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『夢みたいな新年会 』
プリンセス☆エデンaa4913)&Bradleyaa4913hero002)&Ezraaa4913hero001


「ここが本日の新年会の会場です!」
 というプリンセス☆エデン(aa4913)の声に、Ezra(aa4913hero001)とマニー・マミーを除く全員が実に微妙な顔をした。
 闇夜の中に輝くネオン。書かれている文字は「オネェバーかぐやひめん」。それだけでも存分に異界感が漂ってくるのに、閉じられた扉の向こうの気配は比にならぬ程濃厚である。Bradley(aa4913hero002)も戸丸音弥(az0037)も六人のGLAIVE兵達も、情報を処理しようと必死に脳を動かしたが、処理が終わる前に金髪ゴリ……もといかぐやひめんの店主であるキャシー(az0090)が姿を現した。
「あらいらっしゃいエデンちゃん。そちらが今日のお連れの皆様かしら〜ん」
 言ってキャシーはバチコーンとウインクした。何故か風が巻き起こった。情報過多に頭の中がヒートしそうな面々を前に、エデンがとびっきりの笑顔で双方の橋渡しをする。
「こちらはかぐやひめんの女王、キャシーオネエサマだよ! キャシーオネエさん、こっちはあたしのもう一人の英雄のブラッドリーと、ギアナ支部職員の音弥と、GLAIVEのみんな!」
「あらそうなのん。キャシーよ〜ん。今日はどうぞよろしくね〜ん」


「寒いし中に入って入って!」
 というキャシーの言葉により、一同は異界、もといオネェバーかぐやひめんの中へと入った。入口もまた異界だったが中もやはり異界だった。一応内装は普通のバーだが、心と格好は女性、しかし肉体は立派な男性がそこかしこで手を振っている。Bradleyはここまで沈黙を保っていたが、店内をしばらく見回した後なんとも言えぬ溜息を吐いた。
『いやあなんかスゲェな、色々』
「まずはドリンクをオーダーしてねん。なにかリクエストがあれば遠慮なく言ってちょうだいね〜ん」
 全員が着席したと同時に、キャシーが一人一人の手にメニュー表を配っていった。音弥は難しい顔でメニュー表を睨んでいたが、意を決し、垂直に右手を挙げてキャシーへと質問する。
「ここまで来ておいてなんだが、僕はいていいのだろうか。僕はまだ未成年なのだが……」
「あたしだって未成年だよ。でも問題ないよねオネエさん」
「もちろんオッケーよ〜ん。ジュースもちゃんと用意しているから、心配しないで楽しんでね〜ん」
 エデンとキャシーの回答に、音弥はわずかに力を抜いた顔をした。もっとも場所が異界なので、完全に力を抜ききる事は出来ないようだが。一方Bradleyはいつの間にかリラックスモードに突入していた。
『とりあえずビール。あとなんかつまみを貰えるか』
『さすがと言うかブラッドリーさん、馴染むのが早いですね』
『だってここ、オネェバーだろ? つまりバーの一種だろ? バーに来て酒飲んでつまみ食うのは当然だろ? 兄ちゃん達もとりあえず何か飲もうぜ。あんたらが誰だか知らねえが、バーに来てやる事と言えばまずは酒を飲む事だ』
 Ezraの感心したような、呆れたような声に応えた後、BradleyはGLAIVEの面々へとメニューを向けた。Bradleyの言う通り、BradleyとGLAIVE兵達は今回が初対面だが、Bradleyは細かい事は気にしないタチである。一応新年会を共にする仲というのは分かっているし、そうでなくても酒とつまみ、とりあえず酒とつまみだ。
「そうそう、ここはバーなんだから。お酒とか食事とかをめいっぱい楽しむ所なんだから」
「初めてのお客様でも楽しんで頂けるよう頑張るわ〜ん。どうぞ遠慮なくなんでも注文してちょうだいね〜ん」
