▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『タスカービレのエクラ教 』
ディーナ・フェルミka5843

「あっ!」
 ディーナ・フェルミ(ka5843)が声をあげた次の瞬間、もうそこに彼女はいません。残されたおばさん二人は目を閉じて神にお祈りを捧げている最中だったりします。
 で、それを放置してどこに行ったかというと……。
「鑑さん、ただいまですの」
「お帰り、ディーナ」
 全速ダッシュでむぎゅうとイ寺鑑(kz0175)に抱きついたディーナ、にへ〜と満足そうに見上げます。
 鑑は微笑み返して聞きます。
「怪我はない? 依頼、どうだった?」
「美味しいものたくさんだったの。悪いことする雑魔もいっぱい倒したの!」
「美味しいもの……まあ、大成功みたいで何より」
 いつもそんな感じだよなあ、と鑑。で、帰って早々にエクラ教のお勤めをしていたような、とおばさん二人に目を向けると。
「まあ、相変わらず仲のよろしいこと」
「ここは若い二人にお任せして……」
 にこにこしながら退散してますね。
 おや。
 大きな袋が残ってますよ?
「そうなの! みんなのために美味しいものたくさん持って帰ったの。これでみんなで一緒に楽しく過ごすの!」
 ディーナ、ぴゅ〜ととって返し大きな袋をサンタのように担ぎます。で、ネコ耳カチューシャ付けて鑑の元に走るとにこやかに見上げて言うのです。
「がおーなの! トリックオアトリートなの!」
「……ディーナ、それはもらう方だよ」
 幸せそうに襲っちゃうぞポーズするディーナ。鑑はどうしたものかと指先で頬ぽりぽり。
「じゃあ鑑さんがこれつけるの!」
 かぽ。
 ディーナ、つま先立ちして鑑に猫耳カチューシャを付けます。
「いや、そういう問題では……」
「じゃあどうしたらいいのなの。鑑さんやタスカービレの子どもたちや道場の弟子さんたちと一緒に美味しいもの食べて楽しくパーティーしたいの!」
 ディーナ、首いやいやして主張。鑑としてはなだめるしかなく……。
「……そうか、いい手がある」

 しばらく後、青竜紅刃流道場の看板――その横にエクラ教タスカービレ教会の文字もあります――のかかった建物内で。
「はやく鑑さんも脱いじゃうの!」
「ちょ……着替えはディーナだけでいいって!」
 ミルク色のキャミソール姿になったディーナがはやくはやくと鑑を素っ裸にしようと脱衣お手伝い中。鑑は話が違うとばかりに抵抗中。
「ダメなの! 鑑さんも一緒がいいの!」
 とっほっほ、と脱がされまるごと狼を着込む鑑。
「はい。終わったよ」
「こっちももうすぐなの」
 着替えた鑑がディーナの方を向くと、んしょんしょとブラウスに袖を通してたりします。
 で、マントを纏って三角帽子をかぶって、仮装完了。
「できたなの〜。これで魔法使いさんなの!」
「じゃあ出掛けようか、ディーナ」
「はいなの♪」
 二人仲良く出発します。
 どこへ行ったかというと……。

 まずは手近な民家の前で。
「こんにちはなの! トリックオアトリートなの!」
 出てきた子供に元気よくにこやかに挨拶するディーナ。
「あらあら、シスターさんと師範さん。いまお菓子をお持ちしますね」
「あ、そうじゃないんです」
 子供の後ろにいた母親が奥に行こうとするのを鑑が止めました。
「美味しいお菓子がたくさんだから、悪戯されて誘拐されてほしいの〜」
「ええと、悪い魔法使いの魔法にかかって道場についていくという設定で遊びに来ませんか? ハロウィンのパーティーなので本当に悪戯しているわけではありません。ご安心ください」
 万歳して説明するディーナ。鑑が丁寧に説得します。
「楽しそう! ねえ、お母さん。行ってきていい?」
 ねだる子供に、母親は少し機転を利かせました。
「じゃ、お母さんは悪戯されたくないからお菓子を上げます。たくさん子供が集まるんですよね? これ、パーティーで食べてくださいな。……いい? 夕飯までには帰って来ること。約束できるなら行ってきていいわよ」
「わあっ。ありがとう」
 焼き菓子の包みを手渡す母親に、飛び跳ねて喜ぶ子供。それを見てディーナも飛び跳ね喜びます。
「ありがとうございます。じゃ、次行こうか」
「はいなの〜♪」
 鑑とディーナと子供が歩き出します。
 で、その後。
「いってらっしゃい」
「子供は仮装なしでもいいですか?」
「うちは姉妹だけど、大丈夫?」
 各家庭で魔法を掛けて誘拐して。
「出発した時は二人だったのに、いつの間にか行列になった……」
 鑑が振り返ると、足元や後ろには楽しそうについて来る子供がいっぱいです。
「子供たくさんなの〜。美味しいものたくさん持って帰ってよかったなの〜」
 横を歩くディーナも幸せいっぱい。
「おいしいものたのしみ〜」
「せんせえ、まだ歩くの?」
「はいはい。あと少しだから」
 鑑、たしなめます。本当に道場まではあと少しです。
「早く行くですの〜」
 あ。
 ディーナ、鑑の手を引いて走り出しました。待ちきれないようですね。子供たちも一斉に走り出します。
 ハロウィンパーティー、もう少しで開幕です。




━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
ka5843/ディーナ・フェルミ/女性/10/聖導士
kz0175/イ寺鑑/男性/35/舞剣士

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
ディーナ・フェルミ 様

 いつもお世話様になっております。
 ハロウィンパーティーものにしたのですが、ちょっとハロウィンから遅れてしまった申し訳ございません。でもまあ、時期がズレようとディーナさんはいろんな依頼に出掛けて美味しいものを溜め込んでみんなとわいわいするのですきっとそうなのです。
 タスカービレ村の中のエクラ教の教会、どこにしようかなぁと思ったんですが、青竜紅刃流道場と一緒がいいだろうなぁ、と。都合よくいきなり空き家があるとも限らないですしディーナさん依頼にも出掛けるから常駐ではないし。イ寺艦もそうですが、すでに青竜紅刃流道場は別荘みたいな感じです。
 え?
 ディーナさんのキャミソール姿を書きたかっただけではないのか?
 違います違います!
 本当に書きたかったのなら、髪の青いリボンとお揃いであるかのように胸の前には青いリボンもついてます、とか書いてます(結局書いてるやん)。

 本編はここで終わってますが、「ハッピーハロウィーン♪」の掛け声でハーティーは始まって、ディーナさんはにこやかにこれおいしいのもぐもぐこっちもたべごたえあるのはむはむとか幸せ笑顔なのです。
 で、子供たちの帰りは夕飯の時間にちょっと遅れて後日鑑さんが一人で各家庭を回って頭を下げる、までがセットです。

 では、ご発注ありがとうございました。幸せなひと時をご堪能くださいませ。
おまかせノベル -
瀬川潮 クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2018年11月12日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.