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『「memory」 』
ヘンリー・クラウンaa0636)&伊集院 コトノハaa0636hero001)&片薙 蓮司aa0636hero002

「うっ……んっ……」
 夜。ベッドの中で眠る伊集院 コトノハ(aa0636hero001)は息苦しさを覚え、ベッドから身を起こした。
 先程から息苦しく何度も起きてしまう。
 大規模が終わり、最近では仕事もヘンリーの地元でやることが多くなってきた。そんな頃ふっとした瞬間、昔の記憶が蘇る。

 子供の頃大切な人に突き放されるそんな記憶を。

 まさか夢にも出てくるとは……。
 そんな事を思うコトノハの隣のベッドで寝ていた片薙蓮司(aa0636hero002)は心配そうにコトノハに声を掛けた。
「大丈夫っすか?」
 おそらくコトノハの息遣いで起きたのだろう……。そんな蓮司へとコトノハは、
「大丈夫だよ」
 苦笑に似た小さな笑みを浮かべながら答える。
「そっすか……」
「うん。心配してくれて有難う」
 そんなやり取りを二人はする。だが蓮司はコトノハが無理しているのはすぐに分かった。そんな彼を見て蓮司はコトノハの事がさらに心配になったのだった。

 朝。
 ヘンリー・クラウン(aa0636)は部屋で目を覚ました。ヘンリーはベッドから身を起こし、白いカーテンが掛かる窓を見た。

 (そうか……帰って来たんだったな)

 大規模戦が終わって一通り仕事を終えたヘンリーは実家に帰っていたのだった。
 それと同時に彼は自分が家を出るきっかけになる事を思い出す。

 リンカーになった日のことを。

 ヘンリーの脳裏に記憶の断片が蘇り、すぐに消える。ヘンリーは目を瞑り、数秒落ち落ち着かせる。
 僅かに少しだけ開いたドアの隙間から、ヘンリーを起こしに来たコトノハは彼のその姿を見て僅かに顔を曇らせ心が痛んだ。
 ヘンリーがベッドから立ち上がり、こちらに向かって来る事に気づくと彼に気づかれないように表情を変えた。
 ガチャという音と共にドアが開きヘンリーと顔を合わせたコトノハ達は彼へと挨拶をした。
「おはよう。ヘンリー」
「ああ。おはよう起こしに来てくれたのか」
「うん。ひょっとしてまだ寝ているのかなって思ったけど、もう起きていたんだね」
「今日は思ったよりも早く目が覚めてな」
「そうなんだね。お腹もすいたし皆で朝食にしょうか」
 ヘンリーに笑顔でコトノハはそう答えた。蓮司はそんなヘンリーとコトノハの二人の様子を見て二人がいつもより少しだけ元気が無いように見えた。
 二人に何かしてやれないだろうか……。
 そんな事を考え、蓮司は一瞬頭の中にある考えが浮かんだ。

 (……ひょっとしてこれなら……)

 そう心の中で思ったのだった。

 一階キッチンで朝食を作り終えた蓮司はリビングにあるテーブルの上に朝食を並べた。
 ご飯、味噌汁、厚焼き玉子、焼き魚和食の定番メニューだ。
 しかも料理は出来たてで今にも食欲をそそるようだった。すでに席に着いていたヘンリー達はそれを眺める。
 いつもの朝の朝食のメニューだが、蓮司はある1皿をヘンリー達のそれぞれの席の前にコトっとした音と共に置いた。
「あとこれでデザート」
 そう言って置いたその一皿。それはワッフルだった。
 しかもただのワッフルではなくワッフルの上にチョコレートが掛かり、その周りにはストロベリー、ラズベリーなどが散りばめられている。
 見た目も美しく、とても美味しそうだった。

「これ蓮司が作ったの? 凄く美味しそうだね!」
「べっ、別にちょっと気まぐれに作ってみただけっすよ」

 蓮司は驚くコトノハにそう素っ気なく返す。
 だが本当は二人の為に何か出来ないかと考えて思いついた先がデザートを二人に出す事だった。
 蓮司にとって初めてのデザート作りだった為思いのほかデザート作りに奮闘してしまった。二人はどんな反応をするのだろうかと思い、チラリとヘンリー達の方を見る。
 すると。
「コトノハの言う通りこれは美味そうだな」
「うん。最後に食べるのが今から楽しみだね」
 デザートのワッフルを見て嬉しそうに笑顔で会話をするヘンリー達を見、蓮司は不貞腐れながらも心の中で良かったとそう思ったのだった。
 コトノハは目の前の蓮司が作った朝食とデザートを見てまるで蓮司から元気づけられているように感じ、コトノハは心が嬉しく感じた。



