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『「レプリカ通販」 』
アリア・ジェラーティ8537)&ファルス・ティレイラ(3733)

 あやかし荘の嬉璃(NPCA034)は通販が大好きな座敷童子。
 嬉璃はいつものようにあやかし荘の管理人室でネット通販を見ていた。
 画面を見ていくうちに嬉璃はある商品へと目を止めた。そしてその商品のボタンをクリックした。

 アリア・ジェラーティ(8537)はアイスの注文を受けてあやかし荘に出張していた。
 お客さんである嬉璃にアイスを渡す為に管理人室に入ると、机の近くに嬉璃そっくりの陶器像を発見した。
(この陶器像嬉璃ちゃんにそっくり……)
 そう思い、アリアは陶器像へと近づく。
 見るからに表面はツルツルで、嬉璃の姿をした陶器像は綺麗で。同時に美しい芸術品だといっても過言ではなかった。
「良く出来ている……」
 アリアはそう思って陶器に手を伸ばし、陶器に手を触れた。
 触れた瞬。
 間僅かに陶器像はバランスを崩し、アリアの方へと倒れてきた。
 アリアは咄嗟に横へと避けると自分の方へと倒れてきた陶器像は床へと倒れると共にパリーンと砕けてしまった。

 ……割れちゃった……

 そう思った瞬間。
 アリアは思わず驚いた。割れた陶器像の中には本物の嬉璃が出てきたのだ。
「アリア来ていたんじゃな」
 そう言いながら床から身体を起こした嬉璃に対してアリアは嬉璃へと言った。
「嬉璃ちゃん。どうして陶器像になっていたの」
「これは美容パックなんぢゃ」
「美容パック……」
「ああ。肌がツルツルになる美容パックを試していたんぢゃ」
 嬉璃はアリアにそう答えた。
 その次の日も。
 そのまた次の日もアリアが管理人室に行くと何らかの通販アイテムで彫刻の像に固まった嬉璃をアリアは発見した。
 ここ最近嬉璃がアイテムなどで固まる頻度が高いと感じたアリアは嬉璃の事が心配になった。

 (大丈夫なのかな……)

 そう思い嬉璃の姿の彫刻の像に近づいたアリアは近くに何か落ちていることに気づき、それを拾う。
 その拾った商品を目にしたアリアはファルス・ティレイラ(3733)のお店で以前見たことがある物だった。
 アリアは気になりすぐにティレイラに連絡をした。



 ティレイラは魔法の師匠の魔法薬屋でお店番をしていた。
 店の中には小さな小瓶に入った液体のような薬や薬草など、様々な薬などが所狭しとして並べられていた。
 そんな中で店に来店している客はおらず、店番をしているティレイラ一人。
 つまりティレイラは暇を持て余していた。そしてふっとある考えが思い浮かんだ。
 それは最近妙に身に覚えのないクレームが来ている事だった。
 クレームを受ける度にティレイラは不思議に思いながらもクレームの対処に当たっていた。

 ……しかしどうしてクレームが来るんだろう……

 そんな事を考えているとアリアからティレイラに連絡が来た。
「ティレイラちゃん聞きたい事があるのだけど、ティレイラちゃん最近あやかし荘に宅配依頼を受けているの」
「ううん。受けていないけど……」
「実は嬉璃ちゃんが通販アイテムを色々買ってて、その中の一つがティレイラちゃんのお店で見たことがある商品に似ているの」
「え!? 私は配達した覚えはないけど、上客の人には商品をこの前売ったよ」
 驚くティレイラに察しがついたアリアはティレイラへと訊ねる。
「その上客の人はどんな人」
「確か通販会社を経営してて、特定のお客様が沢山商品を買って繁盛しているお店だけど…」
「ちょっと上客の方を調べた方が良いかも」