 Bradleyに便乗し、エデンとキャシーも畳み掛けた。GLAIVE兵達はしばし顔を見合わせたが、「じゃあ俺もとりあえずビール」とぽつぽつと注文を始めた。なおマニーだけはオレンジジュースを注文する。
「じゃああたしはシンデレラにしようかな。この前飲んだの美味しかったし」
「僕はお茶で」
『私もお茶で』
「音弥もエズラも堅苦しい! 特にエズラ、新年会なんだからお酒飲んでもいいじゃない!」
『いえお嬢様、私はお茶で』
 Ezraは執事然、というより、何かに遠慮しているような空気を醸してそう答えた。なおエデンとBradleyに対する遠慮は最近大分なくなってきたし、かぐやひめんには一度だけだが既に訪れた事がある。一体何に遠慮していると言うのだろうか。
「はいどうぞお飲みものデース」
 そこに、キャシーとはまた別のオネエさん(複数)が現れた。新年会参加者の前にそれぞれグラスを置いていき、「どうぞ楽しんでいって下サーイ」と投げキッスを残していく。男性陣数名の顔が若干ひきつったが、エデンは気にせずシンデレラの入った自分のグラスを持ち上げる。
「それじゃあ、なんか色々あったけど、これからも色々あると思うけど、とりあえず色々祝して乾杯!」
 色々込み過ぎの音頭だったが、全員特に気にはせず倣ってグラスを持ち上げた。ところで何故新年会を行う事になったのだろう。それもリオ・ベルデからもギアナ支部からも遥か遠いかぐやひめんで。
 だがエデンは気にしなかった。ごーいんぐ・まい・うぇい。ゴキゲンなお気楽娘。明日は明日の風が吹く。今はこの時この瞬間を精一杯楽しむだけだ。
「「「『乾杯!』」」」


「質問たーいむ! マニーやGLAIVEって一体どんな人たちなの?」
 数分後、エデンは右手の持ち物をグラスからマイクに変え、さっそくマニーやGLAIVE兵に突撃インタビューを仕掛けていた。なおシンデレラはノンアルコールカクテルなのでエデンは一切酔ってはいない。これが通常テンションである。
「お賃金を頂いていないのでお答え出来ないのであります」
「えーいいじゃん教えてよー」
「マニーじゃないが無理だ。そこは企業秘密という事で」
 マニーと兵士のつれない返事にエデンはむうっとむくれてみせた。あからさま過ぎる我が主に、両手におつまみの皿を乗せたエズラが慌てて声を掛ける。
『お嬢様、あまり無理な事はおっしゃらず』
「そんな無理なこと聞いてないもん! 年は? 誕生日は? 血液型は? 好きな女の子のタイプは!?」
「お賃金を頂いていないのでお答え出来ないのであります」
「けち!」
『おいこっちに酒だ! 酒をくれ!』
 一方、ブラッドリーはマイペースに酒や料理を楽しんでいた。いつの間に飲み食いしていたのか、既にグラスや皿が山のようになっている。
『ブラッドリーさんもちょっとは押さえて』
『なんでだよ別にいいだろう? 問題ねえよなオネエさん?』
「もちろん、いっぱい食べていっぱい飲んで下さってオッケーよ〜ん。エズラちゃんもゆっくりのんびりしてくれていいのよ〜ん?」
『いえ、私はこちらの方が落ち着きますので』
 キャシーの言葉にEzraはイケメンな、しかし何処か乾いたような笑みを浮かべた。実際の所は手伝っている方が落ち着くと言うよりも、「周囲に気を遣ってしまうので手伝っていた方がマシ」と言うのが正しい。Bradleyとは違い、GLAIVE兵達との面識は一応あるが、向こうからすると「なんか見た事がある」程度の認識だろう。とりあえず何の気負いもなく和気あいあいと酒を酌み交わす、というような仲ではない。
『(もっとも、お嬢様とブラッドリーさんにはあまり関係ないようですが)』
「いいじゃんマニー教えてよ」
「お賃金を頂いていないので」
「それはもう何回も聞いた!」
 エデンはついに腕を組み、完全にぶすくれた。ぷうっと綺麗に膨れた頬が鏡餅のようである。そこに追加のお酒を持ってきたキャシーが通り掛かる。
「あらエデンちゃんどうしたの?」
「うーん、うん、ちょっとねー」
