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『目指せ!究極のお稲荷さん! 』
プレシア・ベルティーニaa4629

 いきなりこんな手紙を貰ったら、諸兄らはどう思うだろうか。

『おめでとうございます! あなたはこの度、100人目の「究極のお稲荷さんチャレンジャー」に選ばれました!』

 Aさん『ちょっと意味わかんないですね……頭おかしいっていうか……』
 Bさん『究極の稲荷なんかより、普通の高級寿司の方が食べたみある』
 Cさん『やだぁ、こわぁい♪ ストーカーっぽいぃ♪』

 大なり小なりの違いはあれど、恐らくこんな反応が普通ではないだろうか。そもそも『究極のお稲荷さん』ってなんだ。しかもチャレンジャーって、いったい何にチャレンジするんだ。
 だがしかし、現にその手紙を受け取ったプレシア・ベルティーニ(aa4629)は一読するや否や、ぱぁぁぁぁッ、と目と顔をキラキラ輝かせ、弾む口調でこう言った。

「究極のお稲荷さん! 食べてみたいの〜♪」

 どうやら、思考の99%が瞬時に『究極のお稲荷さん』で埋め尽くされてしまったらしい。
 ふんふんふん、と手紙を――主に『究極のお稲荷さん』という部分を――熱心に読み返したプレシアは、うん、と1つ大きく頷いた。そうして早く食べに行こうと、キラキラ目を輝かせたまま一目散に飛び出していく。
 そうして、ノリと熱意と勢いだけでプレシアがまずやってきたのは、ニューヨークだった。曰く、

「きっと、大きな街には大きなお稲荷さんがあるの〜」

らしいのだが。街の大きさ関係ないよね、と突っ込む人間が居ないのがつくづく惜しまれる。
 アメリカ、ニューヨーク。自由の女神をシンボルマークに戴く、トレンドとファッションと犯罪と喧騒の街。
 だがもちろんプレシアはそれらに目をくれることはなく、ただひたすらお稲荷さんを探し求めてきょろきょろと歩き回る。と、不意に目に飛び込んできたのは、派手派手しいネオンで書かれたSUSHI☆Barの文字。
 これだ! と大喜びで駆け寄って、見るからにアメリカンな外観の店ののれんをひょいとくぐる。するとそこに居たのは紺の法被を着た、角刈り頭の寿司職人らしき男。
 店に飛び込んできたプレシアを振り返り、男はニヤリと笑ってこう言った。

「やあ、待ってたよ! 君が噂の『究極のお稲荷さんチャレンジャー』だね?」
「そうなの〜♪ 大きなお稲荷さんを食べに来たんだよ☆」

 どんな噂だ。そして既に目的が変わっている。
 そんな(ライターの)突っ込みをよそに、男は「じゃあこれを食べてもらおうか」と挑戦的な眼差しでカウンターに1枚の皿を置いた。そこに載っていたのは、稲荷寿司の上に色とりどりの具材が乗せられた、いわゆるオープン稲荷。
 赤や黄色、緑といった色遣いが目に眩しいオープン稲荷は、伝統的なわびさびは感じられないものの、これぞニューヨーク! といった陽気さが伝わってくる。実にロックでハードでクレイジーなお稲荷さんだ。
 そんな賑やかなお稲荷さんに、美味しそう! とプレシアは目を輝かせた。早速ぱっくりとかぶりつき、もきゅもきゅとお稲荷さんを咀嚼して――うーん? と小首を傾げる。
 美味しいは美味しいが、何か違う。何か、物足りない気がする。
 うーん、と首を傾げながらもペロリと1つ3秒、合計30秒で平らげた、プレシアを見た男がふぅ、と落胆の溜息を吐いた。

「満足出来なかったようだね」
「うぅ〜……」
「修行不足だ。僕のお稲荷さんは、まだ高みに届かない……!」

 くッ、と悔しそうにカウンターに拳を打ち付ける男を見ながら、他にお稲荷さんはないのかときょろきょろ店内を見回すプレシアである。ちなみに店内も、ザ・アメリカンといった風情の派手派手しさ。
 そんなプレシアに、男がすっ、と店の奥を指さした。

「伝説によれば、店の裏口から出てまっすぐ行けば、いずれ全てのお稲荷さんの集う地に辿り着けると聞く」
「全てのお稲荷さん……!」
「ああ。行くといい――君にお稲荷さんの導きのあらんことを」

