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『変わらぬ日を何時までも 』
麻生 遊夜aa0452)&ユフォアリーヤaa0452hero001

 素晴らしい日だ、麻生 遊夜(aa0452)は腕の中に収まる程に小さいわが子の温もりを感じながら呟いた。
 隣ではユフォアリーヤ(aa0452hero001)が、狼の耳と尻尾を嬉しそうに動かしながら、そして優しい眼差しでわが子の顔をそっと撫でた。
 孤児院の子供達も、もちろんわが子同然であるので皆は新しい兄弟に歓喜と歓迎をする声を上げていた。
 皆を養う為に遊夜はともかく、当時身籠っていたユフォアリーヤまでもが「働く」と言った。
 H.O.P.E.のエージェントの仕事は簡単な内容から、激しい戦闘をする危険な仕事があり、依頼を受ける度にユフォアリーヤを身を気にしながら戦うのは気が気ではなかった。
 それでも、遊夜とユフォアリーヤの『愛の結晶』はこの世に産声を上げた。
「ありがとう。リーヤも孤児院の皆に、新しく家族になったこの子達を俺は全力で守る」
 遊夜はユフォアリーヤの頭を自分の方に寄せると、そっと額同士をくっ付けると優しい声色で言った。
『んふふふ……こちらこそ、ありがとう……ユーヤ。皆、新しい兄弟……仲良くして、ね』
 抱いている子供を孤児院の子達に抱かせると、ユフォアリーヤはこれから何があっても目を反らさぬ事を再度強く思う。
 首は座っているので子供達だけでも大丈夫なのと、年長組に関しては下の子達のお世話で慣れている様子であやしていた。
「じゃ、俺達は行ってくるけど、何かあったら直ぐに連絡しろよな?」
 遊夜が子達の頭を撫でながら言うと、子達は元気よく返事をするのを聞いた二人は家を出た。
『……ふふ、いつの間にか……皆、成長してたね』
 家を出るとユフォアリーヤが遊夜の手をしっかりと握り締めると、嬉しいようで少し寂しい気持ちを胸で感じながら言った。
「『お仕事でいそがしいけどたまには、パパとママみずいらずで!』って、こんな早いクリスマスプレゼントを貰って……嬉しいに決まってるだろ?」
 遊夜が胸ポケットから取り出した可愛い便せんに書かれた文字を読むと、再び大切に胸のポケットに仕舞う。
『んふふ……あの子達なりの、気の使い方……だよ。うん、ボクも嬉しい、な』
 子供達の気遣いに思わず笑みを溢すユフォアリーヤは、遊夜の肩に頭を預けると夕暮れに染まる街をその黒曜石の様に黒い瞳に映す。
「もっと、これからも成長するだろうな」
『……でも、あの子達は……きっと、大人になっても……帰って来るよ』
 遊夜が寂しそうに言うと、ユフォアリーヤがくすくすと笑い声を上げながら断言する。
「そう、かもな……離れても、家族を持っても、俺達は“家族”だもんな」
 優しい眼差しになると、遊夜はユフォアリーヤの頭に口付けをした。
『……うん。ボク達……ずっと、“家族”で……繋がってる、よ』
 ユフォアリーヤは遊夜の首に腕を回し、そっと頬を寄せると囁いた。
「よし、デートに出されたついでにプレゼントも買わないとな!」
 最早、それはデートと言えるのだろうか? と、疑問を持とうが、遊夜とユフォアリーヤの頭の中は子供達の事でいっぱいだ。
『……ふふ、じゃぁ……皆が、お小遣いでくれた券……使ってから、ね』
 ユフォアリーヤは家から出る時に渡された封筒に入っていたモノ、映画と食べ放題のチケットを遊夜の目の前でひらひらと振った。

「そうだったな。何の映画が良いんだ?」
 映画館に着いた遊夜とユフォアリーヤは、主演が写った写真に映画の題名とキャッチコピーが書かれたポスター、上映中の映画のPVがあちらこちらに設置されたモニターに映し出されていた。
『……んふふ、ウワサのサメが面白いヤツに、する?』
 ユフォアリーヤは『機械の人工サメ、人類に復讐す!』と書かれたポスターを指した。
「昔にも似たようなシリーズあった……気がするんだが? なら、アレはどうだ」
 遊夜は『闇堕ち怪人vsメカ女神ーー今、宿敵の決着がここに終わる』と、とてもリアルなCGで作られたポスターを指す。
『ふふっ……もしかして、皆の、お土産話にする為に?』
 ユフォアリーヤの言葉に遊夜がハッとした表情になると、他の映画のポスターへと視線を泳がせた。
「あ、いや……これは……パンプレットは持って帰れば良いか。なら、これにしょう」
 遊夜はユフォアリーヤの手を取ると、薄暗く座の部分だけが動く椅子に座った。
 『鈴蘭の丘』と書かれた映画。