「そうだ、エデンちゃんはアイドルなんだから、せっかくならステージで一曲披露したらどうかしらん?」
 キャシーからの提案にエデンの顔が瞬時に変わった。その案に応えるようにステージのカーテンがシャッと開き、ついでに壇上に誘うようにスポットライトがカッと光る。
「エデンちゃんの歌、また聞いてみたいわ〜ん」
「……うん、そう、そうだよね! エズラ、ブラッドリー、一緒に踊るよ!」
『え?』
『え?』
 まったくタイプの違う二人の疑問符が綺麗にハモッた。そうこうしている間にエデンはステージに飛び乗って、スポットライトを浴びながらマイクスタンドを握り締める。
「だってあたしたちユニットでしょ? あたしが歌う時はサポートする、後ろで一緒になって踊るのはユニットとして当然でしょ?」
『いや、そんな事を急に言われてもだな』
『一緒に踊った機会は今まで一度もないはずですが』
「だったら今日がその一回目だよ! これからもっと大きなステージに立つんだから今の内に練習しなきゃ! さあ立って。こっち来て。執事二人の初陣だよ!」
 ご指名を受けた執事二人はそれは渋い顔をしたが、最終的には諦めて渋々とだがステージに向かった。大分強気になったとは言え、Ezraは基本的に断れない性分だし、Bradleyは断るのも面倒だとそう思った。もっとも承諾した事で、今後さらなる面倒に見舞われる可能性は結構高いが。
『で、どこに立って何をすりゃいいんだ?』
「そうだねー。二人とも執事ポジだし……その前に二人ともなにか踊れる?」
『無理です』
『こういう感じのならいけるぜ』
「……楽器とか弾ける?」
『無理です』
『こういう鳴らすだけのヤツならいけるぜ』
「よし分かった! エアーバンド! エアーバンド形式で行こう! エズラはギター、ブラッドリーはドラム。実際演奏しなくていいから! 演奏しているフリでいいから!」
 かくしてエデンの命により、Ezraにギター、Bradleyにドラムが配備された。二人の顔の渋さが五割増しぐらいになったが、エデンの笑顔は対照的に全開になっている。
「それじゃあ歌わせて頂きます! エデンの魔法でみんなのハートを根こそぎ奪っちゃうからね!」


『あー疲れた』
 ようやく解放されたBradleyはどっかりとソファに背を預けた。疲労困憊のBradleyと対照的に、エデンは隅の方で何やらぶつぶつ言っている。
「そうだよね……ユニット組むならユニット名は必要だよね……でも考えるの面倒くさいなあ……またおまかせで作ろうかな……」
 漂ってくる不穏な気配に『……とりあえず、酒』とBradleyは酒に逃げる事にした。疲れたし、ここはバーだし、新年会だし、店主のキャシーはどれだけ飲み食いしてもいいと言っている。酒に逃げた所で咎める者は誰もいない。
「よおオッサン、イケる口だな。俺と一丁勝負しねえか?」
 とその時、GLAIVE兵の一人がBradleyに声を掛けた。手にはBradleyと同じ種類、全く同じ量の酒。酒片手の勝負と言えばするべき事は決まっている。
『いいのか? 俺は強いぜ?』
「こちとら現役の兵士だ。英雄とは言えオッサン相手にゃ負けねえよ」
 兵士はにやりと笑みを浮かべ、Bradleyもまた獰猛な笑みを浮かべてグラスを取った。酒の勝負、つまり一気飲み勝負が始まると知り、他のGLAIVE兵達が一斉に手拍子を始める。
『負けた場合はどうする?』
「テキーラを1ショット追加」
『了解。それじゃあ3、2、1だ。3、2、1』
「ちょっと待ったぁぁあっ!」
 野太く猛々しい声に、兵士とBradleyの口から同時に酒が噴き出した。見るとキャシーが、雄々しい仁王立ちをして男二人を睨んでいる。
「うちのお店でお酒の一気飲み勝負は禁止よ〜ん! 特に今日は子供二人が見てるでしょ! エデンちゃんと音弥ちゃんにお酒の悪い飲み方を教える事は許さないわん! うちで一気飲みをする時は……これを飲むのよ!」
