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『罪の源と探究心 』
雨を告げる鳥ka6258

 古代文明崩壊を招いた終末に、古代文明の人々は何らかの抵抗を見せていた。
 もし、その抵抗の片鱗でも確認する事ができればこれから起こると予見されている終末を止める事ができるかもしれない。
 雨を告げる鳥(ka6258)の考えは、再び自身を古代文明の遺跡へと赴かせていた。

「…………」
 雨を告げる鳥は、瓦礫と化した山を前にしてそっと瓦礫に指を這わせる。
 そこにあるのは破壊された壁画の一部。
 対ビックマー戦でラメトクにより巨大化した幻獣王。その際、チュプ大神殿の一部が破壊されたのだが、跡地より発見されたのがこの壁画であった。
 何らかの人物の足。
 その足元に横たわる人々。
 よく見れば人々の顔は、呆けているようにも見える。
「私は思い出す。あの男は終末の先に楽園がある、と言った事を」
 楽園。
 仮に終末が何らかの攻撃だとした場合、ここに描かれるべき人物は苦悶の表情を浮かべているべきだ。
 だが、描かれているのはそのような表情ではない。
「私は思考する。ここに描かれているのは、睡眠?」
 この壁画に描かれている光景は、確かに終末の手掛かりに違いない。
 そして、終末の備えであるとするなら、ここ以外にも描かれている可能性はある。
 一つ描いて壊れてしまえば備えにならない。何カ所にも描く事で破壊のリスクを軽減しているかもしれないからだ。
「私は決意する。他の壁画も捜索する、と」


「あ? 穴掘ってて絵を見たことがあるかって?」
 雨を告げる鳥が赴いたのは要塞『ノアーラ・クンタウ』地下。
 チュプ大神殿の壁画も地下に存在した。もし、他にも壁画があるとすればチュプ大神殿と同じように地下に存在する事が考えられる。
 だとすれば、地下で鉱石を採掘するドワーフなら目撃している可能性がある。採掘中に古代魔導アーマー『ピリカ』のパーツを発見するぐらいだ。遺跡もいくつか目撃していてもおかしくはない。
「私は懇願する。教えて欲しい」
「そう言われてもなぁ」
「ああ、確かにたまーーにみた気がするんだけどよぉ」
 ドワーフ達は頭を悩ましているようだ。
 勤勉で仕事に打ち込む事から、注意深く見ていなかった為に忘れているのかもしれない。
「悪いな。見つけたら報告してやるからよ」
 申し訳なさそうなドワーフ。
 だが、傍らにいたドワーフがある事を思い出したようだ。
「あっ……」
「なんだよ、急に声だして」
「あそこにあるかもしれねぇな。開かずの扉」
「ああ!」
「私は問う。開かずの扉とはなにか?」
 雨を告げる鳥はドワーフの言葉へすかさず反応する。
 開かずの扉という事は、ドワーフ達は入っていない事を意味している。
 発見されるまでに誰かしらが侵入した事も考えられるが、調査する価値はある。
「ここから西にある採掘場の奥に大きな石の扉があるんだ。その扉がどうやってもあかなくてなぁ。壊そうとしても頑丈で壊れやしねぇ」
「私は依頼する。そこへ案内して欲しい、と」
 雨を告げる鳥は終末に繋がる鍵を見つけたかもしれない。


 開かずの扉を前にして、雨を告げる鳥は扉にそっと手を触れる。
 詳しく調査をしてみなければ分からないが、チュプ大神殿に似た材質を使っているようにも見える。その証拠なのか、扉には脈打つように時折青白い光が走っている。
「ここだよ。まったく、どうやって開けるのか……」
「!」
 愚痴るドワーフの横で扉を調査する雨を告げる鳥。
 指先に扉に描かれた文様があるように気付いた。雨を告げる鳥は文様を指で押してみる。
「おっ! なんか扉が光り出した。何か書いてあるぞ」
「私は願う。それは古代文明の文字。分かるなら読み上げて欲しい」
「確かお前、少しは読めたよな」
「ああ。えーと……」
 ドワーフは文字を辿々しい感じで読み上げる。
 そこに書かれていたのは……。

『七つの冠において、死者が罪を清める。さすれば、天国への入る事を許される』

「なんだそりゃ?」
「俺に分かるわけねぇだろ。さっぱり分からん」
 ドワーフ達も腕を組んで唸っている。
 その横で雨を告げる鳥は脳裏で思考を巡らせる。
 チュプ大神殿と同じだ。謎解きを与え、それを解除できた者に扉を開く。
「私は再び願う。今から告げる言葉を文字の下に打ち込んで欲しい」
「打ち込むって?」
「……あ。ここに文字が書かれたボタンがいっぱいあるぞ。これじゃねぇか?」
 ドワーフ達は入力ボタンの前に陣取って雨を告げる鳥が言葉を告げるのを待った。
「傲慢、強欲、嫉妬、憤怒、暴力、狂気、怠惰」
「えーと、傲慢が……」
 ドワーフは雨を告げる鳥が言った言葉をゆっくりと入力し始める。
 七つの冠において死者が罪を清めるとは、罪の源とされる七つの大罪を清める事を意味する。
 つまり、ここで罪の源である七つの大罪を入力するのが答えとなる。
「おお! 扉が開くぞ!」
 入力を終えたドワーフが感嘆の声を上げる。
 開かれる開かずの扉。
 雨を告げる鳥の前で、進むべき道を指し示した。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka6258/雨を告げる鳥/女性/14歳/魔術師】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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近藤豊でございます。
この度はおまかせノベルの発注をありがとうございます。
前回の続きである古代文明の探求についてフィールドワーク編をさせていただきました。新たに発見された遺跡。そこに何があるのか――そこでちょうど文字数が阻む結果となってしまいました。その先に何があるのか。機会があれば是非描かせていただければと思います。宜しくお願い致します。
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近藤豊 クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2018年11月05日

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