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『星の願い、月の願い 』
彩咲 姫乃aa0941

 姫乃の世界は月を失ってしまった。
 まるで自分と星に寄り添うようにいてくれた月。
 しかしその姿はいつの間にか衛星軌道上を離れ、手の届かない場所にスッと消えてしまった。
 姫乃に思いと願いを託して。
 姫乃はかつて星の少女に、太陽だと。自分にとっての太陽だと言われたことがある。
 だから姫乃は思うのだ。自分は太陽であれているのだろうかと。
 これからも太陽でいられるのだろうかと。
「ナイア……」
 一度三人になってしまえば、二人には戻れない。
 三人マイナス1になるだけなのだ。それは姫乃がよく理解している。
 姫乃は夢の中で胸に輝くネックレスを見る。月と星と太陽のネックレス。
 それが自分を中心に少し浮かび、回っている。
 月が輝いた、まだ願いがあると主張するように、姫乃の目の前を飛んでいる。

 それがその日、姫乃が見た夢の内容である。

 朝が来れば幻想は過ぎさり、何度も涙を流した目尻にはわずかな潤いがあるのみだった。
 新しい朝が来た。二人と一人の、新しい朝が。

   *   *

『三浦 ひかり(NPC)』はパンケーキの山を頬張っていた。
 今日は休日。姫乃もひかりも学校はお休みで施設の許可を得た二人は街中に繰り出していた。
 こんなデートも何回目だろうか。
 以前はもう一人いたのだが。そう『彩咲 姫乃(aa0941@WTZERO)』はオレンジジュースを覗きこんでそうため息をついた。
「姫乃、これおいしいよ」
 そうたっぷり生クリームを乗せたパンケーキを差し出すひかり。
 そのフォークに、姫乃は照れつつもかぶりついた。
「ありがとうな、ひかり」
「なにが? こっちこそありがとうだよ、ずっと来たかったんだ」
 告げるとひかりは次々とケーキを沙羅から消していく。
 ちなみに、デートはいつも突発的に発生していたのだが、今日は珍しく話があるからと姫乃はひかりに呼び出されていた。
 なにか深刻な話だろうか。そう姫乃は身構えていたのだが。雑貨を買って、映画をみて。ご飯を食べて、遊園地に行き。夕暮れ時の午後六時現在。
 ひかりからは何の話もない。遊びたかっただけだろうか。
「なぁ、ひかり、話って何だ?」
 姫乃はそう、唐突に切り出した。
 気になれば一直線。それが姫乃である。
「あ、それね、それ……うん」
 ひかりはそう視線をそらしながらソワソワと両手を組んだりはなしたり、車いすの手すりを撫でたりする。
「あのね。アイドルの話なんだけど」
「ああ、ひかり好きだもんな、それが?」
「本格的に目指してみたいと思うんだ」
 姫乃は驚く反面、眉をしかめる。
「楽な道じゃないぞ、遊び半分なら」
 姫乃の言葉に声を強張らせてひかりは答える。
「遊びじゃないよ。遊びじゃなくて、本当に、誰かの役に立ちたいと思ったの」
「誰かの役に? それならもっと他の仕事もあるだろう?」
「私がアイアンパンクになったらそれもできると思う、アイドルになるためにも必要だと思っているけど、それは置いておいて。姫乃の言うことは間違ってないよ。けど。歌じゃないと届かない場所があると思うんだ」
「曖昧だな」
 姫乃はそう声を低くして告げた。
 自分自身、アイドルの友人たちが血と汗を流していることを知っているのだ。
 あの苦しみの先に輝きがあるなら。ひかりはそれに耐えられるのだろうか。
「私の、思いが?」
「どうアイドルになるかって話だよ」
 だが、姫乃はわかっていた、いつかこの日が来ることを。それに彼女からも頼まれた。
 だから。姫乃は。その思いを笑わない、具体的に形にできなくてもひかりが本気だと信じられる。
 けど、思いが強いのと、実際にうまくいくかの話は別だ。
 姫乃は直情型だが、自分の望みもフォローされて成されたことがいくつもあると感じている。一人ではとっくにどこかの戦場でくたばっていたかもしれないと思うのだ。
「ひかりはどうやってアイドルになるか、方法は知ってるのか?」
「えっと、プロダクションに応募?」
「それはある程度実力のあるやつしか通らない、今のひかりじゃだめだ」
「うう、だったら先生たちみたいに無理だって言うの?」
「いや、まずプロダクションに受かるくらいの実力をつければいい」
 告げて取り出したスマートフォンに映し出されていたのはグロリア社令嬢直通電話。
「どうしたらいいか、専門家に話を聴こうか」
 行動は早い方がいい、そうアポを取ったのが翌日。二人はグロリア社正門にやってきた。
 見上げるとそびえたっているグロリア社ビル。その最上階に彼女はいるという。
「わあああああああ、緊張する」
 ひかりは珍しく学校の黒セーラーを着込んでおり、姫乃もそれに習って制服である。
 学生の戦闘服は制服である。ただ、スカートの中身が見えるのは恥ずかしいので、ショートパンツをはいている。姫乃は突拍子もなく動くので当然のガードというべきだろう。
「えっと、『西大寺 遙華(az0026)』さんに会いに来ました」
 姫乃はちょっと声のトーンをあげて、さらに女性らしい口調に、すると受付嬢は話は聞いてますよと、にっこり微笑んでカードキーを渡してくれる。
「よし、いくぞ」
 そう姫乃の車いすを押して姫乃はエレベーターにのりこむ。
「ひかり、自分なりにやりたいことはまとめてきたのか?」
「うん、大丈夫」
「よかった、じゃあ、話はスムーズに進みそうだな」
 姫乃はそう告げると最上階でエレベーターを降りる。
 執務室でまつ彼女の元を目指した。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『彩咲 姫乃(aa0941@WTZERO)』
『三浦 ひかり(NPC)』
『西大寺 遙華(az0026)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております! 
 鳴海でございます!
 この度はOMCご注文ありがとうございます。
 今回はお二人の再出発をイメージして書いてみました。
 みんな前に進んでいくんだと、春らしい内容になればいいなとおもい、書いてみました。
 あ、あと先日頼まれていたノベルですが。副発注者の方をNPCとして指定するとよいかもしれません。
 それでは鳴海でした。またお会いしましょう。

 
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2018年05月01日

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