 朝食を済ませたヘンリー達は実家の近くの離れからカフェに向かう。
 アフリカで始めた仕事「clover」とうカフェ。
 パティシエであるヘンリーと和食メインが得意な蓮司、ウエイターであるコトノハと一緒に切り盛りをしている。
 オープン当初は少ししかいない客も「安さ、味、速い」を売りにしているこの店を気に入って来てくれるようになった。そのおかげで結構な有名店になった。
 またリンカーを続けながら店の店長をしているヘンリーは地元の相談役もしていた。その為地元の客から時々仕事を請け負っていたのだった。
 やがて自分達の店にたどり着いたヘンリー達は店に入るとそれぞれの持ち場で開店の準備をし、そして時間になると店を開店させた。
 開店してからカフェへと少しずつ客足が増えていった。
 カフェのコックで和メインのランチ.ディナーを担当している蓮司は料理を作り、またウエイターをしているコトノハは笑顔で客から注文を次々と受けていた。
 コトノハは年上の女性客に人気があるようで、女性客の視線はコトノハへと向いていた。そんな事を知ってか知らずかコトノハは上々な感じで仕事をこなしていた。

 そんな時。
 カランと店の鈴がなる音と共に店のドアが開き、一人の男性客が店の中へと入って来た。
 男性客はコトノハを見るとコトノハへと近づき声を掛けた。
「あのすみません……仕事をこの店に頼みたいのですが。店長さんはいらっしゃいますでしょうか?」
「はい。では店長のところに案内しますね」
 そう言ってコトノハは男性客を連れ、ヘンリーがいるカウンターへと案内する。
 カウンターでケーキを皿の上に乗せていたヘンリーは男性客に気づくと、ケーキが乗った皿をカウンターの上へと置き、男性客に挨拶をした。
「こんにちは」
「ヘンリー、実はこちらのお客さん仕事の相談をしに来たんだよ」
「仕事の相談ですか。ではまずお掛けください」
 ヘンリーはカウンター席を男性客に勧めると男性客は「有難うございます」と礼を言い、席に着いた。
「それで相談と言うのは?」
「実は今度友人達と集まってパーティーをしたいと思っておりまして、そのパーティーの料理をこちらにお願いをしたいと思っておりまして……」
「パーティーの料理ですか。もちろん大丈夫ですよ」
 そう答えるヘンリーに男性客は僅かに安堵したような表情を浮かべた。
「良かった」
 そう男性客はポツリと呟いたあと再び話始めた。
「それで、そのパーティーの方ですがサプライズでケーキを作って頂く事は可能でしょうか? 実はそのサプライズパーティー友人の婚約記念パーティーにしょうと思っているんです。その友人俺の親友なんです。だから友人達皆で一緒に内緒のサプライズで親友のお祝いをしょうと話していまして……。ケーキをお願い出来ますでしょうか?」
 ヘンリーに伺うように訊ねる男性客に対してヘンリーは柔らかい表情を浮かべた。
「それは素敵なサプライズパーティーですね。是非お手伝いの方をさせて頂きたいと思います」
 そう答えるヘンリーに男性客は嬉しそうな顔をして、
「有難うございます!」
 そう礼を言ったのだった。


「サプライズパーティーっすか?」

 夜
 閉店になったカフェの中で昼間来た仕事の依頼をコトノハ達から聞き蓮司はそう言ったのだった。
 仕事内容を聞いて彼は大きな仕事が来たのだと感じていた。
 チャンスが来た。
 このチャンスを逃してはならない。そう思い蓮司は二人へと真剣な表情をして口を開いた。
「この仕事俺受けたいっす」
 そう言った蓮司の言葉にコトノハは薄く笑った。
「そう言うと思ってもう受けているよ」
「マジっすか!?」
「ああ。大きな仕事だからな。ちなみにパーティーは10日後だ。オープンテラスのような場所でのパーティーだから外でテントを作る事になりそうだかな」
「外でテントを作るのだったら、パフォーマンスのように見せながら調理して皆を楽しませたらいいんじゃねーの?」
 蓮司の提案にコトノハは同意するかのように小さく頷いた。
「うん。良いと思うよ。その方がお客さん達も楽しめると思うしね」
「じゃぁパフォーマンスは蓮司に任せて良いか?」
「いいっすよ」
 訊ねるヘンリーの言葉に蓮司はそう答えると同時に、蓮司は内心パフォーマンスと客が喜ぶような料理を気合を入れて作ろう。そう思ったのだった。