 女神像に信託を受けた少女と少年、どちらかが死ななければ村は滅びると言われ、少女は少年にウソをついて自分はこっそりと鈴蘭を取りに向かった。
「きっと、貴女が来ると思いましたよ……」
 鈴蘭が咲く森の奥で、女神像と同じ声がして少女は魂を食べられてしまった。
 女神ではなく、子供の悪魔に。
 少年と家族が気が付いた時には既に遅し、少女は息を引き取る寸前に「好き、ごめんね」、と言い残して死ぬ。
 村は『悪魔をかくまっている』と、国王の耳に入り焼き払われしまった。
 少年は青年へと成長し村を守る為に戦うが、守りきれずに瀕死の状態で森に逃げると、見たことのない鈴蘭の丘があった。
 少女に似た天使がおり、彼女の手の中で青年が死ぬと白い頬に涙が流れた。
 似てるんじゃない、本人であった。
 そして、焼き払われた村を見て、無念が残る村人の魂を天に送るために歌うと、焦土だった地面から鈴蘭が答えるように咲いた。
 死んだ後に、少女は女神の使いである女性に助けられ、魂を天に送らずに会えるまで止まれる様に、鈴蘭の丘を守る天使にした事が話された。
 再び現れた女神の使いである女性は、「暫くは守護をお願いします」と言って去ると、少女と青年は幸せそうに鈴蘭の中で寝そべった。

『……幸せ、だったの、かな?』
 ぽつりとユフォアリーヤが呟いた。
「物語で、“めでたしめでたし”なら幸せなんじゃないか?」
 遊夜がユフォアリーヤの頭を撫でると、泣いて赤くなった目を見てハンカチを差し出した。
『うん……そうだよね』
 ユフォアリーヤは上目遣いで遊夜に視線を向けると、目尻を下げて少し明るい声で答えた。
「ほら、次は食事をしに行って」
 食事のチケットをひらひらと振る。
『……ん、皆の、プレゼント選び』
 こくりと頷いて笑顔に戻るユフォアリーヤ。
 食事をしながら、話すのはやっぱり子供達の事で、どの子にどのプレゼントを買うかを話すだけで幸せそうな二人。
 料理のお店から出た二人は、大型のお店に向かうとオモチャ屋へ。
「男の子には」
『……んふふ、ヒーローモノ』
 遊夜が変身セットを手にし、ユフォアリーヤはヒーローの形をした人形を指す。
「アイツならこういうのが好きだろう」
 遊夜が手にしたオモチャを指す。
『……ん、そうだね。あの子は、こっちが……』
 28人それぞれの事を考えながらユフォアリーヤと遊夜はプレゼントを選ぶ。
「女の子のはリーヤに任せる」
『……んふふ、任された』
 遊夜の言葉にユフォアリーヤは思わず笑みを溢す。
 クリスマスプレゼントを買い終え、クリスマス前日に取りに行く予定をして帰路につく。
「たいして何時もと変わらないな」
 街灯が点き、オレンジ色に照らす道を歩きながら遊夜は呟いた。
『……ん、そういえば、そうだね』
 くすくすと笑い声を出しながらユフォアリーヤは、嬉しそうに答えた。
「さ、わが家だ」
 遊夜が孤児院の窓から明かりが点いているのを見て、やれやれとため息を吐きながらも何処か嬉しい気持ちが胸いっぱいだ。
『……んふふ、夜更かししてる悪い子は……こちょこちょの刑、だよ』
 ドアを開けて、待っていた子供達にユフォアリーヤが、尻尾をゆらりと揺らし両手を頭上に上げて、ガオーとポーズしたまま寝ずに待ってた子供達を追いかけた。
「寝ないと、ママにこちょこちょの刑にされるぞ」
 温かな家、温かな子供達、騒がしく楽しそうな笑い声が日常だけれども、遊夜とユフォアリーヤはその『幸せ』と子供達を守る。
 希望はココにあるのだからーー……

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa0452/麻生 遊夜/男/34】
【aa0452hero001/ユフォアリーヤ/女/18】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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この度、代筆を得たいの知れない石の紅玉を指名していただき、ありがとうございます。
お二人の幸せ、日常をステータスシートに載ってるイラストをイメージして、楽しく書かせていただきました。
温かなとある日の1日を凄く楽しく書きました。
少しでも、楽しんでいただけたら幸いです。
もし、不備がありましたらお問い合わせください。
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2018年12月07日

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