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『クリスマスを控えて 』
カイン・シュミートka6967)&リーベ・ヴァチンka7144

 ハンターの仕事に出ていない普通の日。
 カイン・シュミート(ka6967)は、両親が営むカフェを手伝ったり、貸している土地の管理、または鍛冶職人の師のところで修行をして過ごすことが多い。
 今日は両親の手伝いで、自宅で菓子作り。
 両親が営むカフェでは、季節柄クリスマスの菓子を多く取り扱っているのだ。
 カインは農業を営んでいた祖母が遺した家の母屋で暮らしており、敷地内には現在下宿人が5人いる。そのうちの1人、カインと同い年の女性、リーベ・ヴァチン(ka7144)も今日は手伝いに来てくれていた。
「親がカフェ開く時に色々勉強したみてぇで、こういうののレパートリーも多いけど、トゥロンはばーちゃんレシピ。弟もトゥロン好きだから、クリスマス菓子の中じゃ一番作れるかも」
 作っているのはトゥロン。ナッツ類と蜂蜜を混ぜ合わせて作るクリスマスのお菓子だ。主に販売用だが、自宅用のも作っている。
「お前の弟が好きなのは家族代々のレシピを兄が作るからだろう」
 カインには10歳年下の弟がおり、リーベには3歳年下の、双子の弟がいる。
 リーベは双子の弟たちと過ごした日々を思い浮かべながら、こう続ける。
「私の弟達も甘いもの好きだ。だが、奴らは食いすぎるので時折制裁を与えなければならなかったのが難点だ」
 そう愛しげに笑うと、カインの口元にも笑みが浮かんだ。
 台所には、カインとリーベ2人だけ。
 カインを慕うペットの女の子たちもこの空間には入って来られない。例え、猫の手を借りたいほど忙しくなったとしても。
 焙煎したアーモンドやナッツ類を、煮詰めた蜂蜜、砂糖、卵白と混ぜて、よく練っていく。
 カインが練っている間に、カインの指示通り、リーベが次の準備を進めてくれる。
「これは毎年売れるから作業も骨だったが今年はリーベがいて助かる」
「実に結構」
 にやりと笑みを浮かべつつ、リーベはカインの額に浮かんだ汗をタオルで拭き取った。
 そんな自然な動作に、いちいち礼の言葉は出てこない。
(甘え下手なお前に頼られるのは悪くない)
 そう思いながら、リーベは作業を続ける。
 カインが愛他的で、人に気遣わせるのを好まない人だと、彼女は解っていた。
(そう、それが判る程度にはこの男を好いているが……)
 ちらりと彼の顔を見れば、作業をしながらも穏やかな表情で。
 この場が、彼にとって居心地の良い空間で、自分がその一部であることが感じ取れる。
(向こうも似たようなものだろう)
 互いに、自然体でいられる存在――。

(俺はこの女が好きなのだろう)
 手際よく作業を進めるリーベを感じながら、カインはぼんやり考えていた。
 まだはっきりしたものではないけれど、多分、この感覚は間違いではない。
(どうやら俺は苛烈な女が好きらしい)
 カインには、亡くした恋人があった。小柄でカインにとっては可愛い女子だったが、一般的には苛烈であったらしい。
 そしてリーベはといえば。
(下手な男よりイケメンのこの女は口が悪く、手も出て凶暴だが、本心の深い所は口にしねぇ。無欲で強欲な女だ)
 リーベは長身のカインと差がない程の長身で、顔立ちは男性そのものだ。
 女性らしい体型さえ見えなければ、誰もが男性と信じて疑わないほどに男前だった。
 そんな彼女が可愛く映る自分も大概だと、カインは思わず笑みをこぼす。それを指摘しない彼女の空気がまた心地良く、2人で穏やかにゆっくりとトゥロンを作っていく。

 特別な理由があって、2人の距離が縮まったというわけではなく。
 日々互いを知り、互いを好ましいと思うものの中には、男女のものも含まれるようになった。それだけのこと。
 互いに抱く気持ちは、まだ仄かなものだけれど。
 お互いに相手の気持ちを、互いが纏い流れる空気から、感じ取っていた。
(狂おしい程欲しくなったら、お前の全て奪うことにするさ)
 そんな日は、来るだろうか。
 次の材料を煮詰めながら、リーベが考えていると、外から動物たちの鳴き声が響いてきた。
 カインのペットたち……様々な種類の獣が60匹。全て雌……ではなく、女子。
 主人であるカインにそれぞれ恋慕の心を抱いている、女の子たちだ。
(今は彼女たちの圧が凄いがな)
 リーベは心の中で苦笑する。
 彼女たちは今、1人長々とカインの側にいるリーベに猛烈に嫉妬し、強烈なライバル心を抱いているはず。
「クリスマスはちょっと豪華な飯でも作るか。俺と下宿人全員とあいつらなら賑やかだろうし」
 型に流し、成形しながらカインがそんなことを言う。
「お前という奴は」
 呆れ顔でリーベはため息をつく。
「賑やかだろう、さぞ賑やかだろう、だがな。……この鈍感野郎」
 小声で毒づくが、今自分が説明をしてどうなることでもない。
 むしろペットたちの女心を説明しても、この男、理解できるかどうか。
 カインとしては、あくまで動物愛なようだが、深い愛情を持って女の子扱いするものだから、動物たち――彼女たちは彼に惚れこんでしまっているのだ。
 そんな彼女たちと一緒のクリスマス?
 何を考えているのだ、というか解ってさなさに、リーベは呆れ果ててしまいもう何も言葉が出てこない。
 そんなリーベの態度に、カインの頭の中に疑問符が飛ぶ。
(さっきまで機嫌よかったのに、なんだ? 解んねー)
「ほら、次」
「ん? ああ」
 ぶっきらぼうに材料を渡され、カインは次のトゥロン作りにとりかかる。
 彼の鈍さには呆れ果ててはいるが……それはそれ。
「で、クリスマスにはどんな料理を作るんだ?」
「そうだな……」
 すぐに流れる空気は元に戻る。
 今、この時間は――。
 2人で菓子作りに勤しむ穏やかで緩やかな時は、互いに心休まる暖かで大切な時だった。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号/PC名/性別/年齢/職業】
【ka6967/カイン・シュミート/男性/21/機導師(アルケミスト)】
【ka7144/リーベ・ヴァチン/女性/21/闘狩人(エンフォーサー)】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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お2人のお菓子作りをする姿は勿論、クリスマスの修羅場?を妄想し、楽しくなってしまいました。
そんなノベルを見かけましたら、こっそり拝読させていただくと思います。
この度はご依頼ありがとうございました!
イベントノベル(パーティ) -
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ファナティックブラッド
2018年12月28日

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