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『 今日は雨だから』
周太郎・A・ペンドラゴンla0062)&カペラla0637

「周太郎」

 自室のソファーで、地域の情報雑誌を見ていた周太郎・A・ペンドラゴン(la0062)が顔をあげるとカペラ(la0637)が肩口から情報誌をのぞき込んでいた。

「あぁ、カペラじゃないか。お前もこれ見るか?」

「あ、ううん。なんかいいの載ってた?」

「あ、そうだなぁ。特にはなかったなぁ」

「そっか」

 そう言って、横に座るとこてんとカペラは修太郎の肩にもたれかかった。

 どうしたんだ? と、訊きかけてああ、と周太郎は思う。

「暇なのか」

「うん」

 外ではしとしとと雨が降っている。

 欲しい本があると言っていたし、読む本がなくなってしまったのかと周太郎は思う。

「ゲームはしないのか? 俺のところに来ても特に何もないぞ?」

「ゲームの気分じゃないから。来たら駄目だった?」

 上目遣いで首をかしげるカペラに首を横に振り、周太郎が彼女の黒い髪を撫でるとカペラは気持ちよさそうに目を細めた。

「……雨の音ってさ」

「ん?」

 暫くの無言の後、カペラが口を開く。

「癒し効果があって聞いてると落ち着くんだって」

 ヒーリングミュージックに雨音のCDがあるのはその為だと続けるカペラの声を意図が分からないまま周太郎は聞いていた。

「周太郎みたいだなって思ったら来たくなった」

「あー、俺にヒーリング効果があるってことか?」

「うん。周太郎の手とか声とかすごく落ち着く」

 一緒にいて落ち着くといわれて嫌な気持ちはしない。

 それに、本人はそんなに自覚がないようだが、いつもぎこちない笑顔も自分と二人の時はそうでもないと言うことを周太郎は知っている。

「まぁ、それならいいけどな」

「あ、本当に邪魔とかなら帰るから言ってね」

「ん? あぁ、大丈夫だからゆっくりしてけ」

「うん」

 情報雑誌を横に置きスマホへ手を伸ばす周太郎の手が触れたのは柔らかな少女の手。

「手、繋ぎたい」

 片手は髪を撫でている。

 両手が塞がるなと周太郎は一瞬思ったが、急ぎ何かしなくてはいけないこともない。

「ん」

 優しく握り返すと、少女が小さく微笑んだ。

 その笑顔に温かい気持ちになって周太郎は笑顔を返す。

「そういえば、カペラはなんで俺には敬語じゃないんだ?」

 カペラが敬語で話さない相手は少ない。

「ん? 周太郎はよく似た人を知ってたっていうのもあるけど、懐いてるからっていうのが大きいかな」

 懐いている、という言葉に周太郎から笑いが零れた。

「何?」

「いや、動物みたいだなって思って」

「言い方間違ったかな……じゃあ……何だろう」

 首を傾げ考え込むカペラ。

「仲のいい相手、とか色々あるだろ。まぁ、カペラが良いなら俺はそれでいいけどさ」

 元々直接的な表現が多く、慣れた相手への喋り方が雑なのは知っている。
 それでも表現に嫌味がないのは彼女のいいところなんだろうと周太郎は思っているし、そう言う飾り気のないところも好きだとも思っている。

  ***

「紅茶でも入れてこようかと思うけど、カペラも飲むか?」

 暫くのぼんやりとした時間。

 周太郎がそう言って頭を撫でる手を止めた。

 時計を見るとティータイムにはいい時間だ。

「うん。じゃあもらう」

「わかった。少し待ってろ」

 お気に入りの紅茶を入れ、メイドが焼いたスコーンを持って部屋に戻るとじっと窓の外を見つめるカペラの姿があった。

「あ、お帰りなさい」

 部屋の主が戻ったことに気が付いてカペラが振り向く。

「何か面白いものでもあったか?」

 ティーカップをカペラの前に置きながら周太郎が尋ねると、カペラは首を振った。

「もうすぐ雨止みそうだなって」

 見ると、雲の切れ間から薄日が差している。

「風が強かったからなぁ。どこか行く用事でもあったか?」

「うーん。本でも買いに行こうかなとは思ってたけど、今日じゃなくてもいいかなとも思う」

 雨だから暇だ、という理由でやってきた以上、雨が止んだら理由がなくなってしまうな、とカペラは思っていた。
 だが、そう言うのはなんだか気恥ずかしい。

「今日は俺も予定がないし、じゃあ、このまま2人でのんびりするのもいいかもな」

「いいの?」

 周太郎の提案にカペラは少しだけびっくりする。
 そんなことを言われるとは思っていなかったのだ。

「あぁ、俺は構わないぜ」

「……じゃあ、そうする」

 周太郎の周囲には女性がたくさんいることをカペラは知っている。
 だから何だという訳ではないが、その女性たちに少しだけ申し訳ないような、自慢したいようなよくわからない気持ちにカペラはなった。

「この紅茶美味しい」

 何となく、気恥ずかしくなってカペラは紅茶とスコーンに手を付ける。

「あぁ、最近お気に入りの茶葉でなぁ。ほら、ジャムついてるぞ」

 スコーンを食べる時に口元についただろうジャムを拭うと周太郎はそのまま自分の口へその指を運ぶ。

「あ」

「ん? なんかまずかったか?」

「そういう訳じゃないけど……そういうのって誰にでもするの?」

 そう言うことを自然にする周太郎が少し恨めしい。

「どうだろうな。時と場合によるんじゃないか? 今はハンカチとかなかったし」

 そっか、と胸をなでおろしてからカペラは内心首を傾げた。

(なんで今ほっとしたんだろう)

 周太郎とは別に恋仲でも何でもない。

(まあ、いいか)

 答えの出なさそうな自問自答は止めよう、カペラはそう思いなおし、この時間を楽しむことにした。

 雨が止むまでもう少し。
 その後も2人の時間が続くことが少しだけ嬉しかった。



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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 la0062 / 周太郎・A・ペンドラゴン / 男性 / 26歳(外見) / 癒しの手と声 】

【 la0637 / カペラ / 女性 / 15歳(外見) / 飾らない時間 】

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龍川 那月 クリエイターズルームへ
グロリアスドライヴ
2019年03月26日

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