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『ふたりきりの旅行 』
シールス ブリザードaa0199)&想詞 結aa1461

「綺麗な温泉宿だね!」
 シールス ブリザード(aa0199)が室内を見ながら嬉しそうに呟く。
「うん。景色もとっても綺麗……とてもいい旅行になりそうですね」
 想詩 結(aa1461)もシールスと同じように室内を見ながら答えた。
「荷物はそこにおいて、せっかくだから景色を楽しもうよ」
 結の手を握りしめながら、シールスが言う。
「あ、景色を楽しむのもいいけど宿の中に何があるのか探索をするのもいいね」
「それいいですね、お土産とか買って帰りたいので売店の場所とか知りたいです」
 結の言葉を聞いて、シールスは苦笑する。
「え? あ、あの、何か変なこと言いました……です?」
「ううん、そうじゃないけどお土産ってことは帰った後に渡すものだよね? 来たばかりなのに帰ることを考えられるのは寂しいな、なんて」
「あっ……ご、ごめんなさい! 私、別にそんな意味で言ったわけじゃなくて……」
「うん、わかってるよ。今のは僕がちょっと意地悪をしただけ。予想通りの反応だったよ」
「も、もう……」
 結は安心したように呟き、シールスの身体にぴとっと自分の身体を寄せる。
「え?」
「……か、帰るのを楽しみにしてるわけじゃないですよ」
 だって、と照れたような表情を見せながら結は言葉を繋ぐ。
「私も、シールスさんとの旅行をすごく楽しみにしていたんですから……」
「結……」
 照れ屋の結がくっついてくるなんて、きっと恥ずかしさを堪えたのだろうとシールスは心の中で呟く。
「温泉は夕方になってから入るって決めてたし、それまでは宿の中を探索しようか」
「……はい!」
 お互いに手をしっかりと繋ぎながら、部屋から出た――。

※※※

「わぁ、綺麗……」
 感嘆の吐息を零したのは、結だった。
「パンフレットにも庭園が大人気って書いてあったけど、これなら納得だね」
 しっかり手入れがされた庭園は見事としか言いようがないほどだった。
「こんな素敵な場所にシールスさんと来られるなんて……」
「それを言うなら、僕だって同じ気持ちだよ」
「……くしゅんっ!」
 シールスが呟いた時、結がくしゃみをした。
「少し冷えてきたね、ちょうどいい時間だし温泉に入ろうか」
「……うん」
「それでさ、結さえ良ければ混浴の方にいかない?」
「混浴?」
「恋人同士のために、個別になっている温泉があるんだって」
シールスの言葉に、結は少し顔を赤くしながら頷く。
「ここには、私とシールスさんしかいないんだから……恋人らしいこといっぱいしたいです」
 結の言葉に少し驚いたのか、シールスは目を大きく見開いた後、嬉しそうに彼女を抱きしめた。

※※※

「個別温泉っていうから狭いのかと思ったけど、結構広いね」
「そ、そうですね……ふ、ふたりで入っても全然、よ、余裕って、感じですっ」
 緊張しているせいか、結は裏返った声で言葉を返し、それがほほえましくてシールスは笑った。
「ほら、もっとこっちきて。せっかくふたりきりなんだからもっとくっついていようよ」
 緊張している結の肩を抱き寄せながら、シールスが言うと「……のぼせそうです」と温泉に入ったばかりなのにユデダコ状態になった結が視線をそらしながら答えた。
「結、顔が真っ赤だね」
「だ、だからのぼせたって言ったんです……!」
「えー、本当にそれだけ?」
 からかうように、シールスが結の顔を覗き込む。
 もちろん、のぼせただけではないのはシールスだけではなく、結自身にも分かっていることだった。
「大好きだよ、結」
「……わ、私も、大好き……です」
 お互いの境界線がなくなり、ふたりはこれ以上ないくらいの幸せを感じていた。

※※※

「へぇっ、ここの旅館ってダーツや卓球台も用意してるんだ」
 高級旅館だったため、こういった娯楽は用意されていないと考えていたシールスは少し驚く。
「結、ちょっと遊んでいこうか」
「えっ、今温泉に入ったばかりなのに……」
「汗をかいたらまた温泉に入ればいいんじゃない? ここには遊びに来てるんだし」
 シールスの言葉に、結は少し考え込んで「そう、ですね」と答えた。
「でも、お手柔らかにお願いするです」
「ふふ、それはできないかなー」
「えっ、どうしてです?」
「ゲームと言ったら、やっぱり何か景品が欲しいじゃない? だから何かお願いを聞くっていうのは?」
「えぇ……」
 結は不安そうな表情を見せるけれど、シールスが楽しそうなので何も言えない。
 こうしてダーツと卓球の勝負が始まったのだけれど……

※※※

「全敗……」
 そう、手加減はなしという言葉通り全力で立ち向かったにもかかわらず、シールスはダーツでも卓球でも勝つことができなかったのだ。
「え、えっと、ごめん、です?」
「うう、謝らないで。余計に情けなく見えてくる……」
 がっくりとうなだれながら、シールスが言い、小さく深呼吸をした後に結に視線を向けた。
「約束は約束! さぁ、なんでも結のお願いを叶えちゃうよ!」
 どんとこい、的な雰囲気で言うのだけど結は頬を赤く染めながら……「キ、キスが欲しいです」と答えた。
「えっ」
「……だ、だめです?」
 不安そうに問いかける結だが、ある意味ではシールスにとってもご褒美でしかない。
「だめだなんて、いうわけないじゃない」
 少し照れくさそうにしながら、シールスは結のお願いを聞くのだった。

※※※

「今度はトランプで勝負だよ!さっきのリベンジ!」
「ま、まだゲームをするですか……」
「当たり前!ちなみに負けた方は何でも言うことを聞くってやつはそのままだからね!」
「……何でもですか? 今度は後悔しても知らないですよ?」
 さっきまでの不安そうな表情はなく、今度は結自身も勝ちに行くような表情だ。
「もちろん! 1回目はババ抜き、2回目は神経衰弱! さぁ、勝負だ!」

※※※

「……はぁ」
 あれから何回も勝負をしたのだけれど、シールスは1回も勝つことができなかった。
「なんで? 結、そんなにゲームが得意だったの?」
「あ、あはは……」
「まぁ、いいや。それで、今回のお願いは? またキス? こっちにとってもご褒美だけどね」
「……私が寝るまで、愛を語り尽くしてください」
「えっ」
 結自身にもダメージが来るかもしれないが、シールスからの愛を聞きたいと思っていたらしい。
「……いいよ、まぁ語り尽くせないくらいの愛があるんだけどね」
 そういいながら、シールスは語り始める。
 ちなみに、結も聞き入ってしまい、結局ふたりが眠ったのは朝方になるのだった。

END


――――登場人物――――

aa0199@WTZERO/シールス ブリザード/アイアンパンク/15歳/男性
aa1461@WTZERO/想詞 結/人間/15歳/女性

――――――――――――
シールス ブリザードさま
想詞 結さま

初めまして、今回執筆させて頂いた水貴透子です。
今回はご発注頂き、ありがとうございました!
ふたりで温泉という内容でしたが、ご希望に沿ったシナリオになっていたでしょうか?
気に入ってくださったら幸いです。
今回は書かせて頂き、ありがとうございました。
また機会がありましたら、宜しくお願い致します。

水貴透子
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2019年03月22日

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