 10日後。
 パーティー当日。
 晴れ渡った空の下でヘンリー達はテントを作り終えた。
 パーティーと言う事もあり、作り終えたテントの下にはオシャレなテーブルに椅子を置き、また周囲には木などがあった。全体的にオシャレな印象だった。
 そして幾つものテントがある中央にオープンキッチンのようなものがあった。ヘンリーと蓮司の二人はそこで調理をする事になっていた。
 蓮司はパーティーメニューを担当、ヘンリーはそのデザートを担当する予定だ。
 ちなみにサプライズ用のケーキはパフォーマンスに取り組むとサプライズでは無くなってしまう為、既にあらかじめ用意していたのだった。
 ヘンリーの隣で料理の食材を確認している蓮司にヘンリーは問いかける。
「食材の方は大丈夫か?」
 食材の方は事前に調達しているとはいえ、パーティー当日に食材が足らなくなっては大変な事になってしまう。そう思いヘンリーは蓮司訪ねたのだった。
「大丈夫っす。全部揃ってるみたいなんで」
「なら今日は頼んだぞ」
 ヘンリーの言葉に蓮司はヘンリーへと視線を向けて小さく頷いたのだった。

 そしてパーティーは開始された。
 沢山の客達がいる中で蓮司はパフォーマンスを取り入れながら調理をしていく。
 透明のカップの中に酢飯、金糸卵を入れると、ジャンプしながら派手な動きでいくらやエビといった海鮮をのせていく。
 そのパフォーマンスの動きと蓮司が作るミニ海鮮ちらし寿司は見た目も可愛らしく、華やかで客達の視線は蓮司へと注がれていた。
 ミニ海鮮ちらし寿司を作り終えると、蓮司は次に花柄の形をした南瓜の煮物を鍋から素早く取り出した。そしてボールの中に入れていた大根おろしをおたまで掬い、身体を一回転させながら南瓜の方へと乗せようとした。
 だが僅かにバランスを崩し、蓮司の身体がよろめきそうになる。

 (マズいっす!)

 そう思った瞬間、蓮司は地面に足を強く踏みしめ、身体の動きを変えた。
 身体の動きを変えたせいで何とかバランスを保ち、手にした南瓜の入った器の中に無事に大根おろしを掛け、次にしょうゆを僅かに垂らす。
 その蓮司のパフォーマンスは美しくも繊細に完成された料理の数々を見て客達は、
「おお!!」「凄いな! しかも料理も完璧で美味そうだ!」そんな言葉を口々に上げる。予想外のアクシデントが発生してしまったが客達の笑顔を見て蓮司は内心嬉しく感じた。

 だがその時。
 客が連れて来ていた3歳ぐらいの小さな子供がテーブルに置いている熱いコーヒーが入った白いティーカップに手を伸ばした。
 そしてカップのバランスが崩れ、中身のコーヒーが子供の身体に掛かろうとした。

 ……危ない!!……

 そう思った瞬間。近くにいたコトノハが咄嗟に子供の身体を抱え、テーブルから遠ざけた。
 子供が無事だった事を確認すると蓮司とヘンリーの二人は胸を撫で下ろしたのだった。

 その後。
 サプライズパーティーは大成功に終わった。
 パーティーでケーキを出された男性客の親友は心から嬉しそうにしており、またその婚約者である彼女は感動して涙ぐんでいた。
 そんな姿を見ながらヘンリー達も嬉しさを感じていた。そしてパーティーが終わった後ヘンリー達は自分達のカフェで飲み会を開いていたのだった。
 テーブルには色んな料理、酒やジュースなどが並べられており三人は楽しそうに談笑をする。コトノハは今日のパーティーを思い出しながら妻のことを思い出し浸っていた。
 そんな中で蓮司は急に席を立ち、キッチンの方へと姿を消した。
 一体どうしたのだろうか……。
 ヘンリー達はそう思い、不思議そうにしていると蓮司は料理を手にしてヘンリー達がいるテーブルへと戻ってきた。
「これ試作品っすけど食べて感想聞かせて貰えないっすか?」
 そう言って置かれたのは焼き魚料理だった。
 出された試作品をヘンリーとコトノハの二人は一口口にした。
 そして。
「これは上手いな。焼き具合や油ものっている」
「うん! この料理はお客さんに出したら人気が出そうだね」
 そうヘンリー達の言葉を聞き蓮司は内心良かったと感じた。そして再び席に着き、蓮司もヘンリー達と話しながら今までのことに浸る。
 これからも二人の力になりたい。そんな事を思いながら─────。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa0636/ヘンリー・クラウン/男性/年齢22】
【aa0636hero001/伊集院 コトノハ/?/年齢17】
【aa0636hero002/片薙蓮司/男性/年齢25】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ヘンリー・クラウン様

始めましてせあらです。
この度はご注文、ご指名の方本当に有り難うございます。
サプライズパーティでアクシデントありのほのぼのした感じとありましたので、このような感じで書かせて頂きました。
少しでも楽しんで頂けたら大変嬉しく思います。今回ヘンリーさん達の物語が書けて大変嬉しかったです。
書かせて頂きまして有り難うございました。


せあら
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2019年03月12日

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