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『不渡り手形 』
バルタサール・デル・レイaa4199

 港に整然と並ぶ、無骨な倉庫群のうちのひとつ。時刻は深夜と言っていい時刻をまわっている。
「いかにも、ベタだよなあ?」
 その筋の人間の待ち合わせの仕方として、という意味でバルタサールは濃い色眼鏡の目線を傍らに向けてみる。
「…なにが」
 異世界の英雄にしてみれば、マフィアの待ち合わせの作法などについて問われたところで困惑するしかない。
「いや、こういうノリは俺としても懐かしいわけよ。マフィアの待ち合わせなんざ久しぶりだからな。商談が割れりゃあドンパチ、下手すりゃ即座にドンパチなんてしょっちゅうでな。そんなだから、まさかひとりで来るとは思やしないじゃねえか、なあ?」
 浅黒い肌と長身に、身なりの良いスーツとハットの男。年齢はバルタサールのいくらか下か。
 それが、バルタザールを正面に一人で対峙している。
「お前とも久しぶりだなあ。その様子じゃそこそこの席についたか? しかし歳食ったな。やつれたんじゃないか」
「…歳はまあ、お互い様だな」
 男は乾いた笑みを見せた。
「で? 俺はてっきり今っ更なにか落とし前でもつけさせられるのかと思ったんだがな。本当にお前ひとりか」
「戻ってこないか、バル兄貴」
 規則的な波の音が聞こえる。それが倉庫の中に響いて低い耳鳴りのようだ。
 大柄な体躯が押し黙ったのは会話の内容か、或いは、単に兄貴なんて言葉に気をとられたからか。
「こりゃまた、ずいぶん意外な申し出だな」
「聞けば、今はH.O.P.E.なんかに居るらしいじゃないか。あんたらしくもない。そんな所に居る位なら、戻ってくる事だ。今戻るなら、ボスも昔のことは大目に見るって言ってる」
「俺らしく、か…」
 バルはつまらなげに呟いた。
「そういう話ならだらだら交渉する必要もないから一言で済ませてやるよ〜く聞け。ありえないね。お断りだ。ム、ニエゴ!」
「なにが気に入らないんだ」
「つまらなくなったんだよお前らは。世界蝕後か、なに一マフィアが新技術やエネルギー産業なんぞに色気だしまくってんだ。はては界隈にダミー企業こさえる為にインテリ共を大量に雇い入れてな。まじめかお前ら」
「あんたも、それなりにこなしてた仕事のはずだ」
「そりゃあ仕事と思ややるけどな。そう、あくまで仕事だ。うまく回るようになっちまって、俺の中では完全に一段落したのさ。だったら終わった仕事より、別をやるさ」
「本当に戻る気はないんだな」
「はじめにそう言ったよなあ?」
 男の周囲に突如展開された銃器の数々。掃射された弾丸は、バルタサールの影を蜂の巣のごとく撃ち抜いた。
 大きな体躯で横っ飛びに飛んだまま、バルタサールは拳銃を抜き打った。狙いは男ではなくその頭上、重機が荷を吊るした、そのワイヤー。
 奇しくも同じ形。今度は男が飛んだ後を、地に打ち付けられた荷がけたたましい音をたてて砕け散る。
 男はすぐさま身を立て直して振り向いた。
 燃えるような赤い髪。色眼鏡の下で強く光る、バルタサールの金の瞳が男を射抜くように捉え、銃声がひとつ、荷の砕けた残響のうえに鳴っていた。


「待ち合わせにひとりなんざお話にもならねえ。昔の俺は教えなかったかね?」
「…いーや、バル兄貴はよく教えてくれた」
 まだ息のある男は天を仰いだままだった。
「じゃあ死ぬ気だったか? そんなのに付き合う義理はないんだがな」
「ウチはもう、後戻り出来ないところまで来てるんだ。ボスは、時々、兄貴の事を口にしていたよ。兄貴が戻れば…」
「俺に何を期待してるか仕方ないがな、見当外れだ」
「…そうか」
 男は力ない笑みを浮かべた。浅黒い肌に、白い歯がわずかにのぞいた。
 バルタサールは銃を向けた。
「どうする?」
「…いや、いい。俺はもう、疲れた。向いてなかったのさ」
「ああ、そう思うぜ、さっさと足でも洗っときゃよかっただろうさ。悪いんだがな、お前、名前なんていった」
 覚えてないと思ったよ、と男は肩を震わせて笑った。
 はだけたシャツから、タトゥーがのぞいた。
「フェルナンドだ。じゃあな兄貴」
「ああ、そうだったな。じゃあなフェル坊」
 バルタサールは引き金をひいた。
 倉庫を後にしながら、付き合わせたなと、バルタサールはこぼした。
「別に。退屈はしなったさ」
 素っ気ない言葉に、なら結構なこった、と己のタトゥーをさするバルタサール。
 闇と月。アステカの神の意匠は、マフィアの構成員を示すもの。
 さきほどの男と、同じものだった。
「俺としては貸しを作って抜けたくらいのつもりだったんだがな。どうも向こうは、そう思ってないらしい」
 身に刻んだ因果は、そう簡単に洗い落とせるものでもあるまい。
 楽しくなりそうだと、酷薄な笑みを浮かべる英雄に、
「なんでこの場面で俺よりお前が怖い顔してんだ」
 とバルタサールは辟易するのだった。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa4199@WTZERO/バルタサール・デル・レイ/男性/48/麻薬カルテル元幹部】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 お待たせして申し訳ありません。お気に召して頂ければ幸いです。
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2018年11月29日

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