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『伝説に至る古の…… 』
アイリスaa0124hero001)&ルゥナスフィアaa0124hero002)&イリス・レイバルドaa0124

 雨が強くなってきた。
 むしろ嵐に変わりつつある屋外を『ルゥナスフィア(aa0124hero001@WTZEROHERO)』はじっと眺めている。
 そんな森の奥から『アイリス(aa0124hero001@WTZEROHERO)』と『イリス・レイバルド(aa0124@WTZERO)』がかけてきた。
「はやく、はやく」
 そうルゥナスフィアは入り口を大きく開けて二人を待つ。
 そこに滑り込むように入ってきた二人を見て。ルゥナスフィア。
 あらしの夜にはテンションが上がるのだろうか。
 そうルゥナスフィアを観察しながらアイリスは髪の毛から水を切った。
「アイリスママ、イリスママ。おかえり」
 そう抱き着いて来ようとするルゥナスフィアを制してイリスはタオルを幻想蝶から取り出す。
 何かの依頼の時に粗品としてもらったものだが役に立ってよかった。
「ねぇねぇ、アイリスママあの話の続き聞きたい」
 告げるとルゥナスフィアはその場に座り込みアイリスの顔を見あげる。
「ああ、そうだった、イリスを連れてくるまで待つようにと言ったんだったね」
「お話をしていたの? お姉ちゃん」
「ああ、イリスも聞くかい?」
 アイリスの言葉に目を輝かせるルゥナスフィア。
「わくわく」
 そしてお話はまた、異世界とも太古とも取れぬ世界へ。

本編

 それはアイリスが『原初の古妖精(NPC)』に話を持ちかけたとこから続く。
「龍が現れてね。このままだと森に被害が出そうなんだ」
「通常。龍は俗世の者には干渉しないようだが」
「そんなルールすら分からないほどに幼いのさ」
 その言葉に原初の古妖精はふむと頷いた。
「きみの力でどかしてしまえばいいだろう?」
「そうもいかない」
 アイリスは首を振った。
「あのドラゴンが放つブレスは森を焼く。それに瘴気が大地を腐らせる。それはまずい。森が再起不能になってしまう、せめて人間の国に行ってくれればいいのだが」
 そう、人間の国が亡ぶのは構わない構えの黄金の古妖精さんである。
「仕方ない、君のたっての願いだ。協力しよう」
 告げると原初の古妖精はばらばらと本のページを空に放つ、それは円を描いてゲートとなり、あの世界と箱庭を繋ぐ道となった。
「話が早くて助かる」
 告げるとアイリスが先に飛び立ち原初の古妖精が後に続く。
「で? 相手はどのような」
「ああ、名前はフィヨードというらしい。それ以外は自分の目で確かめてくれ」
 そうゲートをくぐり終えるとアイリスが視線をあげた。
 そこはすでにあちら側の世界であり、アイリスが里帰りしている間に状況がずいぶんと代わったらしい。
 先ずアイリスの森の近くに城塞を構えていた国が一つ滅んでいた。
「よくあることではあるが、むごいな」
 原初の古妖精は顔をしかめた。
「そしてあの上空で勝ち誇っているのがフィヨードだ」
 そうアイリスが指差した先には黒銅のような頑健な鱗。大きな角を持つ天空の覇者がいた。
 龍はどの世界でも最強に数えられる生物で、この世界でも同じく。
 しかしあのフィヨードと呼ばれた個体は子供と呼ぶにはあまりに大きく、同時に荒々しい。
「すさまじい再生速度だ」
 原初が告げる。
 フィーヨードは体表に突き刺さった槍を引き抜くとその傷はみるみるうちに塞がり。そして。
 フィヨードは怒りのままに雄たけびをあげた。
 思いのほか人間に苦戦させられたのだろう。
 吐く炎は以前にもまして温度が高く。放たれる瘴気は周囲の森に降りかかる。
 このままではまずい。
「早速だが頼んだぞ」
 アイリスは早速飛び立つとその翼の結晶を展開。そこから針金を伸ばすようにビームを発射して。レーザーの牢獄でフィヨードを捕えた。
「そこまでだ。森への被害は無しにしてもらおう」
 そのアイリスの言葉を鼻で笑うと、鱗が焼け落ちるのも構わずもがいて。翼の風力と覇気で全ての花弁を吹き飛ばしてしまった。
