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『 害虫を根絶やしに 』
火蛾魅 塵aa5095)&犬尉 善戎狼aa5610)&エリズバーク・ウェンジェンスaa5611hero001)&鬼子母 焔織aa2439)&人造天使壱拾壱号aa5095hero001

プロローグ

 神の次は国をとれと言う。
 『火蛾魅 塵(aa5095@WTZERO)』は依頼の資料、その束をテーブルの上に投げ捨てて足を組み替える。
 一つため息をついた。
 確かにラグストーカーを殲滅するのは望むところではあるが、それにしても相手が途方もない。
「ったく、よ。裏工作はとくいじゃねーってのに」
 告げると小脇に佇んでいたトオイの頭を撫でて煙草の火をもみ消した。
「裏工作?」
 そんな塵の独り言をきいていた『エリズバーク・ウェンジェンス(aa5611hero001@WTZEROHERO)』が穏やかな笑みを浮かべて告げた。
「そんなものする必要がありまして?」
 その可憐な女性の瞳の奥に塵は壊れた狂気の断片を見た。
「ことが露見することもないほどに完膚なきまでに、全てを破壊し尽くしましょう」
 その言葉に塵はにんまりと口元をひきつらせた。
「おうおう、いいねぇ、そう来なくちゃよ〜」
 甘ちゃんとつるみすぎて思考回路がシュガーシュガーしてしまったらしいと塵は悟る。
 そして塵はありったけの火力を発注するべく知り合いの業者に電話をかけた。

