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『AOKY、飲むよ!』
レティシア ブランシェaa0626hero001)&オリヴィエ・オドランaa0068hero001)&凛道aa0068hero002)&ガルー・A・Aaa0076hero001)&ユエリャン・李aa0076hero002)&ヰ鶴 文aa0626hero002

 右目に眼帯をつけ、左手にのみ手袋をつけた男は、その見た目とは裏腹に繊細な手つきでこの日のために用意した生ハムとチーズをトマトの輪切りと一緒に美しく盛り付けていく。前日から仕込んでいたサーモンのカルパッチョをガラスボールに入れ、生ハムとチーズとトマトでできた輪の中心へと置く。
 フリーズドライのパセリを仕上げにカルパッチョにかけ、「よし!」と満足そうに口角をあげる。カフェの厨房から皿を持って行くと、彼が作った料理が並ぶテーブルにその一品を追加した。
「レティちゃん、来たよー!」
 その声にレティシアが振り返ると、ガルーが勢いよくカフェの扉を開いた。
 新年早々の飲み会、主催者はレティシア、会場はレティシアの住まいの一階にあるカフェ。メンバーは愉快な仲間たちだ。
「暖冬とはいえ、やっぱりこの時期は寒いな」
 両手に荷物を持ったガルーの後から今日のメンバーが続々と入って来る。
「相棒は風邪を引いたからおいて来た」
 オリヴィエはガルーにぐるぐるに巻かれたマフラーを取りながら言った。
「不本意ですが……」と顔をしかめているのは凛道だ。
「風邪っぴきの代理です。なので、今日観賞予定だった至極のDVDを持って来ました!」
 不本意な割には楽しむ気満々だ。
「吾輩が来てやったぞ。感謝しろ!」
 ユエリャンの尊大な態度はテンプレなので誰も気にしない。ちなみに、着ているものが女物という点も、よく似合っているので、誰も気にしない。
 そのユエリャンの後ろから顔を覗かせたのは、文だった。
「……ユエに誘われたから」
 同じ能力者と契約した英雄同士のわりにはなかなか打ち解けることができない文が来てくれたことが、レティシアは嬉しかった。しかし、同時に不安も覚えた。
(今日のメンバー、英雄しかいないけど……大丈夫か?)
 しかし、今の所、文はその点には気づいていないらしい。
 ガルーは慣れた様子で厨房へ進む。
「冷蔵庫借りるぞ〜! 日本酒持って来た。ちょっといいやつ。あと、リーヴィ用にオレンジジュース、りんごジュース、ぶどうジュース、メロンソーダ、コーラ、烏龍茶、緑茶、ジャスミンティーもあるから」
「オリヴィエのこと甘やかしすぎだろ。かなり引くわ」
 呆れた眼差しを向けて来たレティシアにガルーはニッと口角を上げた。
「彼女なしのクリスマスはさぞ寒かっただろ……」
「うるせぇ!」
 ガルーと軽口を叩くレティシアにユエリャンが注文する。
「赤毛! まずはシャンパンで乾杯といこう!」
「お客様、当店はシャンパンのご用意はございません」
 棒読みでそう返しながら、レティシアは六人分のグラスを用意し、五つにビールを注いだ。
「オリヴィエ……は、さすがに酒飲ますわけにいかねーからな、何飲む?」
「じゃぁ」と、オリヴィエはすこし考えるそぶりを見せて、答えた。
「ジンジャーエール」
 オリヴィエの回答にガルーの動きが一瞬止まる。そして、財布を握りしめて、いまにも走り出しそうな勢いで言った。
「買ってくる! 強炭酸か? 弱いやつか? 辛めのやつか?」
「待て。冗談だ」
 オリヴィエは笑ってそう言ったが、「え? 冗談だったのか?」と、レティシアがお店のジンジャーエールを開けたところだった。
「あ、悪い。せっかくだからいただく」
「ここのジンジャーエール美味いから、ぜひ飲んでくれ」
 オリヴィエはお礼を言ってグラスを受け取る。
「次の飲み会の時には絶対買っておくからな。ジンジャーエール!」
 ガルーがやけに真剣な顔で言うものだから、オリヴィエはまた笑う。
「だから、冗談だったんだって。甘やかしすぎだって、またレティシアにからかわれるぞ」
「甘やかしたいんだよ」
 そう髪に触れられ、オリヴィエはガルーにひっつきたくなった。しかし、そんな気持ちを理性で押しとどめる。