 ドドンと、二人の前に何か赤い液体の入ったジョッキが置かれた。外見はトマトジュースだが、鼻をつく匂いに二人は同時に正体を知る。
「かぐやひめん特製、激辛トマトジュースよ〜ん。タバスコとか唐辛子エキスとか色々が入っているの。負けた方はこれと同じものをもう一杯追加ね〜ん」
 二人のテンションが同時に下がった。テーブルの上に置かれているのに、刺激臭が二人の鼻を既にぐさぐさ突き刺している。だが『「やっぱりやめよう」』と言い出す事は出来なかった。他のGLAIVE兵や店内のオネェさん達が「一気! 一気!」とボルテージを上げているからだ。
「ブラッドリー、頑張れー!」
『ブラッドリーさん、ご愁傷様です』
 エデンが無邪気に応援し、Ezraは両手を綺麗に合わせた。ここで半ギレになって辞退する事は出来なくもないが、それをやっては男が廃る。
『……俺はいつでもいけるぜ』
「……俺だってオッケーだ」
 お互い『「相手が辞退してくんねーかな」』と願っての発言だったが、考えている事は同じだった。二人同時にグラスを持ち、まったく同時に喉を鳴らす。そして『「3、2、1!」』で一気に煽り。
 赤いアーチが二つ、かぐやひめんに綺麗に掛かった。


『甘いもの……甘いものを何か……』
 というBradleyのリクエストにより、テーブルの上は甘いもので山盛りになっていた。ジュースに果物の盛り合わせにプリンにアイスにシャーベットに。
「おしるこも出来るけど、誰か食べたい人はいるかしら〜ん」
「はいはいはーい! あたし食べるあたし食べる!」
 キャシーの言葉に当然と言わんばかりにエデンが元気に手を挙げた。無駄だとは思いつつ、Ezraは一応諫めておく。
『太りますよお嬢様』
「前も言ったけどあたしはアイドル(仮)だから、どれだけ食べても太らないの! ね、いいでしょキャシーオネエさん」
「もちろんオッケーよ〜ん。もしダイエットしたくなったらあたしの所に来るといいわん。一緒にトレーニングしましょ」
 エデンとEzraはキャシーのたくましい筋肉を見た。その筋肉から連想されるトレーニングのハードさに、さすがのエデンも顔をちょっぴりひきつらせる。
「あはは……うん、もしもの時はお願いするよ。筋肉はつけない方向で……」
「それじゃあ待っててね〜ん。腕によりを掛けて作ってくるわ〜ん」
『私もお手伝い致します』
 甘いものを大量に貪るBradleyと兵士を尻目に、Ezraはそう申し出てキャシーと共にその場を離れた。小豆は既に煮ていると言うので餅の準備に着手すると、音弥が「僕も手伝う」と台所に姿を見せた。
『戸丸さん、あちらでご歓談して下さって大丈夫ですよ?』
「いや、誘ってもらって恐縮だが、どうにも身の置き場が……君もそうだろう?」
 どうやら見抜かれていたらしい。Ezraは『ええ、まあ』と困ったような笑顔を見せた。そこにキャシーが、餅の入ってないおしるこを二人分ずいっと差し出す。
「味見をお願いしてもよろしいかしらん?」
 Ezraと音弥は顔を見合わせ、それぞれお椀を受け取った。飲んでみると小豆の上品な、優しい甘さがほわっと広がり、喉と胸の内を温かく潤していく。
『美味しいです。何かコツは?』
「小豆のアク抜きをきちんとする事と、お塩をちょっと入れて甘みを引き出す事かしら〜ん。時間がない時はお店で売ってるあんを使ってもいいわよ〜ん。後でレシピ渡しましょうか」
『是非』
「もしちょっと休みたいなら、空いてるお部屋をお貸しするからいつでも言って。今日は楽しんで頂けると嬉しいわ〜ん」
 キャシーの言葉にEzraと音弥は顔を見合わせ、ほぼ同時に苦笑した。味見させてくれたのも、二人を気遣っての事だろう。
『いえ、大丈夫です。美味しいおしるこで元気が出ました』
「僕もだ。お餅がそろそろよさそうだ。運ぶのを手伝っても?」
『もちろん。お願いします』
 Ezraと音弥で協力して、人数分のおしるこをテーブルへと持って行く。エデンは「いただきまーす!」と元気いっぱいに手を合わせ、あんことお餅のハーモニーを至福の顔で堪能する。
