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『凸凹パルム温泉 』
イレーヌka1372


 王国北西部のとある温泉に、イレーヌ(ka1372)と鳴月 牡丹(kz0180)はやって来た。
 温泉旅行ではなく、ハンターとしての依頼だ。
「これが今回の依頼か……それにしても酷いな、“コレ”は」
 依頼書をくしゃくしゃと握り潰し、露天風呂に視線を向けるイレーヌ。
 湯煙の中、多数の毒パルムが見える。あれらを排除するのが、今回のミッションだ。
「えーと。ナニする依頼だっけ? イレーヌ君」
 牡丹は何をするのかすら、分かっていないようだ。
 たまたまリゼリオで一緒になって面白半分に着いてきただけの事はある。
「それでは、牡丹に改めて説明しよう!」
「うん。分かり易くね」
「まず、この柄毒パルムを捕まえる」
 イレーヌは湯煙の中に手を突っ込んだ。
 すると、小刻みにバイブレーションする柄毒パルムを捕まえる。
 そうすると、空いている反対側の腕を温泉の中へと入れた。
「次に、傘毒パルムも捕まえる」
 湯の中に潜んでいた毒パルムは傘が大きく頭頂部には円形の穴が開いていた。
 中は、ひだひだした物がビッシリとしており、試しに指を入れてみるとなかなか気持ち悪い。
「おー、それで?」
「これと、これを、合体させる」
 最初に捕まえたパルムの先端を、後に捕まえたパルムの傘穴に突っ込んだ。
 二体を毒パルムはお互い微動し続け、やがて、ビクンビクンと震えると、パッと消え去る。
 こうやって、露天風呂に沸いた毒パルムを消滅させる事が出来るようなのだ。
「色々と危ない感じがするけど、よく、依頼が通ったね」
「そこは……ツッコミを入れない方が良いと思うよ、牡丹。それじゃ、早速始めようか」
「当たり前の事聞くけど、これって勝負で良いんだよね?」
 豊満な胸を強調させて牡丹が言って来た。
 イレーヌはニヤリと口元を緩める。
「当然だ。より多くの毒パルムを昇天……じゃなくて、消滅させた方の勝ちさ」
「それなら、僕の勝ちは確実だ、ね!」
 湯煙の中に手を入れた牡丹が不意を突いて毒パルムをイレーヌに投げつける。
 それを腕でガードすると衝撃で毒パルムから個体とも液体ともいえぬ“何か”が発射された。
「やるな! だけど、これで一つ目さ」
 床に転がった毒パルムを掴み取ると、傘毒パルムを探すべく、温泉の中に飛び込んだ。
 その間にも、牡丹から柄毒パルムが飛んでくる。
「全く貧弱な竿だね」
「竿じゃなくて柄だよ。ところでさ、“貧弱な”って事は、そうじゃない竿を見たのかい?」
「な、ナニを、イッテルのかな、イレーヌ君は!」
 イレーヌからの思わぬ反撃の言葉に牡丹が慌てたように返事をした。
 平静を装っているが、明らか動揺しているようで、柄毒パルムが飛んでくる回数が少なくなった。
「こういうのはクールにやるものさ」
 大人な貫禄でイレーヌは次々に柄毒パルムと傘毒パルムに合体させていく。
 時々、牡丹からの妨害が入るが、ここはハンターとしての経験の差というものが出るようだ。
「湯の中にいるはずなんだけど……」
「これは逆転のチャンスだね!」
 温泉の中を屈みながら進むイレーヌに牡丹が背後から飛び掛かった。
 背中に柔らかい感触を受けるが、今は楽しんでいる場合ではない。
「そう簡単に逆転はさせないぞ」
 イレーヌは柄毒パルムを武器代わりに牡丹の身体を突く。
 それだけで、危ない感じのする“何か”が彼女の美しい肌を汚す。
「やってくれるね、イレーヌ君は!」
「そっちが先にやって来たんだろうって、ここに傘毒パルム!」
 掴み合いと“何か”まみれの乱戦模様だが、そんな中でもイレーヌは状況に飲み込まれない。
 冷静に二種類の毒パルムを合体させていく。
 牡丹の差が決定的になった時だった。イレーヌはふと気が付いた。
「何か……可笑しくないか、牡丹?」
「え? ナニも可笑しくないよ。さっきから柄毒パルムがいて、傘毒パルムがいないだけでさ」
「それだよ、だって、明らか、柄毒パルムばっかりじゃないか」
 その台詞に牡丹は周囲の湯煙を注意深く観察する。
 確かに、柄毒パルムしかいない。最初から数が合っていなかったという事なのだろうか。
「参ったね。柄同士じゃ消えないし」
「牡丹。ちょっと来て」
「なんだい?」
 不用心に近寄ってきた牡丹の豊満な胸の隙間に、イレーヌは柄毒パルムを突っ込んだ。
 次の瞬間、ビクンビクンと脈打ち、“何か”を散らして柄毒パルムは消える。
「うわっ! 何するんだよ、イレーヌ君!」
「何ってナニに決まってるじゃないか。それに、ほら、これで消えるって分かったし」
 そう言ってイレーヌは両手に柄毒パルムを掴むと牡丹に向けた。
「なるほど、そういう事か。だったら、尚更、負けられない」
 牡丹も柄毒パルムを引っ掴む。
 対峙する二人。一瞬の静けさが訪れる。
 この危ない柄毒パルムを相手の隙間やら口やらに挿し込むという死闘が始まろうとしていた。
「「いざっ!」」
 湯煙の中、二つの影が交差するのであった。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka1372/イレーヌ/女性/10/聖導士】
【kz0180/鳴月 牡丹/女性/24/格闘士】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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お世話になっております。赤山です。

果たして戦いはどのように決着したのか……自分でもかなり気になります。
大変な事態になったのかならないのか――後はご想像でという事で!
何故か案件チックな内容のノベルになりましたが、最初からそうしようと思った訳ではなく、なんか、流れでこうなりました(
二人の凸凹コンビの掛け合いを楽しく描かせて頂きました。お気になる点があれば、お気軽にリテイクをお申し付けください。

この度は、ご依頼戴き、ありがとうございました。
おまかせノベル -
赤山優牙 クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2019年01月08日

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