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『秋の女子会 』
大伴 鈴太郎ka6016

 風が、ざわざわと枝葉を揺らした。赤や黄色に色づいた葉が、秋の深まりを教えている。大伴 鈴太郎(ka6016)は足早に、その木々の前を通り過ぎた。羽のように軽い足どりだ。鈴太郎は今、友人のところへ向かっているのだった。
「……改めて見ると、ホントにデカい家だよな……」
 その友人の「家」の前まで来て、鈴太郎はたじろいだ。初めて訪れる場所でもないというのに、妙に気後れしてしまう。今日は「依頼」ではないからかもしれない。鈴太郎が会いにやってきた友人の名はダイヤ・モンド。宝石商モンド氏の一人娘で、簡単に言ってしまえば「お金持ちのお嬢様」である。鈴太郎はこれまで何度もダイヤとかかわり、お互いに「友人」であるといえる仲になったが、顔を合わせるときは大抵、ダイヤがハンターオフィスを通して出している依頼にハンターの仕事として赴く。その場合、どうしても雇い主とハンターという立ち位置を崩すことはできなくなる。だが、今日は違っていた。たまには何もないときにもお茶しながらおしゃべりに来て、とダイヤから手紙をもらったのだ。
「ああ、大伴さん。わざわざお越しいただいてありがとうございます」
 門の前へ出てきて鈴太郎を出迎えてくれたのは、モンド家の使用人・クロスだ。彼とももう顔なじみだった。
「おう、クロス。元気か?」
「はい、おかげさまで。すみません、いつもお嬢様のためにご足労いただきまして」
「なーに言ってンだよ。今日は仕事で来たワケじゃあねえンだぜ? オレは個人的に、ダイヤに会いに来たんだからよ」
 鈴太郎は「個人的に」のところを強調して胸を張った。そのこだわりをクロスも理解しているらしく、苦笑しつつもそうですね、と頷く。クロスに案内された部屋に入ると。
「うーん、なーんか違うのよねー」
 テーブルに頬杖をついて唸るダイヤがいた。鈴太郎がやってきたことに気がつくと、パッと顔を上げて目を輝かせる。
「鈴さん!」
「よお、ダイヤ」
 鈴太郎も笑顔になってダイヤに手を振った。
「クロス、お茶を出してちょうだい、ケーキもよ! あ、鈴さん、ガトーショコラとモンブランはどっちがいい?」
「おいおい、ダイヤ、ちょっと落ち着けよ」
 冷静ぶってダイヤにそう言いつつ、鈴太郎も内心ではテンションが上がっていた。依頼ではなくこうやって、本当に友人として会えるということが、なによりも嬉しい。
「ん? これは? 宿題かなんかか?」
 椅子をすすめられ、ダイヤの向かいに腰を下ろすと、テーブルの上に広げられた紙が目に入った。何やら文様のようなスケッチと、走り書きの文字が散らばっている。
「あ、これはね、新しいアクセサリーのデザイン案なの」
「へえ! あれか? パパさんの仕事の手伝いか? すげえじゃねえか、ダイヤ!」
 鈴太郎が身を乗り出すと、ダイヤは恥ずかしそうに肩をすくめた。
「まだ手伝いとはとても言えないの。商品にできるようなデザインは、私にはまだ無理で……。だから、これは練習なの。やっぱり何事も、突然は無理だもの」
「そうだよな、何事も勉強と練習だぜ」
 自分も目標に向かって勉強を続けている鈴太郎は、うんうん、と大きく頷いた。ダイヤも自分と同じように日々努力しているのかと思うと、大きく勇気づけられる。
 そこへクロスがやってきて、紅茶とケーキを持ってきた。どちらにするか選べなかった女子ふたりのために、ガトーショコラもモンブランも両方、皿に乗っている。ダイヤはさっそく、ティーカップに手を伸ばした。
「お嬢様、折角ですから大伴さんにデザインをお見せしてご意見をいただいては?」
「あっ、そうね! 鈴さん、お願いしていい?」
「ええ!? い、いいケドよ……、オレ、デザインのことなんでわかンねえぜ!? アクセサリーにも詳しくねえし……!」
 たじろぐ鈴太郎の態度に、ダイヤはティーカップを持ち上げた姿勢のまま目を丸くした。
「やっだ、鈴さん。そんなこといいのよ。私は今、お友だちの意見を聞きたいのであって、デザインに詳しい人の意見が聞きたいわけじゃないわ」
「お友だち、か……へへへ、そっか。よォし、そういうことなら」
 鈴太郎は照れくさくなった気持ちをごまかすために何度も頷いて、紅茶をがぶりと飲んだ。と。
「あっつッッ!!」
「ちょっと!? 鈴さん落ち着いて!!」
 部屋に入ったときに鈴太郎がダイヤに言われたセリフを、今度は自分が聞くハメになった、と思うとなんだかおかしくて、笑いがこみあげてくる。
「あはははは!」
「もう! びっくりしたわ、ふふふふ」
 ふたり、顔を見合わせて、笑う。友人と過ごす秋のひとときが、紅茶よりも熱い喜びをふたりの胸にともしていた。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka6016/大伴 鈴太郎/女性/20/格闘士(マスターアームズ)】
【ゲストNPC/ダイヤ・モンド】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ごきげんいかがでしょうか。紺堂でございます。
この度はご用命にあずかり、誠に光栄でございます。ありがとうございます。
大伴さんといえば、ダイヤちゃんと仲良くしてくださっている、というイメージが私の中に定着しており、おまかせであることをいいことにガッツリ共演させていただいてしまいました。
楽しんでいただけたら、誠に嬉しく思います。
おまかせノベル -
紺堂カヤ クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2018年11月19日

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