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『 美術館の魔族 』
ファルス・ティレイラ3733

 誰も居ない深夜の美術館にファルス・ティレイラ(3733)は一人いた。
 深夜とあって美術館の中には淡いオレンジ色の証明が所々に設置され、広い美術館の中にいたティレイラは少しだけ肌寒さを感じた。
 ティレイラはふと一枚の絵画に目が止まり、絵画の場所へと足を向けた。
 足を止めたティレイラはそこに飾られた絵画を見上げる。それは美しく咲き誇るガーベラの花畑の絵だった。
 オレンジ色、赤、白の様々な色のガーベラに、背景は透き通るような空と雲。
 思わず見る人を引き込むような美しい絵だった。

「キレイだなぁ……」

 ティレイラは人知れずぽつりと呟く。
 美しく、だが何処か和やかな雰囲気を持つ絵をずっと見ていたいと思う気持ちになる。だが同時に彼女はある事を思い出す。
 ティレイラが今回この美術館にいるのは美術館の館長から依頼を受け、この場所に来ていたのだった。
 話を聞くところによると、数日前から美術館で美術品を荒らす魔族が出るようになったと言う。困り果てた館長はティレイラに依頼をして来たと言う訳だった。

 (もうそろそろ……例の魔族が可笑しくないと思うのだけどな……)

 その時。

 カタン。と、微かな物音がした。
 ティレイラは慌てて物音がした方向へと走り出した。幾つもの絵画と美術品が並ぶ中を逃走する一人の魔族の後ろ姿があった。
 後ろ姿しか見えないが、どうやら見た感じ小柄な少女の魔族のようだった。ティレイラと魔族の距離は開いている。
 このままでは逃げ切られてしまう。
 何としてもここで逃がすわけにはいかない!

 (それならば!!)

 そう思ったティレイラは背にある翼を広げ、魔族へと飛び掛かった。
 いきなりティレイラに飛び掛かられた魔族は暴れた。暴れる魔族を必死に取り押さえながらティレイラは言った。
「もうこれで終わりよ。観念しなさい!」
 だが魔族はそんな言葉など無視し必死に抵抗しながら、隠し持っていた魔法道具をティレイラに付けた。
 その瞬間。
 魔法道具からパァァァとした金色の光が放たれた。
 突然の出来事にティレイラは取り押さえていた魔族の身体を放す。だが魔族の少女は不思議とその場から逃げる事はしなかった。
 ティレイラが不信に思った次の瞬間。
 ティレイラの翼や尻尾の先から急に感覚が無くなっていくのを感じた。
「え? え? なんなのコレ!?」
 わけも分からず、ティレイラはあたふたとしながら、必死に魔力で抵抗を試みる。だがそんなティレイラの姿を楽しげに見ながら、魔族はティレイラへと語り掛けた。
「この魔法道具は魔力が高ければ高いほど良質な魔法金属の塊と化する効力があるの。効き目が強いと言う事は、どうやら貴方は魔力が余程高いみたいね」
「そんな……」
 悲痛に近い声を上げながらティレイラは尚も魔力で抗うが、魔族の言葉どおりティレイラに付けられた魔法道具はティレイラの魔力に反応をしていた。
 ティレイラは手を伸ばし、身体に付いた魔法道具を取ろうとしても強い力で付いている為、ティレイラの力では取れなかった。
 何度も試すが結果は同じだった。
 次第に彼女の身体は感覚を失いつつあった。最初は翼や尻尾の先だけだったが、足の下から腕、手の先までの感覚が徐々に失われていく。
 ティレイラは恐怖と不安を強く抱く。そんなティレイラへと魔族は言った。
「せっかく私を捕まえようとしていたのにごめんなさいね」
 魔族の言葉を最後まで聞き終わらないうちに、ティレイラは動きを完全に止めその場で固まった。魔女はスっと手を伸ばし、固まったティレイラの頬にそっと触れた。
「やっぱり貴方を選んだ私の目に狂いわなかった。この出来栄えは本当に素晴らしいわ」
 魔族は自画自賛しながら、上質な質感の心地良さに魅了されていた。
 ティレイラが魔族を追って来たその時に、魔族はこの事を咄嗟に思いついたのだ。この子は自分が望む作品になるのではないかと。
 そしてその思惑どおり彼女は自分の望むような作品へと姿を変えた。
 暫く自分の作品の出来栄えに浸っていた魔族だったが、誰もこないうちにここを退散しなければならない。魔族は名残惜しそうな顔をして、固まったティレイラへと呟くようにして言った。

「また捕まえに来てその姿を見せてね」

 人知れず魔族はそう言ったあと、静かにその場を後にしたのだった。




 ―― 登場人物 ――

 ファルス・ティレイラ

 ――――――――――

ファルス・ティレイラ 様

こんにちはせあらです。この度はご指名の方有り難うございました。
今回はティレイラさんが美術館で魔族を捕まえるお話しをとのことで、このようなお話しを書かせて頂きました。
それと一緒におまけノベルも今回書かせて頂きました。少しでも楽しんで頂けましたら嬉しいです。
ティレイラさんの物語を書かせて頂きまして有り難うございました。


せあら

東京怪談ノベル(シングル) -
せあら クリエイターズルームへ
東京怪談
2018年09月03日

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