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『 保護者の気苦労 』
レイオンaa4200hero001
 
『レイオン(aa4200hero001@WTZEROHERO)』はグラスを拭いて棚に戻した。
 ダンスフロアから漏れ聞こえてくる音に体を揺らす。
 ここからだとガラスに遮られてレーザー輝く踊り場が見えるのだが音は不思議と控えめに聞こえてくるのみ。
 防音ガラスなのだろうか。意外と内装にお金がかかっているお店なのだなとレイオンは実感する。
 そう、ここは自宅ではないキッチン。ちょっと大きめなBARの厨房である。
 本日はイベントデーで客が多いらしく人手が足りないとのことだった。ここでレイオンはお酒や料理を作りながら夜の街というものを勉強しているのだ。
(このような場所に彼女は似合わないでしょうか)
 レイオンはダンスフロアで身を躍らせるまだ若い男女の姿を見て思った。
 レイオンは英雄である。この世界に霊力で顕現している身ではあるがこの世界で生きるには先立つ物が必要だ。それに生活費を彼女にたかるわけにはいかない、彼女はあれでも少女だ、何かと危なっかしい彼女に自分のこと以外の面倒を見ろとはとても言えない。
 あと、ヒモもいけない。レイオンの本能がそう告げている。
 なので町の便利屋? 派遣会社? 
 のようなものに登録して不定期で様々な店、様々な業種のお手伝いをしている。
 今回はバーテンである。酒の作り方は一通り覚えている。
 ジンバック、ファジーネーブル、サムライ、XYZ。砂時計の様な器具で正確にお酒を造ってだす。
 注文が入れば次々と作る。グラスを並べて一気にお酒を注いでいく。
 何ならシェイカーを振りながら出ていって客の前でカクテルグラスにつぐこともする。
「グラスは交換せいなんです」
 シェイカーと空いたグラスを回収しながら爆音流れるフロアを一瞥すると、肌をさらした女性が陽気に両腕を振っていた。
 それを楽しそうと思いつつ見入るほどではないのはなぜだろうか。
 そうレイオンは厨房に戻り段ボールに手を突っ込んだ。土がまだついた状態のジャガイモ。それを刻みながら考えた。 
 あの日、この世界に顕現したとき。
 時が止まったような不思議な感覚があって、自分の両目は、この魂は……その姿に釘づけであった。
 あれはいったいなんだったのだろう。
 そう、ポテトをあげながら思う。
 今日はいくつのジャガイモをさばいただろう。冷凍物ではないフライドポテトを出すこの店のオーナは農家でもあるらしい。
 確かに甘くておいしいポテトフライが出来上がるのだ。
 彼女にも食べさせたいな、そう思いつつ。この大人な空間に彼女を放りこんだ場合どうリアクションするか考えてみる。
「………………あ〜」
 なんだか悪い虫に騙くらかされている映像が浮かんでレイオンは想像することを止めた。どちらにせよ自分が何のバイトをしているかしばらく明かすつもりはない。
 こうやって料理の手際が良くなっていく自分をいぶかしんでいるのでそのうち話すタイミングはやってきそうだけれど。
 ポテトの上げ時間を確認するついでにレイオンは時計をみやる。
 一応終電までには帰れることになっている。
 家に帰ったら彼女はまだ起きているだろうか。ケーキでも買っていったら喜ぶだろうか。
「夜中に甘いものは太ると怒られるかな?」
 明日は家庭教師のバイトである。
 何を教えるのかはまだ、秘密ということで。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『レイオン(aa4200hero001@WTZEROHERO)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております。鳴海でございます。
 今回は能力者が知らない英雄の日常をテーマにかいてみました。
 気に入っていただければ幸いです。
 それではまたお会いしましょう。
 鳴海でした、ありがとうございました。
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2018年11月16日

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