「おいしーい。冬はやっぱりおしるこだよね」
「マニーは初めて食べるのであります」
「そうなの!? おいしいよ。お餅はしっかり噛んで小さくしないと喉に詰まるから気を付けてね」
 マニー以外のGLAIVE兵達も初おしるこであるらしく、見慣れぬ代物を恐る恐る、慎重に食べ始めた。そこにキャシーがバニラアイスをボックスごと持ってきた。
「おしるこにバニラアイスを入れるのもおいしいわよ〜ん」
「キャシーオネエさん天才〜っ! あ、そうだ、ここオネェバーだよね? オネェバーに来て女装もなしっておかしいと思わない?」
 ぴたりと、EzraとBradleyの動きが止まった。ギギギギ、とぎこちない動きでこちらを見る執事二人に、エデンは極上の、さながら天使と言わんばかりの穢れなき笑顔を見せた。


「あははははっ! 二人ともいいよ! 綺麗!」
 エデンとGLAIVE兵達の前には、お色直しをしたEzraとBradleyが立っていた。Ezraは付け毛でおさげを作成し、真っ白な清楚系お嬢様属ワンピース。Bradleyはハイヒールを着用し、太腿が眩しいワインレッドのスリット入りロングドレス。
『穴があったら入りたい……』
『もうどうにでもしてくれって気分になるな』
「そうだ、マニーと音弥もやってみたら? こんな機会なかなかないよ?」
「マニーは似合わないと思うでありますが」
「僕達に女装させるよりも、エデン君が男装する、っていうのもあるんじゃないか?」
「なるほど。それも一理あるね!」
 音弥の説得(?)によりエデンもお色直しを決行した。真っ黒な燕尾服に真っ黒なシルクハット。魔法の杖代わりには紳士用のステッキを。
「魔法少年プリンス☆エデン! ……とか? これはこれで悪くないような気もしなくはないけれど、ものすごく目立ちそうな気もすっごくしてくるけれど、でもやっぱりあたしは歌って踊れる魔女っ娘アイドルの方がいいよね?」
『ええ、是非そうして頂きたく……』
『さすがに女装デビューする気はないな……』
「おせちの用意が出来たわよ〜ん」
 心の底からげんなりする執事二人を尻目に、キャシーが超豪華なおせちをカートに載せてやってきた。おせち以外にも超巨大なケーキとか、噴水のようなチョコファウンテンとか。
「うっわーすっごーい!」
『もうヤケだ! 今日はめいっぱい飲むぞ!』
『もう既に大量に飲んでるじゃないですかブラッドリーさん』
 スリット入りドレス姿で酒瓶を掴むBradleyに、Ezraはワンピース姿で流れるように突っ込んだ。GLAIVE兵達の豪快な笑い声が響き渡り、マニーは新たな料理達に興味津々であるようだ。エデンもおせちや巨大ケーキに目を輝かせ、そしてみんなに負けない程楽しそうな笑顔を見せる。
 まるで夢でも見てるみたいに。


「あはは、おかしーい……むにゃ……もう食べられない……」
 エデンは幸せそうな顔でふかふかの枕に埋もれていたが、急にぱちりと目を覚ましてきょろきょろ辺りを見回した。そこはエデンの寝室だった。かぐやひめんではなく、美味しい料理もデザートもなく、キャシーの姿もマニーの姿も、音弥やGLAIVE兵達の姿もない。
「……あ、そうか、夢か」
 オネェバー「かぐやひめん」で行われた新年会。しかしそれは現実ではなく夢の中の出来事だった。リオ・ベルデからもギアナ支部からも遥か遠いかぐやひめんで新年会が行えたのは、それがエデンの夢だったから。楽しい気分もみんなの笑い声もあっという間に遠退いて、エデンは寂しい気分でベッドから抜け出した。
「……おはよう」
『おはようございますお嬢様』
 居間に行くとEzraが朝食の準備にかかっており、大変珍しい事にBradleyの姿もあった。Bradleyはマイペースな性格で寝起きの時間もマイペース。故にこの時間に起きているのはものすごく珍しい。……ただ、なんだか機嫌が悪いような?
