だけを返す、そして告げた。
「お母さん、あいつらは私が抑えておくから。大丈夫」
 そんな杏奈の首を狙って、氷柱……いや、愚神の矛先が迫る。
 峰うちで槍の柄を弾きあげると二人の視線は交差した。
「愚神であれば、容赦はしない!」
 カナメはギアをあげる。引き戻した刀のの刃を上に。一瞬の跳躍と共に手元で刃を手繰る。
 薄く皮を切るような小刻みな動きで愚神の手首を打撃。腹部を切り裂き。着地と同時にさらに一歩踏み込んで喉笛を狙う。
 それを愚神は素手で受け止めた。カナメは反射的に刃を上にはじく。
 指が何本が千切れ飛んだが、その段面からさらにグネグネとした触手が生えて薙刀を握る。
 ぬめぬめと粘液、そして血で薙刀が汚れていく。
「あああああ! 家宝になんてことを」 
 絶叫するカナメ。その喉元に伸びる刃を剣の腹でそらしてはじく。愚神の回し蹴りを姿勢を低くして回避。
 愚神はその回転力そのままに槍を地面に突き刺してもう片方の足で再度蹴りつけた。
 これにはカナメも対応できず、後ろに吹きとぶもすぐに着地して体制を整える。
「しねえええええ!」
 次いで愚神はその手の薙刀を砲弾のようにカナメに投げた。
 響く轟音、巻き上がる土煙。
「お母さん!!」
 杏奈が叫んだ。だが。
――心配はいらないよ。杏奈。
 次いでその土煙の奥から眩い光がスッと立ち上る。
 それは薙刀の切っ先から放たれる光。
「やっと取り返したぞ」
 告げるカナメのその手には確かに、家宝の薙刀が握られていた。
 そしてその薙刀は本来の持ち主の元に戻れた喜びを表すように霊力の光を放っている。
 悪趣味な塗装、装飾は剥がれ落ち、本来の姿が戻っていく。
――終わりにしようか。カナメ。
「ああ!」
 次いでカナメは走った。愚神めがけて一直線に。
 愚神はその全身の触手を伸ばして体をからめ捕ろうとするが。薙刀と刀。二振りの刃を駆使ししてそれらすべてを切断する。
「てめえええええ! 近づくんじゃねぇぞ!」
――王手だよ。
 打ち出された薙刀の刺突。それは。 
 やすやすと愚神の首を切り裂いた。
 愚神の霊力が霧散していく。
「こんな! こんな! おれが!」
 崩れ落ちる氷柱。
 その体はほとんどが愚神に食われていたのだろう、しぼんでいく。
――あわれな、男だよ。ほんとうに。
 刃から邪気を払って、カナメは薙刀片手に佇む。
 一つの事件の幕が下りた瞬間だった。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
『杏子(4344@WTZERO)』
『世良 杏奈(3447@WTZERO)』
『カナメ(aa4344hero002@WTZEROHERO)』
『落紙 氷柱(おちがみ つらら)(NPC)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛

 いつもお世話になっております。
 鳴海でございます。
 この度OMCご注文ありがとうございます。
 今回は一連のシリーズラスト、そして戦闘と言いうことで楽しんで書かせていただきました。
 また本編でもお会いしましょう。
 それでは鳴海でした。
パーティノベル この商品を注文する
鳴海 クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2018年04月03日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.