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『 幸福のかたち 』
麻生 遊夜aa0452)&ユフォアリーヤaa0452hero001

 白いカーテンの隙間から光が差し込み、ベッドで眠っていた麻生 遊夜(aa0452)は薄く瞳を開けた。

「んっ……朝か……」

 遊夜がベッドから身を起こそうとした。
 その瞬間。
「おーとうさん、朝だよ!」
「ご飯出来ているよー」
 遊夜を起こす声と共にドス、ドスと小さな重みが遊夜の背中に乗った。
「重い………」
 背中に小さな重みが急に加わった為、彼は再び布団へと突っ伏した体制へとなる。
 遊夜は少しばかり困った顔をしながら、小さな重み……幼い子供達へと言った。
「どいてくれ、でないと起きれないだろう」
「はぁ〜い」
 遊夜にそう言われ子供達は素直に遊夜の背中から下りた。遊夜は身を起こすと子供達へと話し掛けた。
「今日はお前さん達が起こしに来てくれたのか」
「うん! おとーさんが起きて来るのが遅いから呼んで来てっておかーさんに頼まれたの」
「もうみんな食堂にいるよ」
 そう言う子供達の言葉を聞き、遊夜はベッドの近くに置かれている目覚まし時計に目をやった。

 現在の時刻は朝の8時30分。

 明らかに寝坊をしてしまっていた。
 本当ならば今朝は嫁であるユフォアリーヤ(aa0452hero001)の朝食の手伝いする予定だったがそれは自分が寝過ごしてしまった為叶わなかった。
 現在遊夜は孤児院を運営している。
 孤児院にいる子供達は全員で28人。
 28人の子供達は幼い子供達から大きい子供達までいる。子供達は皆遊夜とユフォアリーヤの二人を『おとーさん』『おかーさん』と言って慕ってくれていた。
 遊夜達も子供達の事を家族だと思って、彼らが将来自立する為の手助けをしている。勿論実の子供と同じように愛情も注いでいる。
 そんな可愛い子供達全員の朝食の準備となると毎朝大変だ。だから遊夜はいつもユフォアリーヤの手伝をしていた。
「見事に寝坊してしまったな……」
 そう呟くように遊夜はベッドから立ち上がった。
 そして一人の子供が遊夜の手を掴み、ぐいぐいと彼を引っ張った。
「おとーさん早く行こうよ! ぼくおなかすいちゃった−」
 急かすように言う子供に遊夜は苦笑して、子供から手を引かれるまま部屋を後にしたのだった。



 食堂に行くとテーブルにはハムエッグ、コーンスープ、サラダ、バターロールと飲み物が置かれていた。
 子供達の席に飲み物を置くユフォアリーヤへと遊夜は声を掛けた。
「おはようリーヤ。悪いな朝食の準備一人でさせちまって」
 申し訳なく一言彼女に詫びの言葉を入れる遊夜にユフォアリーヤは頭を軽く振った。
「ん……大丈夫。途中から子供達も手伝ってくれたし……それにユーヤ昨日の依頼で疲れていたから……そっとしといた……」
 どうやら彼女は自分を気遣ってそのまま寝かせてくれていたようだ。
 ユフォアリーヤの気遣いに嬉しさを感じながら遊夜は手を伸ばし、彼女の頭をくしゃりと撫でた。
「気遣ってくれてありがとな。だけど大変な時は何でも言ってくれよ。俺だってお前さんの手伝いをしたいんだからな」
 ユフォアリーヤを想って言う遊夜の言葉にユフォアリーヤは思わず胸の内がドキリとし、そして、
「……うん……」
 と嬉しそうに彼に笑顔で答えたのだった。

 朝食を終えた後。
 ユフォアリーヤは外に洗濯物を干していた。
 空には綺麗な青空が広がり、柔らかい風が吹いていた。
 今日は天気も良いし、良く乾くだろう。ユフォアリーヤは何処か満足気に空を見上げた。

(……今日は何だかいい事がありそう……)

 そんな事を思っていたその時。
「リーヤ」
 突然後ろから声が掛けられ、ユフォアリーヤは後ろを振り向く。
「……遊夜……どうしたの?……」
「ちょっと来い」
 小首を傾げ不思議そうな顔をするユフォアリーヤに、遊夜は彼女の手を掴んでリビングの方へと連れて行く。
 ユフォアリーヤをリビングの方へと連れて来た遊夜は彼女をソファへと座らせると、ソファの前にある小さなテーブルの上にテレビのリモコン、雑誌、本などを置いた。
「……ユーヤ……これは?……」
 彼の意図が分からずユフォアリーヤは彼の顔を見る。
「いつもリーヤは頑張っているから今日リーヤは休みだ。ゆっくりしていろ」
「……え? ……それならユーヤだって頑張ってるよ……」
「俺が今日はリーヤの為に何かをしたいんだ。リーヤの仕事は今日は"ゆっくり過ごすこと"だ。いいな」
 遊夜からそう言われ、ユフォアリーヤは素直にコクンと頷いた。
「……ん……わかった……」
「よし、いい子だ。そう言えば昼飯何か食いたいものはあるか?」
 そう訊ねる遊夜にユフォアリーヤは口元に指を当てながら一瞬考え、そして柔らかい表情で彼へと答えた。
「……ユーヤにまかせる……」
 その言葉を聞き遊夜は彼女に「わかった」と短く返したのだった。



