▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『プリンセス☆エデンのアイドル道! 』
プリンセス☆エデンaa4913)&Ezraaa4913hero001

●今回のあらすじ
 H.O.P.E.芸能課。元々は大衆にH.O.P.E.の活動を認知してもらうために設立された部署であったが、現在では一種のプロダクションと化している。ここから大手のスカウトを目指して活動する野心溢れるリンカーも現れるなど、リンカー芸能人の、一種の登竜門と化している。“彼女”もまた、その門を叩いた一人なのであった。

●ニューカマー、プリンセス☆エデン!
 H.O.P.E.芸能課が所有する、とあるトレーニングセンター。窓の外に広がる太平洋を見つめていたプリンセス☆エデン(aa4913)は、腰に手を当て難しい顔をする。ごーいんぐ・まい・うぇいが信条の彼女にしては珍しい。
「ふむう……」
『どうなさいましたか、エデン様』
 Ezra(aa4913hero001)はベンチに腰掛け、水を飲みながら尋ねた。トレーニングウェア姿のエデンは、くるりと振り向くなりエズラをぴしりと指差す。
「エズラ! お仕事見つけてきてよ!」
『お仕事……?』
 エズラは目を瞬かせる。
『わざわざ探さずとも、最近は随分と忙しくなっているような気がしますが』
「そうだけど! そうだけど違うじゃん!」
 エデンはその場でじたばたする。彼女が最近成し遂げた仕事と言えば、リオ・ベルデの怪しい工場に侵入したり、盗まれてしまったAGWを取り返したり、そんな事ばかりだ。評判の方も、“中々出来るエージェントがいる”とか、そんな感じである。
「アイドルとして! 全く忙しくなってない!」
『まあ……そうですね。中々アイドルとして呼び声が掛かる機会は多くありませんね』
「そうだよ。さすがにあたしだってこのままじゃ良くないって思うよ。だからエズラ、芸能課に行って、アイドルとしての仕事を探してきてほしいの!」
『なるほど』
 付き合わされる身としては気が重いが、やる気があるのは良い事だ。エズラはベンチからおもむろに立ち上がる。
『では一緒に参りましょう。最近は“副業”が忙しくて、というアイドルリンカーの方もいらっしゃいますし、すぐ仕事を回していただけるかもしれません』
 エズラはトレーニングルームの外を手で指すが、エデンはすぐさま指を振る。
「ノン、ノン! それはマネージャーでもあるエズラの仕事よ。あたしはこのまま自主トレーニング続行するから」
『いつから私はマネージャーになったんですか……』
 これ以上面倒を押し付けられて堪るかと、エズラは僅かに身構える。エデンはそんな彼に向かって両手を合わせた。
「いつからでもいいじゃん! ねー、お願い?」
 プラチナブロンドに碧眼、肌は真珠のように真っ白で。お人形のような見た目のエデンがぱたぱた動くと、何だか余計に幼く見える。そんなわけで彼女を妹のように見なしていたエズラは、何だかんだでエデンの為に世話を焼いてやる気になってしまうのだった。
『仕方ないですね……じゃあ行って参りますよ』
「よろしくー! あのピンク髪のライバルに勝つためにも、ばっちり仕事取って来てね!」
 それを聞いた途端に、エズラは肩を落とす。とある日にプールで出会った少女に、エデンは対抗心をメラメラ燃やしているのだ。主にスタイルの面で。
 結局その少女はアイドルでもなければ、中身に至っては少女ですらないのだが。
『いや、あの方はライバルではないですから』
 エズラは冷静にツッコミを入れようとしたが、既にエデンはランニングマシーンに取り掛かっていた。
「よーし!」
 もう聞く耳は持ってくれない雰囲気だ。エズラはやれやれと呟きつつ、その場を後にした。

●アイドルのお仕事……?
 小さなライブハウスの中、ステージに向かってスポットライトが照らされる。眩い輝きを受けて、真っ青な三角帽子を被ったエデンが満面のスマイルで手を振っている。
「みんなー! 今日は来てくれてありがとー! プリンセス☆エデンのショータイム、楽しんでいってねーッ!」
 それに合わせて、肩に掛けたケープがひらひらと揺れた。衣装に散らした小さなスパンコールが、光を浴びてきらきらと光る。ライブハウスを埋める観衆が、一斉に歓声を上げた。エデンはウィンク飛ばすと、早速目の前の宝箱じみたボックスに手を突っ込む。
「じゃあまずは、この鉄のリング! 1本、2本、3本、4本!」
 エデンはリングを取り出しながら、叩きつけて一本一本繋ぎ合わせて鎖にしていく。さりげなく行われる手品に、観衆の眼は釘付けだ。
「ほら、どうどう? 見て!」
 繋がった4本のリングを、エデンは目の前の少女に向かって差し出す。くるくるくると回して、継ぎ目がない事を確認させていく。後ろに立っている人にも、繋がったリングを掲げてみせる。
「このリングは魔法のリング! 例えばー、エズラ! こっち来て!」
『はい、御嬢様』
 執事の姿に扮したエズラは、静かにエデンへと歩み寄る。
「えいっ!」
 その瞬間、エデンがリングの鎖をエズラの手首目掛けて叩きつけた。リングはエズラの両腕にぴったりとはまり、まるで手錠のように繋ぎ合わせてしまう。
「こーんな事も出来ちゃうんだよね!」
『しかし……御嬢様、これでは仕事が出来なくなってしまいます』
「あれー、そうだよね。じゃあ……」
 エデンは真ん中二つのリングを引っ張り、あっという間に外してしまった。
「これでどうかな?」
『そうですね。これなら仕事が出来ます。でも、これも私は外せないので、どうか手伝ってください』
「しょーがないなー。それっ」
 エズラの言葉に、エデンは渋々リングを叩く。まるで手首をすり抜けたかのように、リングはその手から外れてしまった。
「というわけで、エデンのマジックリングでした!」
 明朗快活なショーに、観衆が拍手を送る。エデンはスマイルを崩さず、今度は帽子を外して中身を探る。
「スポットライトって熱いんだよねー。ちょっと汗出てきちゃった。ハンカチ使うね」
 そんな事を言いながら帽子を漁るが、中から出てきたのは何やら白い塊。
「あれー?」
 エデンが首を傾げると、塊は不意に立ち上がって翼を開く。小さな白いハトだったのだ。
「おっかしいなあ……持っててよ」
『ハイ』
「あれー……」
 探る間にも、次々出てくるのは鳩ばかり。2羽、3羽、4羽と、小さな帽子に収まりきらないくらいたくさんの鳩が出てくる。
「もー、どうなってんのっ!」
 しびれを切らしたエデンは、帽子深くに手を突っ込んで引っこ抜く。数珠繋ぎになった色とりどりのハンカチが、するすると中から飛び出した。紙吹雪も舞い、観客達は息を呑んだ。
「なーんて! エデンのマジカルハット、楽しんでくれたー?」
「イエーイ!」
 エデンが右手を突き上げると、皆も合わせて手を突き上げるのだった。

