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『やっきにっくやっきにっくたっべほーぉだい! 』
小鉄aa0213)&眞白aa3599hero002)&寫眞 撮生aa4007

「大変申し訳ございません、ただいまお席が大変混み合っておりまして……。相席でのご案内でよろしいでしょうか?」

 某有名焼き肉店へとやってきたとある客たちは、店員のその言葉に快く頷いた。
 結果。

「ヤァヤァ、相席をオッケーしてもらえて助かったよッ! よろしくねッ!!」
「よろしくでござる」
「……ちっ」

 何の因果か、撮生、小鉄、眞白の3人がおなじ網を囲む事態と相成ったのであった。
 これは、某焼き肉屋で織りなされる、二人の愉快犯と一人のツッコミによる会話の一部始終を抜粋したものである――……。



「ここからここまでの肉は拙者のでござる」
「いや誰も取らねぇよ」

 簡単に自己紹介をし、いざ実食と相成った。
 とりあえず、と注文した第1便の肉が来たところで、牛タンとセセリの皿を抱え込み、トングで肉をより分ける小鉄。
 カルビを網に乗せていた眞白が小鉄の暴挙に若干引いている。

「ンンン! お肉が焼けるいい匂いだねッ! あ、小鉄さん、よかったらタンもらっていいかな?」
「もちろんでござるよ」

 きゃっきゃとテンション高く和気藹々している撮生と小鉄。
 眞白は「こいつら口隠したままどうやって肉食うんだろう」と内心で首をかしげている。
 まぁ食べるときはかぶり物を取るのだろう、と、慎重に肉の焼け具合を確かめていたのだが。

「いやァしかし、こういうタレは汚れないかどうかとか気にしてしまうよね」
「あー、確かにそうでござるなぁ。匂いも結構残っちゃうでござる」

 もっちもっちもっち。
 小鉄の、覆い布に隠された口が、肉を咀嚼していた。
 撮生も「ンン〜!」と極上の肉を堪能しているようなそぶりをしている。

 つまり、眞白が束の間目を離した隙に既に肉は二人の口の中に消えていた。一瞬の早業だった。驚きすぎて2度見した。
 じわじわじゅうじゅうと肉の焼ける音がする。

「眞白くん、それもう焼けてるんじゃないかい?」
「え? あ、ああ……」

 何が起こったのかわからずめを白黒させていると、眞白が育てていた肉が「焦げてるで」と主張を始めていたらしい。撮生に指摘されて、眞白はあわててちょっとだけ焼きすぎ感のある肉をタレの入った皿に取り分けた。

「いやァ、ワタシ、焼き肉屋で鶏肉ってあまり食べないのだけれど、このセセリってのはコリコリとした食感でおいしいねッ」
「でござろう?」
「お前ら一体どうやって食ってんだ??」

 また一瞬目を離した隙に、肉は二人の口の中に消えていた。
 理不尽が過ぎて眞白は真顔になった。

 さて、眞白に食事方法を指摘された二人はといえば。

「? どう、と言われても、別に普通だよ」
「そうでござるよ。普通に食べてるでござる」

 普通、とは。
 覆面二人に普通を説かれる眞白は真顔を通り過ぎて遠い目をしている。まるでチベットスナギツネのような顔だ。

「まぁまぁ、細かいことは気にしないッ! ほらほら眞白くん、これもおいしいよッ!」

 そう言って撮生が眞白の取り皿に取り分けたのは、焼き肉店では「ミスジ」と呼ばれている部位。ほどよくサシのはいったその赤身肉は、じわりと肉汁をしたたらせて眞白を誘ってくる。

「……まだ生焼けじゃねーのかこれ」

 ごくり、と喉をならしつつ、眞白はちょっぴり警戒心のこもった視線を撮生に向ける。肉汁はまだ少し赤味を残しており、薄めに切られたミスジの内部がミディアムであることを示していた。

「このお肉はこれくらいがちょうどいいでござるよ」

 ひたすらに肉をもっちもっち食べている小鉄が横から口を挟む。だからどうやって覆面したまま肉食ってんだよと言いたいところだが、眞白の目はミスジに釘付けなのでそれどころではない。
 眉間にしわが寄っていたが、服の中に仕舞われたしっぽがふぁっさふぁっさ衣擦れの音を立てている。

「……いただきます」

 なんとなく改めて肉に手を合わせ、黄金色に輝いている(気がする)それをタレに浸し、ひと思いに一口。

「……!!」

 溶ける。

 眞白の脳内を満たしたのは、まるでとろけるジュレを彷彿とされるほど濃厚な肉汁だった。
 甘口醤油ベースのタレにも負けない肉の味。ふわっと鼻腔をくすぐるのは甘い甘い油の香り。まだ赤味を残す肉を白い歯で割れば、ほどよい弾力ではじき返された。