 遊夜は昼食の材料を買いに近くの店に来ていた。
 彼だけではなく数人の子供達も一緒だ。
 彼はいつも子供達の世話を頑張っている相方を思って、今日の昼食は彼女の為に腕を振るおうと考えていた。
 施設の子供達自分達の子供が生まれ忙しそうな彼女に対して、少しでも休んで貰いたいと思っての事だった。
 無論彼女は疲れていないと否定し、施設の仕事、英雄としての役割を立派に果たしてくれるのだが育児が大変な事に変わりはない。
 遊夜は昼食に使う食材をキッチンの冷蔵庫の中身を確認したところ空っぽだった為、材料を買いに行こうとしていたところを子供達見つかり、今の現状に至ると言う事だ。
「おとーさん、おかーさんは何が食べたいって言っていたの?」
「特に言ってないな。昼食は任せると言っていたぞ」
「うーん、何がいいのかなぁ……」
「じゃぁシチューにしょうよ! 牛乳たっぷり入れてきっと美味しいよ!」
「良いな。じゃぁシチューにするか」
「うん!」
 遊夜の言葉に小さな女の子は元気に頷いたのだった。

 昼食はシチューに決まり、子供達は買い物カゴにじゃがいも、人参、玉葱、牛乳を次々と入れる。
 遊夜もまた精肉コーナーにある肉を手にし、どの肉にするか吟味する。
 その時。
 遊夜の服の裾をクイクイと5歳ぐらいの男の子が引っ張った。
「おとーさん、コレも買って」
 男の子が手にしていたのは玩具が付いたお菓子だった。
 遊夜は男の子に向かって口を開こうとしたその瞬間、8歳ぐらいのツインテールの少女が男の子に向かって言った。
「ダメだよ。今日はおかーさんの為に作るご飯の材料を買いに来たんでしょう」
「うん……」
「それに皆で一緒にシチュー作ったらきっとおかーさん喜ぶよ。ねっ、そうでしょうおとーさん」
 そう言いながら少女は遊夜へと振り向く。

 ……あの我儘言っていた子がこんなにしっかりしてくるとはな……これも成長だな。

 以前遊夜に我儘を言って困らせていた少女が幼い弟を言い聞かせる光景を目にし、遊夜は感慨した。
「ああ。皆で作ったらきっと母さんも喜ぶよ」
「じゃぁ、僕これ返してくる!」
 そう言って男の子はお菓子を元の場所に戻しに行き、遊夜はそれを見て手にした肉を買い物カゴへと入れたのだった。



 ユフォアリーヤの目の前にコトっとした音と共に暖かいシチューが置かれた。その他にもテーブルの上にはシチューの他にパン、サラダなどがあった。
「……美味しそう……」
 そうユフォアリーヤは呟いた。
 そして席では子供達全員がユフォアリーヤの方へと注目をしていた。
 それも その筈。
 遊夜の想いを知った子供達は料理から双子の赤ちゃんのお世話まで手伝っていた。
 子供達にとってユフォアリーヤは大好きな『おかーさん』であり、そのおかーさんに少しでもゆっくりとして欲しい。
 喜んで欲しいとの気持ちの現れだった。
 遊夜と子供達が作った料理の味がどうなのか気にならない筈はない。
 だが一斉に注目されると食べにくい事は事実。
 そんなユフォアリーヤの気持ちを察して遊夜は子供達へと言った。
「おいお前さん達そんなに注目すると母さんが食べにくいだろう」
 そんな遊夜の言葉に気づいた子供達は「あっ、そっか……」と言いながら視線を逸らした。
 そんな中でユフォアリーヤはスプーンを手に取り、シチューを一口口にした。
 それはとても優しい味がし、とても美味しく感じられた。

 きっとそれは大切な人と大切な子供達が自分の為に作ってくれた。

 それだけ。

 たったそれだけだが。

 でもだからこそ美味しく感じるのだ。

「……ん……美味しい……凄く美味しいよ……」

 そう彼女は笑顔で感想を口にする。
 ユフォアリーヤの言葉を聞き子供達は嬉しそうに、ぱぁぁと瞳を輝かせた。
「あのね、じゃがいもの皮は僕が剥いたんだよ!」
「私だって人参をお星様の形にするの頑張ったよ」
 子供達はユフォアリーヤへとアピールをしていく。
 ユフォアリーヤもまた子供達に「……上手に出来ていた……」と話していた。そんな幸せな光景を見て遊夜は子供達に、

「お前さん達昼食の続きにするぞ」

 そう言ったのだった。






━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa0452/麻生 遊夜/男性/34/リンカー】
【aa0452hero001/ユフォアリーヤ/女性/18/英雄】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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麻生 遊夜様

こんにちはせあらです。
この度はおまかせノベルのご注文の方有り難うございます。
おまかせノベルとの事で今回お話の方では今回施設の子ども達、そしてチラリとほんの少しだけ……一瞬ですがお二人の赤ちゃんの描写の方も書かせて頂きました。
幸せそうなお二人をイメージして書かせて頂きましたが、少しでも楽しんで頂けましたら幸いです。
麻生さん達にお会いできて、そして麻生さんユフォアリーヤさんの物語が書けて凄く嬉しかったです。
書かせて頂きまして本当に有り難うございました。
もし不都合、リテイクなどがございましたら遠慮なくお申し付け下さい。

せあら
おまかせノベル -
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2018年11月26日

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