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『舞い降りた猫 』
サクラ・エルフリードka2598)&ユグディラka0444unit002


 ある晴れた日のこと――。
 長い銀の髪にルビーのような瞳をした聖導士、サクラ・エルフリード(ka2598)は日課としている武具の稽古を終え、森の木々に囲まれた泉で汗を流していた。
 腰布一枚の姿で泉に腰まで浸かり、澄んだ水を両手ですくって何度か身体に浴びせる。
 ――冷たい。激しい運動でたくさん汗をかいた。火照った肉体を泉の水が冷却していく……。
 そこでサクラは両手を自らの胸にぺちぺちと当てる。――その音がものすごく虚しい。きちんと栄養を摂り毎日欠かさず運動をし、十分に眠っているというのに……。
 自分の“ここ”はさっぱり成長の兆しを見せない……。身体自体には細身ながらも筋肉は確実に付いて来ているのだが。栄養はそっちに行ってしまっているのだろうか。
 ぺちぺち。再び自分の胸に触れてみる。……親友の“ここ”は豊かな双丘だというのに。自分の“ここ”はまるで真っ平らな平原ではないか。
「いえ、ほんの少しはあるはずです」
 などと独り言が漏れる。…………こんなことを考えていても気分が凹むだけだ。サクラは冷たい泉の水を顔にばしゃばしゃとかけて頭を冷やし、思考を切り替えた。


 水浴びを終え、泉から上がり、サクラが清潔なタオルで身体を拭いていると――
 ガサガサ。ガサガサ。
「……?」
 木々の揺れる音。それは段々と近づいてくる。
(木の上に何か居る……?)
 そのように考えた瞬間。
「にゃーーーー!!」
 泣き声と共に何かが落下し、
「ふぎゃ!?」
 丁度サクラの頭の上に乗っかった。
「……ユグディラ……? 何故このようなところに……」
 サクラは自分の頭の上には落下してきたモフモフを引き剥がし、両手で抱っこする形で目に前にやると――
 香ばしい匂いのする焼き魚を口に咥えた少し大きな猫――ユグディラ。
 これが後に大切な相棒となるヤエ(ka2598unit004)とサクラの初対面であった。


 サクラがしばしユグディラと見つめ合っていると……今度は木々をかき分けてこちらへ近づいてくる複数の足音。
「ふしゃーーーー!!!!」
 足音の主を確認すると、ユグディラは最大限警戒した様子で、サクラの手を離れサクラの身体を伝い、再び頭の上へ。

 ユグディラ的には『美味しそうな魚を焼いていてくれたから貰っただけなのに何故か追いかけてくる山賊達に辟易していた』ところらしい。

「見つけたぞ泥棒猫!! 俺達の昼飯返しやがれ!! って、ん――?」
 やって来たのは如何にも蛮族といった格好の男達であった。恐らく山賊であろう。
 サクラは今自分の頭に乗っかっているユグディラは、この男達から焼き魚を奪い、追われて偶然自分の元へ逃れて来たのだと理解する。
「なんでぇ、野良かと思ってたら飼い主が居たのかよ」
「ふふ〜ん、これはこれは……なかなかの上玉じゃねぇか」
「俺達はこの辺を縄張りにする山賊よ。嬢ちゃん――」
「それだけ人数が居て焼き魚一匹がお昼ご飯って……あなた達、山賊に向いてないのでは……」
 男の言葉を遮り、サクラは呆れた様子でため息をつく。
「うるせぇ!! ……ところで嬢ちゃん、飼い主が居るってなら話ははえぇ」
 男達はサクラの身体を舐めるように見回し、下卑た笑みを浮かべる。
「嬢ちゃんが俺達に『身体』で昼飯代を払うってなら引き下がってもいいんだぜ」
「はぁ? 何を言うかと思えば……」
 ぐへへ……と笑う男達を前にして呆れを通り越して憐みの表情。
「……良いでしょう……。なら身体(肉体=筋肉)で払ってあげますが、痛いですよ……? 錬筋術士を甘くみないでくださいね……」
 言うと同時にサクラは踏み込み、先頭の男の顔面へ右ストレートを叩き込む。
 続いて隣に居た男には回し蹴りを喰らわし、倒れた男には追撃の踵落としを見舞う。
 その後もサクラは複数の大男相手に大立ち回り。全員素手でボッコボコにする。
「がはっ!!」
「ぐえっ!!」
「ごはぁ!?」
 山賊全員が地に伏したところでサクラは一息。
「さて、まだやりますか? それならば鍛錬がてら付き合ってあげますよ」
 サクラは山賊達を蔑んだ目で見る。
(まあ、これだけやれば降参するでしょう――)
 しかし。
「ぐへへへへへ……」
 山賊たちはボコボコにされたにも関わらず、喜んでいる様子。
 ……まさかそっち系の趣味があるのか? と思うが――サクラは現在自分がどんな格好だったのかようやく思い出し――
「せっかくさっぱりしたところだったのですが…………って、ぁ、きゃぁっ!?」
 サクラは露わだった上半身を、自分を抱き締めるように両腕で隠す。
「……もしかして全部見ましたか……?」
 山賊達は「そりゃあもう。眼福でございやした」と答える。
「…………」


 サクラは無言のままタオルを胸に巻いた後、
「あなた達が、記憶を、飛ばすまで、殴るのを、止めません……」
 どす黒い表情で再び……今度は全力で山賊達をボコボコのフルボッコにして全員の意識を飛ばしてから縄で縛った上で木に吊り下げたそうな。

 ***

「はあまったく……散々でしたね」
 それはサクラと出会ってしまった山賊達も同じなのではないか……というのは置いておいて。
 サクラは水浴びをし直し、帰る身支度を整えていると……ユグディラが先の戦闘(?)時からず〜〜〜〜っと自分の頭の上に居ることに気付く。
 焼き魚はとっくに食べ終え、骨だけ山賊に返し、今はサクラの頭の上で毛繕いをしている。とってもリラックスしている様子。
「あなた、本当に飼い主が居ないのですか?」
「にゃにゃ!(いない!)」
「それなら、私のところへ来ますか? わざわざあんな下等生物から餌を盗まなくても良い暮らしが出来ますよ」
「にゃにゃ!?(本当!?)」
「どうしますか?」
「にゃっ! にゃにゃ!!(よろしく、ご主人様!)」
「……決まったようですね、こちらこそよろしくお願いします」
 にこりと微笑むサクラ。

 そうしてサクラはユグディラ(後に『ヤエ』と命名)を頭に乗せたまま帰宅したのだった。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka2598/サクラ・エルフリード/女/15/掴める所がない者】
【ka2598unit004/ヤエ/ユグディラ】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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大変お待たせしました。遅れてしまい申し訳ありません。

ヤエちゃんはなかなか御茶目な子なのですね。今はご主人様と暮らせて幸せなことでしょう。
この度はご発注ありがとうございました。
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2018年07月30日

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