「レティシア……その緩んだ口元をなんとかしないと、せっかくのジンジャーエールを、味わう前に赤毛に吸わせることになるかもしれない……」
 オリヴィエはレティシアに視線を合わせることなく、低めの声で言った。
「悪い、悪い」と、レティシアはニマニマ顔を急いで引っ込めた。
「レティシア、乾杯の音頭な」
 ガルーに促されて、レティシアはグラスを持った手を高く掲げる。
「じゃ、今年も一年……」
「飲み明かすであるぞ!!」
 ユエリャンの「かんぱーい!」のひと声に、みんなグラスを合わせた。

 最初の一杯をユエリャンは一気に飲み干し、すぐに次のビールを注ぐ。
「我輩煩いのは苦手であるから、文が一緒に来てくれて助かったであるぞ」
 そう文にお礼を言うと、すこし照れたように「別に良いけど」と文が言った。
「……部屋で本読んでただけだから」
「本当に本の虫であるな」
 ユエリャンが感心して文を見ると、文はまた「別に……」と目をそらし、ビールを飲んだ。
「最初会った時より大きく感じるな……いや、オリヴィエお前……身長伸びたか?」
 レティシアはオリヴィエの頭に手を置いた。オリヴィエはレティシアの手を軽く払いのける。
「当たり前だろ?」
「遅れてやってきた成長期かぁ〜」
 レティシアの言葉に、オリヴィエは無言でグーを作る。
「あー、たんま! 腹パンはやめて!!」
 レティシアは取り皿をオリヴィエに渡した。
「成長期なんだから、どんどん食えよ」
「これ全部、レティシアが作ったのか?」
 テーブルの上に並べられた料理の数々にオリヴィエは感心する。
「まぁ、つまみばっかだけどな。すきっ腹に酒入れるわけにもいかねぇだろ」
「……」
 すきっ腹に容赦なく酒を流し込もうとするダメな大人たちを何人も知っているオリヴィエは、レティシアもその内のひとりだと思っていた。
「レティシアのことを誤解していた。これからはほんのすこしだけ考えを改める」
「え? 急に何? オリヴィエ、俺のことなんて思ってたの?」
「……ろくでもないおっさんsの一員」
「ろくでもないおっさんs ……何その、ろくでもなさそうなメンバー名……しかも、ほんのすこししか考えを変えてくれないってことは、俺、そのメンバーから抜け出せたわけじゃなくない?」
「……変なところ、鋭いな」
「やっぱり!」
 ろくでもないおっさんsから抜け出す秘訣がないか考えていると、ガルーがレティシアとオリヴィエの間に入り込んできた。
「レティ! なに俺様の恋人独占してんだよ!」
 ガルーが持参した揚げたて唐揚げを小皿に盛ってオリヴィエに渡す。
「こんくらいで独占って……ガルー、独占欲強すぎだろ……オリヴィエ、こいつが嫌になったら、いつでも逃げてこいよ」
「それと」と、レティシアはわざとオリヴィエに必要以上に顔を寄せて言った。
「食いたいものあったら言えよ。作ってやるから」
 ガルーが手のひらを見せて拒否を示す。
「いや、リーヴィの専属料理人は間に合ってる」
「なんだ。よくわかっているじゃないか」
 そう口を挟んだのはユエリャンだ。
「貴様は所詮オリヴィエの専属料理人であるからな。オリヴィエの恋人になるなど、一億光年早いわ」
 二人から報告は受けたものの、ユエリャンはまだ納得できずにいた。
「僕もそう思います!」
「さすが同志! 話が早いな!」
 ユエリャンと凛道はしっかりと手を握り合った。
「文も我らの同志であろう?」
 ユエリャンが文に話を振ると、文は「僕はどっちでもいいけど……」と言いながら、ガルーに冷たい視線を向けた。
「ただ、その人の良さが僕にはわからない」
 文の辛辣な言葉に、ガルーはわりと本気で凹む。
「……いや、俺は、お前がいいやつだって知ってるぜ?」
 落ち込むガルーをレティシアが慰める。
「それに」とレティシアはオリヴィエを見る。
「オリヴィエにとっては、ガルーが他の人間から好かれてようと、嫌われてようと、関係ないみたいだしな」
 オリヴィエはいつの間にかガルーにぴったりくっついて、ガルーの唐揚げを食べていた。
 レティシアに名前を呼ばれて、自分がガルーにくっついていたことに気づいたオリヴィエは慌てて距離を開けようとしたが、ガルーの腕がオリヴィエの肩を抱きしめた。
