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『『続・愛の行方――砕けた心』 』
アレスディア・ヴォルフリート8879

 アレスディア・ヴォルフリートを次元の狭間に引き摺りこんだのは、かつて彼女の故郷を滅ぼした男。アレスディアが詰め寄った、政府の軍人だった。

 故郷の庇護の約束と引き換えに、彼女の父と故郷の男性たちは中央の命で戦場へと向かった。
 そして、男性たちは非道な扱いを受け、悲惨な最期を迎えた。
 それを知ったアレスディアはこの男に刃向かうも、容易くいなされ死に瀕した。
 死を覚悟した彼女を護ったのは、彼女が護るべき故郷の人々だった。
 女性、子ども、老人に至るまで身を挺して、彼女を助けようとこのこの男が率いる兵士たちの前に立ちふさがり――斬り殺されていった。

 父を奪い、人々を踏みにじり、嘲笑ったこの男のことを忘れたことは、一度だってない。
 アレスディアは何度もこの男の死を願った。
 だが彼女を治療してくれた聖職者たちに諭され、その後に誰かを護るために自身の命を使い切ろうと決めてからは、男に対する気持ちも封じてきた。
 もし、万一にでもこの男が、平和の内に生きているのなら。
 大切な者のために生きているのなら、例え相見えたとしても、矛を収めようとさえ思っていた。
 しかし、再びアレスディアの前に現れたこの男は、アレスディアを捕らえに――抗体を奪いにきたのだ。
 ディラ・ビラジスが所属していた、犯罪組織ともいえる騎士団にいるらしい。
 男の目も、嘲りを含む口調も。何もかも、当時のまま変わっていなかった。
 アレスディアの中に、黒い感情が湧き上がっていった、が……。
「民は無残に殺され、お前に縋った離脱者どもは焼け死んだ」
 男の口から出る、数々の言葉はアレスディアのそんな感情を一気に冷まし、凍りつかせていった。
「民も離脱者どもも、お前が殺したも同然」
 アレスディアは一言も言い返すことが出来なかった。
 護りたい、護るべき人々に護られて、1人生き長らえた。
 自分がこの男に刃向かわなければ、故郷の大切な人達の命が失われることはなかった。
「ディラ・ビラジスもそうだ。お前があの場に行かなければ、あんな死闘を演じることもなかった」
 自分が、出向かなければディラを危険な戦いに巻き込むことはなかった。
 ドクターと離脱者たちもそうだ。全て自分が行動を起こさなければ、命を削り、失われるような事態は起きなかった。
 命は取り戻すことが出来ない。
 失われた命は戻ってはこない。続いたはずの何十年という人生と、幸せの可能性を全て消し去ってしまう。
 そして、残された人に深い苦しみを与える。
「全ては、お前の浅はかな情けと正義感が引き起こしたことだ」
(私の行動が、彼らに死を招いた――)
 盾を通して、男の繰り出す攻撃の衝撃を体に受ける。
 この盾で護られているのは、自分の身体、だけ。
(一体、これまでに、この盾に、私に、誰が護れた?)
 生きているのは自分だけ。
 みんな、死んだ。
 ぱっと、アレスディアの脳裏に、ディラ・ビラジスの顔が浮かんだ。
 自分を組み敷きながら、苦悩する彼の眼。先ほどまで傍に在った、腫れた顔。
 男が空間を開き、アレスディアの部屋を見せた。
 必死な形相で、駆けてくるディラの姿を。
「あの男も、殺す気か?」
 その言葉がささやかれた途端。
 アレスディアの心の中で、何かが弾け、身を護っていた彼女の盾が消えて、砕け散った。

 そう、いつかは、ディラも――。

 自分がディラを望まない戦いに巻き込んでいく。

 アレスディアだけに向けられる、彼の笑顔。
 いつでも、アレスディアの側にいることを望んでいる彼。
 だけれど、彼自身は、弱者を護るために命を賭ける人ではなく。
 護るための行動の全ては、危険に誘っているのは、全てアレスディア。

 帰宅を促したのに、彼は側にいた。
 自らの身体のことよりも、取り巻く状況よりも、アレスディアが優先で――護りに、来る。

 斬り伏せられた人々の姿と、ディラの姿が重なる。

 そう。


 最 も 大 切 な 人 を 私 が 殺 す


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号/PC名/性別/外見年齢/職業】
【8879/アレスディア・ヴォルフリート/女/21/フリーランサー】

NPC
【5500/ディラ・ビラジス/男/21/剣士】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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お世話になっております、ライターの川岸満里亜です。
この度も、アレスディアさんの心情を描かせていただき、ありがとうございました。
この先の展開でアレスディアさんの心にどんな変化が起こるのか、興味深く見守らせていただきます。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
東京怪談ノベル(シングル) -
川岸満里亜 クリエイターズルームへ
東京怪談
2019年01月22日

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