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『暗闇の音楽 』
シルヴィア・エインズワースja4157)&天谷悠里ja0115

 夜の薔薇園。
 雲に呑まれた月光が薔薇たちを暗く黒に近い色に染めている。
 その中を歩くのはシルヴィア・エインズワース(ja4157)と黒の女王。
 愛の言葉を交わしあっては微笑み合うその様子は誰の目にも睦じくみえる。

「あ……」

 ふと、歩みを止めた黒の女王が指を伸ばすのは真紅の女王、天谷悠里(ja0115)に口付けを落とされた喉元だった。
 痕こそ残っていないが、契りを破ってしまったいたたまれなさがシルヴィアの体を身じろぎさせる。

「申し訳ありません」

 シルヴィアの口から2重の意味で謝罪の言葉が漏れる。

「とんでもない。さぞ嫌だったでしょう」

 黒の女王の言葉にシルヴィアは視線を外し黙るしかなかった。
 女王の言う通りあの行為については嫌悪しかない。だが、他の貴婦人への不快感を口にするのは淑女として相応しい行為には思えない。
 気持ちは冷めきっているとは言え、紅の君はシルヴィアの愛する女王と交流がある人物。そしてそれはこれからもきっと続く関係だろう。
 もう交流のない方なら多少はとも思うが、目の前にいないとは言え流石にそれは失礼にあたる。
 かと言って不快でなかったなどと嘘はつきたくない。

 どう答えたものかと考えあぐねていると、

「そう……嫌ではなかったの」

 黒の女王の口からポツリとそんな言葉がこぼれた。
 闇夜の中、背けられてしまった表情はよくわからないがその声は悲しげで寂しげだ。
 考え過ぎたせいであらぬ誤解を招いてしまった、と反省し、

「これからする不躾な発言をお許しください」

 そう断ると悲しげな声のまま女王は許したが、やはり目を合わせてはくれなかった。
 シルヴィアは叱責される覚悟を決め、再度口を開いた。

「紅の君はお戯れのつもりだったのだと思います。ですから、私がいつまでもそのことに囚われているのは悪しきこととは理解しております。ですが、私が貴女に全てを捧げた身だということは紅の君もご存知のはずです。それなのにあのような事をなぜなさったのか私には理解出来ません。私は誓って貴女だけのものです。今まで、これからも」

「よく言ってくれたわ」

 黒の女王は満足そうに微笑むと上書きするように姫の喉元にキスを落とした。

  ***

 そんな2人から少し離れた生垣を歩いていた紅の女王と白の姫の足が止まった。
 紅の女王の足が止まりつられるように白の姫の足も止まったと言うのが正確なところだ。

「ほぅ」

「美紅様?」

 しっ、っと唇を鳴らし耳をすませてから口角をあげる悠里に白の姫は首を傾げる。

『薔薇園で極上の音楽を聞かせてあげる』

 黒の女王にそう囁かれ、ドレスの裾を紅に染めた白の姫と共に薔薇園へ出てみたのが少し前。
 風が吹いたかと思うと、急に悠里の耳に2人の睦言が聴こえてきたのだ。

「何か聞こえない?」

 悠里が白の姫にそう囁くが白の姫は首を横に振り不思議そうな表情を浮かべるばかり。
 どうやら2人のやりとりが聞こえているのは悠里だけのようだ。
 それだけではない。
 悠里の耳には囁きあいだけではなく2人の息遣いまで聞こえてきている。
 他人の蜜事を覗き見るような背徳の喜びに自分が昂ぶるのを感じずにはいられない。

(なるほど。黒の女王が言っていたのはこういうことね。粋な計らいだこと)

 瞳を閉じ2人の甘い囁きを聴きながら愉悦に浸る紅の女王。

  ***

 そんな事とは露ほども知らないシルヴィアは黒の女王の愛に奉仕で応えていた。

「ご褒美をあげるわ」

「それでしたら、私からの誓いを受け取っていただきたいのです」

 黒の女王のその言葉に黒の姫はそう願い出る。

 言ってごらんなさい、という黒の女王にシルヴィアは嬉しそうに頷き跪く。

「黒の女王以外と唇を重ねる以上の深い行為は致しません。そして今度こそ、女王様以外と肌を重ねることはけして、決して致しません」

 シルヴィアの心からの言葉に女王は満足そうに微笑んだ。

「それなら……」

 その言葉と共にシルヴィアの白銀の髪に薄い黒のヴェールがのせられる。
 頭から肩、胸、脚を滑り彼女の足先まで包みこんだヴェールの中は愛する女王の纏う香りに包まれている。

「これなら誰も貴女に触れられないわ」

 愛しい人に包み抱かれてるような安心感にシルヴィアは息を漏らす。

「ありがとうございます」

 シルヴィアのうっとりした声に続くのは布が触れ合い肌が触れ合う音。
 時折聞こえる甘い声と水音が悠里の耳には鮮明に届いてくる。
 黒の女王の言う所の『音楽』は緩急をつけながら今最高潮へと達したのだと紅の女王は察した。
 自分が教え込んだ口づけとは違う音に黒の女王の教育の成果を感じ、奉仕を思わせる水音に2人の行為がどんなに甘く深い行為を楽しんでいるのかという想像が駆り立てられる。

 他人の行為を覗き見ているような背徳感も相まって官能の高みへ登っていく自分に愉悦の笑みと小さな声がこぼれる。

「美紅様?」

 声に反応して白の姫がどこか不安そうな表情で悠里を仰ぎ見る。

 その声を熱っぽい視線と唇で塞ぐと、おずおずとだが素直に続きをねだる己の姫。その髪を撫で愛を与えながらも紅の女王の頭の中は黒い2人の睦言の想像で一杯だった。

(黒の姫はどんな風に……あぁ、見てみたいわ)



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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 ja4157 / シルヴィア・エインズワース / 女性 / 23歳 / 蜜事の奏者 】

【 ja0115 / 天谷 悠里 / 女性 / 18歳 / 隠事の聴衆 】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 こんにちは。
 今回もご依頼頂き本当にありがとうございます。

 いつもご依頼いただいて本当にうれしい限りです。残り少ない期間ではありますが、またお二人の物語を書けたらとても嬉しく思います。

 今回もお気に召されましたら幸いですが、もしお気に召さない部分がありましたら何なりとお申し付けください。

 今回はご縁を頂き本当にありがとうございました。
 またお会いできる事を心からお待ちしております。
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龍川 那月 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2018年07月31日

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