第一章 ターゲットは……。

 その秘密のパーティーに潜り込むのにはかなり苦労した。
 チケットはバカ高く、しかも一見さんお断り。
 ただしこちらには先日壊滅させた教団の、その場で行方不明に見せかけて殺した幹部の身分証などがあった。
 そのIDを使って無理やりサイトに潜り込み。そしてチケットを人数分確保したのが前夜。
 服をそろえて、ドレスコードに引っかからないような武装を身に纏う。
 リムジンをチャーター。
 一同は山奥の、華やかな、しかし陰惨な館の前で車を降りることになる。
 『犬尉 善戎狼(aa5610@WTZERO)』はカフスを気にしながら先に降りた、タキシードが似合っていないように見えるのは戦場が染みついてしまったからだろうか。硝煙のにおいがプンプンする。
「さぁて、お祭り会場はここですの?」
 落ち着いたピンク色のドレス、背中をガッツリ開けて金色のファーを肩にかけた淑女が車から降りた。
 そんなエリズバークに犬尉は告げる。
「今回はきっちり仕事をしてもらうぞ」
「ええ、そのつもりですわ」
 エリズバークは一見するとこれからパーティーを楽しむ雅な女性にしか見えない。
 しかしその本当の目的は殺戮である。
 この秘密のパーティーの主催者は政財界の大物で、日本の深くまで牙を突き立てている。
 利権をむさぼり、その身の安全を買うためにラグストーカーとも手を組んだ。
 彼の主な商売は人身売買。
 女、外国人労働者。奴隷。
 その中でも最も人気があるのが、子供である。
「お荷物を受け取ります」
 そうボーイが近付いてくると塵はそれを制して告げた。
「いいんです、すぐに使いますから」
 車のトランクから大型のアタッシュケースを取り出し犬尉。そして『鬼子母 焔織(aa2439@WTZERO)』に放り投げる。
「しかし、それではダンスが」
「ダンスヲ、踊るノは。私タチではありません」
 その言葉にやっとボーイは血なまぐささを感じ取ったのか、拳銃を引き抜いた、しかし。
 その銃を握る腕は綺麗に斬り飛ばされていた。
「ぎゃあああああ!」
 ボーイの悲鳴が木霊する、それが開戦の狼煙である。
「おい! 彼は無関係だろ!」
 館に歩み寄ろうとする塵を静止して犬尉は告げる。
「あん? 根拠あんのかてめぇ」
 その時塵は犬尉を突き飛ばして狙撃を回避させる、犬尉は仰向けに倒れ込むその動きのなかでも敵を視認、腕を曲げると犬儒が飛び出してきてそれを手でキャッチ。
 地面に転がると同時に狙撃した。
 窓際で待機していたボーイ二名が赤い花を咲かせて窓のさんにぶら下がる。
「もともと、誰も生きて返さねぇ予定だったろうが」
 最初に突っ込んだのはエリズバーク。
 すでに銃声で場が氷りついていたダンスフロアは、一人の淑女の出現で色を混乱へと変える。
 まぁ、その混乱もすぐに絶望に変わるのだが。
「仕事……きっちりさせていただきますわね」
 アタッシュケースを蹴り開くとフリーガーに似た青色の装備を取り出す。
 魔法攻撃主体のフリーガーG7だ。特別の改造品。
 先ずそれを打ち放つ。
 弾頭がシャンデリアを粉砕、熱波が階段周辺の人間たちを焼き尽くしていく。
 そのエリズバークに放たれる弾丸は全て周囲に浮かぶ魔法陣がはじいた。
 それどころか弾丸を回転させ、その機動のままに敵に返す。
 次いで取り出したのは魔法銃、両手にそれを抱えトリガーを絞ると弾丸が飴のように調度品を、人のド頭を見るも無残な形に変えていく。
「あははははははははははは」
 轟く銃声、響く笑い声。
 その背後から悠々と突入する塵と焔織。
「私ハ、納得シテいません」
「なら、犠牲が少なくて済むようにちゃちゃと働け」
 そのうしろから犬尉が塵を追いかける。
「おい、まて! 火蛾魅。お前俺のあれはどこに隠した」
 通路を抜けると貴賓室。
 その廊下には私兵が列をなして立っていた、ちょうど出撃準備ができたところだったのだろう。
 しかし遅かった。一般人の反応速度では。
 塵を視認し、敵かどうか判断し。武装の安全装置を解除し、狙いを定め。撃つ。 というプロセスが必要。
 しかし塵は違う。その超人的反射能力と動いている物を殺すというシンプルな思考プロセスによって。
 その人物たちに反応する暇を与えず爆破した。煙がもうもうと立ち込める。
 無数の悲鳴が上がる。
「あっちもリンカーだろ? これで死んだとは思えねぇよな」
 そう犬尉を見ると、犬尉は顔をしかめながら煙の中に走った。
 その手には二本のナイフ。左手は逆刃。右手はそのまま持って音のみを頼りに敵の位置を予測。素早く首を切り裂いていく。
 飛び込んで両手を鎌のようにふるって2人。
 着地、振り向きざまに刃を振るって一人。
 ナイフを投げてもう一人。
 ナイフの風切り音が聞えたので、振り返って刃を弾きあげ、タックル。
 煙の外に出た敵戦闘員を銃弾で始末。
 バックステップ。
 足元の死体からナイフを回収。
 そのままナイフを十字に構えて敵銃弾を弾いて突進。
 閉じられた鋏を開くように斬撃をみまうと首が刎ねて天井にぶつかった、血のシャワーで犬尉のタキシードが濡れていく。
「その方が似合ってるぜ、色男」
「アンタいったい、なにするつもりだ、これじゃ殺戮だろ」
 塵は歩みを進めると壁を爆破、地下への隠し通路を発見する。
「お前等よぉ。ことが露見しない一番の方法ってしってっか?」
 首をかしげる犬尉。
「ミステリーでもよ、起承転結。これの起が無けりゃばれねぇだろ?」
「お前、まさか」
 塵が懐から取り出したのは犬尉が開発した毒の手りゅう弾。
 手りゅう弾と言っても爆発力は大したことなく、ガスのカプセルをあたりにばらまき散布するだけだ。
 空気より重たいガスだから、ある程度の高さからまかなければ人は吸わないのである。
 しかし、このガスを一呼吸でも吸い込んでしまえば終り。
 灰が収縮し石のように硬くなりあっという間に死に至るのだ。それこそリンカーでもいちころの代物。
 それを、塵は地下室の方向へ投げ入れた。
「お前!」
 犬尉は走る、しかしそれは空中で爆発。
 毒のカプセルをまきちらす。当然犬尉はガスマスクを持っているが。それでも。
「だったら、俺らがここにいたって証拠を全部消しちまえばいい。この屋敷ごと生きた人間も全部焼却処分だ」
 地下室に突入する犬尉、その背後で歓喜の声をきいた。声をあげたのはエリズバークである。
 だがその笑い声を遮って焔織が来てくれた。
「犬尉殿、マスクを」
 犬尉は焔織にマスクを投げると地下室へ。そこは案の定商品倉庫だった。
 無数の檻、そしてその中でもがき苦しむ少年少女。
「くそ!」
 その苦しみようが誰かと重なって、犬尉はあわてて鍵を銃で撃った。しかしその程度では壊れない。
「くそ! すぐに出してやるからな」
 その折の中に焔織は信じられないものを見つけた。
「八戒……?」
 横たわる小太りの青年はかつての焔織の仲間『猪八戒(NPC)』だ。
「く……焔織君。焔織君しっかりしてくれ、君だけが頼りなんだ」
「こんな……こんなところで」
 焔織の視界に彼の笑顔が滲む。
 小太りで、でも明るい。殺しには向かない優しい人物だった。
 もうノイズ塗れで顔を思い出すことも難しかったが、姿を見れば見間違えるはずがない。
 彼が、彼が今ここで死にかけている。
「なぜ! なぜこのようなことに」
「やめろ!」
 犬尉が静止するのも構わずに焔織はマスクを外した。その手で猪八戒と呼ばれる小太りの青年にマスクをかけようと鉄格子の隙間から腕を伸ばす。


