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『『とある夏の休日』 』
アレスディア・ヴォルフリート8879

 8月のとある休日。
 人気のない、林の奥の広場にて。
 その日はこの夏一番の暑さを記録した日だった。
 手合せに訪れたアレスディア・ヴォルフリートとディラ・ビラジスだったが、あまりの暑さに、さすがにこの時間はやめておいた方がいいだろうと、2人は木陰で戦闘方法の確認をしておくことにした。
 アレスディアの装備は、両端に刃がある槍に、二枚の大盾。
 これは普段から装備しているのではなく、コインとして首から提げており、槍か二枚の大盾のどちらかに変化させて装備して戦う。
 戦闘中に槍から盾へと変化させたり、盾から槍へ変化させるようなことは出来ず、彼女は状況を見て、どちらかに変化させて戦いに挑む。
 ディラの戦い方は、護りより攻撃であり、彼は盾は装備しない。
 騎士団に所属していた頃に受けた施術により魔法が使えるが、さほど得意ではないらしい。
 武器は一通り器用に扱うことができる。特に大剣を得意としており、防御にも用いている。
 ここ東京では大剣を背負って歩くことは難しく、小剣に魔法の刃を生み出して戦うことも多くなった。
 必然的に2人で連携する場合、アレスディアが盾で攻撃を受け、ディラが剣や手近な鈍器で一撃。相手の状態を見て更にアレスディアが攻撃という戦い方が多くなる。

 一通り確認をし終えて、2人は武具を置き、腰かけた。
「……そういえば、ディラ……は、どうして騎士団を抜けて共に来る気になったんだ?」
 水筒の水を飲むディラに、アレスディアはふとした興味で尋ねた。
「……さあ」
「そのまま騎士団にいるという選択肢もあったろう」
「そうだけど」
「……まぁ、あのまま騎士団にい続けていれば、今もまだ追い回していただろうが」
 小声でアレスディアはそう続け、彼女も水筒の水を飲んで息をつく。
「そう、アンタがしつこく俺を追い回すから仕返しとして今、俺はアンタを追い回してるんだ」
「そうだったのか……」
 ディラのそんな言葉に、真顔で答えるアレスディア。
「冗談に決まってるだろ」
「解っている」
 真面目な顔を崩し、2人は顔を合わせて笑い合った。
「それで、アレスは? なんで俺に向ってきた」
「む……改めて言われると、自分でもよくわからぬが……」
 うーむと声を上げて、アレスディアは考え込む。
 あの時の事を。冷たい眼をしたディラの姿を思い浮かべる。
「……流されるまま人を傷つける姿を見て、もどかしかった。あと、腹立たしかった、かな」
 そう苦笑した後、アレスディアは笑顔をディラに向けた。
「そして今は、こうしていられて、嬉しい」
「そうか。嬉しいんなら、良かった」
 そう言うディラは、ほっとしたような表情だった。
「ディラ……の答えはちゃんと聞いてないんだが?」
「あ、ああ。それはな」
 一旦言葉を切り、少しだけ考えてディラはこう言う。
「アレスと共に行きたくなったからだ」
「どこへ?」
「アレスの行く場所へ」
「む……そうか」
 解るような解らないような。そんな返事だった。
「アレスはこのままずっと、同じ生き方をしていくつもりなのか?」
「私の信念は変わらずとも、ディラ……にそれを求める権利など、ない。ディラには、将来の夢でも見えてきたか?」
「いや、まだまだアンタと共にいるつもりだからさ、アレスの……俺の未来が、どんな未来になるのか気になってな」
 いつか、アレスディアがこの街を発つ時にも。
 彼は自分に着いてくるだろう。
 それが当たり前のように思えてきた。
 だけれど、当たり前でなくなる日も訪れるのかもしれない。
 2人には血のつながりもなく、故郷も、所属していた組織も違う。
 家族でも、ルームメイトでもない。
 2人の繋がりは、2人の間だけで有効で。
 片方に何かがあったとき、連絡を受ける立場にもない。
「あのさ、俺達の関係ってなんだと思う?」
 ディラの問いかけに、アレスディアの脳にまず浮かんだ言葉は友、戦友、共に戦う仲間。
「これからさ、アンタを紹介する時、俺の……相方だって言ってもいいか?」
 構わない。そう答えかけて、アレスディアは考える。
 自分は彼を人に紹介する時、どう紹介してきただろう。
 2人きりの時限定だが、彼を呼び捨てで呼ぶようになったこれからは――。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号/PC名/性別/外見年齢/職業】
【8879/アレスディア・ヴォルフリート/女/21/フリーランサー】

NPC
【5500/ディラ・ビラジス/男/21/剣士】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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いつもお世話になっております、ライターの川岸です。
書きながらアレスディアさんとディラは、これまで互いの関係を他人にどう話してきたのかなと思いました。
「友達のディラ殿だ」……ではない気がしまして。
この度もご依頼、ありがとうございました!
東京怪談ノベル(シングル) -
川岸満里亜 クリエイターズルームへ
東京怪談
2018年08月13日

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