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『満天の星空に白煙を添えて 』
皆月 若葉aa0778)&レミア・フォン・Waa1049hero002)&荒木 拓海aa1049)&メリッサ インガルズaa1049hero001)&魂置 薙aa1688)&エル・ル・アヴィシニアaa1688hero001)&ピピ・ストレッロaa0778hero002)&ラドシアス・ル・アヴィシニアaa0778hero001

 きっかけは星座の話だったか。はたまた、偶然放映されていた冬の星空特集だったか。もしかしたら、どちらともだったかもしれない。
「よし、行こう!」
 誰かがそういうとそこからは早かった。荒木 拓海が「車の手配はオレに任せて」と張り切り、皆の意見を聞きながら、キャンピングカーの選定する。それに合わせて、魂置 薙や皆月 若葉を中心に場所をどこにしようかと話し合う。
「どこがいいかな?」
「星が綺麗に見える所ってこうやって調べてみると結構あるもんだね」
 パソコンの画面を皆で覗き込み、あーだこーだと意見が飛び交う。折角、キャンピングカーで行くんだし、との言葉にそれもそうだと乗り入れができる場所という条件を加えて絞り込む。
「こことかどうかな」
「いいね!」
 薙が見つけた場所に若葉は笑顔で頷き、拓海は勿論のこと、ラドシアスやエル・ル・アヴィシニア、メリッサ インガルズに確認してもらう。反対意見も出ることなく、場所は決定。ピピ・ストレッロやレミア・フォン・Wにはその場その場を楽しんでもらいたいということで星を見に行くとだけ伝えた。
 キャンピングカーに日程も決まれば、あとは自分たちの準備。

「うーんと、これとあれでしょ。それから――」
「ピピ、必要なものだけにしろ」
 持っていきたいものをバッグにパンパンに詰めるピピに全くと言ってラドシアスが声をかける。ダメ? と首を傾げるも、星を見に行くわけだしと若葉にもそう言われ、改めて持っていくものをどれにしようかと頭を捻る。
「若葉は大丈夫なのか?」
「持っていきたいものは決まってるからね」
「そうか」
 あとはピピの準備が整えれば完了だなとピピに視線を向けるも、うんうん唸るピピ。準備はもう少しかかりそうだ。

「これとサバイバルキットに、他は何かいるものあるかな」
「防寒着の準備は大丈夫か?」
「あ、そうだ、防寒着」
 雪が降っていないとはいえ、11月の夜ともなれば冷えることは必至。エルの言葉にそうだそうだと防寒着を引っ張り出す。他にはと考える薙にエルは質問する形で持っていくか否かを選択させる。
「キャンプ、楽しみだね」
「そうだの」
 早く当日にならないかなと今から楽しみでしょうがない薙にキャンプは逃げないのだから、落ち着けと言いつつ、自身も楽しみなエルだった。

「これも捨てがたいけど、こっちもいいわ」
 どの服を着ていこうかとお店を広げて悩むメリッサ。自分が着るというのもあるが、レミアとお揃いコーデにするということもあって、これ、それともあっちと色々と広げてみていた。
「やっぱり、こっちの方がレミアに似合うわね」
 レミアの所に向かい、服を合わせると満足そうに頷く。
「わたし……かわいい?」
「もちろん!」
 こてんと首を傾げたレミアに服もまとめてギュッと抱きしめる。
「リサ、こっちの準備は終わったよ……ってどうしたんだ?」
 車の手配等々を済ませて戻ってきた拓海はどういう状況かわからなかったが、メリッサの説明を受けると、二人まとめて抱きしめた。