「お前らに認められなくても、オリヴィエが俺様の恋人だっていう事実は変えられないからな!」
「犬! 我輩のオリヴィエを離すであるぞ!」
「先輩に気安く触らないでください!」
 急に強気になったガルーに、ユエリャンと凛道が掴みかかり、オリヴィエから引き離そうとする。
「オリヴィエはみんなから愛されてんな……」
 レティシアがふと文のほうを見ると、ひとり、ビールを飲みながらオリヴィエたちの様子を見ていた。
「……」
 つまみを取り皿によそって、レティシアは文に差し出した。
「空きっ腹に酒は良くないから、食え」
「……」
「ガルーが酒以外にも色々と飲み物買って来てくれたから、遠慮なく飲めよ」
「あの人が選んだのはちょっと……」
 レティシアは苦笑する。
「そんなにガルーのこと嫌いか?」
「……いや、あの人がなにかしたわけではないんだけど。……苦手」
「そうか……まぁ、そのうち慣れるさ」
 ユエリャンが乱れた髪を結びながら戻ってきた。
「文、そろそろ水も飲んでおけよ」
 ユエリャンは文の手からお酒の入ったグラスを受け取り、代わりに水の入ったグラスを渡す。
「酒に嫌な思い出ができると、我輩と飲んでくれなくなるであろう?」
「……ん」
 文はユエリャンの言葉には素直に従い、水をひと口飲んだ。
 文がユエリャンには心を許している様子にレティシアはすこし驚いたが、同時に嬉しく思う。このまま二人の友情が続くことを心から願った。
 レティシアがオリヴィエの近くに座り直すと、「……よかったな」と、オリヴィエも文とユエリャンの二人を見つめ、微笑んだ。
「ああ」
 レティシアも微笑み、それから、ガルーが突っかかってこないことを不思議に思った。
「あれ? ガルーは?」
「豆腐サラダを作りに行った」
「豆腐サラダ……オリヴィエが好きなのか?」
「口当たりがいいから、食べやすくはある」
「ガルーは奥さんとしては満点だな。旦那としては、四十点あたりのような気がするけど」
「いや、そうでもな……」
 思わずガルーを擁護しようとして、オリヴィエは慌てて口をつぐんだが、時すでに遅し。レティシアがにんまりと笑う。
「え? なになに? オリヴィエにとっては、旦那としても満点なの?」
「……そんなことは言ってない」
「え〜? じゃ、何点〜?」
「な〜、な〜」としつこいレティシアに、オリヴィエは苛立ち、すこし強めの口調で言った。
「二点!」
「二点かぁ〜」と笑うレティシアの後ろで、ちょうど豆腐サラダを持って来たガルーがショックを受けた表情で立っていた。
「「あ……」」
 レティシアとオリヴィエは固まる。
「そうか、リーヴィにとって俺は二点の男だったのか……」
「いや、そういう意味じゃ……」
「あ、いや、俺が悪かったよ。変な話振って」
「振られるとか言うなぁ〜!」
 ガルーは豆腐サラダをオリヴィエに押し付けて、厨房へと走っていった。

 ちみちみと飲み進めていたグラスのビールが空になると、凛道は立ち上がり、「もう一杯!」とグラスを掲げる代わりに、持参したDVDを高々と掲げた。
「それでは、これから、皆さんお待ちかねのアイドル上映会を開催いたします!」
 正直、誰も待っていないのだが、見るからにウキウキしている凛道に水を差すのはみんな控えた。
「先輩、こちらへどうぞ!」
 鑑賞用の席を用意すると、凛道は崇拝するオリヴィエに一番見えやすい席を譲ろうとした。
 しかし、オリヴィエは穏やかな眼差しで首を横に振った。
「俺はいつでも見れるから、今日は文とレティシアに譲るよ」
 オリヴィエの菩薩のような微笑みに、凛道は感動する。
「そうですか! お優しい先輩がそうおっしゃるなら、文さんとレティシアさん、こちらへどうぞ!!」
 凛道には菩薩の微笑みに見えたオリヴィエの笑顔だったが、それは凛道の目にはオリヴィエに対するフィルターがかかっているためである。実際のオリヴィエの口元は引きずり、その目はキラッキラ輝く凛道の目をまっすぐに見ることができずに逸らされていた。
 文とレティシアの二人は恐る恐る凛道が示した席へと座る。