第二章 面影

 あの日。幼き日。 
 あの時にも自分には仲間がいた。
 西遊記になぞられたコードネームを与えられ、自分は紅孩児と呼ばれ育っていた。
 悟空は暗殺の天才で常に自分たちをリードしてくれる。
 いつも思い出す時は彼の背中を思い出した。
 沙悟浄は年長で、頼れる存在だった。いつもケンカが始まれば仲裁してくれる存在で、殺しもうまかった。
 猪八戒は一番成績が悪かった。
 犬を殺す試験があったが、殺せずに泣いていた。
 ただ、自分たちの任務で何も殺さないなんてありえない。
 殺せない者は穀つぶしと言われ、殺される。
 ころすマシーンを養育する場所だ。その判断は仕方がない。
 だから、犬を殺せない猪八戒を悟空が化けて手伝ったことがある。
 当然ばれて、加担した悟空と紅孩児。報告をしなかった沙悟浄もお仕置き部屋に叩き込まれたが。
 並んで作られた独房から、その鉄格子から、腕だけ出して夜通し話をしたのはいい思い出だ。
 何の話をしたか思い出せないほど他愛もない話だったが、いつかここを出ようと、そんな話をしていた気がする。
 だが、それは叶わなかった。
「八戒!」
 焔織はガスを吸い込みながらも手を伸ばす、しかしそれは届かない。
「やめろ! 死ぬぞ」
「ハナセ。仲間なんです。友達なんデス。だから。ダカラハナセ!」
 次の瞬間。
 猪八戒の眉間が打ち抜かれた。
 はじかれたように振り返る焔織。そこにはエリズバークが立っていた。
「今回の作戦は皆殺しだって言ったよな? 何で助けようとしてんだぁ? おい」
 そう焔織に詰め寄る塵。その塵の胸ぐらを焔織がつかみあげた。
「力入ってねぇぞ」
 ガスはすでにない。犬尉が換気装置のスイッチを入れたのだ。
 だが、時すでに遅かった子供たちは死んでいた。
 いや、違う一人だけ息をしている、かろうじて生き延びている。
 驚異的な生命力だ。
 その子供を塵は魔本で狙い撃とうとした。
 それを遮って止める犬尉。
「そこまでだ火蛾魅、もう殺させない」
「はぁ?」
「無関係な人間は殺させない、あの子は俺の知り合いの病院に連れていく」
「お前等バカは休み休みいえっての。なんだ? 処女か? ころしたことねぇってのかよ。え? 焔織君よ」
 焔織はその言葉に答えない、塵を睨んだまま動かなかった。
「殺したことはある、もう何年も昔の事だろうか。
 金の為に自衛隊を抜け、PMCで戦った。
 相手も金の為、生活の為に戦う人間だった。だから言える、今は状況が違う」
「状況なんて変わらねぇよ、いまさら撃墜数が一つ増えただけでなんだよ。お前等もっとひでぇ殺しやってるだろ」
 その言葉にエリズバークが答える。
「さぁ? そんな昔の事は覚えていませんね」
「覚える価値のねぇ殺しばっかだったってこったろ?」
「そうとも言いますわね」
「これは仕事とはわけが違う。むしろ救わなければならない対象を口封じのために殺そうとしてるんだぞ」
 犬尉が告げる。その言葉にエリズバークがあっけらかんと答えた。
「罪のない? 見てしまった、その不運が罪でしょう?」
 無造作にエリズバークはガラスの破片を投げた。
 それは魔力で加速され少年の首をかき切る、血しぶきが犬尉にかかった。
 犬尉は銃口をエリズバークに向ける。
「おうおう、魔女様はこえーな。俺だったら支配者の言葉で記憶消すくらいにとどめるね」
「お前は今から俺の中でヴィランになった」
 犬尉が告げる。
「ええ、それで構わなくてよ」
「お前の罪、数える時が来るぞ。灌ぐ機会も与えん」
「罪を灌げるなんて馬鹿々々しい」
 そう鼻で笑うエリズバーク。
「絵具のように
 善の色で罪の色を塗りつぶそうと必死に足掻くだけ。
 でもその絵具乾いたまま放置したらどうなるかしら?
 ポロポロと隠したはずの罪が顔を出す」
 そう笑って見せるエリズバークへ焔織が拳を振りかぶった。
「この! 悪党」
 ただし塵が遮って腹部に蹴りを。