「手加減ができる相手ではないぞ」
 原初の古妖精はとっておきの魔導書を五冊解放。どれも伝説級の代物だが原初の古妖精が使う場合は自立した兵器として使用可能だ。
「王国を滅ぼすすべがお前にだけあると思うな」
 火の属性、水の属性、雷の属性、光の属性、風の属性。
 その最上級呪文が同時に襲い掛かる。
 焼かれ、おぼれ。感電し、貫かれ。切り裂かれる。
 その中でも龍はあばれ。そして。
 原初の古妖精の魔術をコピーした。
「なに?」
 翼に並ぶ五つの魔法陣。
 そこから放たれるエネルギーの塊を。
 アイリスと原初は空中で必死に回避する。
 直撃すれば立っていられない。
 そんなレベルの魔術を叩き込んだのに龍はまだ翼をはためかせている。
「なんて頑丈なやつだ」
 原初の古妖精は逆さまで跳びながら呻いた。
「小さき者達よ。我が暴威にはむかうというならば」
「いうなら、なんだい?」
 アイリスが翼を再形成。空中で体制を立て直しながら告げた。
「……はらがすいた。餌になってもらおうか」
 ぐおおおおおと、大地が揺れるほどの咆哮で木々を揺らすフィヨード。
 それに原初は眉をひそめた。
「龍の気高さはみじんもないな」
「いや、むしろ」
 アイリスは言う。
「竜のプライドの高さが駄目な方向に突き抜けたタイプだろう。うぬぼれるにふさわしい力を持ってるよ」
 この固体は才能と実力は凄まじい。
 普通単属性のブレスはフィヨードのみ炎と瘴気の属性を持っている。
 瘴気混じりの炎のブレスは全てを焼き腐らせるのだ。
 このままで大地も森も世界もダメになってしまう。
 それはそこに根付く生命の死でもあるし、妖精の死でもある。
 黄金と原初の古妖精は完全である事と創造神の加護で瘴気の腐食を受け付けないが、だからといって世界が滅びていくのを黙って見過ごすことはできなかった。
 手加減はなしだ。そう黄金と原初の瞳、その色が変わる。
 その透き通るようなまなざしは空に翼を広げる神々しい黒龍が写っている。 
「黄金の! 少し時間を稼げ、30秒だ」
「承知した。任せておきたまえ」
 アイリスはひらりとスカートを翻すと竜の視界から原初の古妖精を遮るように飛んだ。
 真っ向から突っ込んでくる黄金の妖精にブレスを浴びせる。
 それをアイリスは結晶を展開、魔術のエネルギーで体を守って突破、眼前に多数の宝石を放つ。
「私の本領は強化でね、こんなこともできる」
 その宝石は異直線に等間隔で並ぶ。
 するとその一番手前の宝石にアイリスは魔力を注ぎ込んだ。
 すると宝石から放たれる魔術光線。それは宝石をレンズのように、当たるたびに威力と属性をくわえ。最終的には星さえ撃ち砕けそうな極太のレーザーと化して龍に襲い掛かる。
 それをフィヨードは翼をたてに体をねじ込ませるように突撃、突破。
 その鋼すら紙と同じように切り裂く爪をアイリスに叩きつけた。
 その指の間に体を滑り込ませアイリスは回避。叩きつけられる尻尾を花弁の盾で回避。
 その勢いを円運動に変えて背後に回り込むと、フィヨードの翼が空を叩いた。
 瘴気の風がアイリスを吹き飛ばすとともにフィヨードは原初の古妖精の元へ。
 その眼前に立ちはだかるのはアイリスの拘束魔法。
 空中に浮かぶ花びらが互いに結びついてネットのようにフィヨードへ襲い掛かる。
 だがそれをフィヨードは噛みちぎっていく。
 力任せに突破する。
「力を増しているのか。だが」
 原初の準備は済んだ。
 空中に浮かべられたページはとある箱庭の伝承を記した、記憶。
 一枚の絵が巨大化しそれはゲートとなる。
 その記憶を原初はこの世界にダウンロードする。
「模倣に過ぎないがね『箱庭の生物の人格と能力をダウンロード》し使い魔とする。それが私の神髄だ」
 本来は伝承元の箱庭生命体に許可をとる必要があるのだが。原初の古妖精は箱庭の管理者かつ箱庭勢力のアイドルなので快く力を貸してもらえるのだ。
 今回呼び出したのは海を司る魔獣。
「リヴァイアサン」
 解き放たれた巨大なウミヘビは海を伴ってこの世界に現界した。