 普段は見せない凛道のハイテンションにユエリャンは「まーた始まったであるな……」と呆れるが、文の心許なさそうな様子に同情し、その隣の席に座った。
「仕方ない。我輩も付き合ってやるとするか」
 そのユエリャンの行動を、凛道は自分の都合のいいように解釈する。
「さすが、ユエさん! 親友……いえ、心友! 今日のDVDは秀逸ですから、ぜひ、良い席で……」
 そんな凛道をユエリャンは「うるさいであるぞ!」と一喝する。
「早く流せ。そして、早く終わらせろ」
 お酒が入るとユエリャンの沸点の振り幅が激しいことを知っている凛道はユエリャンのひと睨みで背筋を正し、これ以上沸点が上がらないように、急いで再生ボタンを押した。
 曲が流れ始めた瞬間、オリヴィエの頭の中にも同じ曲が流れてくる。
「聞かされすぎてそろそろ歌えそうだ……」
 オリヴィエはアイスを食べながら、アイドル上映会を遠目に眺めていた。
「上映会、始まってたのか」
 厨房から戻ってきたガルーが持っていた皿の中身を確認し、オリヴィエは感心する。
「ピザも作ったのか?」
「ああ、りんりんが食べたがるかと思って」
「相変わらずマメだな」
 レティシアが眉間に深いシワを刻んで、華やかな衣装の女の子たちが歌って踊っているのを観ている。
「……全員同じ顔に見える。知り合いが出てれば区別がつくんだが……」
 そんなレティシアの言葉に、ガルーはフフンッと鼻で笑う。
「だからレティは女性にモテないんだ」
 しかし、ガルーの攻撃はすぐさま自分に返ってくる。
「オリヴィエ、こいつの女好きは死んでも治らないぞ」
 オリヴィエはガルーに冷たい視線を向ける。
「じゃれあいに最強の武器持ち出すなんて卑怯だぞ! レティ!」
 次の瞬間、オリヴィエよりもさらに冷たく凶暴な視線がガルーとレティシアを捉えた。
「そこ、うるさいです!」
 お酒が入ったこともあって、凛道の目は完全に据わっている。
「わ、悪い。凛道……」
 レティシアは立ち上がり、ジリジリと後退する。
「俺にはちょっとアイドルのことはわからないから……あっちでガルーたちと大人しくしてる……」
 レティシアの提案を凛道は力強く却下する。
「いいえ! 英雄たるもの、未知なるものから逃げてはいけません! この機会に、ぜひ、素晴らしい世界があることを知ってください!」
「いや、英雄であることはカンケーな……」
「着席!」
 凛道の号令に思わず、レティシアは再び座ってしまう……レティシア、逃亡失敗。
「文さんはわかってくれますよね!? この素晴らしい世界!」
 文に向けられた凛道の声も表情も明るいものに変わる。
「えっと……」
 文は困りながらも、画面に映る一人の大人しそうな女の子を指差した。
「……この子は、可愛いと思う」
「さすが文さん! 良い目を持っていますね!」
「この子はですね」と凛道が解説を始めようとすると、ユエリャンが端的に言った。
「おばあちゃんっ子で、好物は梅干し。趣味はおばあちゃんの写真を撮ることというすこし変わった
子だ」
 もちろん、名前と年齢を文に伝えることも忘れない。
「さすがユエさん!」
「竜胆の解説は主観が入りすぎて端的じゃなく、長たらしいからな」
「ちなみに」と、ユエリャンはメンバーの真ん中あたりに立つ二十代の子を指差して、文に言った。
「我輩は歌が一番上手いこの子が推しであるぞ」
 文は凛道はもちろんのこと、ユエリャンにも圧倒され、きょとんっと二人を見上げた。

 二時間程のアイドル上映会が終わり、その頃にはカフェの中にはお酒の香りが充満していた。
 一滴も飲んではいないものの、お酒の香りに酔ったオリヴィエはガルーの膝を枕にして横になっていた。
「オリヴィエ、大丈夫か?」
 眠気を堪えながらそう聞いたレティシアをガルーは睨んだ。
「なんだ? レティもリーヴィ狙いか?」
「だから、違うって……お前、酔ってるな? ……まぁ、俺もかなり酔ってるけど」
 今度はガルーはヘラりと笑う。
「リーヴィは可愛いだろ」
 それからまた眉間にシワを寄せる。
「学校でもモテちゃってさあ……良いのかな? 相手がこんな歳上でとか、考えちまうよな……」
 愚痴り始めたガルーに、レティシアが「じゃ、別れちまえよ」とテキトーに言うと、ユエリャンと凛道も賛同する。