 うまい。
 眞白はもしかした初めて食べたかも知れない肉の味をかみしめた。
 噛めば噛むほど味が染み出てくる。かといって噛み切れないわけでもなく、まるでするっとほどけるように喉の奥へと滑り落ちていくのだ。
 とにかくうまい。

「あ、もうお肉が無いじゃないかッ! すみませーん! ランプと上カルビ、あと壺漬けカルビと壺漬けハラミの追加お願いしますッ!」
「あとすまぬがコーラの追加を頼みたいでござる」

 が、眞白の感動は長く続かなかった。
 気付いたら、机の上の肉が殆ど無くなっていたのだ。眞白が育てていたはずのカルビも消えていた。
 相変わらず覆面二人はどうやって肉を食べているのか不明だが、気付けば網の上の肉が消えている。いや、焼き肉とは戦争である。目を離した眞白がいけないのかもしれない。
 それでも。

「お、オレの肉ぅぅぅぅうううううう!!」

 眞白は悲痛な叫びを残して机の上に突っ伏すのだった。



「ごめんよォ眞白くん」
「ごめんでござるよ」
「おまえらなんかもうしらない。オレにかまうな」

 かくして眞白はいじけて机に突っ伏すことになる。
 だって丹精込めて育てていた肉を取られたのだ。しかも自分が注文していた皿までいつの間にか空だったのだ。さもありなん。

「ごめんよォ、ほら、ハラミの一本漬け全部一人で食べていいから機嫌を直しておくれッ」

 どどん!

 そんな効果音と共に、眞白の目の前に茶色い壺が置かれる。
 肩頬を机に押しつけたまま、眞白は半眼でその壺を見やる。頭上の耳が興味を抱いたようにぴくぴくきゅるりと動いた。

 そんな眞白の様子に、ハラミ一本漬けに興味を抱いたことを察した撮生。いいことを思いついたゾ、とにたぁと笑って(カメラのかぶり物に隠れて見えないが雰囲気がめちゃくちゃたのしそうなものになった)、「ほら、遠慮しないでッ!」と茶色い壺からながぁいハラミを取り出した。

 眞白の視線が、タレに漬かっててらてらと光を反射するハラミに釘付けになる。

「小鉄さんちょっとこの肉と野菜避けさせてね」
「もちろんでござるよ」

 網の上に残っていたいい具合に焼けている肉や野菜を取り皿に浚って、撮生は幾分すっきりした網の上に長いハラミを横たえる。

 じゅううぅぅうぅ。

 途端に熱に煽られ縮んでいくハラミ。長いそれがまるで踊るように見えて、眞白は思わず机から頬を浮かせた。
 タレの焼ける甘辛い香りが早急に拡散されていく。

「ハラミは内臓だからね、よォーく焼かないと!」

 にこにことうれしそうに笑いながら(※見えない)肉の焼き加減を見極める撮生。
 眞白はついに上半身を起こして食い気味に肉を見ている。
 服の中で仕舞われたしっぽが激しく振れていた。

 まだ赤い肉の表面にぷつぷつと肉汁が浮いてきたところで、ひと思いにひっくり返す。
 これまでの食べ方から、眞白がよく焼けた肉のほうが好みであることを見抜いている撮生。火力の強い網の中心部分と外周部分を使い分け、肉の柔らかさが損なわれないようにじっくりと焼いていく。

「……さァ、召し上がれッ!」
「……!」

 かくして焼き上がった一本ハラミは、撮生史上最高の焼き上がり具合であった。
 くるり、ととぐろを巻くように眞白の取り皿の上へ盛られたハラミは、かぐわしい芳香をまき散らして食べられる時を今か今かと待ち望んでいる。

 眞白の喉が、ごくり、と鳴った。

 そっと、箸を持ち上げて、ハラミの端をつまむ。
 しっかりと火の通された肉は、しかしその柔らかさを損なうことなく、柔らかな弾力を眞白に伝えた。ふわっと立ち上る湯気と、同時に広がる甘辛い匂い。
 たまらない。

「…………!!」

 はぷり、と一口。
 瞬間、口の中に広がる肉汁。

「んんんん……!!」

 間違いなく、うまい。
 眞白は思わず頬に手を当てて身もだえた。口の中がしあわせで表情までとろけてしまう。

 ハラミ、と言えば、処理が甘ければ固くなってしまう部位である。それが、タレに漬かってとろとろに変身していた。なんとも眞白好みの味わい。とてもおいしい。おいしいってしあわせ。
 ハラミ本来の「弾力があって噛めば噛むほど味が出る」状態はそのままに、切れよく歯で千切れる柔らかさがプラスされ、いわばハラミの究極体。おいしいの極致。

