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『敗北から生まれる物語。 』
マリアンヌaa5176hero002

「な! なななななな!」
 マリアンヌは絶句していた、つまり言葉にできない。この感情が言葉にできない。
 なぜ自分は敗北したのだろうか。自分の料理は完ぺきだった。見た目も味も、日本を象徴するジャパニーズトリイの様なつやつやしい赤も料理に取り入れて一皿作ってやった、なのに、なのに。
 会場の意見は47対53で負けてる。
 審査員席ではあの女が舌を出して能力者の名前の書かれた板を押し出してるし、あの男はあの男でこの完璧超人マリアンヌに勝ったことを理解できていない様子なのだ。
 釈然としない。
 なぜ、何故。
「私は負けましたのーーーーー」
 小さな悲鳴がスタジオに木霊する。 
 まぁ、ここまで話してしまうとだいたいの状況はつかめているとは思うが、改めて状況を説明するとマリアンヌがある日、絶対服従をかけて料理勝負を能力者に挑んだ。
 あの女が間に挟まって料理のお題は挑戦を受ける人間が決めるべきだとのたまって。料理対決のお題は日本になった。
 日本料理ではなく、日本がテーマというだけ。
 であれば完璧超人マリアンヌが凡人たる能力者に負けるはずがないのだ。
 そして審査は公平にすべきということであっという間に一般人99名と第一英雄一人で百人の審査員集団を作り上げるとちょっとしたステージを押さえてしまった。
 しかし敗北。僅差で敗北。しかし結果をごねて覆そうとはマリアンヌはおもわないのだ。
 それは貴族の誇りに反する。ノブレスオブリージュとは才ある者をめでるために存在するのだ。
「よくやりましたね。しかし今回はたまたまあなたに軍配が上がっただけ、次の勝負となれば私が」
 そう何事かを言い放とうとした時、審査員席からあの女が看板を掲げて何事かを訴えてきた。
 なになに? そう目を凝らして文字を読み上げるマリアンヌ。
「え〜、はいしゃはぜったい……服従? え? それはこの男が私にふくじゅうするということでは……ない。むしろ私が、この男に24時間服従? 服従!?」
 驚き飛び上がるマリアンヌ。
「きいていませんわ」
 だって、この男は負けたら服従だが。自分は別に負けたからと言って何かペナルティがあったわけでは。
 そこで今度は新しい衝立が姿を現す。読み上げるマリアンヌ。
「撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけ……」
 マリアンヌが芸人ならここで『やかましい!』と突っ込みを入れていたかもしれない、しかしマリアンヌはお姫様である。そんな下品なことは言わない。
「うう、負けただけでも屈辱なのに、この男に好き放題されるなんて」
 意外と素直に罰ゲームを受け入れたマリアンヌはあまりの衝撃に、その場にふらふらと座り込んでしまう。
 今まで自分を讃えるように見ていたはずの観客の視線が今はなんだか邪な気がしてマリアンヌは自分の体をきつく抱きしめる。
「あ、あの」
 頬が赤い、これから何をされるのかという不安で瞳が潤んでいる。
 だがそれもつかの間、一瞬で視線が冷え切るとその視線は能力者に送られた。
「紳士にあるまじきことをすれば、私を守護する英霊たちの武具が黙っていませんよ」
 じゃらりと舞台袖で何かが動く音がした。
 これにて一件落着、その後だが能力者は「紳士はレディーを連れて○○すべきです」の呪文に導かれるままに、一日で給料の半分を使わされたらしい。
 もはやどちらが敗者か分からない顛末となってしまったが、これはこれでマリアンヌはとても楽しそうだった。



登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『マリアンヌ(aa5176hero002)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております鳴海でございます。
 この度はOMCご注文ありがとうございます。
 今回はマリアンヌさんのお話という事でしたが、あまり書いたことが無かったので、どんな人かなぁと想像しながらかきました。
 それではまた機会があればよろしくお願いします。
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2018年11月30日

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