▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『 続。潮騒の音、遠く 』
サーフィ アズリエルaa2518hero002

『サーフィ アズリエル(aa2518hero002)』は石碑の前に佇んでいる。
 遠くに鳥の鳴く声が聞えた。港に船が帰ったのだろうか、人が港の方に流れていく気がする。
 それをサーフィは見送った。
 あてどなくのんびり歩くサーフィ。足取りは軽やか、風の上を滑るようだ。
 スカートがひらりと舞うと太陽光が反射する。
 平時にあってはその剣など体を支える杖にもならない。ただその状況が一番望ましいことをサーフィは知っていた。 
 サーフィは振り返って誰でもないあなたを見つめる。
「何度入っても慣れない感覚ですね」
 夢見心地、というのとは少し違うのだろうか。頭がぼんやりして、けれど照りつける光はとても気持ちがいい。
 サーフィは浜辺を歩く。
 かつてこの海が真っ赤に染まったことがあると聞いた。
 その血はすでに洗い流され海は青に染まっている。
 サーフィは振り返る。
 町が見えた。人でにぎわう街だ。
「この町は海産物が有名です」
 誰にでもなく告げて歩きだすサーフィ。
 行き交う人々は忙しそうにサーフィの隣をすり抜けていく。石造りの街並みは風が吹けば少々埃っぽいのだがサーフィはそれを気に入っていた。
 サーフィは路地裏に入る。
 太陽が直上から降り注ぐためか裏と言っても暗くはない、足元の割れたガラスが 反射して道が煌いて見える。
 この町は入り組んでいる。需要によって拡大を続けた結果裏路地は迷路みたいだ。
 上がって下がって。ちょっと休んで。また進む。
 迷路のような街をサーフィは知り尽くしていた。
 白い石から削りだされた手すりをなでて座る、ここは町で一番高い場所だ。
 ここからなら住宅地が見渡せる。人々が洗濯物を干すために張ったロープに色とりどりの羽織がかけられていた。それが風で一斉になびいてバタバタと音を立てる。
 この迷路のような街並みを行き交う人々が見えた。
 人々は目的地を目指しつつ、たまに空を見あげたり、すれ違った誰かと お話したりしている。
 少年少女たちが笑いながら眼下の迷路を走り回っている。
 こちらに来るなと思ったサーフィは手すりの上に足を通して通路に背を向ける形で足をぶらつかせた。
 背中を押されればまっさかさまに落ちる形だったが、この町にそんなことをする人間はいまい。
 そのうち子供たちがかけてきた。
 サーフィの後ろをはしゃいで通っていくものだから、サーフィは振り返る。
 男の子と目があった。
「ごきげんよう」
 告げるサーフィを一瞥すると男の子とは顔を赤らめて。
「こ、こんにちは」
 そう恥ずかしそうに言葉を返して、そして走って行った。
 やがて誰かの自宅にたどり着いたのか子供たちは家の中に入っていく。 
 ご飯だよーっという声が聞えた。
「そういえば」
 それをみてサーフィは思う、朝から何も食べていないな……と。
 そう思い出したサーフィは手すりから飛び降りることにする。下に誰もいないことは確認済み。両足と、腕も使って落下の威力を吸収するとそのままサーフィは何事もなかったかのように歩きだす。
 目の前には献立の書かれた看板が立っていた。
 この町の海産物は美味しい。
「この世界に氷を作る技術があればもっと新鮮な魚を町の外に出せたんですけどね。鮮度を保つ方法が乏しい世界では魚を流通させる方法は干物か漬物ですかね」
 美味しい海産物を食べるために港まで足を運ばねばなりません、とは以前聞いたことがある。ただ、食べ物に対する工夫はされているようだ。
「そういえば、肝心の魚料理を紹介したことはありませんでした」
 そう誰かに語るように告げるとサーフィは店の中に入る。
 と言っても御昼どきを過ぎてしまったのか、薄暗くひんやりした店内に客はまばらだった。サーフィはカウンターに座ると気のいいおばちゃんにおすすめの料理を頼む。
 魚のスープで煮込んだものがおすすめらしい。
「こちらの世界だとアクアパッツァが近いでしょうか」
 サーフィはなれた手つきでナイフとフォークを使い綺麗に魚を食べていく。
「御馳走様」
 そう胸に手を当てて海を思うサーフィである。
「こうして魚を食べられるのも、全ては黒鱗の英雄のおかげなんですよ」
 昔はちょっと魚を取っただけで人魚たちから顰蹙を買っていた。
 へたをすれば漁船の船底にトライデントを突き刺される。
 それで難破した船も多い。とサーフィーは語る。
 世界が手を取り合って仲良くした結果。この町の繁栄があり。平和がある。
「人魚たちは代わりに行動範囲を広げました」
 町に掘られている水路は今も町の外へ外へと拡大している。その水路を遡って人魚たちはこれまで以上に遠くにいくらしい。
「人魚は好奇心旺盛ですから。……あ、そろそろ時間切れのようですね」
 告げるサーフィーは振り返り穏やかに手を振った。
 するとあなたの視界がとろけだす。絵画を水に浸したみたいに視界が崩れてそして現実が戻ってくる。
 あなたはやがて目を覚ますだろう。するとあなたの顔を覗き込む少女がいて。
 そして……。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
『サーフィ アズリエル(aa2518hero002)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
 連続でご依頼ありがとうございます、鳴海でございます。
 今回は以前のシナリオでかき切れなかった風景を描写してみました。
 潮騒の音、遠くの後にもう一度サーフィさんの故郷の風景を見せてもらいに行った設定です。
 あの時かき切れなかったものを出してみました。
 気に入っていただければ幸いです。
 それではまたよろしくお願いします。
 鳴海でした。
おまかせノベル -
鳴海 クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2018年11月15日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.