 キャンプ当日、集合場所に到着したキャンピングカーに若葉や薙、ピピはこれで行くの!! とおおはしゃぎ。
「これ、運転できるんだ……拓海さんすごい!」
 中もすごいぞと中に入ってみれば、先を突いて出てくる言葉はすごいの一言。
「広い! すごい!」
 拓海が軽く設備について説明すれば、おーの声。そして、早く夜にならないかなとまだ出発もしていないのにワクワクが止まらない。
「エル、段差があるから気を付けてくれ」
「あぁ、わかっておる」
 ラドシアスに手を引かれ、車内に入れば、あっちはどうなってるの、こっちはと探索中の子供たちの姿。
「もう少し、外にいた方が良かったかもしれないな」
「そうだの」
 落ち着きがない様子にエルとラドシアスはくすりと笑みを零した。そのすぐあと、拓海の出発の号令に探索していた若葉や薙、ピピはピピを真ん中に窓側に来るようにして運転席後ろの席に並んで着席。テーブルを挟んで向かいの席にレミアを窓側にメリッサとエルが座る。ラドシアスは運転助手、もといナビ役として助手席に着いた。
 車が動き出せば、会話は若葉たちと馴染みがないレミアのために自己紹介。流れで拓海が自己紹介をすれば、メリッサも改めてと自己紹介し、あなたは? とレミアに促す。初めての人ばかりで緊張していることもあり、たどたどしい自己紹介であったが、全員が静かにそれを見守る。終われば、年齢が近いピピがよろしくね! といの一番に声を上げた。そして、会話は楽しみだったということから始まり、レミアとメリッサが色違いのお揃いコーデということまで話が広がる。
「ほら、レミアは長時間の車移動とか初めてだし」
 少しでも不安が和らげばと思ってと言えば、運転手がリサの趣味も半分と会話に参加する。
「でも、かわいいでしょ」
 その返しに皆が確かに可愛いと頷く。そこから、お揃いっていいよねという話になっていった。

「街並み抜けて、自然増えてきたね」
「あともう少ししたら、到着だけど、皆具合悪いとかそういうのはないか? あったら、すぐに言ってくれよ」
「俺たちは大丈夫。えっと、レミアちゃんは平気?」
「……うん……大丈夫」
「だってさ」
 途中休憩を挟みつつ、ラドシアスのナビで進めば、街中を抜け、田畑を抜け、森へと入っていく。そんな折、この辺りは鹿が出るらしいぞと言えば、鹿! と街中では普通に見られない動物に目を輝かせる。
「鹿、出てくるかな?」
 運転席から見える景色を覗き込みながら、薙が言えば、どうだろうなと拓海。
「あ……リサ」
「今のはムササビ、この辺りは沢山住んでるのよ」
 声を上げたレミアに一緒に見ていたメリッサが説明する。動物が出たという言葉に薙とピピがムササビ! 見たい! と窓を覗き込むが既に姿はなし。
「活動時間みたいだし、チャンスはあるわよ」
 その言葉に今度は見る! とピピは意気込み、若葉の膝に飛び乗って、窓を覗き込む。そんなピピに苦笑いを零しつつも、一緒に動物探しをしていると薙も僕もと席を詰め、皆でその姿を探す。その姿を見てか、拓海はラドシアスと軽く言葉を交わし、そっと車の速度を落とす。
「あ、いた!」
「え、どこどこ?」
「あそこの木の上」
「ホントだ、いた!」
 巣から顔を覗かせているムササビを見つけ、ピピと薙は大喜び。ピピは若葉の膝から通路に出ると助手席にいるラドシアスにいたよ! と報告。よかったなと伝えれば、まだ他にもいるかなと先程見ていた窓とは違う窓も覗き込む。
「ピピ、あまり動き回るな」
 ゆっくりとはいえ、車が動いている中だ。そう注意するとはーいと元気に答え、若葉と薙の間に戻る。
「鹿とか、他にもいないかな」
「薙、もう少し落ち着かぬか」
 そわそわとする薙に慌てていては見れぬぞと注意はするが、誰かのいた! やあ! という言葉にどこ!? と反応する薙やピピの姿に口元が綻ぶ。勿論、そんな会話が聞こえている運転席や助手席にいる二人ももれなく。

