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『『温泉施設にて、休息』 』
アレスディア・ヴォルフリート8879

 早朝に郊外での仕事を終え、ホテルで仮眠をとったあと。
 共に訪れていたディラ・ビラジスからの誘いで、アレスディア・ヴォルフリートは彼と近くのレジャー温泉施設に来ていた。
「空いているようだが、幼子もいる。油断はできぬな」
 開口一番、険しい顔つきでそう言ったアレスディア。
「……だから……」
 ディラは深くため息をつく。
「仕事じゃねーぞ。俺らは羽を伸ばしに来たんだ」
「解っている」
 アレスディアは苦笑気味にこう返す。
「これはどうにもならぬ、私の性分だ。誘ってくれたのにすまぬが、私のことは気にするな。ディラ殿はゆっくり休んでくれ」
「俺もな……少しは癒されたいんだ。それなのに、なんだその格好は」
「格好? 水着着用OKな温泉だから、水着を着てきたのだが」
 アレスディアもディラも水着姿である。
 ディラの方は、柄入りのショートパンツの水着に無地のTシャツ。
 アレスディアは……そう、夏の警備の時と同じタイプの、ハイネックな半袖の水着。太腿も半ば隠れている。露出度が少なく、色気の欠片もない姿だった。
「温泉入りに来たのに、そんな格好じゃ湯を堪能できなくないか?」
「ここは浴場というより、遊戯施設なのだろう?」
「そうだな。入浴とレジャー……それから、目の保養にもなるはずなんだが」
 と、何故かディラはアレスディアを残念そうな目で見る。
「なるほど、目に良い効果のある温泉なのだな」
「あーそうそう。俺ら警戒で目を使いすぎてるからなー、はははははー」
 乾いた笑みを浮かべて、ディラはアレスディアの手を引くと、最初の湯船へと入った。
「変わった形の湯船だな。湯は緑だ」
 アレスディアは湯をてのひらで掬って眺める。
「緑茶風呂。湯船は湯呑のような形だろ」
「なるほど」
「バレインタインの時期には、チョコ風呂なんていうのもあるらしいぜ」
「甘いのか?」
「さあ……」
 一瞬沈黙して咳払いをしたあと、ディラは立ち上がる。
「それじゃ、アレやってみるか」
 ディラが指差したのは、ウォータースライダーだった。
「ああ、私も気になっていた」
「怪我人が出そうな場所でもあるし、高い場所からなら、危険がないか施設全体を見渡せる……からか?」
 ディラのからかうような言葉に、笑みを浮かべながアレスディアは「そうだ」と答える。
「だがそれだけではない。私自身も楽しみたいと思っている」
 彼女の言葉に、ディラは屈託のない笑顔で頷き、2人でウォータースライダーへと向かった。
 無論、一番スピードの出るコースを選び、思い切り温泉の中に飛び込んで、2人で笑い合い。
 それから様々な変わり風呂を見て回って入ってみたり、イベントを楽しみ、最後に展望露天風呂へとやってきた。
 露天風呂では、ディラはTシャツを脱いで湯につかっていたが、アレスディアには脱げるものなどなく、ハイネック半袖な水着姿のまま湯に入り、景色や施設で遊ぶ人々の姿を眺めていた。
「警備の時はまあわかるが、なんで遊びに来た今日までそんな格好してんだ? 確かにここ水着OKだけど、アンタと同じような格好してるヤツ誰もいないだろ?」
「いざというときにどこへ駆けつけても問題ないように」
「それならビキニとは言わないが、ワンピースタイプの水着だっていいじゃねーか。なんか……見られたくない傷でもあるなら、中に入る時以外は、パーカー羽織っててもいいしな」
 真っ直ぐ、アレスディアを案じるような目で、ディラは彼女を見ていた。
 アレスディアは少し、そんな彼を見詰める。
「……気になるか?」
「まあ……気になる、というか……だな」
 複雑そうな顔でディラは言葉を濁していた。
 アレスディアは一瞬瞳を揺らがせ、
「わかった……考えておこう」
 とだけ言った。
 それから2人は、しばらくの間首まで湯につかりながら、互いになにやら考えていた。
「……もうすぐ、夏か」
 一息つき、先に声を発したのはアレスディアだった。
「……早いもので、ディラ殿の誕生日も近い。昨年は手料理だったが、今年は何か希望はあるか?」
「そうか、今年もあの姿が見れるのか」
 そうだ。昨年はエプロンドレス姿での調理がセットで誕生日プレゼントだった。
「それは、昨年と同じが良いという意味か」
「去年と違うものなら、例えば……」
 アレスディアから目を逸らして、ディラはぼそりとこう続けた。
「風呂上りのマッサージ、とかな。いや駄目だ。それは色んな意味で耐えられん」
 なんだか一人で苦悩しだすディラを、アレスディアは不思議そうに眺めていた。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号/PC名/性別/外見年齢/職業】
【8879/アレスディア・ヴォルフリート/女/21/フリーランサー】

NPC
【5500/ディラ・ビラジス/男/21/剣士】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ライターの川岸満里亜です。
温泉施設へのお付き合いありがとうございます。
さすがにお部屋でマッサージはディラもアレスディアさんが理解できない理由で、嬉しくも辛いかと思うので実行しないでいただければ〜。
ご依頼、ありがとうございました!
東京怪談ノベル(シングル) -
川岸満里亜 クリエイターズルームへ
東京怪談
2018年07月09日

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