 しかも、まるまる1本分全部このおいしさなのだ。
 しあわせが天元突破しそう。

「……んまい」

 つまるところ、眞白の機嫌は完全回復した。
 常の仏頂面が影も形もない。おにくのちからってすごい。

「口直しに軽くあぶったキャベツとたまねぎもどうぞッ!」
「ん」

 取り皿の上でほどよく冷めた野菜も取り分けてやって、撮生は一仕事終えたように額(らしき箇所)を腕で拭うような仕草をした。
 そして。

「すみませーん! ハラミの一本漬け追加お願いしますッ!」

 眞白があんまりにもおいしそうに食べるものだから、自分もほしくなったのであった。



「おお?! 二人とも、ちょっとこれ見てほしいでござる!!」

 宴もたけなわ。
 おのおの腹もくちくなって、そろそろ締めに入ろうかという頃合い。
 小鉄がえらく興奮した様子で、眞白と撮生を片手で手招いた。

「ん?」
「どうしたんだい?」

 手招きされるままに、小鉄の手元を覗き込む二人。
 小鉄の義手に握られていたのは、ほどよく焼けたウインナーだった。

 なにがあったのかよくわからなくて、眞白と撮生はそろって首をかしげる。

「これ、拙者が握っただけで焼けたでござる」
「は?」
「ワォ! 本当かい?!」

 若干どや顔の小鉄。
 うろんげに顔をしかめる眞白。
 テンション爆上げの撮生。

 場は一瞬にしてカオスが支配した。

「え、それ大丈夫なのか??」

 きっとたぶんこの中で一番常識的な指向をしているのは眞白だろう。
 ウインナーが焼けるほど熱を持った小鉄の義手と小鉄自身を心配しての発言である。

 が、当の本人がその心配を一瞬で吹き飛ばす笑顔でのたまって曰く。

「大丈夫でござる! これでおにぎりを作れば簡単に焼きおにぎりができるでござるな!!」
「…………」

 心配した自分が損した気分だった。後に眞白は語った。

「すごいね!! 網の熱が原因かな?? 握っただけで焼けちゃうなんて、まるで魔法みたいだよッ!!」
「そうでござろう? そうでござろう?? 拙者、これはもう特技の域だと思うでござる」

 きゃっきゃとはしゃぐ年長者二名を、眞白はうっすらと薄い笑みをたたえて見つめた。
 眞白が何を言っても無駄だと言うことは、この短い付き合いの中で存分に学んでいたので。



 好きなだけ食べ、飲み、思う存分語らった。
 しっかりとデザートまで食べ、おいしいもので胃を満たした3人はしあわせそうな顔で腹をさすっている。

「いやァ、おいしかった! 二人と焼き肉が食べれて本当に良かったよ! ありがとう!!」
「それは拙者のセリフでござるよ。今日の焼き肉はたのしかったでござる」
「…………まぁ、悪くなかった」

 顔が見えていればにこにこと満面の笑みを浮かべて居るであろう撮生と満足そうな顔をしている小鉄は、結局この日一度も口を晒さなかった。気付けばいつの間にか網の上の肉が消え、もちゃもちゃと咀嚼している不思議現象の解明はついぞ果たされなかったのである。
 眞白は途中から何かがぷっつりと切れ、その件に関してはノータッチを貫いていた。眞白に幸あれ。

「ちょっと手ぇ洗ってくる」

 さて、焼き肉と言えばついて回るのが油汚れである。
 お手拭きももらえるのだが、眞白はなんとなく流水で油を流したい。故に、未だ満腹の余韻に浸っている二人に断って席を立った。

「うん、行ってらっしゃいッ!」
「荷物番はしておくから、安心するでござるよ」

 ひら、と手を振って眞白を見送ってくれる年長者二名。
 当たり前のように待っていてくれることがなんとなくくすぐったくて、眞白はふいっと目を逸らして何も言わずにお手洗いへ向かう。
 しっぽが布の下で盛大にあらぶっていたため、うれしさは全く隠せていなかったのだが余談である。

「……さァて! 眞白くんが居なくなったところで……」
「フッフッフ。拙者たちの暗躍でござるな」

 眞白が居なくなった隙に、と、覆面の年長者二人は額を付き合わせて悪巧みを始めた。
 なにやらごそごそと卓上をあさる二人。3人分の伝票を回収したのは撮生である。

「このあとはどうするでござるか?」
「そうだねェ、折角こうやってご一緒できたんだから、ワタシとしてはもう1件くらい楽しみたいかなッ!」

 ひら、と伝票を翻して決めポーズ。カメラ頭は人生を存分に楽しんでいた。

「というわけでここはワタシ持ちってことでよろしくッ!」
「仕方ないでござるな。次の店は拙者がもつでござるよ」

 レンズの前でキラッとピースする撮生に、小鉄は肩をすくめてお会計ボタンを押した。



 お手洗いから帰ってきた眞白が、自分の分の会計まで終わっていることに気付いて、おせっかいな覆面連中に抗議の肩パンを食らわせるまであと5分。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【小鉄(aa0213)/男/24歳/アイアンパンク】
【眞白(aa3599hero002)/男/19歳/カオティックブレイド】
【寫眞 撮生(aa4007)/男/27歳/命中適性】
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2018年06月04日

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