 焔織は呻いて胃の中のものを出すことになる。
「テェェメェも同じ穴の貉なんだよォ! いい子ちゃんぶりやがって」
 塵は焔織の髪を引っ張って視線を合わせた。
「あ? 戻れたと思ったか? 普通の人間によ。無理だよ、御前なんて無理に決まってんだろくずがあああああああああ」
 そのまま焔織の頭を地面に叩きつける。そんな塵に犬尉は言い放った。
「代替手段もある中で無関係の人間はプロとして殺せない。
 それはむしろ弱者の理論だ、臆病者め」
「なに? おいおい、御前も光のたもとにいるつもりなのかよ。化物娘の化物父さんよ」
 その言葉に犬尉は背筋が冷える思いを味わった。
「食わせてんだろ? 子供に子供の肉をよ」
 その話は半分正解だ、しかしほとんどが間違ってる。
「違う、正当な理由があって」
 犬尉の銃を持つ手が緩む。
「俺ちゃんも正当な理由ってやつがある。目的のためなら手段は選ばねぇ」
 塵は思い出していた。
 妹と弟のこと。
 妹は美人だった弟は可愛かった、生身の人間を殺したのはそれが初めてだった。
 ヴィランや主犯格の一般人を殺し、灰にして証拠を消し。塵はヴィランになった。
 人間なんてクソだ、弱い奴らは特にクソだ。そう心の底で唱えながら。
「私は理由などまったく関係ないですわ、そうしたいからそうする、刃向うから殺す、それだけですわ」
 エリズバークの言葉のあとに震えながら焔織が犬尉に告げた。
「そんな、犬尉サン。あなたハ正常だと思っていたのに」
「人にはそれぞれ、弱みがあるのは焔織君も知っていることだろう、この時代で聖人君主ではいられないんだ」
「そんナ言イ訳をスルあなたヲ見たくなかった」
「おいおい、あの時の再現じゃねぇか」
 その様子を見て塵は楽しそうに告げる。
 塵の中で『人造天使壱拾壱号(aa5095hero001@WTZEROHERO)』は感じていた。塵の既視感とは何か。
 それはかつて悪神が顕現しすべてが狂ってしまった時の話。
そして。
『そいつの頭をカチ割れば命は助ける』
 その言葉に導かれ、最後に愚神憑きの恋人を殺すはめになった話。
「金は要る。だが俺は金の稼ぎ方は選んできたつもりだ」 
 犬尉が告げる。その発言がおかしくて塵は笑った。
「諦めろよ、ここにいるだけでもう、俺らは人間のクズなんだよ」
 心外そうに顔をしかめる、エリズバーク。その時である。
「紅孩児をいじめるな」
 声が聞えた。
 焔織の背後から。
 そしてその声には聴き覚えがあった。
「まさか。猪八戒?」
 振り返ると先ほど息絶えたはずの猪八戒が身悶えていた。
 体の体積をぶくぶく増しながら、肉にめり込んで短くなってしまった四つ足をばたつかせ起き上がろうとしている。
「そんな、猪八戒、あなたは」
「ぶもおおおおおお」
 その時地下室が爆発した。
 そのもうもうと上がる煙と熱を森の中から二つの影が眺めている。
「八戒。会えたのか」
 その人物は猿のような尻尾を揺らすと不敵に微笑む。
「もう離れないように一つになってしまえ。失敗作」
 肉は肥大化し館を飲み込もうとする。
 辛くも逃れた一同は館の壁を、天上を破壊して外に逃れた。
 焔織は背中に圧を感じて振り返る、しかし。
 そこでは木が揺れているだけだった。
 ただ焔織の耳にはこう声が聞える。
「そいつを倒して見せろよ」
 悟空?
 言うことをきかない体しかし今はなんだかできる気がする。
「私ハここにいるぞ!」
 もはや肉の塊と化したそれ、その肉に埋め込まれるような二つの眼球が同時に焔織を捕えた。
「紅孩児?」
「アア、そうだ、私はここにイル」
「ああ、会えてよかった」
 そう目に涙を浮かべる猪八戒。ただその重さで山が崩れ始めた。この山のたもとはるか先には町がある、このまま猪八戒が転がり落ちるだけでいったいどんな被害があるか分からない。
「ころして」
「エ?」
「オデヲ、ころし……。ころして」

