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『初めてのお花見 』
破魔鬼aa4756hero002

 春。

 花々が目を覚まし綺麗に咲き誇る季節。

「これで完璧なのね!」

 破魔鬼(aa4756hero002)は広げたビニールシートの上で息を吐くと、肩から下げた可愛らしいポシェットから水筒を出し、一息ついた。

「2人とも早く来るといいのね」

 そう言いながら辺りを見渡す。

 彼女の能力者が花見に行こうといったのが昨日の夜。

 花見と言う今の世界に着て初めての経験にワクワクして早く目が覚めてしまった彼女は布団を抜け出し、公園まで場所取りにやってきたのだ。

 と言っても桜はまだ5分咲きと言ったところで、能力者が言ったのは桜が満開になったら、の話なので花見は今日ではない。

 だが、そんな言葉は破魔鬼の耳に入っていなかった。

「ちゃんと、書き置きもしてきたから大丈夫なのね!」

 そう笑う破魔鬼が陣取ったのは公園で一番大きな桜の下。

 まだ満開には数日早いせいか、早朝のせいか、犬の散歩をしている老人の姿や、ジョギングをする人の姿が見えるだけで場所取りをしている人の姿は見えない。

 一番乗りと言う事実がまた彼女のテンションをあげる。

(きっと今日のお弁当はハバキの好きなものでいっぱいなのね!)

「あ、ハトなのね!」

 シートの端に降り立ったハトと目が合う。

 破魔鬼が嬉しそうに声をあげてもハトは逃げる様子はない。

「捕まえるのね!」

 見つめ合ったままゆっくりと近づき手を伸ばすと、ハトは少しだけ羽ばたいて破魔鬼の手の上に乗った。

 もう片方の手を伸ばすと、触れるか触れないかの寸前で、今度はそっちの手の上に。

「凄いのね!」

 何度となく繰り返すが、手や腕にのらりくらりと飛び乗るハトは一向につかまらない。

「少しくらい触らせてくれてもいいのね!」

 最初は楽しかった破魔鬼だが、こう何度も逃げられるとだんだんじれてくる。

 むくっと頬を膨らませ勢いよく掴みに行こうとすると、ハトはふわりと飛び上がり、今度は破魔鬼の頭の上に乗った。

 ハトはそのまま、角をツンツンと突く。

「ツノが気になるなんて見どころのあるハトなのね? 見ての通りハバキは英雄なのね!」

 そう言って彼女は能力者と一緒に行った依頼の思い出をハトに話し始めた。

「悪い奴ををたくさんぶちこわ! してきたのね!」

 王が撃破されたことで愚神や従魔は絶滅の一途をたどっている。

 戦うことも楽しいかったが、これからはどんな楽しいことがあるだろうと彼女は笑う。

 ハトは頷くように角を突いていたが、話が終わると今度は破魔鬼が持ってきたポシェットの上へ。

「あ! それはだめなのね!」

 ハトが器用に取り出したのは、おやつにとこっそり持ってきたお気に入りのお菓子の袋。

「それはハバキのなのね!」

 興味深そうに袋を突くハトから、お菓子を守るべく破魔鬼は勢いよくポシェットを掴むが、ハトはハバキの腕をかいくぐって今度はお菓子の上へ。

 何度腕を伸ばしてもハトはすぐお菓子の上に戻ってしまう。

「分かったのね! ハトもそのお菓子が食べたいのね? それなら最初からそう言えば良いのね。そしたら少しだけあげるのね」

 破魔鬼の問いかけが応えるようにハトが鳴いた。

「じゃあ、そこから降りるのね」

 ハトではなく袋に手を伸ばすと、さっきまでかたくなにお菓子からどかなかったハトが破魔鬼の頭の上へと舞い降りた。

「開いたのね!」

 なかなか開かない袋を何とか開け手に取ると、待ってましたとばかりにハトが腕に飛び降りお菓子を突き始める。

「ハバキも一緒に食べるのね!」

 2人が寝ている間に家を出てきた破魔鬼は朝ご飯を食べていない。

 正直なところお腹はペコペコだ。

 競うように食べる1人と1羽の前にお菓子はあっという間に消えてなくなった。

「美味しかったのね!」

 お菓子のかすを口の周りに着けながらにかっと笑う彼女。

 満足したように一鳴きしたハトはどこかに飛んで行ってしまった。

「行っちゃったのね。それにしても、遅いのね」

 公園を歩く人々が増えてきても2人の姿は見えない。

「きっと寝坊なのね」

 仕方ない人たちなのね、と投げだした足をパタパタ動かしていると、さっきのハトが何か咥えてこっちへ飛んでくるのが見えた。

 ハトは、破魔鬼の上に花を落とすとくるりと彼女の頭上を一周するとどこかへ行ってしまう。

「お礼なのね?」

 嬉しくなってハトの方に手を振るとその方向に見覚えのある人影が2つ。

「連れてきてくれたのね! ありがとうなのね!」

 飛び去るハトにお礼を言って破魔鬼は2人の方へ走りだした。



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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 aa4756hero002 / 破魔鬼 / 女性 / 6歳(外見) / ハトの恩返し 】
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龍川 那月 クリエイターズルームへ
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2019年04月12日

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