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『未来の礎 』
シェリル・マイヤーズka0509

 リアルブルー封印作戦――。
 邪神が召喚されたリアルブルーは、最大危機を前に地球を凍結させる作戦を発動させる。
 それは人類にとって最善ではあれど、最良とは言えない作戦である。
「……残るシャトルは……あと、一つ……」
 シェリル・マイヤーズ(ka0509)の乗り込むオファニムは、ラグランジュポイント付近の宙域を進んでいた。
 リアルブルーが封印されるとなれば、地球にいた人間も凍結される事になる。そうなれば、封印が解かれるまで身動き一つ取る事はできなくなる。そうなる前にイギリスにある強化人間研究施設『アスガルド』より昏睡状態の強化人間を月面基地『崑崙』へ移送する作戦が開始された。
「眠る子供達……必ず、守るから」
 オファニムのモニターには今も眠り続ける強化人間の子供達が乗せられている。
 噂では崑崙へ行けば強化人間も邪神の声が聞こえなくなるという。強化人間の暴走がこの声に影響しているとするなら、強化人間達を一刻も早く崑崙へ運び込まなければならない。
 だが、その移動をVOIDが見逃すはずもない。
 強化人間を移送するシャトルを狙って攻撃を仕掛けてきているのだ。
「さすがはハンター。瞬く間にVOIDを倒す手際、見習いたいものです」
 シェリルの戦いを見ていた統一地球連合宙軍の軍人が通信回線を繋いできた。
 今回の作戦には統一地球連合宙軍も相応の覚悟で望んでいた。
 すべての地球人を救う事はできない。ならば明日を繋げる希望がある者達を、崑崙へ輸送するべきだ。そう考えた軍人達も組織内部に存在。命令違反も承知の上で、R7エクスシアに乗って駆けつけてくれた。
「大した事は……して、いないから。やるべき事を、やっただけ……」
「そのやるべき事をやるってだけでも凄いですよ。この状況じゃ……」
 そう言いながら軍人は語尾を濁らせた。
 彼らも命を賭して戦っている。今までだってそうしてきた。
 異世界からハンターもやってきてVOIDへ対抗できると考えていたにも関わらず、その結果は地球封印。軍人達の中にも無力感を感じる者がいてもおかしくはない。
「大丈夫……やるべき事は、みんな違う……から」
「ありがとうございます」
「おい、そこの二人。油断しているなよ」
 軍人の先輩らしき男が、R7エクスシアで近づいてきた。
 護衛任務も間もなく終わる時だからこそ、先輩が一喝してきたようだ。
「いいか。こういう時こそ危ないんだ。敵がどこから来るか……」
「大丈夫ですよ、先輩。……ほらっ」
 後輩がシャトルから離れ、宇宙空間でくるりと回ってみせる。
「こらっ! まだ任務中だぞ」
「敵も主力は邪神周辺や世界樹付近ですよ。こんな宙域には……」
 後輩がそう言った瞬間、シェリルのオファニムに警報が鳴り響く。
 レーダーに複数の敵影が表示される。
「敵……多数……」
「なんでこんな時に! おい、シャトルへ戻れ!」
「は、はい……」
 転進しようとする後輩のR7エクスシア。
 だが、その機体を後ろから貫いた光線。
 R7エクスシアの胸部を通過して漆黒の宇宙へと消えていく。
 ――爆発。
 後輩のR7エクスシアは宇宙の中で火球と化した。
「くそっ!」
「敵、接近……その数……」
 シェリルは頭を切り替えてレーダーを再確認する。
 既にシャトル周辺に敵は出現。包囲する形で取り囲んでいる。小型狂気を潜ませていたのだろう。
「90を、越える。すべてを倒すのは、難しい……。それに」
 シェリルは後方のモニターを映す。
 後輩が狙撃された方向――このモニターからでも目視で確認できる。
 深い紫の歪虚CAM。新型の可能性もある。
「この場を、切り抜ける……新形は、私が……」
「ダメだ」
 シェリルの提案を先輩軍人は即座に却下する。
「どう、して?」
「お前があの新型を相手にすれば、残る敵を俺一人で抑えなければならん。正直、シャトルを無事に届けられる自信がない。だから……!」
 先輩のR7エクスシアが転進する。
 シャトルを離れて向かうのは、新型歪虚CAMの元――。
 それはシェリルにも分かる。先輩軍人だけで勝てる相手ではない事を。
「ダメ……行っては……」
「ふふ、優しいな。だが、その優しさはシャトルで眠る子供達に向けるんだ。俺達のようなロートルにできるのは、未来へ可能性を繋ぐ礎になる事だ」
 先輩のR7エクスシアに装備されたスラスターに火が入る。
 一気に加速して新型CAMへと肉薄する。
「うぉぉぉ!」
 VOIDのマテリアル砲で、R7エクスシアの手足が吹き飛んでいく。
 無謀。だが、技術で勝てない事が分かっている先輩が見せた最後の意地。
 それに応えなければ、先輩の時間稼ぎは無駄に終わる。
「シャトル前方の敵を、倒して……道を、拓く」
 オファニムのアサルトスラスター「パンティラス」でシャトル前方の敵へ突進するシェリル。
 シャトルを狙って攻撃しようとしていた小型狂気の一団を、シェリルは斬機刀「新月」で次々と斬り倒していく。
「邪魔を……するな。このシャトルの、行き先は……未来だ」

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka0509/シェリル・マイヤーズ/女性/14/疾影士(ストライダー)】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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近藤豊でございます。
この度はおまかせノベルの発注をありがとうございます。
本編の一シーンとして描いてみました。一緒に戦ったであろう軍人達は、ハンターに夢と希望を抱きながら想いを託していったのではないかと考えております。ハンターと統一地球連合宙軍の軍人達がどう考えて来たのか。もっと掘り下げてみても面白いかもしれません。
それではまた機会がございましたら、宜しくお願い致します。
おまかせノベル -
近藤豊 クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2018年11月07日

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