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『あの日は古の…… 』
アイリスaa0124hero001)&ルゥナスフィアaa0124hero002

プロローグ
 それは雨の日の午後の事。
 契約者は友人が雨に濡れているのではないかと飛び出し。あまりのどしゃ降りに訓練は無理だと判断を下した『アイリス(aa0124hero001@WTZEROHERO)』は『ルゥナスフィア(aa0124hero001@WTZEROHERO)』と雨宿りしていた。
 季節は六月。
 ゲコゲコと気の早いカエルがご機嫌そうに鳴いている。
「まま〜、ひまだよぅ」
 そう身を揺らして抗議するルゥナスフィア。
「おや? そうかい? 雨の日ならではの大合唱も良いものだよ?」
「でも〜」
「ああ、わかったよ、わかった。で、どうしたら満足してくれるんだい?」
「アイリスママ、お話聞かせて」
「そうだな。ルゥナと同じく妖精化で生まれた友人の話でもしようか」
 ルゥナスフィアにも関係はある話だ、アイリスはあの幻想郷での光景を思い出しながらゆったりと口を開く。



本編 それは箱庭

 アイリスは語る。
「妖精は血肉という意味では肉体を持たない。その体は霊力の塊である」
 故に老化や寿命はない。
 ただし時間を重ねることにより熟成する。
「熟成?」
「まぁ、強くなることだと思えばいいさ」
 そう首をかしげるルゥナスフィアの頭をガシガシとなでた。
 長く生きるほど肩書きが変わり強くなる。
「ただ、偉いとか上下関係はない。原書も他の古妖精も対等に意見を交わしていた」
 それでも気に食わなければぶん殴ればいいだけ。いたってシンプルである。
「しかし妖精化で生まれた妖精は違う」
 そうアイリスはルゥナスフィアをじっと見た。
「箱庭で生まれた妖精は、血肉という意味での肉体を持つ。故に老化や寿命がある」
 ただし『原書の古妖精(NPC)』は老化も寿命も持たない。
「なんでなんでなんで?」
「それはね」
 縋り付くルゥナスフィアにアイリスは微笑みかけながら言った。
「それは彼女が神様の持ち物で傷つかぬよう綻ばぬよう。神の加護で守られているからだよ」
「神様のお気に入りなの?」
「いないと困ることは確かさ」
「なんで?」
「それを説明するためには神代、その創世記までさかのぼる必要がある」
 神代。神々がその世界創生に着手し始めたころ。
 一連の世界と同じくその世界も作られた。
 そこは、世界に生命で満たそうとして生命を創った実験場として作られた。
 だが悲しきかな。箱庭は優秀な生命を多数輩出、その地に溢れたが、ただ一部を除いて箱庭の外に適応できなかった。
「そのため神は生命の改良に四苦八苦した」
「神様なのに?」
「神様は我々のスケールでは万能だが、神様のスケールでは万能ではないのだよ」
「よくわからない」
「安心するといい、私もよくわかっていない」
 告げるとアイリスは創世記の話に戻った。
 そのうち外で全うな進化の歴史をたどった生命が溢れたため、神々は路線を変更した。
 箱庭での実験が必要なくなったのだ。
 なので実験は中止したが内部の生命のために箱庭の機能は維持している。
 朽ちぬ、滅びぬ、夢幻の楽園。
 それが箱庭。
 それがアイリスの本来住まう土地。
 しかし。
「ままはそこから出て行ったんだよね?」
「いや、出て行ったつもりはないのだが。そうだねあの時は寝る場所にすら無頓着だったからね」
 アイリスはその時。黄金の古妖精と呼ばれていた。
 それは肩書であり名前。
 アイリスを表すものとして十分だった。
「私は華から生まれたのだよ。結晶花というものからね」
 彼女の元となった結晶花は外に適応した生命の一部だ。
「私の誕生には原書の古妖精の元となった本。その生制にも一枚かんでいて、私たちは密接な関係に……」
「ねぇ、ママ? その原書の妖精さんってどんな妖精さんだったの?」
 そうルゥナスフィアが問いかけるとアイリスは告げる。
「彼女は箱庭の生命が改良に悪戦苦闘する神様を労って贈った本さ」
「生命が神様に送ったの?」
「そうだよ」
 神様はその本を気にいった。
「ちなみにこの世界の生命が始めて作った道具なんだ」
 そして神様はその本を自身の力で保護し研究内容を書き込んでいったのだという。
 神に触れれば神聖が宿る。
 そのうち妖精化したのが彼女。
「いつ生まれたかは本人でも正確なところはわからないそうだ」 
 妖精化した後も神様の助手のような立場になり研究資料をその頭脳に叩き込んでいったらしい。
「そして、実験を終えた神々は原書の古妖精に箱庭を託し。彼女は管理者として働き始めた。真面目なものだったよ。本来が本だからね。きっとそれに由来するんだろう」
 故に原初にして原書。
 文化的な始まりの象徴なので親しいものは原書ではなく原初と呼ぶ。
 告げるとアイリスは外を見た。
 雨はまだ激しく降り注いでいる。雨粒も大きい、あまりの自然の猛威にカエルたちも引っ込んでしまったようだ。
「まだ少し時間がありそうだね。ではこんな昔話をしてあげよう」
「わーい、アイリスママのお話し大好き」
 告げるとルゥナスフィアは居住まいを正した。
 ある日の話。
 アイリスが久しぶりに箱庭に戻ってきたときの事。
 原書の古妖精の前に現れるとアイリスはこう告げた。
「迷惑なドラゴンがやって来たから追い払うのを手伝ってくれないか」
 そして壮大なドラゴンとの戦いの火ぶたが切って落とされることになるが。
 それはまた次のお話し。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『アイリス(aa0124hero001@WTZEROHERO)』
『ルゥナスフィア(aa0124hero001@WTZEROHERO)』
『原書の古妖精(NPC)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております、鳴海でございます。
 今回は次回のお話に繋がるということで、設定の整理ですかね。
 あとはルゥナスフィアさんとの交流風景も意識してみました。
 次回はバトルものということで張り切っていきたいと思います、よろしくお願いします。
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2018年07月02日

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