 動物探しの後はお菓子パーティになり、ピピがお菓子を皆に配るため、あちらこちらへとウロウロ。そして、予定より少し遅れての到着となったそこは森の開けたところに作られたキャンプ場。コテージなどもあるらしいが、今回はそこから少し離れたところにある車の乗り入れもできるキャンプスペース。オフシーズンと言われるためか、ほぼ貸切状態。
 広い広いとひとしきりはしゃいだ後は皆で夕飯の準備を始める。車内で料理もできるが、人数も多いということと少々手狭いため、外で準備をする。積んでおいたテーブルやイスを並べ、役割を分担。薙と若葉は拓海、ラドシアスと一緒に火起こしや他機材の組み立てを。ピピ、レミアを中心にし補助としてメリッサ、エルが調理いう形となった。
「サイドオーニングは短めでいいかな」
 ギアを回し、キャンピングカー上部に取り付けられているサイドオーニングを出す。日中なら日よけとして風の具合を見つつ、長くしてもいいのだが、今回は夜な上、星を見るという目的がある。そのため、オーニングの足を利用して、ランタンをぶら下げるくらいにとどめる。
「拓海さん、このぐらいの固定で大丈夫かな?」
「うん、ばっちりだ」
 足の固定にペグを打ち込んだ若葉が確認をとれば、拓海から合格点が飛び出す。拓海はその若葉が固定してくれた足に手早くフックをとりつけ、ランタンを吊るす。
 薙は自分の持参したお気に入りのサバイバルキットを取り出し、サッと水洗いをして、お皿はキャンピングカーのテーブルに、鍋はコンロに準備。そして、一通り使用しそうなものを準備し終えると、若葉と拓海のもとに合流した。
「拓海さん、カメラ、どこに設置する?」
「あ、忘れてた。そうだな、オーニングの下にでも設置しておこうか」
 皆の様子がよく撮れるだろうと三脚をたて、カメラを設置して電源をON。
「「拓海さん、撮れてるー?」」
「もちろん」
 カメラの前に行って、手を振る二人に拓海は笑顔で答え、次は火おこしをするぞと薙と若葉と共に次の作業へと移った。
 ラドシアスは若葉たちより一足先に焚火台を設置していた。周りに燃えやすいものがないか、風向きは大丈夫かを確認し、台を設置。プラスで調理に必要なトライポッドも合わせて設置しておく。そして、持ってきていた薪を焚き付け用に細く割っていく。途中、若葉たちが合流すると古新聞を丸めておき、その上に焚き付け用の薪を乗せていく。
「新聞だけだと不安ってときはこの時に古新聞に着火剤を包んでおくとスムーズにできるぞ」
 そう説明しながら、今日は調理に使用するからと古新聞に着火剤を包ませていると付け加えた。着火はじゃんけんで薙がすることになった。マッチを擦って火をつけ、新聞の所に入れれば、着火剤のおかげもあって、みるみる火は広がり、焚き付けの薪にも無事に火が移る。
「後は太い薪を乗せて、火力を見ながら、薪や炭を増やしたり、炭を減らしたりって所だな」
 火の番は交代でやろうということになり、火の番以外は調理の手伝いへと向かった。

