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『Making of Composite』
ユリア・スメラギla0717

 金色の長い髪をきちんとセットし、ラフ過ぎず、自分のメリハリのあるプロポーションを活かした服装の女性が自室から颯爽と出て行った。
 彼女はユリア・スメラギ(la0717)。たとえ自宅であっても気の抜いた格好はしない。
 常に自分がどう見えるかを意識し、美しくあることにこだわる彼女の姿からは、己の美貌とスタイルに絶対の自信を感じさせた。

 ユリアは普通の部屋とは違う、撮影用の照明や背景や機材が置いてある一室に入る。
 そこは見ての通り色々な写真を撮ることのできる場所で、ユリアは自宅に撮影スタジオを持っている――主に自分を撮るため――のだった。
 今日はそのスタジオ『エーデルワイス』で新しい『コンポジットカード』を制作する予定なのである。
 何故かと言えば、彼女はライセンサーの仕事兼モデル業もしているからだ。しかし事務所所属のモデルではなくフリーなので、モデル活動をする上での生命線でもあるコンポジの制作はとても大事なことだった。

 パソコンを立ち上げ、最近撮った写真のファイルを開いた。
 数十枚ある写真の中から選りすぐりのもので、最高のコンポジを作りたい。
「ん〜、どれがいいかしらね〜……」
 一枚一枚をじっくり見ていくユリア。
「これは表情がイマイチかしら……。これは、ポーズがあざといかなぁ。でもそういうのも時には必要……?」
 色々考えながら一枚、また一枚と選び出していき、さらにそこから厳選する。
 ユリアはそんな作業が意外と嫌いではなかった。綺麗に撮られた自分自身の姿を見るのは楽しい。
 そして普段とはまた違った自分を見てもらいたいと思う。
 ――あの人に。
 ふと、ユリアの心に懐かしさが広がった。それは今は亡き弟への思い。

 ――弟に見て欲しくて、高校時代から始めたモデル……。
 あの子がいなくなって、ナイトメアの復讐のためにライセンサーも始めて……、
 いつの間にかモデルはお金のためだけに続ける、やりがいのない仕事になって……。
「辞めようかと考えたこともあったわね」
 ふふ、とユリアは小さく笑う。
 あの時は弟を失った悲しみとナイトメアへの憎しみと怒り、そんな感情で心が疲れていたのかもしれない。
 でも……。
 弟以外に自分を見て欲しい人、やっと見つけられた。
 大切な、愛しい恋人のために……、
 あたしはやっぱり、モデルを続けたい――。

 ようやく、ユリアは再び前を向くことができたのだ。
 弟以上に見て欲しいと思える人ができたから。
 モデルという仕事は、またユリアにとってかけがえのない仕事になった。
 恋人がいる限り、己の美に対してユリアは決して手を抜くことはしないだろう。
「よし、決めた!」
 ユリアはとうとう自信の三枚の写真を選び出した。
「採用スチールは、ワークス用のフォーマルスーツ姿に……」
 まずは黒いタイトなスーツ姿の写真。
 それでも下の白いシャツの胸元はざっくり開いており、きっちりした印象の中にも豊満な胸元のセクシーさが強調されている一枚だ。
「それから、セクシー系は……この黒ビキニっと♪」
 モデルであれば当然水着写真もあるが、このユリアの黒いビキニ姿の写真は見事な彼女のプロポーションが惜しげもなく表現されており、皆の目を引くこと間違いなしだろう。
「あとは、最新ブームを取り入れた春服もね」
 最後の一枚は、他二枚に溢れているようなセクシーさを抑えめにしたものだった。
 ベレー帽とロングスカート、ロングカーディガンにハイヒールを合わせ、全体的にシックな色合いでまとめられている。しかしスカートには深めのスリットが入っていたりして、彼女らしい色気が演出されていた。
 この厳選された三枚は、ユリアの画一的ではない、いくつかの魅力を表した三枚だと言える。

 ユリアは写真をレイアウトし、コンポジに必要な自分の名前やらスリーサイズやら連絡先やらを打ち込んで、カード用の紙に印刷を開始した。
「完成ね! ん〜、いいじゃない♪」
 印刷されたコンポジの出来を見ている時、ユリアの携帯が鳴った。
 SALFかららしい。
「はい、もしもし」
 それは新しい任務への参加要請だった。
「えぇ〜……次のスケジュール、キープ済みですよ?」
 ユリアが自分のモデル業の日時を思い出しながら言うと、それでも向こうは参加して欲しい日を伝えてくる。
 あら、それだけあたしは頼られてるってことかしら?
 正直悪い気はしない。弟がいたからか、ユリアには元々姉御肌気質な所があるらしい。
 頭の中でスケジュールと突き合わせ、どうやら都合が付きそうだと判断した。

「……分かりました、その日程ならOK! ユリアお姉様に任せなさい♪」
 頼もしく電話の相手に伝え、今日もユリアはモデルとライセンサー二足の草鞋を、精一杯セクシーに、ビューティに、キュートに生きるのだ。


━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
ご依頼いただきありがとうございました!
気に入っていただけたらいいのですが。自分に自信のある女性、素晴らしいですね。うらやましい……!

アドリブ部分やセリフ等のアレンジ、コンポジ制作過程の描写など、「思ってたのと違う!」という部分がありましたら、ご遠慮なくリテイクをお申し付けください。

またご縁がありましたら嬉しいです。
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久遠由純 クリエイターズルームへ
グロリアスドライヴ
2019年04月08日

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