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『本日は遊園地日和 』
Bradleyaa4913hero002)&プリンセス☆エデンaa4913)&Ezraaa4913hero001


「いやっほー久々の遊園地! 今日はいっぱいあっそぶぞー!」
 プリンセス☆エデン(aa4913)は天に向かって勢いよく拳を突き出し、朝もはよから既にテンションマックスで吠え立てた。
 今日は休日。そしてここは遊園地。かつてこの遊園地ではとある事件があったのだが、今現在は問題なく復興している。なんならアトラクションの数は数個ではあるが増えている。Ezra(aa4913hero001)は主のはしゃぎっぷりに若干だがそわそわしていた。Bradley(aa4913hero002)は眠そうだった。多分朝が早過ぎたせいだろう。
 そして逆萩真人(az0136)は憮然とした顔をしていた。
「どこに連れてくるのかと思ったら遊園地って……」
「だって最初に行先バラしちゃったらつまらないでしょ? 真人くんは何に乗りたい? なんでもいいよ。行きたいのあったらさっさと行こう。今日はお休みだから家族とかカップルとかもいっぱい来ると思うし、だから乗りたいものは早めに乗っておかないと!」
 言って、エデンは真人の手をぎゅっと握った。真人は六年前従魔を使った事件を起こし、逮捕され、H.O.P.E.エージェント達の働きかけもあり更生施設で二年、H.O.P.E.で奉仕活動をして数年を過ごすこととなった。今はまだ奉仕活動の真っ最中で、ようやく最近門限付きで外出を許可されるようになったというところ。
 それでエデンは真人に連絡し、外出OKの日を聞き出し、遊園地に誘ってみたのだ。正確には真人の言う通り「真人くんお休みいつ? 一緒に遊びに行こう! この時間に迎えに行くね!」で即電話を切ったのだが。
 多少強引だったことはさすがにエデンも認めるが、内緒にしたかった理由は「バラしちゃったらつまらない」以外にもうひとつある。ここは真人の兄……正確には真人の兄を殺してその身体を乗っ取った、そして真人が兄と慕っていた愚神が、討たれた場所。真人は「兄」の歩んできた日々や場所などに興味がありそうだと思った。同時にひとりで遊園地に行くのは難しいだろうとも。あとは子供時代、親から虐待を受けていたなら、真人は遊園地に行ったことさえないかもしれないとも思ったが……これは内緒の方向で。
 真人は手を掴まれてうろたえたような顔をした。既に青年となった真人だが、「女の子」に手を掴まれてうろたえるのは少年のようで微笑ましい。
「いやいや、手を掴むなよ。俺もアンタもいったいいくつだと思ってんだ」
「ええー、だってはぐれたら嫌じゃない。それに真人くん、ほっといたらどっか行っちゃいそうだし」
『まあまあお嬢様。真人様も子供ではないのですから、迷子にはなられないかと思いますよ。真人様、大丈夫ですよね?』
 そこでEzraは口を挟むことにした。もっともこの場合「気遣い」とか「助け舟」とか言うよりも、「牽制」の意味合いも多分にあるが。これで真人がいなくなったら、真人は『迷子』になったということになる。
 真人は少しEzraを睨んだ。はぐれたフリをして帰ることも少し考えていただけに。もっともエデンが探し回ったり、がっかりしたりするのではという考えが途中で頭を過ぎり、思い留まっていた可能性は十分に……いや、極めて高いが。
「……ああ、迷子にはならないよ。もし迷子になったら迷子センターに問い合わせたって構わない」
「わかった。じゃあ真人くんが迷子になったら、迷子センターのお姉さんにお願いに行くからね!」
 言ってエデンは手を離した。これで真人は意地でもエデン達に着いていかなければならない。二十もとうに超えたのに、迷子の呼び出しとか恥ずかし過ぎる。
『それでは何か乗りましょうか。真人様は何がよろしいですか?』
「俺は、別に」
 真人はそのまま口を閉ざした。下手をしたらこのまま沈黙突入もあり得たが、その手はエデンの前には通用しない。
「じゃああたしが決めちゃうよ。遊園地と言えばやっぱりジェットコースターだよね!」


