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『優雅にディナー 』
ブリタニアaa5176hero001

 ブリタニアは流れていく風景を窓の外にみていた。
 ここはリムジンタクシーの車内で、片手にはシャンパンのグラス、ドレスに身を包んで到着を今か今かと待っている。
 なぜブリタニアが一人でタクシーに乗っているかというと事の発端は数時間前、仕事終了時に受話器を鳴らした一つの提案がきっかけだ。
 夜の街に繰り出そうと、ロクトからの連絡、これにブリタニアは快くOKを出した。
(それにしてもなぜ私)
 そう心の片隅に少しだけの不安を残してブリタニアはタクシーに揺られる、頭の隅では今日は何を話そうかという算段もつけている。
 同時に少しの期待もあった。
 ロクトと言えばお金持ち、ロクトは御店選びのセンスもいい、久しぶりに王族にふさわしいディナーになりそうだとグラスの中身をあおった。
 その為のドレス、そのための準備である。
 ちなみにお小遣いは能力者からひったくってきた。彼の一か月分の遊興費がここにある。
 やがてブリタニアは窓の向こうの景色が都心に近付いてきたことに気がついた。
 もう少しでつくことを察したブリタニアはグラスの中身を飲み干した。
 そしてタクシーは一人の女性の前で止まることになる。ロクトが笑顔でブリタニアの到着を歓迎してくれた。
「よく来てくれたわね」
 そうロクトが手をさしだすと、それを頼りにブリタニアはタクシーを降りる。
「今日はお招き下さってありがとう」
 そう王族のオーラをフルで出していくブリタニアに対してロクトはスーツである。 
 ただ夜の雰囲気にマッチしており、胸元がガッツリあいている。
「では、今日はどんなお店に連れて行ってくれるのですか?」
 告げるブリタニアにロクトはいつもの調子で答える。
「今日はお刺身の美味しいお店にね、でもブリタニア、その服だとちょっと店内で動きづらいと思うわ」
 その言葉に首をひねるブリタニア。
「どういうことですか?」
「服が汚れる可能性があるから、服を買っていきましょうか。今日付き合ってもらうお礼に私が見つくろうわ」
「え? ということは……」
 豪華なディナーの幻想がブリタニアの中で崩れ去っていく。
「こっちよ、きて。ドレスは部下にとどけさせるわ」
 そしてロクトとブリタニアは以前一緒に買い物をしたことのあるショッピング施設に入って行った。
 軒を連ねるブティックの一つにブリタニアを案内する。そしてロクトは上から下までブリタニアに服を見立てた。
「なんですか、これは」
 そのコーディネートにブリタニアは唖然とした。
 悪くはない、悪くはないのだが。
「こ、これは普段しない格好ですからちょっと恥ずかしいというか」
 ホットパンツにへその出たチューブトップ。上着は少し暖かめのもので長い脚をブーツに包んでいる。
 普段の服の趣味とは180°違うそのコーディネートに、見繕った本人、ロクトが笑いをこらえている。
「なんでですか!?」
「いえ、あまりに雰囲気が違い過ぎて、でも可愛いわよ」
 その言葉を証明するがごとく店の前を通る男性はブリタニアに視線を奪われていく、それがまんざらでもない様子のブリタニアは機嫌を直した。
「では、いざかや? という場所に向かいましょう」
「ええ、シシャモが美味しいのよ、ふふふ」
 ロクトが連れて行ったのは店先からも老舗感の漂う店舗。立てつけの悪い扉を引くと「いらっしゃい!」と威勢のいい声が聞こえてくる。
 その掛け声にブリタニアはびくりと身を震わせた。
「ここは、いったい」
「あなたなに飲む?」
 席に着くとロクトがメニューをさしだして問いかけた。
「ご飯は食べてきた? 食べてないならこれなんか」
 そうして出てきたのがビールとカシスオレンジ。シシャモ、刺身、唐揚げ、タコワサ、炊き込みご飯に焼き鳥。
「これは、なかなか食べない物ばかりですね」
「そう? だったら楽しんでいってね、おごるから」
「そんな……下々の者に払わせるなんて」
「だって、それかれのお金なんでしょ? ちょっと可哀そうだし、彼からあなたを借りてるレンタル料替わりってことで」
 そうグラスをもちあげるロクト、そのグラスにブリタニアは自分のグラスをぶつけた。
「あ、意外と」
 美味しい。
 そうシシャモを口に入れながらブリタニアは思うのだった。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『ブリタニア(aa5176hero001@WTZEROHERO)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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いつもお世話になっております鳴海です。
実はこれだけ原稿データがふっとんでしまってすごく焦りました。 
今回はブリタニアさんにこの世界の文化を知ってもらえればなぁと思ってかきました。
気に入っていただければ幸いです。
それではまたお会いしましょう、鳴海でした。
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2018年12月03日

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