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『収穫物にはご用心! 』
月乃宮 恋音jb1221

 秋の晴れた日、月乃宮 恋音は一人で自分が管理している畑へやって来た。
 農作業をする為にピンク色の可愛らしいジャージに身を包み、実りをつけた畑を真っ直ぐに見つめる。
「……よしっ、今日は頑張ります!」
 興奮した表情を浮かべながら、大きな籠を持って畑へ入って行く恋音。
 一時間ほどすると、畑の中からヨロヨロしながら恋音は出て来た。腕に抱えた籠の中には、畑で育った作物が数多く入っている。
「ふうっ……。これだけあれば、試食会には十分でしょう。とりあえず、手と顔を洗ってきますか」
 畑の隅には、今日の為のテーブルとイスが用意してあった。そして異変をすぐに確認する為の道具も、近くに置いてある。
 水場で土だらけになった顔と手を洗って、早速イスに座りながら収穫物を見た。
「この畑で育った収穫物は食べるとおかしな効果が出るとのことで、以前の持ち主の方は大変困っていらっしゃったんですよね……。見た目はどこにでもある作物なんですけど、不思議です」
 恋音は籠の中からピンク色の桃を一つ手に取り、真剣な顔付きになる。
「ですがこの畑の持ち主は、今は私です……! 責任者として、収穫物の効果はしっかりと理解しなければいけません……!」
 決意も固く、桃を水場で洗うとテーブルの上に置いてあるまな板の上に桃を置き、包丁で器用に皮を剥いて切っていく。
「いただきます……!」
 そして食べた桃は冷えてはいないものの、それでも甘い果汁と柔らかな桃の実が恋音の口の中いっぱいに広がる。
「んっ〜! 常温の桃も美味しいです……! 疲れが一気に吹っ飛びますねぇ」
 まるで桃のジュースを飲んでいるように、疲れた体にしみていく。
 夢中になって、丸ごと一個をあっと言う間に食べつくした。
「んぐっ……ゴックン! ふう……、美味しかったです♪ ……さて、何だか食べる気が増してきました。次々と食べていきましょう……!」
 普段の恋音は小食だが、桃を食べたことにより食欲増加の効果が出始めている。
「次はバライチゴを食べてみましょう」
 秋が食べ頃のバライチゴを、恋音はパクっと口の中に入れた。するとすぐにふにゃぁ……と表情が緩む。
「甘酸っぱくって、美味しいですぅ……! ……って、アラ? 何だか動きづらい……ですね」
 見た目は全く変わっていないものの、恋音は自分の身体に異変が起きていることに気付いた。身体が異様に重くて、動きづらいのだ。
「コレはまさか……」
 フラフラしながら立ち上がり、体重計に乗って見る。
「ひぃっ……! たっ体重が、いつもの五倍になっています!」
 お年頃の女性が一番見たくはない数字を見て、恋音の顔が一気に青ざめた。
 しかし体重計の数字は、すぐに見慣れた数字に戻る。
「あっあれ? ……もしかして、効果が切れたんでしょうか?」
 一粒しか食べなかったせいか、すぐに体重は元に戻り、身体も軽くなった。
「女性にとっては恐ろしい効果でした……!」
 恋音はイスに座りなおすと、今度は何故か数字がある真っ赤なトマトを手にする。
「+と−の種類があって、数字は6から15までありますね。まさか体重に関係するものとか……? 念の為に−の方を食べてみましょう!」
 恋音は−15とあるトマトを、すぐに食べてみた。
「んっ……ゴックン! さて、効果は……って、あらら? 何だか体が縮んでいきます……?」
 呆然としている間に、恋音は四歳児ほどの身体になってしまう。
「ええっ〜! もしかしなくても、コレは肉体年齢が変わる効果なのでしょうか? とりあえず、特殊な作業着を着てきて正解でした。それに一人で作業することも……。流石にこの姿は他に人には見られたくありませんねぇ」
 ジャージは小さくなった恋音の身体に、今もピッタリと合っている。
「では試しに、+15の方を食べてみましょうか」
 イスの上に立って籠から+15とあるトマトを両手で持ちながら、食べてみた。するとみるみるうちに、肉体は十九歳のものへと戻った。
「やっぱり予想通りでしたね。……うっかり最初に+15を食べなくて、本当に良かったです」