「あー楽しかった」
 二十分後、エデンはお肌つやつやで立っていた。もちろんエデンのお肌はいつだってつやつやだが、「きゃー♪」「たのしいー」と叫びまくって、お肌のハリにも一層の磨きがかかっている。
 一方、真人は死んでいた。生物学的には生きているが、げっそりし過ぎていつもの減らず口さえ出てこない。
『真人様、大丈夫ですか?』
「真人くん、ジェットコースター苦手な人?」
「こちとら普段事務ばっかやってる引きこもりなんだよ……そんなのが朝っぱらからジェットコースター乗ったらこうなるに決まっているだろう……」
「じゃあ、メリーゴーランドとかにする?」
「そんなお子様のヤツ誰が乗るか」
「もうーじゃあ何がいいのよー」
 エデンは頬を膨らませ、真人はわずかに視線を落とした。エデンは「真人は遊園地に行ったことさえないかもしれない」と思っていたが、この推測は当たっていた。何がいいと言われても、容易には思い付かない。
 Ezraはどうしようかとおろおろした。エデンの暴走を止めるのはEzraの役目だが、アドリブが利く方ではない。とりあえず真人を休ませるべきか?
 その時、救いの神は現れた。
『お前ら、いったい何やってんだ?』
『ブラッドリーさんいったいどこに!?』
 そこでEzraはようやく、Bradleyが姿を消していたことに気が付いた。もっともこの男がフリーダムなのは今に始まったことではないので、そこを気にしたり突っ込んだりしてもあまり意味はないのだが。
『その辺をぶらぶらしてた。なんか顔色悪いな。なんか飲み物かってこよーか?』
 Bradleyは真人の顔を覗き込み、そしてEzraは閃いた。遊園地と言えばアトラクションだが、遊園地にあるのはアトラクションばかりではない。
『もしよろしければ、少し何か食べませんか? 食べずとも座ってマップを眺めて、行きたい所を決めるのもひとつの手かと思いますが……』
 これなら真人を休ませられるし、次の行先も決められる。一石二鳥の名案である。真人は少し顔を上げ、それから口をもごもごさせる。
「そ、それなら付き合わないことも……ないけど」
 

 フードエリアの人影はまばらだった。それもそのはず今はお昼時ではない。だから座るのも食べ物を買うのも一切苦労はしなかった。
「せっかくだからアイス食べよう! あ、ドーナツもあるよ。キャラメルかけたポップコーンも! 何がいいかなー、もう全部食べちゃおうかなー」
『太りますよお嬢様』
「エズラ、度々それ言うのやめて! あたしは名実ともにアイドル(売れっ子)だから、どれだけ食べても太らないの!」
「いや、太るだろ、普通に」
 真人はぼそりとツッコミを入れ、エデンの目がギラリと光った。これは逆らわない方がいい。Ezraと真人はまったく同時に顔を逸らした。
「それじゃあ次にどこに行くか決めようか! ところで真人くんは最近どうしてるの? 好きな子とかできた?」
 真人は先程とは別の意味で顔を逸らした。その質問はつい先日、飲み会でされたばかりだ。
「別にどうもしてないよ」
「どうもしてないってことはないでしょー。好きな女の子とかいないの?」
 エデンは身を乗り出した。真人はその分身を引いた。どうにか、どうにか話を逸らす方法は……。
「……そういうアンタはどうなんだよ」
「あたし!? あたしはねー」
 話を振られたエデンは、そのまま自分のコイバナのマシンガントークをおっ始めた。こうなると長いことをEzraとBradleyは知っている。だがエデンの気を逸らすには今はいい手かもしれない。
「でね、彼って優しくてー、かっこよくてー、顔もよくてー」
 エデンはハートを飛ばして話し続け、その間に真人はジェスチャーでEzraを呼んだ。エデンは現在の彼氏について一通り語り終え、そこでようやく最初の目的を忘れていたことに気が付いた。
「ってあたしの話もいいんだけど、真人くんのコイバナを」
「観覧車」
「え?」
「観覧車……乗りたい……ですけど」
 真人はマップの中の観覧車を指差した。ジェットコースターに並ぶ勢いの遊園地のド定番。エデンに断る理由は、ない。
「オッケー。行こう、観覧車!」


「大切なお嬢さんと二人きりにしていいの? 俺だって一応男だぜ?」
 真人はエデン……にではなく、Ezraに対してそう言った。エデンはさっそく真人の腕に腕を絡め、観覧車に乗ろうとし、Ezraは二人を見送ろうとした。それで真人がEzraにそう尋ねたのだ。なおBradleyはいつのまにかこつぜんと姿を消えていた。
「あたしはこう見えてエージェントだから大丈夫だよ! あ、でもあたしアイドルだし売れっ子だからー、もしかしたら写メを撮られてSNSにアップされて、新恋人発覚!? とかって週刊誌に載っちゃうかも」
「アンタと恋人? 超イヤ」
「超イヤってどういうことよー」
 エデンはキャンキャンと吠え立てて、Ezraは二人を微笑ましく眺めていた。ここに来た時は浮かない顔をしていた真人だが、徐々にエデンとも打ち解けてきたように思う。
『それじゃあ真人様をお嬢様から護るために、私も同行するとしましょう』
「逆! 普通あたしを真人くんの魔の手から護るためにエズラも一緒に乗るんでしょー!?」
 
