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『『2年目のホワイトデー』 』
アレスディア・ヴォルフリート8879

「…………………………は?」
「だから、アレスは売り子。俺は警備」
 3月14日。
 アレスディア・ヴォルフリートは、ディラ・ビラジスと共に、百貨店のイベント会場に来ていた。
「これ、制服だから。更衣室はあっち」
 バックヤードで、ディラはアレスディアにビニール袋に入った服を渡し、自分は警備員の腕章をつけていく。
「何故私が売り子を……私もディラ殿と共に警備で良いのではないか……?」
 半ば茫然としつつ、眉をひそめてアレスディアは言う。
「警備員はそう要らないが、売り子は足りないんだそうだ。いいか、強盗が金を奪おうとしたとき、売り子としてカウンターに居た方が、直ぐに取り押さえられるだろう? 人質をとるときだって、わざわざ警備員の側にいる人を人質にしようなんて思わないだろ? 可愛い売り子たちに混じってた方が、トラブルの対処がしやすいってわけだ」
「むぅ……」
 眉間に深く皺を寄せながら、アレスディアは苦悩する。
 また依頼にでも誘ってくれと言いだしたのは自分であり、どんな依頼なのか確認をしなかったのも自分なのだが……。
「ほら、ハロウィンの時とか、にこやかな笑顔で、子どもにお菓子配ってたじゃないか。この服は仮装だ。薄っぺらいが魔法耐性のある最強の防具なんだ……とでも思えばいい」
「う……ううむぅ……」
 アレスが受け取った服は、フリフリのメイド服……ではなかったが、とても防具と思える服ではない。まあ、結構ゆったりしているので、中に着込めそうではあるが。
「もう時間ないぞ。依頼主との契約を破るわけにはいかないだろ?」
 そう更衣室へ促すディラをひと睨みしたあと、しぶしぶアレスディアは了承し、歩き出した。

「いらっしゃいま……せ」
 思わず鋭い目を向けてしまい、アレスディアは軽く顔を引きつらせて微笑む。
(そうだ、子どもだ。客は全て、お菓子を貰いに来た子ども達だと思えばいい)
 そう自分に言い聞かせて、アレスディアは硬い表情を、子ども達を見守る時の表情へと変えて、それでも多少ぎこちなく接客をこなしていく。
 ……ディラは警備に当たりながらこちらを見ており、時折くすりと笑みを浮かべているようで。なんだか少し癪に障る。

 夕方になると、学校帰りや、仕事を終えた会社員たちで会場は賑わっていく。
 その頃にはアレスディアも仕事に慣れ、承りと会計をてきぱきとこなしていた。
 そんな時――。
「ひったくりだ!」
 小さな悲鳴と、声が響いた。
「どけっ!」
 人々を突き飛ばしながら、出口ではなくバックヤードの方へと駆けてくる男。
 こちら側に警備員はいない……が。
 即座にカウンターから飛び出したアレスディアが、男の手を掴み一瞬にして組み伏す!
「お、おお……っ」
 会場から感嘆の声が上がっていく。
「ありがとうございます」
 財布を捕られた男性は、取り戻した財布を手に、アレスディアに頭を下げる。
「怪我はないか?」
「……はい」
 被害者の男性は恥ずかしそうな笑みを浮かべた。
 アレスディアより10は年上の男性だった。

 トラブルはその1度限りで、その日の仕事は予定通りの時刻に終わった。
 ……ただ。
「メアド交換してください!」
「もしかして、防衛大学や警察学校に通ってる方ですか?」
「一瞬でよく見えなかったです。柔道ですか? 大会とか出ているのなら、応援に行きたいです」
 更衣室で仕事仲間の女性達に囲まれてしまい、アレスディアはなかなか帰してもらえなかった。

 給与とお菓子の詰め合わせを貰い、アレスディアが外へと出ると、不機嫌そうな顔のディラが街路樹の側で待っていた。
 慣れない仕事や、女性達の対応で疲れ切っていたアレスディアも、恨みがましい目つきでじっとりディラを見詰める。
 互いに歩み寄り、2人の距離が縮まると、どちらからともなく、ふっと力の抜けた笑みを浮かべた。
「……まぁ、無事に終わったのだから、良しとするか。菓子ももらったことだし、家で軽くお茶でもしていくか?」
「ああ」
 途端、ディラの顔が嬉しそうな笑みへと変わる。
「ケーキ貰ったんだ、食おうぜ」
 と、背に隠していたケーキをアレスディアに見せた。
 詰め合わせの代わりに、ディラはビターチョコレートケーキを貰ったのだという。
「疲れた時には、甘いものだな」
「そうだな」
「ちっとは甘いこともしたいんだが」
「ん?」
 なんでもないとディラははぐらかして笑う――。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号/PC名/性別/外見年齢/職業】
【8879/アレスディア・ヴォルフリート/女/21/フリーランサー】

NPC
【5500/ディラ・ビラジス/男/21/剣士】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ライターの川岸満里亜です。
ホワイトデーのお話、大変お待たせいたしました。
このあと2人は(味覚的に)甘い時間を楽しんだのではないかと。
ディラの企てへのお付き合い、ありがとうございました!
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東京怪談
2018年05月07日

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