「おてつだい……」
「じゃあ、レミアはピピが洗った野菜の皮をむいてもらおうかしら」
「……うん」
 テーブルに顔を覗かせたレミアに玉ねぎやニンジン、じゃがいもの皮むきをお願いする。
「リサ、野菜全部洗えたよ♪ 次は何すればいい?」
「そうね、ピピちゃんも一緒にレミアと皮をむいてちょうだい」
「うん、わかった」
 野菜洗い終えたと車の中から持ってきたピピにメリッサはそうお願いをする。ピピはメリッサの言葉に頷くと野菜の皮をむいているレミアに合流して、一緒に皮をむき始めた。勿論、8人分ということもあって、量が多いこともあって、メリッサもラドシアスにフォンデュ用の野菜の湯引きを頼み、そこに加わる。キレイにむければ、それぞれがメリッサに見せて、えへんと胸を張る。そして、皮をむきながら、自分たちの家族や友人の話を交わす。
 敢えて皮を残したままにする分を除いて皮がむき終わるとエルの許へと運んだ。
「二人とも上手だの」
 キレイに皮のむかれた野菜を見てエルがそう二人を褒めれば、二人は顔を見合わせて喜んだ。
「では、次は野菜を切るのを手伝ってもらえるかの?」
「……うん……がんばる」
「ボクも」
 イスを足台に子供用の包丁を持ち、エルやメリッサが教えてくれるように野菜を切っていく。ある程度切ると、今度はその野菜を車へ運んでもらうようお願いをする。
「転ばぬよう、気を付けるのだぞ」
 それに返事をすると二人は野菜を落とさないように、転ばないように運んでいった。調理中は目を慣らすための工夫として、ランタンに赤いフィルムを張る作業をピピとレミアは拓海から習いながら行った。目を慣らしておくと星が綺麗に見えるんだよという拓海の説明に綺麗な星空を見たいと一層張り切るのだった。
 その後、調理を交代しながら、チーズフォンデュやシチューを作り、テーブルに並べていく。重たいものや熱いものは危ないこともあって、食器を運んだり、ボイル野菜を皿に並べたりをピピとレミアはお手伝い。そして、皮をむかなかった野菜はブロック肉とホイル焼きになった。並ぶ美味しそうな料理に自然とお腹がすく。チーズフォンデュとシチューをそれぞれに取り分け、いただきますの声。あったかいシチューやフォンデュにはふはふと言いながら食べる。
「ふふー♪」
 シチューを食べたピピは頬を両手で押さえ、満面の笑み。空っぽになった際にエルからニンジンを入れてあったことを告げられるが、皆で作って食べれば格別、ニンジンだって美味しいよ♪ と胸を張って答えた。そして、美味しいよねと料理をつまみつつ、トライポッドに吊るしてあるシチューが焦げないよう火加減を調整していたラドシアスに声をかける。
「……あぁ、美味いな」
 少し離れたところではチーズが切れないとフォンデュのチーズが伸びに伸びて慌てる薙に頑張って絡め取れーと言いながら楽し気に笑う若葉。これも美味しいぞと薦め、レミアとメリッサと一緒に美味しそうに食べる拓海。そして、ピピが苦手なニンジンを入れ、それを完食したことを褒めるエルに誇らしげなピピ。そんな楽しい食事が美味しくないわけがない。
 食事が終われば、デザートにスモアを食べる。クラッカーに焼きマシュマロと好みでチョコやホイップを挟み、美味しいねと食べた。その前にこっそり焼きマシュマロを味見する三人がいたとかいなかったとか。

 食事にデザートに堪能した後は拓海の用意してくれたエアーマットを敷き、焚き火やランタンの明かりを小さくする。ともあれ、拓海の工夫のおかげもあって、暗さにはすぐに慣れる。そして、天に広がるのはキラキラと輝く星々。そんな目もあやな星空にほぅと白い息を吐く。
「……熱いから気をつけろ」
「うん!」
 それぞれが贈り合った思いが込められた愛用のククサカップ。カップを出した時に考えることは一緒だねと笑い合った。そんなカップに焚き火で温めたミルクやお湯で作ったコーヒーなどをラドシアスが淹れ、ピピが皆にどうぞと配る。
「はい、エルどーぞ」
「ああ、ありがとう」
 ピピからカップを受け取り、礼を告げる。ピピは次はワカバの所に行ってくると言って飲み物が零れないように慎重な足取りで向かった。そんなピピを目で追いかけていると犬のぬいぐるみをぎゅっと抱きしめるレミアの姿が目に入った。皆が星に見入っていることもあり、静かな空間。緊張しているかもしれないと思ったエルはラドシアスの許に向かい、彼から自分とは別にホットミルクを貰う。
「確か、まだマシュマロが余っておったの」
「あぁ、まだあったはずだ」
 取り出して渡せば、エルは礼を告げ、ホットミルクの中に入れた。少し言葉を交わし、エルはレミアのもとに向かった。
「温まるぞ」
 そう言って、カップを差し出せば、ありがとうとそれを手に取る。くんと香ったのはミルクとは違う甘いもの。
「あまくておいしい……」
 えへっと笑ったレミアは先程までの緊張がほぐれたのか肩の力も抜けていた。
「それはよかったの」