 恋音は次に、サツマイモを手に取る。
「こちらは茹でますか。本当は焼き芋が良いんですけど、流石に時間と手間がかかりそうですしね」
 ガスコンロセットに水を入れた鍋を置いて、洗ったサツマイモを一本入れた。
「茹で上がるまで時間がかかりますから、その間に他の収穫物の試食を続けましょう。……ああ、そういえば小玉スイカがありましたね」
 切ればすぐに食べられる小玉スイカを一口サイズに切り分けて、恋音は食べてみる。
「ん〜♪ みずみずしくて甘くて美味しいですぅ♪ ……んんっ? 何だか胸がムズムズします……。筋肉痛になるには、早すぎますよね?」
 しかし胸に起きた異変は少しずつ大きくなっていき、思わず恋音はイスから立ち上がってさすってみた。
「あっ、アラララ〜?」
 二つの胸は勝手に揺れ動きながら成長していき、元の大きさより20倍ほどの大きさになる。
「いや、コレはちょっと……。動けないですねぇ」
 地面に付くほど胸が大きくなったものの、その重さは恋音の肩にズシリっとかかった。
「巨乳を夢見る女性は多いでしょうが、流石にコレは望んだ事とは違うでしょうし……」
 触ってみれば柔らかくもあたたかいが、身動きがしづらいと何もすることができない。困っていると時間がきたようで、元のサイズに戻った。
「ん〜。それでは甘酸っぱいブルーベリーは、どんな効果があるのでしょう?」
 今までの試食から、少しだけ恋音は緊張しながらブルーベリーを食べる。
「味はとても美味しいですぅ♪ ……ですが、身体がパンパンに膨らんで、どんどん浮いてきているような……きゃああっ!?」
 本当に身体が風船のように膨らみ、恋音の身体は宙に浮き始めた。
 しかし飛ばされては大変なことになるので、慌てて恋音はテーブルを強く掴む。
「こっコレは身体を紐で結んでいないと、危険ですぅ!」
 しかもよりにもよって風が強くふいて、飛ばされそうになってしまう。
 それでも必死に堪えて風が弱くなる頃、タイミングが良いのか悪いのか、身体は元に戻った。
「ひっ酷い目に合いました……」
 疲労のため息を吐くと、サツマイモが茹で上がったことに気付く。
「サツマイモは……大丈夫だと、思いたいです」
 緊張した面持ちをしながらも、湯気が立つサツマイモをふ〜ふ〜っと息をかけて冷ました後、恐る恐る一口かじった。
「はふっ……! 熱いけど、美味しいですねぇ。秋を感じます……けど、お尻が何だかムズムズします。まさかオナラ……いっいえ、一口食べただけですし、いくら何でも早すぎます!」
 慌てて立ち上がった恋音は、どうしようかと周囲をパタパタと歩き回る。
 すると下半身にズンッ!と重い衝撃が走ったかと思うと、恋音は後ろに引っくり返った。
「きゃあっ!? いっいきなりどうしたんでしょう? ……って、私のお尻がどうしたんでしょう!?」
 下に視線を向けた恋音は、自分のお尻がいつもの数倍も大きく膨らんでいることに気付く。どうやらお尻が大きくなった衝撃で引っくり返ったものの、クッション代わりとなってケガをすることはなかったようだ。
「あっ、これは少し楽しいかもしれません♪」
 お尻は動くとはねるので、少しの間その体験を楽しむ。
「――いろんな効果があるのは分かりましたが、一般人には売れませんね。……あっ、でももうすぐハロウィンがあります。それまでに保存ができる収穫物は……」


<終わり>


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【jb1221@WT09/月乃宮 恋音/女/19/ダアト】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 このたびはご指名をしていただきまして、ありがとうございました(ペコリ)。
 秋らしいストーリーを書かせていただきましたので、楽しんで読んでいただければ幸いです。


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エリュシオン
2018年09月07日

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