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『ドワーフ工房体験記 』
ソフィア =リリィホルムka2383

「へぇ〜。そうやるんだ。辺境のドワーフも結構やるね」
 ソフィア =リリィホルム(ka2383)は、辺境のドワーフ工房『ド・ウェルク』を訪れていた。
 辺境ドワーフ王ヨアキム(kz0011)のインパクトばかりに目が行きがちだが、辺境ドワーフで最大の集落となっている地下城『ヴェドル』は数多くの武具を生産してきた。元々ドワーフは勤勉であり、昼間は課せられた仕事をせっせと進めているのである。
「ほぅ。見て分かるか」
「まあね。これでも鍛冶師兼機導師だからね」
 ソフィアの目の前では鉱物に眠るマテリアルを引き出した上で、通常の武具に付与する作業が行われていた。
 フェルツと呼ばれる担当の仕事だが、熟練しているだけあって手際がいい。
 専門職なのかもしれないが、ソフィアの目から見ても腕は確かに見える。
「ここで作られた剣が帝国から連合軍で使われるんだ。俺達じゃ歪虚に勝つのは難しいかもしれねぇが、武器を作る事で裏から支えているつもりだ」
「物を作っている間って、使う人を考えちゃうよね。どんな人が使ってくれるかなーって」
 ソフィア自身にも覚えがある。
 この世に生み出された物が、どのような経路を通って人の手に渡り、その者の人生に影響を与えるのか。
 武器であるなら、強敵を前にしてどのような働きをするのか。状況によっては使用者の命すら左右しかねない。
 そんなソフィアの言葉にフェルツのドワーフも上機嫌だ。
「おっ、分かってるねぇ。ちょっと仕事手伝って言ってくれよ」
「え? いいの?」
 ソフィアは嬉しそうに工房の中へと入る。
 テーブルの上にはどれも使い込まれた道具が並べられていた。
 手入れが行き届き、職人の手によって新しい武具が生み出されている現場だと思うとソフィアも何だか嬉しくなってくる。
「エテルタからの指示は……」
「エテルタ?」
「ああ、仕事を受けて細かく指示する担当をエテルタってぇんだ」
 ド・ウェルクではドワーフの担当は三つに別れている。
 通常の武具を作成する職人をクレムト。
 マテリアル系へ武器を加工する職人をフェルツ。
 そして、仕事の受発注や支払い、配合の指示を行うエテルタ。
 大口の顧客である帝国工房担当と折衝するエテルタを個別に設け、ドワーフ達は分業で仕事を進めている。
「じゃあ、早速始めるか。次は……修道院で使う火属性の鍋か」
「え? 鍋を作るの?」
 ソフィアは思わずエテルタからの指示書を手に取った。
 確かにそこにはクレムトで作られた鍋に火属性を付与するよう書かれていた。
「そりゃ作るさ。ド・ウェルクじゃ、日用品も作るんだ」
 言われてみれば、確かにそうだ。
 武具も作るだけではなく、日用品を作る事もある。
 辺境ドワーフは連合軍の戦いだけではなく、一般市民の生活も支えている。
 同じ鍛冶師としてソフィアも嬉しくなってくる。
「じゃあ、やってみろ。この鉱石を砕いて使うんだ」
 ドワーフがソフィアの前に出したのは、いくつかの鉱石。
 赤く光っているのが火属性のマテリアルを含んだ箇所になる。
 ソフィアは早速鉱物を砕き始めるが、ここでドワーフが思わず声をかける。
「え、それだけか?」
 ソフィアが鍋に使うのは予定よりもずっと少ないマテリアル。
 指示書と比較しても半分程度の文量だ。
 ドワーフの言葉を尻目にソフィアは鍋に火属性のマテリアルを付与していく。
「それじゃ少ない……」
「いや、それでいい」
 ドワーフの背後から声をかけたのは、ヨアキムだった。
 通りかかった際にソフィアが工房で作業していたのを目にしたのだろう。
「あ、兄貴」
「普通のレストランで使うなら、指示書通りだ。だが、今回は修道院だろ?
 だったら、料理も限定されてくる。火力もそれ程強くなる事はねぇはずだ」
「あ……」
 ヨアキムの一言でドワーフもソフィアの意図に気付いたようだ。
 高火力の必要なレストランであれば、火に強く熱伝導率の高い加工が必要だ。
 だが、修道院であれば大人数の食事を大きな鍋で作る事が想定される。事実、ソフィアが加工していた鍋も相応の大きさだ。だとすれば、長く丈夫に使える事が重要であり、火属性を付与するのであれば鍋底を中心に薄く広げるのが常道だ。
「そ。後は、鍋の方にちょっと手を加えればいいかな」
 ソフィアはテーブルに乗っていた小槌を手にすると、丁寧に叩いて伸ばして行く。
 上部にすると同時に熱が均一に伝わるよう細かく叩いていくのだ。
「へぇ〜。やるねぇ」
「馬鹿野郎! ハンターのお嬢ちゃんに教わってりゃ世話ねぇぞ。しっかり覚えておけ。エテルタの奴には俺から言っておくからな」
 感心するドワーフを横から一喝するヨアキム。
 普段は馬鹿やっているが、これでも腕の良い職人なのだ。
 その事はソフィアの仕事を一目で見抜いた事からも分かる事だ。
「こんな腕の良い嬢ちゃんなら、もう少し工房を見ていくか?」
 どうやらヨアキムもソフィアを気に入ったようだ。
 職人が切磋琢磨するド・ウェルクを、ソフィアは気に入り始めていた。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka2383/ソフィア =リリィホルム/女性/14/機導師(アルケミスト)】
【kz0011/ヨアキム/男性/54/機導師(アルケミスト)】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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近藤豊でございます。
この度はノベルの発注ありがとうございます。
正直、久しぶりに仕事するドワーフを書いた気がします。ヨアキム、そう言えば腕の良い職人でした。
機会あれば、古代遺跡から出土したパーツの加工や辺境魔導アーマーなんかを弄るシーンを何処かで描ければとは思います。
それではまた機会がありましたら、宜しくお願い致します。
おまかせノベル -
近藤豊 クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2018年11月08日

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