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『準備は楽しく、主役に驚きを 』
魂置 薙aa1688)&皆月 若葉aa0778)&ピピ・ストレッロaa0778hero002)&エル・ル・アヴィシニアaa1688hero001)&ラドシアス・ル・アヴィシニアaa0778hero001

 5月26日。皆月家に魂置 薙とエル・ル・アヴィシニアは集合し、場所の提供主である皆月 若葉と彼の英雄であるラドシアス、ピピ・ストレッロと共にテーブルを囲ってあれこれと提案しては吟味して、必要なものをリストへ加えていく。
「調味料はうちにある分で間に合うかな」
「少ないものに関しては買っておくか」
「よし、そうしよう」
 薙も含め、3人でキッチンで確認をしつつ、改めて不要か必要か決めていく。そんな一方でエルとピピはスマホを覗き込んで、どういう飾り付けにしようか話していた。
「これ、かわいいね!」
「うむ、こういうのもよいな」
 作ってみたいけど、難しそうとピピが肩を落とすと、諦めるのは早いぞと簡単に作れる飾りを見つけてピピに見せる。
「作れるかな!?」
「なに、皆で作れば作れるだろう」
「びっくりさせたいね!」
「そうじゃな」
 時間がかかりそうなものは既製品で探すとして、これとそれは作ろうと二人で話し合い決める。
「エルさん、ピピ、買い物行こう」
「はーい」
「うむ、そうじゃな。そっちはある程度、決まったのか?」
「あぁ、ケーキの材料以外は向こうで決めても支障はないだろ」
 花は予め予約してあるから、他に必要になってくるのは小道具やそのあたりだしなと告げるラドシアス。なるほどと頷いたエルはピピと考えた飾り付け案をラドシアスに共有する。
 そんな2人の前を行くピピは若葉と薙に作る予定の飾りを身振り手振りで説明していた。それいいなと笑う若葉に楽しみだねと薙も笑みを浮かべた。

 近所のショッピングセンターに来た5人。カートにカゴを乗せ、それぞれ必要なものを探しに散っていく。
「薄力粉は……あの辺りか」
 上からぶら下げられている誘導看板を確認し、ピピにヒントを与える。沢山あるものの中から目的のものを探すということがどこか宝探しのようで楽しいらしく、ラドシアスの言葉通りの所に行く。
「あった♪」
 場所のヒントの前に商品のヒントとして赤と黄色のパッケージというのを頼りにピピは目的のものを手に取って、カート番をしているラドシアスの所に持っていく。
「はい、これ」
「あぁ、それは強力粉だな」
 ちゃんと赤と黄色のパッケージだよと首を傾げるピピにラドシアスは一緒に小麦粉の並ぶコーナーへと足を運ぶ。
「必要なのは薄力粉……こちらだな」
 ピピが間違って持ってきてしまった強力粉の隣にあるパッケージを手に取るラドシアス。正解の薄力粉と間違っていた強力粉を見つめ、ぷくりと頬を膨らませる。
「もぉー、間違えちゃうから一緒に並べないで欲しいな」
 強力粉を元あった場所へと戻しながら、そう零す。
「なら、もう、やめるか?」
「やるよ! 次は何?」
 次は間違いなく持ってきて見せるからと気合を入れるピピ。それにそうだなとメモに目を落とし、持ってきてもらうものを考える。
「次はいつも買っている牛乳を持ってきてくれ」
「牛乳! それなら、簡単だよ」
 任せてと売り場に飛び込んだピピ。ラドシアスはカートに入れられたものにチェックを入れていく。

