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『運命は、純白の花 』
迫間 央aa1445)&マイヤ 迫間 サーアaa1445hero001

 迫間 央(aa1445)は地方公務員である。
 地方公務員は公務員ではあるが、まあ、地味。国家公務員でもない訳だし。
 地方公務員と国家公務員をごっちゃにしている人はいるが、結構違う。詳しくは長くなるので語らないが。知りたい人は調べてくれ。
 そう言う訳で、大変地味ではあるが、一定の固定給と有給休暇は保証されている。安定した職業だ。
 地味で手堅い普通な人生を送って来た、ほぼほぼ真っ当で当たり前な日本人男性の俺。
 そんな俺の元に、ある日ウエディングドレス姿の美女が舞い降りた。

 なんて、何処かのライトノベルの冒頭みたいな回想だが、実際の事だから仕方が無い。
 俺の元にやって来たマイヤ サーア(aa1445hero001)は、とても美人な女性の姿をした英雄だ。
 蒼い豊かな長い髪と、黄金の双眸。何処か儚げな、いつの間にか消えてしまいそうな雰囲気を持った、俺と誓約をしなければ本当に消滅していただろう英雄だ。
 過去には依存したり距離を置いてみたり、まあ、色々苦難を乗り越え、ついにマイヤと婚約。法的な問題やらお互いの感情の整理やら、まだまだ課題は多いが、二人ならなんとかなるだろう。
 仕事(地方公務員)も趣味(エージェント活動)もプライベート(マイヤとのあれこれ)も充実した、忙しいながらもリア充ライフを送っている。

―完―


 ……とは勿論ならない訳で。
 まあ、色々、問題はありつつの、人生山あり谷ありの地方公務員兼エージェント(25歳)。
 それが俺だ。
 ウエディングドレスを身に纏ったマイヤと、本当に結婚式を挙げて平穏に暮らしたいと言う願望はなくもないが、今は其処まで考える暇はない。
 取り敢えず、マイヤの喪失感から来るのか、引っ込み思案な癖に好戦的な部分とか。
 俺も有給休暇を使って、結構な数の依頼をこなしているんだが……マイヤからの頻繁な依頼をしようとの要求には逆らえないところもあって、ぎりぎりの休みの残りを数えながらエージェントとしての依頼に向かう日々。
 愚神や従魔がいなくなるまで、俺はマイヤにゆっくりとさせて貰えないだろうな。
 はあ、マイヤは俺を振り回しつつも、そんな毎日を楽しんでいる俺も大概だ。
 ライトノベルの主人公には些か年を取っている気がしなくもないが、主人公みたいな感じで過ごす日々は面白いし、人生の中でも今が一番充実しているので幸せなんだろう。
 今日も俺は有給休暇を消化して、依頼をこなしに向かう。


 央はワタシに生きる理由をくれた人。
 ワタシ、マイヤは央の事をどう思っているか、と問われると、そう言う答えになってしまうのよ。
 恋人とか、婚約者とか、央とワタシの関係性に名前を付ける事は簡単だけれど。きっと、そうじゃないと思うの。
 多分、消滅を望んでいたワタシの意識を呼び起こした央の呼び掛けに応えたその時から、央は特別な人だったのよ。
 記憶も何も無いワタシを受け入れてくれた人。必要としてくれた人。それが央。
 彼の為になにか出来ることはないかしら。
 今は感謝をしつつも。目を合わせるのも出来ないし、料理や家事も出来ないし、仕事に疲れて帰って来た央をそっと眺めるだけだけれど。
 ワタシは央に何かしてあげられるのかしら?
 復讐に燃え上がる心を抑えきれないワタシが、央と共に歩む今を選んだ事は、央にとって、本当に幸せな事なの?
 ワタシはワタシに問い掛ける。
「今のワタシは央に何をしてあげられるの?」


 二人が共に過ごす事は余り無い気がする。そう迫間は感じていた。
 マイヤは普段は幻想蝶の中から余り出てこないし、お互いに求め合っていると言っても、一般的な恋人同士とは少し違う関係だ。それ程一緒に過ごす時間がなくても仕方が無い。
 その日は珍しく、マイヤが幻想蝶から出て、何かもじもじとしていた。
「どうした。マイヤ。なんだか様子がおかしいけど」
「……あの、ね。央。あなたにプレゼントを用意したのよ」
 ウエディングドレス姿のマイヤが差し出したのは、カラーを使った花束だった。純白のカラーを基調とした豪奢な花束は、マイヤの美貌によく映えた。
「央の誕生日まで、一緒にいられるか分からないから……カラーは5月31日の誕生花らしいわ」
 それを聞いて、迫間は自分の誕生日を思い出した。この年になると、余り人から祝われる事も少ない。素直に嬉しく、少しだけ恥ずかしく、無言でマイヤの持つ花束を受け取った。
「それでね……カラーの花言葉、なのだけれど」
 迫間は花言葉を調べるなんてやっぱり女性らしい感性だと、マイヤを可愛らしく思いつつ、続く言葉を待った。
「カラーの花言葉は『乙女のしとやかさ』『清浄』なのよ。あの、清浄って言うのは……花の姿が、純白のウエディングドレスの裾を思わせるから、らしくって。だから、その……」
 真っ赤に染まった頬を隠すようにマイヤが両手で顔を隠すのを、迫間は胸の中に抱き締めた。
「マイヤ。おまえの気持ち、伝わったから。花束も、おまえも、俺が貰った……って言う事で良いんだろう?」
 胸の中で恥ずかしさに悶えるマイヤは言葉には出さなかったが、一つだけ頷いて肯定した。それだけで充分だった。
「しとやかではないけど、清浄……かも怪しいけど、凄く、お前に似ている花だと思う。俺の誕生花がマイヤにそっくりって、運命……なのかもな」
 白いすらりとした花の姿と、胸の中の白を纏った彼女は、なんだかとても似ていて、自分に与えられた運命そのものという気がした。
「俺は、俺の運命を受け入れる、マイヤ」
 純白の花と純白の彼女が、己の運命なら。
 運命と言うのは、驚く程に、必然的なものなんだろう。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa1445/迫間 央/男性/25】
【aa1445hero001/マイヤ サーア/女性/26】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 お待たせしました。
 今回はモチーフに迫間 央様の誕生花のカラーを使用致しましたが、お二人にぴったり過ぎて、
「え、設定した時に其処まで考えていた?」
 と驚いてしまいました。
 カラーは素敵な花なので拙い文章力では表現出来ませんでしたが、実際に画像を御覧になると分かりやすいかと。
おまかせノベル -
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2018年11月06日

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