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『神と終末 』
星野 ハナka5852

 星野 ハナ(ka5852)は、辺境の東――マギア砦から北に数キロの地点にいた。
 鬱蒼と茂る森。
 太陽の光は遮られ、昼間のはずなのに薄暗く感じる。
 足元は枯葉地面を埋め尽くし、時折足を取られそうになる。

 他のハンターもいない場所で――たった一人。
 何故、ここにいるのか。
 それは『ある依頼』を受けた為である。
「あ! やっと見つけたですぅ」
 森を歩き続けたハナは、ようやく目的の人物を発見した。
 人物、と言っても人間ではない。
 歪虚。それも高位と目される存在だ。
「終末の天使。既に終末の到来は約束されています。今更足掻いてもどうにもなりませんよ?」
 『神の御遣い』を自称する歪虚ブラッドリー(kz0252)。
 先のビックマーを巡る戦いでは影に隠れて暗躍。一説ではブラッドリーが告げる終末なる物を到来させる為にハンターを使ってビックマーを倒させたとも考えられている。
 得体の知れないブラッドリーを前に、ハナは臆する事無く問い詰める。
「えっとぉ、終末っていうのがなんなのかぁ。ちょっと聞きたくてぇ」
 ハナが受けた依頼。
 それはブラッドリーの告げていた終末について調べる事。既に複数のハンターが調査している事案であるが、部族会議は明確な対応を取れていない。未だ何が起こるかも分からない事象を前に対策を立てる事は困難だからだ。
 そんな中で、ハナのとった行動は大胆かつ直球であった。
「私に直接聞く、という訳ですか」
「そうですぅ。本人に聞けばぁ、早いし分かると思ってぇ〜」
 ハナはブラッドリー本人を探し出し、直接終末について聞き出すつもりなのだ。
 終末の正体が分からない以上、それはいつ来るのかも分からない。下手をすれば残された時間も残り僅かかもしれない。
 そう考えれば、ハナのとった行動は合理的と言えるだろう。
 ――しかし。
「終末。それは神が下す審判。人々は神の力の前に自らの無力さを知る。穢れた魂は、神の怒りを受ける事になるでしょう」
「え〜。何だか分からないですぅ」
 ブラッドリーの発言は独特で難解なのだ。
 今の言葉を聞いてもハナにはサッパリ理解できない。
「つまりぃ、神様がいてぇ……その人が、怒ってるって事ぉ?」
「そうです。ですが、私たちが行くべき場所……楽園『フロンティア』はその終末の先にあるのです」
「ふろんてぃあ〜?」
「フロンティア。そこは約束された楽園。苦しみも悲しみも存在しない場所。神のお側で、我々は暮らすことができるのです」
 ブラッドリーは終末の先に楽園があるも言っている。
 整理すれば、神は人々を選別。気に入らない者は怒りで罰し、気に入った者は楽園へ招待する。
 謂わば、神による人々の選別。
 それは正直、ハナからすれば気に入らない話だ
「神だっけ? 何者だか知らないけどぉ、やたら偉そうですぅ」
「……何ですって?」
 ハナの言葉にブラッドリーは眉を顰める。
「だってぇ、何の権限があってぇ他人を勝手に選別するんですぅ? 何様って感じぃ? 単に力が強いだけならぁ……私だって神様ですぅ」
「神よ、お許し下さい。この者は神の偉大さも尊さも知らないだけなのです」
 神に祈るブラッドリー。
 ここでハナは賭けに出る。
 危険で高すぎるリスクだが、やってみる価値はある。
「あ、祈る先が違ってますよぉ。祈るなら、私にですよぉ?」
「……!」
 ハナの言葉を受け、ブラッドリーの空気が明らかに変わった。
 流れる負のマテリアルが、ハナの体に突き刺さる。
 怒り。それも純粋かつ静かな怒りだ。
「神の御名において、あなたに祝福を……」
 ブラッドリーの周囲に漂う光球は、激しく動き回る。
 まるで今からでもハナに襲いかかるかのような勢い。
 戦いの中で終末に関する情報を引き出す。
 ハナがうまく立ち回れば、他のハンターよりも重要な情報を握る事ができる。
 だが、高位歪虚の攻撃を躱しながら挑発を交えて情報を得なければならない。
 仲間は誰もいない。
 一対一の戦いをどの程度まで続けられるか。
 それは、ハナにも分からない。
 だとしても――。
「もう……やるしかないですぅ!」
 陰陽符「天光」を取り出し、ブラッドリーの姿を見据える。
 パリィグローブ「ディスターブ」を装着した指に力が込められる。
 もしかしたら、ハナの活躍次第で終末を止められるかもしれないのだ。
「偽りの神。貴方を悔い改めさせましょう。この世界から消え失せる事で、きっと神はお許しになります」
「私はぁ、見た事もない神を信じる気もないしぃ〜、何より勝手に人を選別する神なんてぇお断りですぅ!」
 複数の天光で張られる結界。
 中にいるブラッドリーに向けられる強い光。
 だが、ブラッドリーもその光を光球から生み出した光の盾で防御する。
「神を名乗る惑いし魂。煉獄へ送るだけでは生温い。コキュートスへ流して差し上げます」
 ブラッドリーの本が風に吹かれたように勢い良くページがめくられていく。
 何か来る――。
 それでもハナは一切臆する様子もなかった。
「何をしてくれるかぁ楽しみですぅ。キャハ!」

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka5852/星野 ハナ/女性/24/符術師(カードマスター)】
【kz0252/ブラッドリー/男性/26/歪虚】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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近藤豊でございます。
この度はおまかせノベルの発注をありがとうございます。
今回はブラッドリーとの会話、戦闘シーンを描かせていただきました。
温和そうなブラッドリーを挑発するハナさんの姿を描きながら、終末に関する情報を引き出すには……という試みでございます。
本編とは違った展開ではございますが、お楽しみいただければと思います。
それではまた機会がございましたら、宜しくお願い致します。
おまかせノベル -
近藤豊 クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2018年11月09日

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