●チャンスは自分で掴み取る!
 エデンは色々なマジックを披露し続け、一時間ほどのショーは大成功に終わった。
「アハハッ! どうもー! どうもありがとーう! また来るねー!」
 三角帽子を手に取って振りながら、エデンは観衆に向かってにこやかに笑う。高らかな拍手を受けて、エデンは満ち足りた気分になっていた――

「――ってちがーーう!」
 楽屋に戻ってきたエデンは、エズラに向かって叫ぶ。鳥かごに納められた鳩がくるくる鳴く中で、彼女はエズラへ詰め寄る。
「これじゃアイドルじゃなくてマジシャンじゃん! そうじゃないよ!」
『練習までずっと乗り気だったのに……』
「面白そうだと思ったからね。でもやっぱり違う! あたしは歌って踊れるアイドルを目指してるんだもん」
『で、でも……同じ執事でマネージャーをやっていらっしゃる方が、“新米のうちは仕事を選ぶな、名前を売るためにどんな仕事でもしろ”とアドバイスを……』
「だからって! これじゃいつか違うプリンセスになっちゃう!」
 頬を膨らませてぷんすかしている彼女に、エズラは肩を竦める。
『でもお上手でしたね、マジック。一週間で仕込んだとは思えません』
「……まーね。魔女っ娘アイドルになるのは小さい頃からの夢だったから。エズラに会う前から、マジックの練習はしてたりしたんだよねー」
『なるほど……』
「でもそれとこれとは話がべつ……」
 腕組みして拗ねていたエデンだったが、しばらくするとまた能天気の風が吹いてきた。ぱっと笑みを浮かべると、帽子を被り直してエズラを見上げる。
「まあ……いっか! 確かにどんなお仕事もお仕事だもんね。じゃあやってやる!」
 一人でガッツポーズを作ると、いきなり楽屋を飛び出していく。エズラは廊下に顔だけ覗かせ、エデンの背中に向かって尋ねた。
『ちょっと、エデン様、どこに行かれるのです?』
「まだカーテンコールあるでしょ? その時の為に直談判するの!」
『……はぁ』
 エデンの底抜けた行動力には、溜め息しか出てこなかった。

●エデンの目標!
 長いマジックショーが終わり、カーテンコールへと移る。マジシャン達が軽い挨拶を済ませた後で、いよいよマイクを持ったエデンがステージの真ん中に立つ。
「ハーイ! プリンセス☆エデンだよ! あたしの目標はね、歌って踊れる魔女っ娘アイドル・エージェントになる事なんだ!」
 エズラと共鳴したエデンは、マントをひらりとさせる。裏地の星空模様から、星屑のような光がひらりひらりと飛び出す。
「というわけで、最後に一曲歌うよ! みんなにエデンの魔法をかけて、メロメロにしちゃうんだからね!」
 空いた手でひょいと杖を取り出し、観衆の前で振るう。ブルームフレアの応用で、炎の蝶がふわりと飛んだ。サプライズに湧く観客の前で、エデンは愛らしい歌声を披露してみせるのだった

 彼女達の名前はH.O.P.E.芸能課のマジカルアイドル、プリンセス☆エデン&エズラ。今はハットから鳩を出しているが、いつかは彼女達自身が大舞台へと羽ばたく事になるだろう。なるかもしれない。



 CASE:プリンセス☆エデン おわり



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛

プリンセス☆エデン(aa4913)
Ezra(aa4913hero001)

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
影絵 企我です。この度は発注いただきありがとうございました。
おまかせなんて初めてなので、満足いただける出来になったかどうか……
最近では結構激しい依頼でお世話になっているので、エデンさんのアイドル活動の様子を想像しながら描かせて頂きました。
何かありましたら、リテイクをお願いします。

ではまた、御縁がありましたら。



おまかせノベル -
影絵 企我 クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2018年10月23日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.