 空に水が広がっていくがそれが森に落ちることはない。
「瘴気を抑え込む」
 リヴァイアサンは数百トンの水を圧縮するとそれでフィヨードを拘束。
 だがフィヨードの瞳の炎は消えていない。むしろ喜んでいるように見える。
「まずい。原初の、いったん引かせろ」
 次の瞬間。フィヨードの纏う水分が蒸発していく。
 フィヨードが吠えると、瘴気を含んだ水が雨雲を作り、今にも振りだそうと雷を鳴らす。
 その雷撃はアイリスは原初へ降り注ぎ反撃の隙を与えない。
「瘴気を浄化して、逆に取り込んでいる? マッチポンプか」
 フィヨードの真の力は瘴気を浄化するほど飛躍的に上昇させる特異性。
 自分でまいた瘴気を自分の力に変えられる。最大効率で自分を強化していける性質を持っているのである。
「このままでは森が」
「わかっている」
 そう原初が本を取り出すとそれめがけてフィヨードが突っ込んだ。
 その角に穿たれ血を吐き地面に激突する原初。
 翼を翻し、その暴威でアイリスを近づけず。放たれたレーザーは鎧で受ける。
「く、火力が足りないか」
 原初では時間が足りず、アイリスでは火力が足りない。
 一度足止めすることができればフィヨードは何とかなるかもしれないが。フィヨードを何とかしても雨雲は止まらないだろう。
 あれを処理するためには原初の力が必要だが手が空いていない。
 このままでは。
「まずいな」
 アイリスは宝石を空中に放る、それは小さなアイリスとなってフィヨードの周囲を飛び回る。
 アイリスは原初の蘇生に向かうがフィヨードの炎が追いかけてくる。
 これを地表に当ててはだめだ。
 そうアイリスはそれを全力で受け止めた。
「お前もあのかび臭い妖精のように殺してやる」
「ははは、カビははえていないはずさ。彼女は綺麗好きだ」
 そのアイリスのおちょくった態度が気に食わないのか火力をあげるフィヨード。
 これ以上後退すれば森に影響が出る。そう思った時。
 フィヨードの翼を貫くようにレーザーが走った。
「なに?」
 フィヨードの翼は尋常ではない硬さを誇る。通常幕のようになっているそれだがフィヨードは弱点を自覚してそれを魔術で強化しているのだ。
 だが特大のレーザーで焼き斬られた。
 振り返るフィヨード。
 そこにはアイリスがいた。
 分身の一部ではなかったのか。
「空気中に何かを混ぜるのが君だけの専売特許ではないということだよ」
 アイリスは空気中にきわめて強い幻覚物質を仕込ませていた。さらに幻覚魔術の重ねがけ。
 おかげでアイリスの本体をフィヨードの意識外におくことができた。
 そして宝石魔術。先ほどは強化と拡大でアイリスの魔術を増幅したが。
 今回は圧縮。星さえ砕くエネルギー量が翼を貫くために使用された。 
「だが、再生する」
「その再生する一瞬、君は無防備だ」
 次の瞬間、地面から手が伸びてきた。
 まるで月を掴もうとでもするような大きな腕。
 それがフィヨードを蚊のように叩いた。
 墜落するフィヨード。
「たすかった、黄金の」
 アイリスは遠隔であろうとその勢力圏内。つまり森の中であれば治療が可能だ。
「きみが動けなくなるほどダメージを受けるのも珍しいね」
「あの瘴気は神霊による加護を打ち消す力があるようだ」
 そう原初の古妖精はアイリスに飛びより頬をぬぐってその傷を消すと地面から憎々しげにこちらを見つめるフィヨードへ言い放つ。
「これで私たちの勝ちだな。お前の敗北は箱庭で語り継がせてもらう」
「ちょっとまてええええええ」
 叫ぶフィヨードに、アイリスの手を引いて飛び去ろうとする原初。
「どうした? あいつを倒さなければ森が」
「いや、これも勝つための一手だ。奴がこちらの世界に出ているらしい」
「やつ?」 
 アイリスは地面から伸びた巨大な手を思い返す。
 まさか彼女が。
「先ほど力を借りる時に思いのほか近くに彼女を感じてね、移動してもらうように言っておいた。」 
 アイリスは背後を振り返る。
 そこにはふらりと飛び上がるフィヨードが、その翼を再生させ猛スピードで追いかけてくるところだった。
「あれほどの速度で飛んだなら、瘴気は薄まっているだろうか」
