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『氷の女王の末裔と雪姫の戯れ〜「お仕事抜き」だとこんな感じ 』
アリア・ジェラーティ8537

 場所は、雪女郎である雪姫の住まう「豪雪通り越して氷河期」の如き極寒の雪山。
 ある夏の日、氷の女王の末裔であるアリア――アリア・ジェラーティは夏過ぎるくらいに夏らしい「何処からどうみても薄着な白いキャミソール姿」などと言う只人では到底有り得ない姿で、おみやげにとアイス(アイス屋さんなので自作)がごっそり入った保冷バッグを持参し、雪姫の「おうち」であるその雪山を訪ねていた。
 お仕事抜きで、雪姫と遊ぶ為に。

 そしてその道程で、おみやげ入り保冷バッグが氷雪の嵐による暴風に吹き飛ばされてしまったりとちょっとしたアクシデントもあったのだが、まぁ何だかんだでそのおみやげは渡したい相手の手元に無事届き――同時に、訪ねた当の相手にも無事巡り会う事が出来た。
 と言うか、暴風に吹き飛ばされた保冷バッグを当の相手――雪姫が「何をしておるのか」とばかりに取り返して来てくれて、アリアに返そうとしたらそれは雪姫へのおみやげだと判明したので済し崩しにそのまま貰う事になった…と言うような何だかグダグダな成り行きである。

 で。

 遊びに来たとは言え何をして遊ぶかは全く白紙だった為――アリアは「何して遊ぼう」と雪姫に振ってみる。
 雪姫の方でも退屈を紛らわせてくれる「遊び相手」が来るのは大歓迎ではあるが――こちらも誰が来るとも思っていない全くの白紙だったところでいきなり振られても、さすがに咄嗟には案が出て来ない。
 そこでふと視線を落とした保冷バッグの中身――大量のアイス――を見、アイスの大食いだか早食い競争でもするか? と埒も無い思い付きを口に出してみる。

 と。

 じゃあ、それで…と、何やらあっさり承諾された。
 結果、その埒も無い思い付きだった筈の事が、当たり前のように実行される。

 …まぁ要するに、アリアにしてみれば雪姫とやって楽しそうな事、面白そうな事なら何でもいいのである。



 そんな訳で、アイスの早食い――と言うか大食い勝負である。
 …と言うか、氷雪の加護を受けし彼女らの場合、その二つは同時に成立する。より速く、よりたくさん――ただの人間のように腹を壊したりキーンと頭痛を起こしたりするような事はまず無い為、それなりに見応えのある勝負になるだろう。取り敢えずおみやげとしてアリアが大量に用意していたのは棒付きのアイスキャンデーだった為、勝敗のカウントは「食べ終えたアイスの棒の数」で取る事にする。また「大食い」勝負となるとおみやげの量だけでは心許無いと思った為、アリアの方で勝負用にとアイスをどっさり追加もした。審判はどこからともなく現れた雪姫の眷族な雪妖の雪ん子に頼み、準備が整ったら――位置について、よーい、どん。
 と、まるで走り出すかの如き号令を合図に、アリアと雪姫はちゃきりと両手に装備していたアイスキャンデーをしゃりしゃりしゃりと食べ始める。
 早食い兼大食い競争だとは言え勿論、ちゃーんと味わって食べもする。…アリアにしてみれば食べ慣れた自信ある商売道具、雪姫の方も何度かアリアのアイスを食してはいる為、美味である事は承知である。ただ勝負の為だけに腹に収めるなどと言う勿体無い事はしない。

 とは言え、それでも二人ともやはり、常人離れして速かった。

 しゃりしゃりしゃりとそれぞれ一本食べ終える度、残ったアイスの棒が飛び交う。静かに置いたつもりでもあまりの速さな為、勢いでぽいぽい飛んで行ってしまうのだ。二人とも食べ終えては次食べ終えては次、とスピード重視で喋りもしないまま最速手順でアイスキャンデーに挑んでいる結果である。飛び交うアイスの棒は審判の雪ん子がすかさず確保してそれぞれカウント。勿論、ポイ捨てしたまま放置などしない。…と言うか二人の勝負のみならず審判な雪ん子が棒を確保するくるくるとした的確な身ごなしもまた、ある意味見応えがあったかもしれない。

 ともかくそんな感じで――暫しの時が経ち。

 二人とも少し、食べるスピードが落ちて来た。
 いや、まぁ…お腹を壊したりしないにしろ、普通にお腹いっぱいにはなって来る訳で。

「…何だ、スピードが落ちておるぞ…」
「…雪姫ちゃんも…だよ…」

 互いの様子を窺いつつ、口を開き始めたのがその証拠かもしれない。口を開く――勝負に専念していられるなら口を開いても食べるだけで喋るまで回らない訳で、つまり今はそのくらい「休みながら」食べている事になる訳である。