 調べた結果。
 上客はティレイラのお店で買った商品を自社の商品と偽って高額で転売通販をしていた事が判明した。
 クレームの件など色々辻褄が合いティレイラ、アリア、嬉璃の三人は上客を訴える為街の中にある大きな通販会社へと行ったのだった。
 目の前の扉を開けて三人は会社の中へと入ると、室内の中で商品を整理していた上客がいた。上客はティレイラ達に気づき柔らかい表情で挨拶をした。
「こんにちはティレイラさん。今日はどうかされましたか?」
「どうもこうもありません!! あなた私の店の商品を自分の商品と偽って販売しているじゃない!!」
 憤慨するティレイラに上客は態度を崩さず、平然とした様子でティレイラへと答える。
「言い掛かりですね。証拠はあるのですか?」
「証拠ならある。ティレイラちゃんのお店の商品と、ここの会社を調べたらすぐにわかる」
 アリアの言葉に対して上客は僅かに顔を歪める。
「くっ……。こうなったら……」
 このままではすぐに訴えられてしまう。
 そう察した上客は棚に置いていた商品を手に取ると、それを使い三人纏めて像に固めて売り飛ばそうと考えた。
 そうすれば証拠隠蔽は出来る。
 手にした商品を上客は使おうとするが動かず、すぐさまに素早い動きで棚の上から新しい商品を手にするが結果は同じだった。
 苛立ちを覚えながらも手にした商品を良く見ると商品が凍りついていた。しかも手にした商品だけではなく、店の中にある商品全てだ。
「クソっ!! 何故だ、どうしてこんな!!」
 焦る上客をアリアは見る。
 アリアは会社の中に入ったと同時にあらかじめ冷気で会社を侵食していた。その為会社の中にある商品が使えなくなっていたのだった。
 このままではマズイ……。
 そう感じた上客はその場から急いで駆け出した。だが逃げる上客を急いでティレイラは取り押さえる。
「観念しなさい!」
「離せ!! 離せぇぇぇ!?」
 暴れる上客の近くに運良く一つだけ完全に凍っていない商品にティレイラは足を引っ掛けてしまった。
 それを見た上客はティレイラよりも素早い早さで商品を手にした。そしてティレイラへと商品を使った。
 商品から放たれた透明なジェルと冷気が混ざり合い、魔法的な誤反応が起きた氷の結晶のような透き通った宝石らしきものがティレイラの全身へと広がっていく。

「なにこれ!?」

 全身がコーティングされていくティレイラはわたわたと慌てる。だが徐々に動かせる感覚がなくなっていってしまっていた。
「……ウソでしょう。動かせない……」
 そう思いながらもティレイラの身体は次第に動かせなくなり、鳴き声を上げながらついには彫像へと固まってしまった。
 それを見た上客はアリア達にも商品を放とうとしたのだが、その商品から誤作動が発生してしまい上客へとジェルが掛かってしまった。
 そして結果。ティレイラと同じく上客も固まり、彫像へと姿を変えてしまったのだった。




 その後。
 アリア達は警察に連絡をした。上客は彫像のまま詐欺容疑で逮捕され警察へと運ばれた。
 一方彫像になったティレイラの方を困った顔でアリアは眺めた。
「どうしよう」
「戻らぬのなら仕方ない。わしの管理人室で飾るとしよう」
 嬉璃とアリアはそんな会話をし、そしてティレイラはあやかし荘の管理人室で飾られることになったのだった。





―― 登場人物 ――

 ファルス・ティレイラ
 アリア・ジェラーティ

 ――――――――――

ファルス・ティレイラ 様 アリア・ジェラーティ様

こんにちは。せあらです。
この度はご注文、ご指名の方有り難うございます!
今回のお話しは転売通販でのお話しとのことで私自身も楽しく、またこのような感じで書かせて頂きました。
少しでも楽しんで頂けましたら嬉しく思います。
今回ティレイラさん、アリアさん達の物語を書かせて頂きましたこと本当に嬉しく思います。
書かせて頂きまして有り難うございました。

せあら

東京怪談ノベル(パーティ) -
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東京怪談
2019年03月19日

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