「これも入れると、綺麗かも」
「そうだね、華やかでよさそう♪」
 普段はあまり見る機会が少ないケーキの素材を手に取りながら、2人はケーキの完成イメージを作りつつ、材料を選んでいく。
「チョコプレートはやっぱ、外せないね」
「じゃあ、チョコペンもだね」
 そう言って、チョコペンを選ぼうと見て、2人はうわぁと驚いた。チョコやホワイト、ピンクあたりはよく見かけるものだが、それに加えオレンジやブルーなどの色までそこには揃っていた。
「ケーキだけじゃなくて、他のにも使えそうだね」
「うん」
 何に使おうかなと相談しながら、ケーキの主役ともなるイチゴを選ぶ。
「イチゴは、このくらいあれば足りる、かな?」
「うん、その位あれば十分かな」
 例え余ったとしても、別のものにも使えるし、大丈夫とカゴへと放り込む。
「クッキーとかもよさそう」
「いいね、クッキー」
 皆でクッキーにお絵かきするのも楽しそうだと薙の提案に頷く。材料もケーキのものと被っているため、それほど追加する必要もない。折角だからいろんな形のものを作るのも面白いかもと想像を膨らませる。

「おや? メモにないものが増えておるな?」
 ピピには少し難易度の高いであろう商品を取りに行ったラドシアスに代わってカート番をしていたエルはふと、カゴの中にメモにはなかったお菓子が入っているのに気づく。
「勝手に入れた子は誰じゃ?」
 今まさにカゴの中に入れようとしている小さな手を見つけ、そういうとその持ち主はエルを見上げ、てへっと笑みを浮かべる。
「えへへー……ダメ?」
 こてんと首を傾げたピピの愛らしさにダメと怒るに怒れない。
「仕方ないの」
 ピピが欲しいならと続ければパッと花を咲かせる。
「あまり甘やかすな……どれか1つにしろ、1つに」
 丁度、カートへ戻ってきたラドシアスに阻止されることとなった。ただ、苦笑いを浮かべつつも、1つは買ってもよいというのは彼の優しさなのだろう。
「どれにするんだ?」
「うーん、じゃあ、これ」
 選んだ1つはカゴの中に入れ、残ったものは子供用の買い物カゴに入れる。
「ちゃんとあったところに戻してこい」
「わかった」
 戻しに行くピピに次はあのあたりにあるパーティグッズ売り場にいることをしっかりと伝えておく。

 パーティグッズ売り場。その名の通り、そういうグッズが必要ないけれど使うかもと迷ってしまうほど多数陳列されていた。
「これは華やかになりそうじゃ」
 パッケージに書かれた完成図を見て、ふむふむと頷くも隣にあるものも中々と手に取って悩む。
「む……こっちも可愛らしくて良いな。ラド、どっちが良い?」
「そうだな……俺の好みで選ぶならこちらだろうか」
 エルに問われ、考える。こっちがいいといったものの、エルの手に残っているものも正直悪くはない。
「……両方買うか?」
 両方使用したところで喧嘩するほどのものではない。むしろ、いい方向に作用するのではと考えた上でそう問うとそうだのと嬉々と両方カゴへと入れた。その後、お菓子返却に行っていたピピも合流し、輪飾りに使用する色紙や主役を迎えるための小道具を3人で選ぶこととなった。

 会計が終わり、ラドシアスによる買い忘れがないかのチェックも終わる。
「さて、ドレッドノートの出番だの!」
 腕力には自信があるとジュースが入って重たくなった袋を率先して持つエル。そんなエルに負けてられないと僕だって! とそれなりの重さのある袋を手に取る薙。
「ボクも持つ!」
「ピピはこれを頼むよ。卵だから気を付けてね」
「うん!」
 エルと薙がそれぞれ袋を持っているのにボクもと手を挙げる。それに若葉は卵の入った小さな袋持ちに任命する。嬉しそうにしつつも、卵を割らないように気を付ける。
「それにしても、2人ともやるね……これは俺も負けてられないな!」
 重いものは殆どエルと薙の2人で持ってしまっていることもあって、若葉は量を持つことにした。そんな張り切る4人の姿に微笑を浮かべる。
「全く、頼もしい限りだな」
 その場に取り残された袋と受け取ってきた花を手に取り、全員でこの後の動きについて話し合いしながら、皆月家への帰路へとついた。