「手…止まってる…」
「な、何を言うか! 止まってなどおらぬわっ」

 …雪ん子もそろそろ食べ終えた後の棒の確保にくるくる動き回る必要は無くなって来た。

「むぅ…まだ諦めんか」
「えぇと…次のアイスキャンデー…」

 と。

 アリアが改めて手を伸ばしたところで――余裕を持って追加分まで用意されていた筈のアイスキャンデーが、すべて無くなっている事に気が付いた。

「あ…」
「何じゃ、やっと…じゃない、もう終わったか」
「…まだ食べられたのに」
「強がりを言うでない。次が無くて安堵したのであろう?」
「雪姫ちゃんこそ…初めに「やっと」って…わざわざ「もう」って言い直してた」
「ふん。うぬこそまだ食べられると言うなら更なる追加を作れば良かろうに」
「アイスの素のジュース…持って来た分終わっちゃったから…」
「そうか。なら残念だがこの勝負はここまでだな…判定に移るとするか」
「む…そうだね。残念だけど」

 うむ、と頷き合い、アリアと雪姫は審判の雪ん子に判定を仰ぐ。受けて雪ん子はアイスの棒のカウントを披露、結果は――――――





 ――――――僅差で、雪姫の勝利。

 聞いた時点で、よし、とばかりにガッツポーズで喜びを示す雪姫。もっとアイスキャンデーあれば勝てたのに…、とアリア。一応悔しがっているのだが、呟くような口調や性格上あまりそう見えないかもしれない。が、雪姫の方はその辺確り汲み取っていて――往生際が悪いぞ、勝ちは勝ち、負けは負けだ、とにやり。
 じゃあ…次は負けない。アリアはそう宣言し、次は何しよう? と新たなる勝負内容の思案に入る。
 …勝負。そう、雪姫ちゃんと「遊ぶ」のは、殆どイコールで「勝負」になるのだ。

(なお、二人の食べたアイスキャンデーの具体的な数量については、乙女の秘密と言う事でちょっと憚ってみる事にしました。悪しからず)



 で、次の勝負内容は――腹ごなしに身体を動かそう、と言う事だけはすぐに決まる(つまりそのくらいたくさんアイスを食べたのだと言う事は暗黙の了解)。更に言えば場所柄、雪山で出来る事で、になる訳だが――雪合戦、はこないだの本気勝負の時にしたから、別の事。
 二人して、うーんと首を捻る。
 そして。

「…雪だるま…作ろう」

 うん、と頷き、ぽつりとアリア。それから雪姫をじーっと見、…ね? と促すように首を傾げて見せる。そうされて、雪姫も雪だるまか…と軽く思案。雪山で出来る事――「雪遊び」としては雪合戦と並んで定番の発想だが、定番と言う事はそれをやりたいと思う者がそれだけ多いと言う事でもあり、つまり「遊び」として間違いが無い鉄板の発想と言う事でもある。
 雪姫としても、却下する理由は全く無い。

「うむ、悪くない」

 応えるようにアリアへと頷き返し、にやり。
 雪だるまで勝負。となれば――さぁ、どんなものを作り、どう競おうか。

 どう転ぶにしろ、楽しめそうだ。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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■PC
【8537/アリア・ジェラーティ/女/13歳/アイス屋さん】

■NPC
【-(公式イベント・雪姫の戯れNPC)/雪姫/女/外見10歳/雪女郎】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつも御世話になっております。御手紙までいつもわざわざ恐縮です…と言うか遅いなどと言う事は全く。その気になって頂けただけでも有難い限りなので(そもそもまともな返信出来てませんし)
 むしろこちらこそ毎度のようにお渡しに時間がかかりまくっていると言う…お待たせしております。

 内容ですが、また今回も御言葉に甘えて「続く」になりました。
 それも初めのとっかかりだった前回からの直接の続きこと「大食い勝負」だけで分量の殆どを占めていると言う…(なので夏のまま設定で行かせて頂きました)
 残り分の発注内容反映は宜しければまた次の機会に、とさせて頂ければ幸いです(あと二本分くらい機会を頂ければ内容全反映行けると思います/汗)

 如何だったでしょうか。
 少なくとも対価分は満足して頂ければ幸いなのですが。

 では、ひとまず次はおまけノベルで。

 深海残月 拝
東京怪談ノベル(シングル) -
深海残月 クリエイターズルームへ
東京怪談
2019年03月04日

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