「電車の切符買えるの!? すごーい!」
「いや買えないアンタの方がすごいわ」
 数分後、エデンと真人は切符の話で盛り上がっていた。正確に言うとエデンが真人の「兄」の話をねだり、彼が切符を一人では買えなかったという話を聞き、そこで真人が切符を買えると知って「すごーい!」と言ったのだ。
「えっ移動ってタクシーとかハイヤーとかでしょ?」
「一般常識に疎いの種類が違うんだが。あ、まさか今日タクシーで迎えに来たのもそういう……」
 Ezraは二人の向かい側の席に座り、相変わらず二人のことを微笑ましく眺めていた。
 真人は相変わらず不器用ではあるけれど、事件後の、面会の時と比べて、人や世を恨んではいなさそうだし、この先ずっと生きていくことを選択したようにも見える。
 これまでの六年間、辛いこともたくさんあっただろうし、苦労もしてきたことだろう。
 けれど、友人にも恵まれただろうし、働くことで生き甲斐もできたかもしれないし、新しい世界が開けたのかもしれない。
「アンタ迷子センターの使い方知ってるよな?」
「え? 『この子が迷子なんです! 連れてきて下さい!』ってお願いすれば連れてきてくれるんじゃないの?」
「……執事さん、お嬢様の教育はきちんとしておけよなあ」
『え、迷子センターってそういうものではないのですか?』
 Ezraは真面目に真顔で答え、真人は額を指で押さえた。EzraもBradleyも異世界から来た人々なので、意外と一般常識に疎い。下手をすれば真人の方がまだ常識があるだろう。
「あ、見て見て、高い!」
 と、エデンが窓に指を向け、真人とEzraも外を見た。観覧車は最も高い地点に到達し、遊園地のアトラクションも、人の姿もよく見える。
「ブラッドリーは見えるかなー」
「どうせなら賭けでもするか? あのオッサンを見つけた方の勝ち。負けたら昼飯おごる」
「やる! 絶対負けないよ!」
 エデンと真人は真剣に遊園地を眺め始めた。最近はアイドル活動がメインだけれど、エージェント活動を通じて知り合った人達が、幸せになることを願わずにはいられない。
 そのようなことを思いつつ、遊園地でのひとときを楽しむEzraであった。


「ブラッドリー、一体どこ行ってたの!?」
 Bradleyと合流してエデンは真っ先にぷんすこした。結局エデンも真人もBradleyを見つけられず、勝負は引き分けに終わった。お金はうなるほどあるのでご飯代はどうでもいいが、どうせなら勝ちたかったというのは人のサガである。
 だがBradleyはそんなことは知らない。
『その辺をぶらぶらしてた。大分顔色よくなったな』
 ぷんすこしているエデンから、Bradleyは真人へ視線を向けた。真人とは初対面だが、特に気にせず気楽に接する。エデンはぷんすこしたままBradleyに飛びかかる。
「どっか行くの禁止ー! ブラッドリーも一緒に何か乗ろう!」
『え、俺は別に』
 BradleyはエデンとEzraがエージェント活動をしている間、気ままに外を出歩いていたため、二人よりは世間を知っている。あくまでも「二人より」ではあるが。
 とは言えさすがに遊園地は来たことがないが、特に興味はなく、団体行動が面倒になるとフラッと姿を消して見物したりしていたのである。
 だがそんなのエデンが許さない。
「だってせっかく遊園地来たんだよ! どうせなら一緒に遊ぼうよ!」
 エデンは真人の「兄」とはそこまで因縁は強くない。なので思い出語りとかはできないが、場を盛り上げることはできる。
 それにせっかくの遊園地だ。めいっぱい楽しんで悪いことなどあるはずがない。 
「そうだ、ここシューティング型の対戦アトラクションもあるんだって。そこで勝負の続きしよう! それならブラッドリーもやるでしょう?」
 これは一回付き合わないと解放されないパターンだ。Bradleyは『わかったよ』と了承した。案外やってみたら楽しいかもしれないし。
 Ezraは三人から少し離れ、微笑んで様子を眺めていたが、エデンはEzraのもとに走ってきてその腕をがしりと掴んだ。
「エズラも当然参加するでしょ?」
『え? いやお嬢様、私は』
「不参加は認められません! あ、そうだ罰ゲームはこうしよう。負けたらコイバナを披露すること!」
「それ、アンタだけ罰ゲームになってないだろう」
 真人が突っ込み、EzraとBradleyが笑い出す。エデンは頬を膨らませる。
「だって色々お話聞きたいもん!」
 言ってエデンは今度は真人に飛びかかった。

 楽しい時間はまだまだこれから。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

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2019年04月01日

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