 アイリスがそう告げる。
 ちょうど山の横を通り過ぎるころだった。
「それでは一手足りない」
 告げると原初は持っている本から太陽神をダウンロード。
「大地を焼き尽くす前に決めろ」
 そのエネルギーをアイリスが宝石で制御。
「ルビーをふんだんに使う。君たちの力見せてくれ」
 999個の宝石。持ってきた宝石の八割を個々で使う。
「受けるがいい」
 文明さえ浄化しかねない太陽の一撃。
 それが真正面からフィヨードに突き刺さる。
 だがフィヨードがそこで止まることはない。
 ビームを押し返しながら徐々に近づいてくる。
 アイリスたちまであと百メートル、それほどまでに近づいた時。
 山から腕が伸びた。
「なに? 二体目?」
「違う、本物だ」
 空と大地が同時に迫ってきたような錯覚フィヨードは巨大な両手に再び挟まれた。
 それどころかその腕は手をもむ。
 フィヨードの悲鳴が聞こえた。
「なんだい? これは。騒々しいと思ったら汚い虫が飛んでいるんじゃないか」
「大地の……掴んでて異常はないか?」
 アイリスが問いかけると『大地の古妖精(NPC)』はたちあがり、拳を小さく開けて中身を見た。
 次の瞬間、飛び立つフィヨード、ぼろぼろな体に似つかわしくない速度で空を屋のように走る。
 ふりを悟ったのだろう。
「この程度ならね、しかし、空の穢れを受け止めるとなれば話は変わりそうだ」
 告げると大地の古妖精は地面を掴むと畳のような板状に大地をはがした。
 山の下に敷かれていた部分だから木々や生命体はいない。
「どうするつもりだ?」
「この雨も受け止めるよ。ひと眠りすれば穢れも消えるだろう、森の穢れはあんたが何とかしな」
 告げると大地の古妖精は降り注ぐ瘴気の雨を大地の板で受けた。
 その水を体に蓄えていく。
「そうだね、これは私の仕事だ」
 告げるとアイリスは周囲を飛び回り金色の粉を振りまいていく。
 それは瘴気を浄化するとともに成長を促進させるアイリスの力。
「ついでに朽ち果てた王国で覆っておこう。そう言う風景も需要があるだろうしね」
 …………
 ………………
「けっか、私の勢力圏は広がり、大地の古妖精は眠りについたわけだ」
 そうアイリスが語り終える。
 体はすっかり乾いていたため、ルゥナスフィアがしなだれかかっている。
「大地さんはどれくらい眠ってたの?」
「ああ、たった千年だよ」
「僕らの世界で千年眠っていたら何もかも変わってそうだけどね」
 告げるイリス。
「ああ、しかし私たちとしては十二時間くらいでしかなかったのだよ。ちょっとね過ぎただろうか、くらいのね」
 そう告げるとアイリスは話をこう締めくくる。
「そして目覚めた矢先、私と肩慣らしをするのだが。それはこの前話した話だね」
「え? ボク聞いてないんだけど」
「そうか、ではルゥには同じ話になるけど、イリスにしてあげてもいいかな?」
「うん、そのお話すき」
 そう笑顔で返すルゥナスフィア。
 今日もイリス家は仲良しである。 


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『アイリス(aa0124hero001@WTZEROHERO)』
『ルゥナスフィア(aa0124hero001@WTZEROHERO)』
『イリス・レイバルド(aa0124@WTZERO)』
『フィヨード(NPC)』
『大地の古妖精(NPC)』
『原初の古妖精(NPC)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております。
 鳴海でございます。
 今回も、本編で扱えない規模の戦いということで楽しんで書かせていただきました。
 気に行っていただければ幸いです。 
 それでは鳴海でした。またよろしくお願いします。





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2018年07月06日

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