▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『生者の一択 』
キオーン ジャーマaa2368hero001

 戦場に立ちたい。という、欲は尽きる事を知らない。戦い、勝利し、その次の瞬間にはもう願ってしまっているのだ。嗚呼、戦場に立ちたい、と。
 人には食欲などの欲があるが、キオーン ジャーマにとってはそれらを戦闘欲というものが覆い隠してしまっていると言っても過言ではなかった。しかし、エージェントとしての依頼が常にあるわけではなく、穏やかな時間というものは当たり前のように彼の元にも訪れる。
 このような時、かつての自分はいったい何をしていたのだろうか。英雄になる前の記憶は曖昧だが、何らかの雑用をしていたような気もする。けれども、やはり戦場で暴れていた記憶のほうが、それよりもずっと色濃いのだった。首を捻って考えてみたものの、結局また戦いへと思いを馳せる結果となってしまう。
 幻想蝶の中で大人しくしているのも、落ち着かず。ならば素振りでも、と思ったものの、身体を動かすと余計に戦場への思いが募りそうな気がしてならず、キオーンは時間を持て余していた。
 ふと、どこかから何かが聞こえてくる。どうやら誰かの泣き声らしく、声量の大きくなるほうに向かってみるとそこには幼い子供の姿があった。
 言葉もなく近づいて行き、キオーンは(あれか)と冷静に状況を把握する。どうやら、子供は空を飛ばせて遊べるオモチャを誤って木に引っ掛けてしまい困っているようだ。
 子供は無口なキオーンに戸惑っていたようだが、彼がひょいっとその高い背丈をいかしてオモチャを取ってやれば、パッと花が咲いたように笑った。
「ありがとう! そうだ、これ、お礼にあげるね」
 虫歯になっちゃうと困るから、どっちかだけね。と言ってから、子供は何やら二つの菓子をキオーンへと差し出してくる。丸いチョコレートと、棒付きのキャンディだ。
「むしば?」
「悪い虫に歯がいじめられちゃうんだ。痛いしお母さんに怒られる」
「ふむ、我なら虫になど負けぬとは思うが……。ならば、こちらで良い」
 キャンディの方を手に取り、キオーンは選ばなかった丸い塊を見ながら「そちらよりかは得物に近い形であるしな」と付け加える。どこかズレた返答だが、キオーンは至って大真面目であった。

 キオーンの思考を満たすのは、いつだって戦いの事だ。
 戦闘欲というものが、やはり自分にはあるのであろう。これも、例えば寝溜めのように溜める事が出来たら良いのだが。
 子供が去った後、そんな事をぼんやりと考え始め……しかし、すぐにキオーンは首を横へと振る。出来たとしても、溜める事もなく戦場でそのまま使い切ってしまうだろうな、という事は簡単に予想出来る事であった。

 ◆
 
 いざ、戦場に立ってみると、欲だの何だのそんな事はキオーンの頭からはすっかり消え去ってしまっていた。
 戦況を見極め冷静な判断を下しつつも、その思考は菓子を選んだ時よりもずっとシンプルだ。もはや選択肢すら存在しない。戦って勝つ、今キオーンがしたい事、する事、選ぶべき事はそれだけなのだ。
 振るわれる刃は、さながら暴雪か業火か。自然の猛攻を人が止める術を持たぬように、戦うキオーンを鎮める事は誰にも出来ぬし止める理由もない。
 猛りの声には喜色が浮かぶ。戦場に居る事に、歓喜するように鼓動が震える。
 今楽しげに笑ったのは果たして戦友なのか自分なのか、それとも二人ともだったのか。
 それすらも、やはりキオーンにとっては気にする必要もない事だった。重要なのはここが戦場である事、ただそれだけなのだ。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛

【aa2368hero001/キオーン ジャーマ/男/28/ブレイブナイト】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
ライターのしまだです。ご発注ありがとうございました。
お話の舞台を戦場にするかそれ以外にするかでまず悩んでしまったので、どちらも綴らせていただく事にいたしました。
少しでもお楽しみいただけましたら、幸いです。何か不備等ございましたら、お手数ですがご連絡くださいませ。
それでは、このたびはおまかせノベルという大変光栄な機会をいただき、本当にありがとうございました。
またいつか機会がございましたら、その時は是非よろしくお願いいたします。
おまかせノベル -
しまだ クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2018年11月20日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.