 なんか壮大な話になって来たな。
 とまれ、お稲荷さんがあるというなら行かねばなるまい。男に言われるままに店の裏口を出て、しばらくは真っすぐ――だがやがて気の向くまま、勘の赴くままに歩いているうちに、いつしかやって来ていたのはクリムゾンウェストはリゼリオの街だった。
 もちろん、初めて来る街だ。だが見ればここも大きな街だ、きっと大きなお稲荷さんがあるに違いない。
 そう、根拠なく自信満々に迷いのない足取りで、己の勘のみに従って歩くうち、不意にどこからかお稲荷さんのあぶらげを煮る、甘い匂いが漂ってきた。食欲魔人のプレシアが、その魅惑的な甘い匂いを間違えるはずもなく。
 にゃ! と一目散に走っていけば、そこには稲荷寿司専門店。世界観? 何それ美味しいの?
 中世ヨーロッパのようにも近代建築にも見える、不思議な外観の店ののれんをひょいとくぐる。するとそこに居たのは紺の法被を着た、角刈り頭の寿司職人らしき男。
 店に飛び込んできたプレシアを振り返り、男はニヤリと笑ってこう言った。

「やあ、待ってたよ! 君が噂の『究極のお稲荷さんチャレンジャー』だね?」

 だからどんな噂だ。しかも前と同じ流れ……というか、よく見たらさっきの男と同一人物では?

「他人の空似です」

 怪しい。
 ふに? と目をしばたたかせるプレシアに、男は「はっはっはっ」と空々しいほど爽やかに明後日の方を向いて笑った。そうして、それじゃあこれを食べてもらおうか、とやっぱり同じシチュエーションで出してきた皿に載っていたのは、妙に鮮やかな色彩のキノコを使った稲荷寿司。あ、動いた。
 ――キノコ? 本当にキノコ??? 色んな意味で食べても大丈夫?????
 そんな(ライターの)不安をよそに、プレシアは嬉々として出されたお稲荷さんにかぶりついた。が、これも美味しいけれども何か違う、としょんぼりする。
 そんなプレシアを見て、法被の男がやはりダメだったか、と妙に清々しい諦めの表情になった。あ、ここはさっきと違いますね。

「残念だが、これが今の僕の実力だ。でも――師匠なら君の舌に叶うお稲荷さんを作れるかもしれない」
「ふに。お師匠さま〜?」

 まだ増えるのか。
 そうして男の語った所によれば、あらゆる寿司職人が神と崇める、伝説の稲荷寿司職人が居るのだという。彼の作る稲荷寿司は究極にして至高、ネクタルともマナとも思う逸品なのだとか。
 そこまで言われては、食べたいと思うのは当然のことである。

「お師匠さまは何処にいるの〜?」

 だから尋ねたプレシアに、うーん、と男は難しい顔で腕を組んだ。

「師匠は流離の稲荷職人だから、いったい今は何処にいるのか――伝説によれば、店の裏口から出て」

 あ、それはさっきも聞きました。
 旅を続ければいつか会えるさ、と煙に巻くような笑顔で、男はプレシアを店から送り出した。パタン、と裏口の扉が音を立てて閉ざされる。
 それを見て、ふに、とプレシアは1つ、大きく尻尾を揺らした。
 きっとまだまだ世界には、自分の知らないお稲荷さんがたくさんあるに違いない。その先にはおそらく、伝説のお稲荷さん(混ざった)もあるのだろう。

「きっとすご〜く美味しくて、すご〜く大きいお稲荷さんなの☆」

 そのお稲荷さんを想像して、プレシアはきらきらと眼を輝かせた。そうして自信満々に、あらぬ方へと歩き始める。
 こうして、究極のお稲荷さんを探すプレシアの旅は続くのだった。





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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 /     PC名     / 性別 / 年齢 / 職 業 】
 aa4629  / プレシア・ベルティーニ / 女  / 18  / 能力者

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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いつもお世話になっております、蓮華・水無月でございます。
この度はご発注頂きましてありがとうございました。

プレ旅グルメ珍道中(?)の物語、如何でしたでしょうか。
グルメというか、お稲荷さんというか。
蓮華のWR人生において、こんなにお稲荷さんという文字を書いたのは初めてです(笑)
もしイメージと違うなどあられましたら、いつでもお気軽にリテイクをお申し付けくださいませ(土下座

お嬢様のイメージ通りの、ハチャメチャに美味しく楽しいノベルであれば良いのですけれども。

それでは、これにて失礼致します(深々と
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2018年06月15日

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