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『ぶらり猫散歩 ― にゃんこ視点のグロリアスベース案内編 ―』
三四郎la2826

 その日、三四郎はとあるカフェの前に座ってある人物を待っていた。

 今日はグロリアスベースウォーカー特別号、ぶらり猫散歩の取材なのだ。

―ぶらり猫散歩、今月の案内人は三四郎(la2826)君、三毛猫、オス、10歳。

―今日はお願いしますね。

「にゃぁん(任せるのである)」

―今日はベースを案内してくれるんだよね。どこに行くのかな。

「うなぁ〜、なぁんっっ(そうであるなぁ。今日はグロリアスベースを案内するのである)」

 1声鳴くと、早速歩き出した三四郎。

 と言っても、特に特別なことはしない。

 取材だからと言って気取ったりしないのが、三四郎イズムなのである。

「んなぁおっ(秘密である。楽しみにするのである!)

「あ、三四郎君だ!」

 大きな通りを歩いていく三四郎に気が付いた通行人が手を振る。

 中には近づいてきて抱き上げたり、撫でていく人々もいる。

 初めて見る人にも三四郎は人見知りしない。

 そうでなければ名物野良猫は務まらないのだ。

―三四郎君は有名な猫なんだね。

「にゃぁ〜んっ(まあ、吾輩の実力なら当然であるな)」

 自信満々に髭を揺らす三四郎。

 だが、やっぱり嬉しいのか、短いしっぽがピンと立ってる。

「にゃぅ(着いたのである)」

―ここは本部? 三四郎君は依頼を探しに来たの?

「なぁんっ(そうであるな。吾輩はライセンサーであるぞ)」

 三四郎は多分世界でただ1匹しかいないだろう、ライセンサーにゃんこ。

 ちゃんと依頼にだって行く。

―でも、三四郎君は文字は読めるの?

「なぁんっ(吾輩に人の文字は分からないのである。でも、心配はないのである)」

「あ、三四郎さん、今日も依頼ですか? ちょっと待っててくださいね」

 三四郎を見つけたオペレーターがよいしょっと三四郎を抱き上げると、慣れた様子で猫にも分かるように掲示板に表示される依頼を1つ1つ説明していく。

―なるほど、これなら文字が読めなくても依頼には行けるね

「三四郎さんは頻繁に依頼も見に来てくれて、凄くまじめなライセンサーなんですよ。あ、三四郎さんちょっと痩せました?」

「にゃふぅ(気づいたのであるか。そうなのだ。吾輩、だいえっとやらに成功したのである。あ、さっきのがいいのである)」

「わかりました。すぐ手続きしますね」

 三四郎の鳴き声にオペレーターは三四郎を抱えたまま、窓口へと歩いていく。

―何かいい依頼はあったのかな? いってらっしゃい

 依頼参加は原則本人が手続するのが決まり。

 三四郎は猫なので、手続きはオペレーターがするのだが、ちゃんと手続きがされたかどうか確認する義務が三四郎にはあるのだ。

「にゃぁ〜(ちょっとこっちに来るのである)」

 手続きをしていた三四郎が首だけを取材スタッフの方へ向け鳴くと、前足を招き猫の様にちょいちょいと動かす。

 どうしたのだろうとスタッフが行くと、そこには数個の缶詰が置かれていた。

「にゃぁぁん(これを持つのである)」

―これは……猫缶?

「にゃふ(くれるとこのオペレーターが言うのである。大切なものであるが吾輩の代わりに持つことを許すのである!)」

 試作小型有機AIを間違って呑み込みヴァルキュリアとなった彼だが、やっぱり猫なので2足歩行は出来ないし、手に何かを持つことも出来ない。

―依頼はどうしてるの?

「にゃふん(武器は、口にくわえたり前足に装備できるものを使うのである。だから問題ないのである)」

  ***

「うなぁぉ、んなぁ(最後に吾輩とっておきの場所に案内してやるのである)

 美味しいカフェや見晴らしのいい高台、素敵なショップ。

 いろいろな場所を案内してから三四郎はスタッフにそう鳴いた。

「あ、三四郎ちゃん。今日も元気ねぇ」

「あ、いつものネコさんだ!」

 道中も三四郎を撫でる人や、嬉しそうに手を振る人々は絶えない。

―本当に大人気だね。

「なぁんっ(この辺りは全部吾輩の縄張り。当然である)」

 グロリアスベース全部とは言わないが、三四郎の縄張りはかなり広い。

 本部やショップ、研究所はもちろんのこと色々なのコミュニティに顔を出し、新しい餌場を見つけるのもまた彼のライフワークなのだ。

「にゃぁお(着いたのである)」

 着いたのは建物の隙間にある小さな広場。

 暖かな日差しの下、大人の猫から子猫まで色んな猫がのんびりと日向ぼっこをしている。

「にゃぁ!」

 三四郎に気が付いた猫たちが嬉しそうにしっぽを立てながら寄ってくる。

「にゃぁん(今日の食い物を持ってきたのである。さぁ、猫缶をこことあそこに開けるのである)」

 スタッフが猫缶を開けて地面に置くと、猫たちは三四郎の方に小さく鳴いてから食べ始めた。

 猫たちのボスである三四郎は、猫たちの様子を見る様に広場を1周するとスタッフの元へ戻ってくる。

「にゃふんっ(ここの猫たちはみな人懐っこいから貴公もゆっくりしていくといいのである)」

―素敵な場所だね。

「うなぁ(今日案内できなかった場所にもいいところがいっぱいあるのである。案内が必要ならまた吾輩に頼むといいのである)」

 ふんすと自慢げに鼻を鳴らす三四郎の頭や喉元を撫でスタッフは微笑む。

―じゃあ、またお願いするね。今日は案内してくれてありがとう。

 こうして、三四郎のグロリアスベース案内は終わった。

「んなぁ(依頼以外で人の役に立つのも悪くないのである)」

 スタッフが帰った後、一仕事終えた三四郎は大きく欠伸をすると陽だまりに丸くなった。



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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 la2826 / 三四郎 / 雄 / 10歳(猫齢) / 縄張りのアイドル 】
おまかせノベル -
龍川 那月 クリエイターズルームへ
グロリアスドライヴ
2019年04月08日

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