 小休憩を挟み、キッチンにはエプロン姿の薙と若葉。キッチンテーブルの上には買ってきた材料と使用する道具が並べられている。
「そういえば、薙はバイトでケーキ作ってたよね? 頼りにしてるよ」
「ん、任せて!」
「すごいの作ってびっくりさせよう!」
「うん。じゃあ、まず最初は――」
 大切な友人の誕生日を彩るケーキと言うこともあって2人に気合が入る。
 作業分担をし、手際よく工程を進めていく。
「こんな感じでどうかな?」
 生クリームをかき混ぜていた若葉は生地をオーブンに投入し、焼きあがるまでの間にイチゴの準備を進めていた薙に確認してもらう。
 若葉からボールを受け取ると泡だて器を何度か持ち上げ、ふんわりと角が立つのを確認する。
「うん、丁度いい硬さ、だね。オーケーだよ!」
 生地ももう少しで焼きあがるからその間にクッキーの生地も作っちゃおうとイチゴの準備を終えると次に取り掛かる。
 チン、美味しそうな匂いが漂う中、響いた音にサッと薙は鍋掴みをして、オーブンを開ける。開けた瞬間、広がった美味しそうな匂いはリビングまで届いたようでピピのおいしそうと言う声がキッチンまで届いた。それに2人は顔を見合わせ笑う。
 焼き落ちを防ぐため、空気抜きをして、生地を冷ます。
「ふわっと、出来た♪」
「うん、いい感じだね。向こうでも言ってたけど、美味しそう♪」
 クリームをもう塗ってもいいかなという若葉に静止をかけ、まだ熱いから冷めるのを待つ間にクッキーを焼こうと提案。それもそうだと頷くと作っていたクッキー生地を各々の思うままに型抜き、クッキングシートの上に並べていく。
「あ、それ、かわいい」
「ちょっと形作るの難しいけどね。上手く焼きあがってくれるといいんだけど」
 家族であるブランたちの姿を象ったクッキー。驚きがあっていいなと言うこともあり、薙も動物の形のクッキーを作ってみる。
「あ、そろそろ、冷えたかも」
「じゃあ、クリーム塗っていこう」
 冷ましたスポンジを3等分にスライスし、1番下からクリームを塗っていく。そして、その上に食べやすい大きさに切っていたイチゴを並べ、2番目を乗せ、同じようにクリームを塗ってイチゴを乗せて、1番上のスポンジを乗せる。
「……我ながら上出来!」
 全体を綺麗にクリームを塗り終るとふふんとドヤ顔。
「わ……! 綺麗に塗れてる、ね」
 じゃあ次は装飾だねとチョコプレートに2人で分担して「おたんじょうび おめでとう!」と書き、チョコが垂れないように一旦冷やす。その間に若葉が塗ったケーキの土台にホイップを乗せたり、イチゴを乗せる。
「そうだ、これも」
 華やかになるだろうと思って買ったシュガーフラワーも散りばめる。
 そして、最後にチョコプレートも乗せれば、誕生日ケーキの完成。
「手作りにしてはいい感じじゃない?」
「うん」
 そう話してると、チンとオーブンが鳴く。
「クッキーの方はどうかな」
 オーブンの中を2人して覗き込めば、生地同士がくっつくこともなく、ちゃんと形になっていた。
「よしっ」
 少し心配していただけあって、ちゃんと形になっているのは素直に嬉しいものだった。1弾が上手く行ったこともあり、次弾もオーブンへと投入する。
「あ」
 余っていたイチゴに小さな手が伸びているのに気づく。思わずでた薙の声にオーブンを覗いていた若葉はその声を出させることになった犯人を見つけて苦笑い。
「……ピピぃ」
「え、えへっ」
「少しだけなら、いい、よね?」
 イチゴも余ってる分だしと薙は若葉の顔を窺う。
「まぁ……味見も必要だよね」
 ちょっと俺も味見したかったんだよねと悪戯っぽく笑うと3人であの2人には内緒だねと言って、イチゴやクッキーを頬張った。

