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『甘い蜜を分け合って 』
黒の貴婦人・アルテミシア8883)&紫の花嫁・アリサ(8884)

 黒の貴婦人・アルテミシア(8883)の居城を白く冷たい月が照らしだす。

「アルテミシア様……」

 女王の座る椅子にしなだれかかるようにもたれかかり紫の花嫁・アリサ(8884)はその耳元に甘えた声で囁いた。

 唇をアルテミシアの首元へ這わせ、熱い瞳で口付けを強請る。

 娼婦に染められてから数日。

 アリサは帰依の儀式で身に纏った黒いベビードール姿のまま、事あるごとに女王の愛を欲しがる。

 その時施された化粧は怪しく彼女を飾り、高級娼婦を思わせるその風体はとてもふしだらで淫靡だ。

「本当にこらえ性のない子ね」

 くつくつと喉を鳴らしながらアルテミシアは軽く唇を交わす。

「だって……」

 すぐに離れていく女王の顔を名残惜しそうに目で追いかけ、その胸に甘いキスを落とすアリサ。

 アルテミシアの漆黒のドレスの胸元を飾る薔薇に頬を寄せ口付ける様子は清廉な乙女のようにも一瞬見えるが、その瞳には、与えられるだろう快楽と褒美だけを映していた。

「少しは我慢なさい?」

 それだけで、軽く息を上げるアリサを見ながらアルテミシアは愉悦に口元をゆがめる。

 自ら塗り替えたとはいえ欲望に忠実に快楽を求める彼女は帰依前には考えられない程淫蕩に映る。

 そんな彼女に女王は満足していた。

(元々、そういう素質があったでしょうね)

 そう、アルテミシアは内心独り言ちる。

「……いらっしゃいな」

 仕方ないといった様子で膝にアリサを乗せると、露わになった太ももの黒薔薇を指でなぞって見せる。

「あっ……つっ」

 触れるか触れないかの刺激にアリサから小さく声が漏れる。

「もう、どこを触れても声をあげそうね」

そう言いながら指は腰を通り胸にある所有印へと至る。

「私の花嫁は我慢も出来ないのかしら」

 顔を紅潮させ荒い息を繰り返すアリサの耳元でアルテミシアが囁けば、彼女から立ち上る甘い香りはひときわ強くなる。

「アルテミシア様の前で我慢なんて……出来ませんわ」

 その言葉に満足したのか、女王から口付けが落ちてくる。

 水音が経つほど激しいそれに、アリサは『快楽の虜』と言う言葉がふさわしい程とろけた表情で応え、自分からより深いキスを求める。

「もっと……」

 首に手を回し何度も深く唇を重ねてくるアリサにアルテミシアは愛を持って応える。

 その手で胸を弄べば小さく震える身体が愛おしい。

「行きましょう? アルテミシア様……」

 どこへ、そんな無粋なことを口にしなくても行く場所など1ケ所しかなかった。

  ***

 アリサに手を引かれる様に入ったのは女王の寝所。

「聖女だった頃が嘘のようね」

「あの時のことは言わないでください。それともあの頃の私の方がお好きですか?」

 少しむくれたような声を出しながら、アリサは耳元に甘い吐息を吹きかける。

「いいえ。今の方が私好みよ?」

「よかった」

 心からほっとした様子でアリサは嬉しそうに微笑む。

「いっぱい、我慢しました。だから、ね?」

 囁かれる言葉にはアルテミシアのそれと同じ甘い毒がたっぷりと含まれている。

 さっきのやり取りがなくても、その言葉だけで我慢できなくなる男は多いだろう。

 そんなことを思いながら、アルテミシアはアリサの潤んだ瞳を見つめ返す。

「ちゃんと言わなくては駄目よ? どうして欲しいの?」

「お願いです。愛して?」

 先を誘うようにつめ先から掌へ賞賛と懇願のキスが落とされ、唇は這うように手首へ。

 その間も、アリサの指がアルテミシアの唇や耳、胸などを弄ぶ。

「あらあら、そんなこと教えてないわよ?」

 教えたことのない誘い方に、アルテミシアの喉が笑う。

「アルテミシア様に喜んで頂きたくて」

 紅潮した頬をさらに赤くしながらアリサは主の唇に軽く自分の唇を触れさせ微笑む。

 先ほどまでと違う、軽いタッチのそれも相手を煽る為の手管。

「そう。勉強熱心なのはいい事よ」

「ありがとうございます」

 女王の言葉に、我慢できなくなったかのように深く唇を触れさせ、花嫁は愛をもらえるようにと淫らに奉仕する。

 時折見せる、強請るような瞳に、

「こらえ性のないところも愛らしいわ」

 そう言って、アルテミシアもアリサの身体に触れる。

 自分とは違う愛撫にアリサの身体も心も昂っていく。

「上手く出来たのだもの。ご褒美を上げなくてはいけないわね」

 急に弱くなった刺激にもアリサは悶え、声を上げる。

 優しくなぞられたアリサの肌を宝飾品が飾った。

「ありがとうございます。でも……」

 物足りないといわんばかりの瞳が視界の隅にあるベッドへ誘う。

「いいわよ」

 踊るように抱き合ったまま倒れこむと柔らかなベッドが二人を抱きしめた。

「冷たい? それもまたいいでしょう?」

 絹で出来たシーツの冷たさに甘い声をあげたアリサをアルテミシアは小さく笑い、薄いレースの衣類へ手をかける。

「満足するまで愛してあげるわ」

 露になった肌に紅い跡をつけながらアルテミシアが笑うと、アリサも嬉しそうに笑い返した。

 淫靡な言葉や声、甘い吐息の合間を縫うように、衣擦れの音や水音が部屋を満たしていく。

 その様子を冷えた月だけがいつまでも見つめていた。



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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 8883 / 黒の貴婦人・アルテミシア / 女性 / 27歳(外見) / 愉悦のままに 】

【 8884 / 紫の花嫁・アリサ / 女性 / 24歳(外見) / 欲望のままに 】
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2019年04月24日

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