「お安いご用ですわ」

 次の瞬間。破裂するように猪八戒が裂けた。
 熟れた果実が地面に落ちて爆発するようにその肉片を周囲にまき散らせ、血の雨が降る。
 雨は翠の森を一瞬で赤に染め。そして焔織の視界も赤に染めた。
「え?」
 茫然とつぶやく焔織。その眼前、肉の山の中心にはエリズバークが立っていた。
「おう、焔織」
「いかがされましたか、火蛾魅どの」
 血の雨に打たれる焔織はひどく、頼りなさ気に見えた。
「よかったじゃねぇか、あと二人、いや三人? なんでもいいや、因縁の相手なんだろ?」
 そう明るく勤めようとする塵へ拳を突きつける焔織。
「隊長が、ココニいてくれたら、キット、きっと違ウ結末が……」
「ない物ねだりは不要でしてよ」
 エリズバークが、犬尉が撤収のために肉の山を乗り越えてくる。
「おら、次のターゲットに向かうぞ」
「焔織君、なんといったらいいか」
 そう犬尉が焔織の肩を叩くと、焔織は強くその手をはねた。
「あなたモ、人殺シだ。結局。我々ニハ相応の未来シカ、望めない」
 そう去る焔織の背中を長い尻尾を揺らして視線で追う人物がいた。
「そうだ、お前はこちらに戻ってこい紅孩児。そこはふさわしくない」
 新たな戦いはきっと、裏暁の休む間もなく始まることだろう。

エピローグ

 塵は夢を見ることがある。
 それは、自分の夢? 
 違う、トオイを通してみた異世界の夢。自分の夢。
 悪神を追って転生する夢。悪神に追われて転生する夢。
 命を絶ち、立たれ、いつの間にか輪廻の輪よりもとらわれて。
 塵は今ここにいる。
 その性質は伝播する。
 つまり。
『力を得る過程で愛する者をその手で殺す定め』
 は受け継がれるとかなんとか。
「じゃあよ、おれちゃんよ。ずっとこのまんまか?」
 その言葉に首を振るトオイ。その指差す先には粘液質で暗い闇が控えていた。
 その闇に塵は喜んで身を投じる。
 それが悪意の海だと知ってか知らずか。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『火蛾魅 塵(aa5095@WTZERO)』
『エリズバーク・ウェンジェンス(aa5611hero001@WTZEROHERO)』
『鬼子母 焔織(aa2439@WTZERO)』
『人造天使壱拾壱号(aa5095hero001@WTZEROHERO)』
『犬尉 善戎狼(aa5610@WTZERO)』
『猪八戒(NPC)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 皆さんこんにちは、鳴海でございます。 
 今回はですね、キャラクター性を堀深めよう、頑張ろうと思っていたらいつの間にか険悪なムードに。
 しかしですよ、ほら、仲良くなるためには心の闇を知っておく必要がありますし、ここからでもリカバリー聴きますよね?
 特に犬尉さんと焔織さんのメンタルが心配です。
 次回はもっとすっきりする終りを目指したいと思います。
 また、前回のオーダーに猪八戒さんの事も書かれていたので今回ちょっと今まで雰囲気違う形で出させていただきました。
 玄武の力を引いている設定なので、生きていたことにしてもいいかも? 
 其れではまたお会いしましょう、ありがとうございました。
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2018年10月26日

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