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『 とある体育教師の日常 』
東江 刀護aa3503

 放課後。
 学校の廊下を体育教師の東江 刀護(aa3503)は一人歩いていた。
 彼は学校の敷地内にある道場に向かっていた。
 道場は空手部が毎日のように部活の練習で使用しており、東江も空手部の顧問として彼らに空手を教えていた。
 毎年秋に開催される沖縄の空手大会ももうすぐ始まる。当然空手部もこの大会に出場する予定だ。
 秋の大会に向けてこれから気合を入れて生徒達に指導をしていかなければならない。
 彼がそう思っていた。

 その時。

「東江先生」
 突然呼び止められ、東江は足を止める。
 振り向くとそこには一人の女性の教師がいた。水色の髪のポニーテールに美しい顔をした女性だった。
「み、美川先生……」
「部活に行かれる前にお会い出来て良かったです。あのこれ、この前の助けて頂いた時のお礼です」
 そう言って美川は東江に手にした紙袋を差し出した。
 先週の休日の時、たまたま街に買い物へと出掛けた東江は偶然美川が他の男達と話しているのを見掛けた。
 最初は知り合いかと思ったが、彼女の様子を見るとどうやら知り合いではなくナンパだった。
 しかもタチの悪い事に彼女に断られても食い下がり、仕舞いには男達は彼女を無理やり何処かへ連れて行こうとしていた。正義感が強い東江は困っている彼女を放っておけず助けたのだった。
「あの時は有難うございました。本当に助かりました。お口に合うか分かりませんが、もし良かったら召し上がって下さい」
 美川からにっこりと微笑まれ、内心心臓がドキドキと緊張している東江は美川から紙袋を受け取ると礼を言った。

「べ、別に対した事はしていません……。これ有難うございます。……ぜ、是非美味しく頂かせて頂きます……」
 どもりながらも何とか彼はお礼の言葉を口にする。
「良かった。では私もこれから部活なので、これで失礼します」
 東江にそう告げると彼女はその場から去って行った。
 彼女が去って行ったあと東江は安堵に似た短い溜息をついた。
 彼女が嫌いではない。
 東江は女性が苦手だった。その為彼女と話をしている時彼は内心緊張をしていたのだった。
 東江はふと渡された紙袋へと視線をやった。紙袋の中から少しだけ綺麗にラッピングされた手作りの焼き菓子が見えた。
 これは彼女なりの気持ちがこもったお礼なのだろう。
 東江はそう思い、再び歩き出した。



「以上が今回の大会のメンバーだ。大会までもうすぐだ、各自練習に励むように。以上だ」

 東江は空手部のメンバー全員にそう告げた。
 彼の言葉を聞いて、生徒達は各自それぞれ練習へと取り掛かり始める。
 選手に選ばれて喜ぶ者も入れば、中には選ばれずに落胆をしている生徒の姿も少なからずいた。そんな中で一人の男子生徒が東江へと近づき、話し掛けて来た。
「先生、俺を選手に選んでくれて有難うございます! 俺頑張ります!」
 嬉しそうに意気込んで話す生徒に東江は言った。
「お前が選ばれたのはお前自身が自分で努力をして頑張って強くなった結果だ。俺の力じゃない」
 彼は一度言葉を切り、そして続けた。
「だが頑張れよ。期待しているからな」
 東江の言葉を聞き、生徒は嬉しそうに頷いた。
「はい! 期待してて下さい、俺今よりもっと強くなれるよう頑張ります!」
 そう言って生徒は他の部員達の元へと駆けて行った。
 その姿を見て東江は口元をふっと緩め、そして彼もまた生徒達の方へと足を向けたのだった。





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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa3503/東江 刀護/男/29/人間/リンカー】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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こんにちは、せあらです。
この度はおまかせノベルのご注文の方有り難うございます!
今回ifでのパラレルワールドとの事でしたので、パラレルワールドならではの世界観をガラリと変え、
学園もので書かせて頂きました。いつもリンカーで活躍をされています為、たまには違う世界で楽しんで頂けましたら嬉しく思います。
リテイクなどがありましたらお気軽にお申し付け下さい。
今回はご注文の方本当に有り難うございました。

せあら

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2018年10月29日

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