▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『欧州ぶらり旅 』
クラリス・ミカaa0010hero001

 それはとある仕事で欧州を飛び回った時のこと。
 それは、地下鉄駅ジャック事件から無事に生還した翌日のこと。
 クラリスは唐突にお暇をもらった。
「あら? よろしいので?」
「ええ、今回もともと私一人の予定だったし、彼女がついてきたいって言うから一緒にいくだけだし」
 フランスにも温泉があり、そのPRをグロリア社にという話があった、今から行くはずだったが彼女も外国の温泉に興味があるようで一緒に行くことになる。
「はぁ、むしろ私がいなくてもあの子は大丈夫なのでしょうか?」
 少し心配なクラリスであるが。
「大丈夫、大丈夫、ちょっとした用事だし」
「え〜っと」
「大丈夫、私も一緒だから」
 そう遙華に胸を張られると心配が加速するばかり。
「それにクラリスはこっちに来てからずっと働きづめでしょう? 半日しかないけど自由時間。町を見て回ってもいいし、部屋で寝ててもいいし、この町はワッフルが名産よ」
 告げると遙華はガイドブックを手渡して部屋を後にする。
「夜には一緒にご飯を食べましょう」
 ぱたりと扉が閉まると耳が痛くなるような静けさが襲ってきた。
 クラリスはこんなに静かな午前を久しぶりに体感した気がする。
「旅館は、まぁ、にぎやかですからね」
 そうため息をつくと窓の向こうに走り去る少女二人をみた。
 あんなに楽しそうにはしゃいで、そうため息をつくクラリス、そこでクラリスは気がついた。
「あら、私」
 一人だと何をやっていいか分からない。ということに。
 とりあえずお腹がすいているので朝食を食べにホテルの食堂に降りることにする。その後は……どうした方がいいだろうか。
 本気で悩むクラリスである。
 まぁ、せっかくの外国でせっかくの自由時間、無駄にする手はないと町に出ることにした。
 身に纏うのはお洒落の本場フランスでもバカにされないような大人びた服装。
 体のラインが出るアダルトな装いで、特に胸元が押してよせられているのでけっこう強調されている。服自体がシルエットを美しく見せようと体のラインをきゅっとしてくれているだけの事だが、能力者に見つかればまたぶつぶつと何かを言われてしまいそうだ。
「さて、ワッフルでも」
 本場のワッフルと紅茶を堪能すべくとりあえず街中に足をむけるクラリス。
 道行く人々が振り返るが、そこまで気にならない。さっそく一番の老舗でワッフルを頼むと持ち帰りにする。別の店にも言ってみたいのだ。今日中にワッフルを三店舗くらい制覇してみたかった。
「きくところによると、ワッフルもいろいろあるようじゃないですか」
 薄くパリッとしたワッフル。生地も分厚くしっとりしたワッフル。
 アイスやキャラメルをかけていただくワッフル。
 甘いものは大好きなので心が躍る。
 ハムハムとワッフルを咀嚼しながら綺麗な街並みを眺めた。
 風が強くふいて前髪をさらう
 思えばこうやって目的無く外を出歩くのはいつぶりだろう。
 特にここ最近は忙しく、任務にお仕事、任務お仕事、そして任務という具合に常に何かと格闘していた気がした。
 クラリスは二件目のお店の前に立ったが、時間はまだ大量にあるので雑誌でも眺めてみようかと本屋にも視線を巡らせる。
 その時目に入ったのが異国の雑貨店である。
 フランスの雑貨店は一品ものが置いてある場合が多い。特にクラリスの目を引いたのは窓際に飾られている水晶で作られた少女の象。
 胸に手をあてて歌う像は台座がオルゴールになっていてねじを回すと音が流れるようだ。
 クラリスはその雑貨店に入ってみた。少し話をすると本業はオルゴール技師だという。クラリスは驚いてオルゴールの中身を入れ変えることはできるかと聞いた。
 あの曲に。
 そしてクラリスは偶然にも今店主が作っていたオルゴールが希望の音だと知る。
 クラリスはオルゴールと水晶の像代に少しチップをくわえて差し出すと其れを片手にお店を出た。
  ワッフルのお店に入り紅茶をポットでいっぱいとアイスの乗った大型ワッフルを頼む。
 運び込まれてきたティーポットは透明で、黄昏を思わせる金色の中で茶葉が躍っていた。
 その上に可愛らしいティーコジーがかけられるとクラリスは砂時計をひっくり返す。
 穏やかな午後。クラリスは砂が落ちるのを見守ると共に買ったオルゴールをテーブルの上に並べてんねじを回す。
 小さな音がテーブルを伝って響、クラリスは瞳をとじる。
 やがてワッフルが運ばれてくるまでクラリスはまた別の思案にふけるのだが。一体何を思っているのだろう。
 小さくクラリスは微笑んでティーコジーを外した。
 


登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
『クラリス・ミカ(aa0010hero001)』
『西大寺 遙華(NPC)』
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛

いつもお世話になっております。
鳴海でございます。
今回は実はロクトとのお話をと考えていたのですが。クラリスさん一人の時って何してるんだろうと気になってお話を作ってみました。
気に入っていただければ幸いです。
おまかせノベル -
鳴海 クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2018年11月30日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.