「赤毛、たまには良いこと言うであるな! そうだ。犬にオリヴィエは勿体無いのである!」
「そうです! 先輩を解放してください!」
「あんだよ……俺の周り、敵ばっかじゃねーか……」
 落ち込みかけたかのように見えたガルーは、日本酒をぐっと飲み干して叫んだ。
「ゼッテー、別れねぇからな〜!?」
「だろうな」と、レティシアは笑い、そのままテーブルに突っ伏して寝始めた。
 凛道もほぼ同じタイミングで意識を手放す。
 ガルーは「まだ話しは終わってねーぞ!」とレティシアの体を揺すったが、レティシアが起きる気配はない。レティシアを起こすのを諦めたガルーは、ユエリャンへと矛先を変えた。
「もうユエちゃんでいい! 俺様の甘酸っぱい恋の悩み、聞いてくれよ〜」
 そう言いながら、ガルーが再びコップに日本酒を注ごうとした時、ユエリャンがそのガルーの額めがけて扇子を投げた。
「貴様は分をわきまえて飲め!」
 投扇興のように優美に投げられた扇子は見事にガルーの額に当たった。扇子の些細な衝撃でも、限界を迎えていたガルーの意識を眠らせるのには十分だったようで、ガルーは日本酒をしっかり握ったまま、その体をソファーの背もたれに預けた。
「……みんな、潰れたであるか?」
 ワクのユエリャンはその場の惨状を肴に、ぐびりと日本酒を飲む。
「……みたいだね」と、ユエリャンと同じくお酒の限界が未知数の文も冷酒をひと口飲んだ。
 ユエリャンはスマホのカメラアプリを起動すると、オリヴィエの寝顔を捉える。
「……」
 そこから中心をすこしずらして、スマホを手前に引くと、ガルーの姿もカメラの中に収まる。
「……」
 一枚だけ、二人の姿を収めた写真を撮る。
 いつか、二人の交際を心から祝える日がきたら、この写真を渡してあげるのもいいかもしれない……。
「ま、そんな日は百年くらい先だろうがな」
 ユエリャンの独り言に文が不思議そうな顔をする。
「さて」と、ユエリャンは立ち上がった。
「オリヴィエは我輩が抱っこするとして……後の二人を運ぶのは大変であるな……」
「……帰るの大変だったら、泊まってもいいって……レティシアが言ってた」
 文がそう言うと、ユエリャンは泊まることを即決し、家で待つ者にメールを入れる。
「ベッドはそこの赤毛のを借りるであるぞ」
 ユエリャンはオリヴィエを優しく抱きかかえた。
「文、日本酒とグラスを持ってきてくれ。場所を移して、飲み直すであるぞ!」
 屍累々をその場に残し、二人の夜は、もうすこし続きそうだ。


*** END ***



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa0626hero001 / レティシア ブランシェ / 男性 / 27 / ジャックポット】
【aa0068hero001 / オリヴィエ・オドラン / 男性 / 13 / ジャックポット】
【aa0068hero002 / 凛道 / 男性 / 23 / カオティックブレイド】
【aa0076hero001 / ガルー・A・A / 男性 / 33 / バトルメディック】
【aa0076hero002 / ユエリャン・李 / ? / 28 / シャドウルーカー】
【aa0626hero002 / ヰ鶴 文 / 男性 / 20 / カオティックブレイド】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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この度はご依頼いただきまして、ありがとうございます。
PL様、そして、PC達にとって、素敵な一年となることを祈っております。
このような内容となりましたが、ご期待に添えていましたら幸いです。
今後も6人の活躍を楽しみにしております♪



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2019年01月18日

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