「綺麗……こんなにあるんじゃ異星人……異世界もあって当たり前ね」
 拓海と共にエアマットに座り、星を眺めるメリッサはそう言葉を零す。それぞれの星がそれぞれの世界だと言われても、何も不思議ではない。それは自分の存在もそうであるだろうし、今まで出会いこれから出会うかもしれない同じ英雄の人達のことを考えれば、そう思える。
「……リサ」
 エルにもらったミルクを持ったレミアはメリッサの隣に腰を下ろした。そして、こてんとメリッサの体に寄りかかるレミア。
「ほし、きれい……ずっとまえも、みてた……すいこまれそうで……さびしかった……いっしょだと……こわくない……ね」
 そう心の内を零してくれたレミアにメリッサは彼女の手を握り、自分も言葉を返す。
「私ね、誰かと見てても寂しい時が有ったの……今は怖くないのは幸せって事。拓海も勿論だけど、今はレミアもいて、こうやって誘ってくれる友人たちもいるんだから。それに大丈夫よ、ずっと一緒よ」
「うん……いっしょ」
 互いに伝え合ったことでレミアの心も軽くなったのか、エルにミルクをもらったのだとか、それにマシュマロが入っていて、甘くておいしいのだとか言葉にできる限り話をする。その隣では実際に見た満天の星空に言葉を失い見入っていた拓海。ただ、レミアが話を始めたあたりから気づいていたものの、ここで自分が言葉をかけてはダメだろうと口を閉ざし、静かに聞いていた。そして、彼女たちの気持ちを知り、二人を守ろう、そして幸せになろうと心新たに誓う。

 一方、若葉と薙はエアーマットに寝転がり、眼前に広がる星空を堪能していた。
「これを、みんなに、見せたかった、ね」
「うん、皆と来れてよかった」
 そう言って、笑みを交わす。もう少し、時期が早ければ流星群なんかも見られたかもしれない。けれど、今のこの星空だって格別だ。なんたって、皆と一緒に見られるのだから。それに流星群は次の楽しみにとっておけばいい。
「あ、そうだ、僕、望遠鏡を持ってきてるんだ」
「お、いいね」
 思い出したとばかりに飛び起きた薙に若葉も体を起こして、賛成する。そして、薙が望遠鏡を準備している間に飲み物のお代わりを持ってくると言って席を立つ。
「マシュマロがまだ余ってたはずだし」
 熱々のコーヒーを入れて、そこにマシュマロを入れる。さて、薙の所に戻ろうかなと思っていると目の前に目をキラキラと輝かせたピピの姿。
「……何それ!」
「ん、飲んでみる?」
「うん!」
 元気よく返事をしたピピは若葉からカップを受け取るとこくり。美味しいと感想を零してまたこくり。そして、またこくりと味わい、あっと気づく頃にはカップの中は空っぽ。若葉の顔をみて、てへっと笑って見せた。
「……お気に召したようで」
 そう言って笑い、今度は薙の分も合わせて作る。
「あ、そういえば、薙が望遠鏡を持ってきてるって」
「え、ホント!? 見る! 見たい!」
 じゃあ、薙の所に一緒に行こうと言って、一緒に薙のもとへと向かえば、丁度設置と調整も終わったところだった。
「薙もどう? ピピにも大好評だったマシュマロコーヒー」
「ん、ありがと」
 若葉から差し出されたカップを嬉し気に受け取り、こくりと飲めば、甘さと温かさが冷えた体にじんわりと広がる。美味しいと感想を零せば、良かったと笑みを浮かべた。
 一息ついたところで、交代しながら、望遠鏡を覗く。
「うわぁ……!」
 肉眼では見えにくい空の色と星の色にピピは大興奮。そんなピピに薙は冬の星空で一等輝く星を説明する。
「一番明るいのが、シリウスで……」
 そんな話をしていると、望遠鏡かいいなと拓海やメリッサ、レミアも加わる。肉眼とは違う星々の輝きに凄いと口々に呟いた。
「あれだよな、オリオンのベルト」
 そういった拓海の言葉をきっかけに肉眼と望遠鏡の二つを使って星座探しが始まる。既存の星座だけでなく、あっちのとそっちのを繋げたら、何々に見えるよねなどとオリジナル星座も作ったりして、盛り上がる。