 時は少々遡り、薙と若葉がケーキ作りに取り掛かった頃、リビングではエル、ピピ、ラドシアスが装飾作りに取り掛かっていた。
 ピピが短冊状に切ってくれた色紙を丸めて糊付けし、その輪に紙を通し、また丸める。綺麗に連なる輪飾りにピピはキラキラした目を向ける。
「エル、上手! それどうやったの?」
「ここをこう止めて繋げていくと……」
 うんうんと頷き、真剣にエルの言葉に耳を傾ける。そして、自分でその通りに作ってみる。
「できた! どうかな?」
「うむ、上手に出来たの」
 可愛らしいピピ作の輪飾りに微笑むとふふっとピピも嬉しそうに笑みを零した。
「ラドのそれは何?」
「ほお、そうなるのか」
「ペーパーポンポンというらしい」
 何かに使えるかと購入したお花紙は綺麗な花になっていた。どうやって作るの? と聞いてくるピピにまずはと紙を数枚重ねてアコーディオン上に畳んでと説明する。そして、真ん中を輪ゴムでとめて、開かせればと実演しながら説明すれば、お花が開いたよとピピは大はしゃぎ。
「えっと、こっちにこう折って、次はこう?」
「おお、良い感じじゃ」
 端をハサミで切れば、また違う花が咲く。輪飾りもポンポンを作りつつ、作成は進め、ある程度の長さと花の量になると飾り付けを始める。
「まずは入って見える所にこれかの」
「そうだな、そこが1番目に入るだろうしな」
 「HAPPY BIRTHDAY」と旗に1字1字書かれたガーランド。ガーランドの端には花を添える。照明を中心に輪飾りを天井に下げていく。
「……うわぁ、高い♪」
 ラドシアスに肩車をしてもらい、天井の装飾をするが、ピピにとって通常では見えない視界の高さに次はあっちとラドシアスに動いてもらう。
「……暴れるな、落ちるぞ」
 パタパタと動く足にグラっと時折揺れる体。予想の出来ない動きにピピが怪我をしないように面倒くさそうにしつつも注意を払う。
「ふふ、頼りになるの」
 なんだかんだ肩車までした上、落ちないように注意を払うラドシアスに微笑ましいとエルは笑みを零す。エル、あれとってと言われれば、エルはピピの望むものを手渡し、手伝う。
「これはこの辺りに……」
 天井の装飾が終わったとはいえ、少し高い位置への装飾は少し残っている。ん、と背伸びをして貼ろう手を伸ばす。
「ここでいいか……?」
 そういって、ラドシアスはエルが持っていたステッカーを難なく目的の場所に貼り付ける。
「よし、完成!」
「中々のできじゃな」
「まぁ、良い感じじゃないか」
 完成した部屋に満足そうな3人。そして、エルとラドシアスが簡単な片づけをしている間につまみ食い事件が起こるのだった。

「いいね」
「うん、すごい」
 ケーキやクッキー、お菓子の盛られた皿を持ってきた若葉と薙は部屋の完成に感想を零す。
「これはお店に出してもいけそうだな」
「そうじゃの、きっと驚くぞ」
「見てみて」
 そう装飾組は持ってきたケーキやクッキーに感想を零す。ブランクッキーを手に取ると庭から何か始まるのと覗いている3匹に見せるピピ。
「面白いな、チョコで書いたのか」
「うん、色んな色があったからさ」
 そう言って話しているとピンポーンとチャイムの音。時間を見れば、主役が到着する時間だった。
「さて、準備はいい?」
 玄関に移動した5人の手には小さなクラッカー。ドアの前に立つ若葉の言葉に全員が頷く。
 そして、開かれたと同時に5つのクラッカーと「ハッピーバースデー!」という5人の言葉が主役たる友人を歓迎する。

「ほら、入って入って」

 驚く友人とその英雄の背を押し、中へ誘導する。そして、あれはこれはと語り笑い、友人の誕生パーティが始まる。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa1688 / 魂置 薙 / 男性 / 17 / ケーキ作り担当】
【aa0778 / 皆月 若葉 / 男性 / 20 / ケーキ作り担当】
【aa0778hero002 / ピピ・ストレッロ / ? / 9 / 装飾担当】
【aa1688hero001 / エル・ル・アヴィシニア / 女性 / 25 / 装飾担当】
【aa0778hero001 / ラドシアス / 男性 / 24 / 装飾担当】

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2018年07月05日

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