▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『戦場にて   』
雁屋 和aa0035

 燃えたつ『御骨頂戴』の陰炎の向こうに、無数に転がった屍を見た。
 香り立つ錆臭さ、すえた臭い。この戦闘メンバーが壊滅したのは確か。
 三日前の事だったか。
 地下施設、配管の群。ボイラーが近くにあるのかやけに室温の高い地下室では肉を腐敗させるにちょうどいいのだろう、ちょうど和の目の前で遺体の皮がデロリとむけてジェル状の脂肪がゴポリとこぼれた。
 それをむさぼるように愚神が遺体に口をつけた。その愚神はブラッドストーカーと呼ばれる無数の個体の一体。
 ありふれた愚神だ、先発部隊がなぜそんなものに負けてしまったのかというと、それは分からない。
 ただ一つ理解できるのは。
「人の尊厳を踏みにじる奴は許さない」
 そう剣を握った腕に風が走り漆黒の籠手が具現化する。
 その殺気を感じてブラッドストーカーは身をおこし、瞬時に距離を詰めてくる。
 かぎづめが振るわれた時空いた左手が跳ね飛ばされるかと思った。
 そのまま拳を打ち合わせると肩まで鎧が召喚された。その体勢のまま和は敵の攻撃に耐えている。
「ハァッ!」
 刃を振り上げるようにブラッドストーカーを一閃。直後吹き荒れた暴風で和は完全に変わった。
 たとえるなら変身。獅子を模したメットにスレンダーな鎧は十分な機動性を確保している。
 怯んだブラッドストーカーの左、死角になっている方向から迫る。
 ブラッドストーカーの腹部を蹴り、四つん這いの獣を地面に転がした。
 次いで剣を振り下ろす。それは残念ながら回避される。コンクリートに剣が当たって僅かにバックファイア。彼岸花の花弁めいた炎がブワリと湧き上がった。
 その反動のままに大剣をもちあげて、体勢を立て直したブラッドストーカを見すえる。直後踵を返して和に背を向けた。
「甘い!」
 和の言葉が室内に反響する。直後和はその刃を振り上げて投げた。空を切って大回転するその刃の切れ味はすさまじく、ブラッドストーカーの腕を斬り飛ばして壁につきささる。
 ブラッドストーカーは加速度そのままに地面を転がり壁に激突した。
 荒い息を繰り返すブラッドストーカー、その首に和は刃を差し向ける、喉に押し当てられた刃でブラッドストーカーの首がきれ、その刃の上を血が滑る。
 滑った血はすぐに蒸発し、ジュッという音をたてた。
「言い残すことはある?」
 うなる獣の愚神。
「ないか」
 そう告げると和は横なぎに刃を振るった。その頭がごろりと床に落ちる。
 任務達成、そう思った矢先、背後で人の気配がした。
 和はゆったり振り返る。するとあの腐った死体たちが立ち上がり、うめき声をあげながらゆっくりこちらに来るではないか。
「いいわ、相手してあげる」
 そう刃を構え直しておかわり希望のお客さんへと和は切りかかっていく。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
『雁屋 和(aa0035)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
お久しぶりでございます、鳴海です。
今回は特撮ヒーローものを意識して書いてみました。
気に入っていただければ幸いです。
おまかせノベル -
鳴海 クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2018年12月05日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.