「空を見ることは殆どないが……のんびり見るのもいいものだ」
 盛り上がっている若葉たちを目の端に収めながら、ラドシアスはコーヒー片手にそう呟く。隣に座っているエルは夜空を見上げるラドシアスの横顔を見つめ、夏に星を見た際に真っ先にラドシアスを思い浮かべ、次は皆で来れたらと思っていたことを懐かしむ。それは今、叶い、同じ景色を見ている。
「どうかしたか?」
「いや、なに、星が綺麗だの」
 視線が気になったのだろう、ラドシアスが尋ねるがエルはふふと笑い、空を見上げる。それにラドシアスは深く問うことなく、そうだなと同じように空を見上げた。夏の話はまだ語らず、今、この時を楽しもうとエルは笑みを零す。
「ラドも見て見て、すっごく綺麗だよ!」
 ピピに呼ばれ、エルと顔を見合わせ、二人揃って望遠鏡を囲む輪に加わった。

 ずっと元気にはしゃいでいたピピがラドシアスの膝で眠ってしまうと、毛布を掛け、頭を撫でその寝顔に微笑みを浮かべた。そんな二人を見て、ではそろそろ車にと移動する。勿論。すでに眠っているピピはラドシアスが起こさぬように抱き上げ、移動した。ちなみにピピと年の近いレミアも眠たそうに目を擦っているため、横になればきっと夢の世界だろう。
「上段はもらった!」
「あ、ずるい、僕も」
「じゃあ、いっしょに寝よっか」
「うん」
 2段ベッドに二人で上り、下にはラドシアス。来るとき座っていた座席部のシートを展開してベッドにし、そこにピピとエル、レミアとメリッサ。バンクベッドに拓海という形となった。
 ピピはラドシアスからエルに頼み、おやすみと言葉を交わす。ラドシアスは幸せそうな寝顔のピピにいい夢を見てるんだろうなと零し、下段で横になった。また、目を擦っていたレミアもメリッサに抱き着くと安心したのかそのまま夢の世界へと旅立った。
 ピピやレミアを起こさないように少しだけおしゃべりタイム。拓海とメリッサからありがとうと礼を告げられると薙と若葉は顔を見合わせ、若葉が口を開いた。
「次はどこに行こっか?」
 その言葉にそうね、そうだな、次はと行きたい場所を上げていく。まだまだ行きたい場所、作りたい思い出がいっぱいあるのだから、お礼を言うのはまだ早い。
 行きたい場所からやりたいことなどを話していると若葉の隣からもすぅすぅと気持ちよさそうな寝息が聞こえてきた。それが連鎖するように一人また一人と眠りへと落ちていった。

 皆が寝静まったその上を一筋の流れ星が夜空を駆けた。願わくば、皆が幸せでありますように。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa0778 / 皆月 若葉 / 男性 / 20 / 思い出はまだまだ増えるよ】
【aa1049 / 荒木 拓海 / 男性 / 28 / 満天の空に誓う】
【aa1049hero001 / メリッサ インガルズ / 女性 / 18 / 増えた幸せに感謝を】
【aa1688 / 魂置 薙 / 男性 / 18 / 満天の星空を共に】
【aa1049hero002 / レミア・フォン・W / 女性 / 13 / いっしょだから、こわくないよ】
【aa0778hero002 / ピピ・ストレッロ / ? / 10 / 皆といるから楽しいんだよ】
【aa0778hero001 / ラドシアス / 男性 / 24 / 静かな星空と賑やかな光景に微笑みを】
【aa1688hero001 / エル・ル・アヴィシニア / 女性 / 25 / 大切な人と同じ景色を見られる幸せ】
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2019年03月12日

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