「ブラッドリーどうしたの?」
『いや、なんだか夢見が悪かったらしくて』
「夢見?」
『なんでも行った覚えのないオネェバーで、会った覚えのない人達と新年会を行ったんですが、それで散々な目に遭ったらしく……実は私も、かぐやひめんで女装しているブラッドリーさんの夢を見たんですが』
 その言葉に、Bradleyが目を光らせてずいっとEzraに詰め寄った。二人の身長は同じなため、正面から顔を突き合わせる事にしかならないが、Bradleyは圧を放ってEzraを徐々に押し込んでいく。
『いや女装してたの俺だけじゃねーから。お前もだから。真っ白な清楚系お嬢様属ワンピース着てたから』
『な、何故それを!』
『なんだ、お前も同じ夢を見たのか』
 Ezraはしまったという顔をした。Bradleyの表情がにやりと変わった。逆襲されそうな雰囲気に、Ezraが珍しく声を荒げて反論する。
『いや夢ですから! 夢の中の話ですから!』
『俺だって夢の話だが。しかしお前の女装もなかなかだったな。おさげ付き真っ白な清楚系お嬢様ワンピース』
『ブラッドリーさんだってハイヒール着用のスリット入りドレスだったじゃないですか!』
「あはははははは!」
 二人のやり取りを聞いていたエデンが突然笑い出した。執事二人はあっけに取られ、一人で何やらおかしそうに笑い続ける主を見やる。
 オネェバー「かぐやひめん」で行われた新年会。それはエデンが見た夢でしかないけれど、夢は叶えればいいのだ。エデンが今、アイドルになるという夢を叶えようとしているように。さすがにかぐやひめんで新年会は難しいかもしれないが。
「ううん、夢は見るものじゃない。叶えるものだから、叶えようと頑張ればいつかきっと実現するよね! という訳でEzra、おしるこが食べたいな!」
 なにが「という訳で」なのかは不明だが、エデンの突然はいつもの事だ。それにEzraもなんだかおしるこが食べたくなった。夢で見たせいだろうか。
『それではあんことお餅を買ってきましょうか。ブラッドリーさんはどうします?』
『俺は……いや、食うわ。ついでに酒も』
『朝からお酒はダメですよ』
「それとそれと、おしるこにバニラアイスも入れたいな!」
『太りますよお嬢様』
「あたしはアイドル(仮)だから、どれだけ食べても太らないの!」

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【プリンセス☆エデン(aa4913)/外見性別:女性/外見年齢:16/能力者】
【Ezra(aa4913hero001)/外見性別:男性/外見年齢:27/ソフィスビショップ】
【Bradley(aa4913hero002)/外見性別:男性/外見年齢:62/ブラックボックス】
【戸丸音弥(az0037)/外見性別:男性/外見年齢:19/能力者】
【キャシー(az0090)/外見性別:?/外見年齢:36/人間】
【マニー・マミーとGLAIVE兵達】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 こんにちは、雪虫です。「ワイワイ楽しく、メンバー個性的なのでカオスな雰囲気」とご要望を頂きましたので、カオス成分ましましで書かせて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。口調や設定、イメージと齟齬がありましたら、お手数ですがリテイクの連絡をお願いします。
 この度はご注文下さり、誠にありがとうございました。前回のおまかせノベルへのご感想も大変ありがたく読ませて頂きました。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
イベントノベル(パーティ) -
雪虫 クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2019年01月16日

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